- 中途採用で期待外れと感じる根本的な5つの原因
- 期待外れになりそうな人材の特徴
- 期待外れを防ぐための7つの方法【企業事例あり】
「中途採用した社員が思ったような活躍をしてくれない」
「能力やスキルは十分あるのに、なにが原因なのか」
このような悩みを抱えている人事担当者の方もいるのではないでしょうか。
即戦力を期待して採用したものの、実際には業務に適応できなかったり、組織文化に馴染めずパフォーマンスを発揮できなかったりするケースがあります。
その原因を突き詰めていくと、採用時の選考方法や入社後のフォローに課題が潜んでいる可能性があるのです。
本記事では、中途採用が期待外れになりうる5つの原因と、具体的な解決策を詳しく解説します。
優秀な人材を早期戦力化するために、採用プロセスやフォロー体制の見直しなどの施策を検討していきましょう。
中途採用で「期待外れ」と感じてしまう5つの原因
中途採用で「期待外れ」と感じてしまうのは、社員個人の問題だけではなく、以下のように企業側にも原因があります。
それぞれの原因を理解し、採用時にどのような点に注意を払い、フォロー体制をどのように整えるべきか検討してみましょう。
即戦力だと過大に期待している
中途採用者に対して「即戦力となる人材」と過大な期待を抱くことは、職場配属後のパフォーマンスに対して失望する可能性があります。
たしかに前職での経験や高度なスキルを持っているため、スムーズに業務をこなして、組織の変革につながるような働きを期待してしまいます。
しかし、前職と自社の違い(組織文化や業務の進め方など)を学ぶ必要があり、すぐに高い成果を出すことは現実的ではありません。
大きな期待が「期待外れ」と感じる原因となるため、社内制度や自社での働き方について学ぶ期間を設けるなど、現実的な期待値の設定が必要です。
以下の記事では、中途採用における「優秀すぎる人材」や「期待以上の人材」が来たときの注意点・対策方法を解説しています。社員の離職を食い止めたいと考えている人事担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
選考時に適性を見極められていない
中途採用の選考では、候補者の経歴やスキルに焦点を当てる一方で、業務への適性や組織文化とのマッチ度を見落としてしまう場合があります。
具体的には、以下のようなケースです。
- 前職での輝かしい実績があるから、自社でも活躍してくれるだろう
- 多くの資格を持っているから、知識や技能は十分だろう
適性の見極めが不十分だと、採用後に期待する能力を発揮できないだけでなく、職場環境に馴染めずモチベーションが低下し、早期離職にもつながりかねません。
候補者の適性を見極めるためには、明確な採用基準を定めて、面接官や採用担当者による評価のばらつきをなくす必要があります。以下の資料も参考にしてみてください。
>>>無料でダウンロードする:自社で活躍できる人材の見極め方
また、採用基準の設定方法を知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。採用基準を明確化するメリットや、具体的な基準の決め方を解説しています。
性格や価値観が自社に合っていない
中途採用者の能力が優れていても、本人の性格や価値観が会社の経営方針・ビジョンと異なる場合、仕事への意欲が低下し本来のパフォーマンスが発揮されません。
たとえば、前職では柔軟な意思決定で業務を進めていた場合、業務プロセスが複雑だったり意思決定が厳しかったりすると、ギャップによる戸惑いを感じてしまいます。
会社の価値観や仕事に対するアプローチの違いは、業務への姿勢やコミュニケーションの質にも影響を与え、チーム全体のパフォーマンス低下にもつながりかねません。
採用後のミスマッチを防ぐためにも、表面的な能力やスキルだけではなく、性格や価値観も重要な判断材料となるのです。
中途採用で起こりうるミスマッチには、ほかにもさまざまな要因があります。以下の記事でミスマッチの要因と対策、企業の取り組み事例を解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
経験豊富だからと教育が不十分になる
中途採用者が「経験豊富」「実績十分」だからといって、採用後の教育が不十分になるケースも、期待するパフォーマンスが発揮されない要因です。
- 同じ業界で働いていたから、自社のルールもすぐに理解できるだろう
- リーダー経験が豊富だから、新しい職場でもメンバーを引っ張ってくれるだろう
上記のような考え方によって、基本的な社内研修や業務フローの説明を省略してしまうケースがあります。
前職で同じような業務・役割の経験があったとしても、新しい会社での業務プロセスや働き方に適応するためには、導入研修や配属後のサポートが必要なのです。
入社後のフォロー体制が整っていない
中途採用者は、社会人としての経験や同じ業界での実績があるからと、入社後のフォローを軽視しがちです。
たとえば、入社直後に重要なプロジェクトを任されたものの、社内ツールや意思決定プロセスに不慣れなため、結果としてプロジェクトが停滞してしまうといったケースです。
働く会社が変われば、社内ルールや業務の進め方も変わるため、入社後のサポートが不足すると、不安や悩みが相談できず早期離職のリスクも高まってしまいます。
中途採用者は即戦力だからと放置せず、新卒採用の同じような社内教育や、定期的な面談を行うことが重要です。
中途採用した社員が離職する原因や解決策については、以下の記事で詳しく解説しています。離職率の改善に取り組んでいる人事担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
期待外れになりそうな中途採用者の特徴とは?
中途採用が期待外れとなる原因として、採用した人材の個人的な問題も考えられます。
「自社の業務や働き方にマッチするか」を見極めるための指針として、期待外れになりそうな人材の特徴を確認してみてください。
自分を過大評価し、能力・スキルを過信している
過去の成功体験から自分を過大評価し、能力やスキルを過信して業務を行うような人材は、新しい職場での学びや周囲との協力を軽視する傾向があります。
たとえば、ある分野で自分自身をプロフェッショナルだと考えている場合、他のメンバーからの意見を受け入れず、チーム内の人間関係が悪化してしまうといったケースです。
社内ルールを守らず自己流のやり方で業務を進めてしまう点も、自分の能力・スキルを過信している人材の特徴です。
採用の選考時には、高い能力やスキルだけで判断せず、誠実さや謙虚さといった性格面も見極められるように、採用基準を明確に決めておきましょう。
前職のやり方に固執して成長意欲がない
新しい会社でのルールや業務の進め方を受け入れようとせず、前職でのやり方に固執している場合、期待するパフォーマンスが発揮されません。
環境の変化に対する抵抗が強い人材は、過去のやり方が最善だと考えており、新しいことを学ぼうとする成長意欲も低い傾向があります。
中途採用では、会社に新しい知識や技術をもたらし、革新的な働きを期待するものです。
しかし柔軟な思考や成長意欲が乏しい人材を採用してしまうと、組織の成長を妨げてしまう可能性があります。
職場に馴染む姿勢がみられない
新しい職場に馴染もうとする姿勢が欠けていると、人間関係の摩擦によってチームの一体感が損なわれ、業務効率・品質の低下を引き起こしてしまいます。
- 成果を出せば問題ないと考え、コミュニケーションを取らない
- 職場のルールを守らず自分のやり方を貫く
- 社内の行事やイベントに参加しない
上記のような場合、中途採用者は職場内で孤立してしまい、期待していた活躍も実らず、状況によっては早期離職する可能性もあります。
次節より、期待外れを防ぐための方法を解説しますので、中途採用における選考基準の設定、フォロー体制の見直しに活用してみてください。
中途採用での期待外れを防ぐための方法7選
中途採用での期待外れを防ぐための方法として、7つの取り組みを紹介します。
それぞれの取り組みを実践して中途採用の成功率を高め、組織の一員として長期的に活躍できる人材の確保につなげましょう。
面接と適性検査で適性を見極める
中途採用では、職務経歴書や面接だけで候補者の全体像を把握するのは難しいため、適性検査を活用して、より正確かつ客観的な適性判断が求められます。
適性検査の選び方や活用方法の資料は、以下の2点も参考にしてみてください。どちらも無料でダウンロードできます。
適性検査では、会社のビジョン・業務内容・働き方に対して、どのくらい適性があるかを多角的に測定できるため、期待外れとなるリスクを軽減できます。
ビジョンへの理解度やストレス耐性などが適性検査で把握できれば、面接ではその部分を深掘りした質問が可能となり、より高い精度で適性を見極められるのです。
デジタル広告の運用代行など行うデジタルアスリート株式会社では、適性検査の受検結果をもとに、最終面接で以下の点を確認しています。
- 会社のミッションに対して共感が得られているか
- 入社後にミッションを体現していけそうか
- どういう性格傾向がある人なのか
検査結果の「採用上の懸念事項」や「面接で質問すべき事項」も参考にしながら、社内の活躍人材に近い候補者であるかといった、新たな視点で面接を行っています。
以下の記事では、転職や中途採用で適性検査が使われる理由について詳しく解説しています。よく使われる適性検査ツールも紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
実績や能力だけ採用可否を判断しない
中途採用においては、前職での経験や実績、能力だけで採用可否を判断せず、職場への適応力や将来性も見極めて検討しましょう。
過去の実績や高度なスキルは重要な評価項目ですが、新しい職場環境で前職と同じようなパフォーマンスを発揮できるかどうかは、性格や価値観などの要素も関係します。
まずは、社内分析で「自社にはどのような性格の社員がいるのか」を把握したうえで、中途採用での求める人物像を明確にすることが重要です。
デジタルキャラクター事業を行う株式会社MUGENUPでは、候補者の活躍可能性に加えて「会社風土に合うかどうか」という視点で採用を行っています。
適性検査で「マッチ度が低い」と判断されても採用を見送るのではなく、候補者が能力を発揮してもらうように「性格を理解する」という意識を持って選考しました。
同社では年間50人以上の採用を行っていますが、会社風土とのマッチ度を考慮した選考によって、採用後のミスマッチ防止につながっています。
社風・経営方針・ビジョンを共有する
社風や経営方針、ビジョンに対して候補者が共感し、自らのキャリアと照らし合わせて判断することで、入社後の適応と長期的な定着につながります。
入社後の働き方やキャリアをイメージさせるためには、待遇や社内制度などの基本情報だけではなく、社員の人間性や職場の雰囲気を伝える工夫が必要です。
具体例としては、採用ページを立ち上げて社長メッセージ・社員インタビューを掲載したり、社内の雰囲気がわかる動画を投稿したりする方法があります。
家庭用品などの製造を行う平安伸銅工業では、会社のカルチャーとのフィッティング重視の採用をするため、SNSでのアプローチを積極的に行っています。
- 企業公式SNS
- 社長SNS
- 商品ブランドSNS
会社の公式ホームページに採用コンテンツや社員インタビューを掲載し、それらをSNSで発信することで、情報鮮度の高い発信を可能としています。
1952年創業の老舗企業として存在を示しつつ、会社情報の積極的な開示・公開によって、入社後のギャップを減らすことを目的に取り組んでいます。
職場内でのコミュニケーションを活性化させる
中途採用者が職場に早く適応し、力を発揮できるかどうかは、職場内でのコミュニケーションの質によって大きく左右されます。
そのため、オープンなコミュニケーションが取れる休憩スペースを設けたり、SlackやChatworkなどのチャットツールを導入したりして、対話の機会をつくりましょう。
経験や実績があるからといって「なにかあれば声をかけてくるだろう」と、受け身の姿勢で構えるのではなく、中途採用者に対して積極的な働きかけをすることが重要です。
血管の病気治療に関わる事業を行うテルモでは、中途採用者が採用全体の12%を占めるなか、以下のように働きやすい企業風土の構築に取り組んでいます。
- 社内呼称「さんづけ」など、コミュニケーションを取りやすい組織づくり
- 行動指針に「個の尊重」「異文化の理解」を反映
- 企業理念に共感できる人材の採用
転職者インタビューでも、新しいメンバーを受け入れる風土や、年齢に関係なく意見を言い合える雰囲気があると語られています。
新卒・中途採用に関係なく、どのような人材でも分け隔てなく受け入れようとする同社の取り組みが実を結んだ結果と言えます。
【参考】
自社での仕事のやり方を教える
中途採用者は、前職でのやり方に固執する場合があるため、自社での仕事の進め方やルールを丁寧に教育する必要があります。
とくに異なる業界から転職した人は、独自の業務プロセスや社内システムに慣れるまでに時間がかかるため、教育係を配置するなどのサポート体制も強化しましょう。
仏壇仏具などの製造を行う株式会社保志では、社員の平均年齢が50代だったため、新卒採用や中途採用を強化し、若手社員の定着に取り組みました。
新入社員は配属先でのOJTに加えて、年配社員が講師となる「訓練道場」を開講し、若手職員に対して想いや技能を継承しています。
また、先輩社員がメンターとなり、若手社員のスキルアップやメンタル面のフォローも行いました。(メンター制度の設計ポイントはこちら)
これらの取り組みによって若手社員の定着につながり、社員の半数が20代・30代と「人員構成の若返り」にも成功しています。
定期的に中途採用者と面談を行う
中途採用者は、高い能力やスキルを持っているという認識から、業務の進捗状況や役割についてのフィードバックをせず、問題や不安が放置されがちです。
そのため、上司との定期的な面談を通じて、業務上の問題や日頃の悩みを相談し早期解決することで、中途採用者が持っている本来の力を引き出せます。
1on1ミーティングによる面談は、一般的に週1回・月1回といった頻度で行いますが、目的や面談内容によって異なるため、状況に応じたスケジューリングが必要です。
航空運送事業を行う全日本空輸株式会社(ANA)では、人材の多様性を深めるために中途採用を実施し、入社後において以下の活躍支援を行っています。
- 新卒採用と同様に入社式を開催
- 入社時研修で社長と直接対話するタウンミーティングを開催
- 入社後2ヵ月間の空港旅客業務研修を実施
ANAグループ全体としては、社員のキャリア形成を支援する自己申告面談やキャリア相談など、一人ひとりの強みを伸ばす取り組みも実施しています。
【参考】
入社後のフォロー体制を整えておく
中途採用者が新しい職場環境に適応するためには、業務の基本的なやり方だけではなく、組織文化や社内の慣習、チーム間の連携なども伝えなければなりません。
そのためには、入社後の導入研修を充実させるのはもちろん、経営陣・人事・上司が一体となって、以下のようなフォローアップする体制が必要です。
- 人事によるキャリア相談の実施
- メンター制度の導入
- ストレスチェックなど健康状態の把握
航空機の設計・製造を行う大起産業株式会社では、メンター制度(新入社員と年齢が近い先輩社員を教育担当者にする)を設けて、組織へのスムーズな適応を図っています。
教育担当者は、業務内容の説明や指導のほかにも、週に一度以上の「悩みごと相談」を行い、社員同士の関係構築に取り組んでいます。
メンター制度は新卒採用だけではなく、中途採用の社員にも適用範囲を広げ、全社的な取り組みとして組織レベルの向上につなげました。
中途採用の人物評価に役立つ『ミキワメ 適性検査』
『ミキワメ 適性検査』は、既存社員の性格検査を通じて組織分析を行い、自社独自の採用基準を策定できる適性検査ツールです。
中途採用での「求める人物像(採用方針)」をもとに採用基準を決められるため、候補者の能力や性格だけではなく「活躍可能性」も見極められます。
ミキワメの詳細は以下のとおりです。
費用(税込) | 要問い合わせ ※企業規模によって異なる |
検査内容 | ・性格検査(価値観、コミュニケーション、バイタリティ など) ・能力検査(言語理解、文章構成力、図表処理 など) ・ストレス耐性検査(職場適応力、メンタスヘルス など) ・自社のハイパフォーマーとの適性度分析 |
テスト形式 | Webテスト |
公式サイト | https://mikiwame.com/ |
お役立ち資料 | 【サービス資料】ミキワメ 適性検査 【導入事例集】ミキワメ 適性検査 |
『ミキワメ 適性検査』の特徴をより詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。導入手順や利用した企業の評判も紹介しています。
中途採用者の期待外れを防ぐために、採用プロセスを見直そう
中途採用においては、即戦力としての過度な期待や、適性の見極め不足によって、期待外れと感じるケースも少なくありません。
入社後のパフォーマンスにも影響を及ぼす可能性があるため、以下のような方法を実践し、中途採用者の価値を見いだすことが重要です。
自社に必要な人材が見極められるように、まずは採用プロセスの見直しを行って、面接や適性検査などの「採用の質」を高めていきましょう。
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