- 中途採用で期待以上の人材が入社したときの注意点
- 期待以上の人材(優秀な人材)が来る3つのメリット
- 中途採用で期待以上の人材を見極めるための方法
「期待以上の人材が入社したときは、その高い能力やスキルをどのように活かすべきか」と、中途採用後の対応に悩んでいる人事担当者の方もいるのではないでしょうか。
優秀な人材を迎えることは、企業の成長において大きなプラスとなりますが、それと同時に適切な目標設定や人員配置などのマネジメントも必要です。
中途採用者のマネジメントを怠ると、過度な期待から放置してしまったり、社風に適応できないまま孤立してしまったりする可能性があります。
本記事では、中途採用で期待以上の人材が来たときの注意点や、優秀な人材を見極める方法について詳しく解説します。
社風とのマッチ度を評価する方法から、AI活用の可能性まで人事担当者が知っておくべきポイントをまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
中途採用で期待以上の人材が来たときの注意点8選
中途採用で期待以上の人材が入社したときは、優れた能力を活かしつつ社内のバランスを保つために、以下の8つのポイントに留意しましょう。
以下より各注意点を解説していきますので、人材活用とチームの調和を実現するためのアイデアとして参考にしてみてください。
過度に期待して放置しない
期待以上の優秀な人材が来たときは、過度な期待を抱き「すぐに成果を出してくれるだろう」と放置するのを避けましょう。
どれだけ優れた能力・スキルを持つ人材であっても、適切なサポートやフィードバックがなければ、新しい環境では能力を最大限に発揮できません。
また、中途採用者に対して「前の会社で実績があるから、すぐに結果を出してくれるよね」といった言葉は、かえって過度なプレッシャーを与えてしまいます。
前職とのやり方の違いで戸惑い、不安や悩みを抱えてしまう場合もあるため、人事や上司による定期的な面談やフォローアップが必要です。
以下の記事では、中途採用者の放置や入社前後のギャップなど、社員が定着しない原因を詳しく解説しています。具体的な対策や企業事例にも触れていますので、定着率改善に取り組んでいる人事担当者の方はぜひ参考にしてみてください。
会社が期待していることは明確に伝える
中途採用者への過度な期待は禁物ですが、会社が目指している姿や目標については、明確に伝えなければなりません。
会社の経営方針やビジョン、期待する役割などの情報が正確に伝わっていないと、持ち前のスキルを「どのような場面で活用すべきか」と戸惑ってしまいます。
また、中途採用者に期待値を伝えるシチュエーションも重要です。
声かけや立ち話で期待していることを伝えても、「話す側」と「聞く側」に認識のズレが生じてしまい、ミスコミュニケーションの原因となります。
入社後のオリエンテーションや定期的なミーティングを通じて、自社での役割を具体的に説明することで、本人も会社からの期待を認識できます。
能力や成果だけでなく人間性も評価する
中途採用者を評価するときは、能力・スキルや仕事の成果だけでなく、責任感の強さや誠実さといった人間性も重要な評価ポイントです。
高い技術力や実績を持つ人材でも、組織文化が合わず職場に馴染めない場合は、意見の食い違いによって人間関係に摩擦が生じる可能性があります。
過去の職場での人間関係や役割について情報を収集し、実際の業務でどのように振る舞っていたかを把握することが重要です。
キャリア採用を積極的に実施している会社の事例を紹介します。
以前は、新卒採用と同様の適性検査で選考していましたが、所要時間90分の能力検査が中心で、キャリア採用には不向きだと考えていました。
そこで、候補者の能力に重きを置くのではなく「性格の多様性」を評価する適性検査に切り替えています。
候補者の性格特性が「仕事に合うか合わないか」という視点で適性判断が可能となり、採用選考中の離脱者がゼロとなりました。
重要な役割を与えるときは慎重に判断する
優秀な人材だからといって、入社後すぐに重要な役割やポジションを任せてしまうと、期待する成果を挙げるまでには時間がかかってしまいます。
また、責任の重さからプレッシャーやストレスを感じやすくなるため、重要な役割を与えるときは慎重な判断が必要です。
具体例として、以下のような方法を取り入れてみましょう。
- 〇ヵ月間は研修期間としてサポート役を配置する
- 比較的リスクの低いプロジェクトからスタートさせる
- 適性や能力を確認してから重要な役割を与える
自社での業務の進め方を教育しつつ、実際のプロジェクトで経験を積ませて、徐々に重要なポジションを任せていくのが得策です。
自社のルール・やり方を遵守させる
中途採用で入社した社員に対しては、自社での社内ルールや業務の進め方を具体的に伝えて、遵守させることが重要です。
前職での経験をもとに効率的に業務を進めようとしますが、自己流でのやり方を重視するがゆえに、チームの和を乱してしまう恐れがあります。
一方で、新しい知識や技術、考え方を取り入れる雰囲気はつくらなければなりません。
入社後の導入研修や定期的なフィードバックの機会を設けて、自社への適応状況を確認しつつ、職場にスムーズに馴染むようサポートを行いましょう。
他の社員のプレッシャーにならないよう配慮する
中途採用で期待以上の人材が入社したときは、他の社員にプレッシャーを与えないように配慮する必要があります。
輝かしい実績や専門的な知識を持っている場合、その優秀さから既存社員は劣等感を抱き、仕事のパフォーマンスが低下する恐れがあるためです。
既存社員へのプレッシャーを与えないように、以下の点に注意しましょう。
- 中途採用者の成果を強調したり、他の社員と比較したりしない
- 仕事を奪われると感じさせないように、各自の役割をはっきりさせる
- コミュニケーションの機会を増やし、職場内の壁ができないようにする
また、個々の強みを活かして目標達成できるよう戦略を練ることで、中途採用者に対する競争心をなくし、お互いに協力する意識を持てるようになります。
優秀すぎる人材だけに固執しない
即戦力の優秀な人材を求めるあまり、中途採用だけに頼る採用活動では、長期的な人材育成が難しくなるといったリスクを伴います。
組織全体の持続的な成長を目指すうえでは、新卒採用や内部昇進など他の選択肢も視野に入れ、人材確保・育成に努めなければなりません。
とくに社会人未経験の新卒社員には、果敢に挑戦する行動力やひたむきに努力する姿勢など、経験者にはない部分を持っています。
中途採用者の優秀さに固執することなく、多様な人材を招き入れてバランスのとれた組織づくりを心がけることが重要です。
以下の記事では、優秀すぎる人材を採用したときの「よくある失敗例」を紹介しています。具体的な対策法も解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
社風・価値観が合うかを重視して採用する
中途採用では、能力の高さだけで採用判断するのではなく、会社の社風や価値観が合うかどうかを評価し、職場に馴染みやすい人材を見極めましょう。
候補者が期待以上の能力や実績を持っていれば、すぐにでも採用し、即戦力で活躍してほしいと望むものです。
しかし、どんなに優秀な人材であっても、会社の社風や価値観が合わなければ「自分の方向性とは違う」と感じてしまい、ミスマッチによって早期離職する可能性があります。
面接や適性検査を通じて、候補者が「どのような価値観・考えで行動するのか」を把握し、カルチャーフィット性を見極めることが重要です。
カルチャーフィットの見極め方については、以下の記事で紹介しています。事例も含めて解説しているので、より詳細な内容を知りたい方は参考にしてみてください。
採用時に、適性検査を有効活用している会社の事例を紹介します。
組織を加速度的に成長させようと、働く「人」の採用・育成を強化するため、組織分析が可能な適性検査を導入しました。
社員の能力・性格検査の受検結果と、他の社内診断ツールの結果を掛け合わせ、カルチャーフィットする性格にもとづいて採用基準を策定しています。
採用時は、面接の評価と適性検査の結果を照らし合わせ、丁寧な合否判断を行った結果、ミスマッチの抑制につながっています。
ミスマッチが原因で離職者が増加している場合は、以下の記事を参考にしてみてください。企業が実践すべき対策を詳しく解説しています。
中途採用で期待以上の人材が来るメリットとは?
期待以上の人材が来たときは、注意すべき点があるのも事実ですが、以下のように多くのメリットも存在します。
新規事業への参入や組織の活性化を目指すうえでは、豊富な経験や実績を持つ人材が欠かせないため、中途採用も積極的に取り組んでいきましょう。
過去の経験から新しいアイデアを取り入れてくれる
前職での豊富な経験がある中途採用者は、過去の成功体験や学びをもとに、既存の業務やプロセスを刷新する新しいアイデアを提供してくれます。
- IT業界での経験から、AIなどを活用した業務効率化を提案
- マーケティング経験を活かし、新規開拓にむけた戦略を立案
- 営業経験をもとに、顧客へのフォローアップ手法を提案
上記のように、異なる業界で得た知見を活かして業務効率化したり、他の社員に新しい手法を伝えたりすることで、組織全体のスキル向上につながります。
マイナビの調査によれば、企業が中途採用活動を行った理由として、以下のように組織の成長や技術革新を期待する回答が挙げられています。
理由 | 回答割合 |
経営状態の好転・既存事業の拡大 | 31.4% |
技術革新への対応・研究開発体制の充実 | 25.6% |
参考:中途採用・転職活動の定点調査(2024年6月)|株式会社マイナビ
調査結果からも、社内の知見だけではなく、新しい視点を取り入れ「企業の競争力を高めたい」という意図が伺えます。
高い適応力で良好な人間関係を築きやすい
中途採用での優秀な人材は、新しい環境への適応力が高く、良好な人間関係を築きやすいため、職場にもすぐに馴染む傾向があります。
また、柔軟な思考とコミュニケーションスキルも持ち合わせており、固定観念にとらわれず多角的な視点で問題と向き合い、職場でも協力しながら早期解決に努めるのです。
マイナビの調査によると、42.1%の企業が「組織の存続と強化(活性化)」を理由に中途採用を実施しており、新しい風を取り入れたい企業のニーズが伺えます。
参考:中途採用・転職活動の定点調査(2024年6月)|株式会社マイナビ
適応力の高い中途採用者は、組織文化に溶け込みつつ新しい視点をもたらし、職場全体の活性化を促進させる人材なのです。
時代の変化にも柔軟に対応できる
中途採用での期待以上の人材は、時代や環境の変化にも柔軟に対応し、その変化に応じた新しい課題にも真摯に向き合っていく傾向があります。
たとえば、リモートワーク環境に精通している人が人事部門に配属された場合、オンライン面接を導入した採用プロセスなど、時代のニーズに応じた施策が期待できます。
業界内の動向を注視しながら、組織改革が必要であれば早期に提案・実行する能力があるのも、優秀な人材の特徴です。
マイナビの調査によると、24.3%の企業が「新規事業への進出」を理由に中途採用を実施しており、世の中の変化に対応できる人材を求めていることがわかります。
参考:中途採用・転職活動の定点調査(2024年6月)|株式会社マイナビ
中途採用で期待以上の人材を見極める4つの方法
中途採用で期待以上の人材を見極めるためには、以下の4つの方法が有効です。
上記の方法を駆使することで、より高い精度で候補者の適性を判断し、長期的に活躍できる人材の確保につながります。
過去の経験や実績を確認する
期待以上の人材を見極めるときは、求める役割やポジションに対する経験・実績を確認し、自社でも同様のパフォーマンスが発揮されるかを判断することが重要です。
具体例として、以下のような経験・実績を確認しましょう。
- チームを率いてプロジェクトを成功させた経験
- 業務フローの改善によるコスト削減の実績
- 新しいビジネスの立ち上げや、製品開発の成功体験
- 社内研修プログラムを設計し、社員のスキルを向上させた実績
採用面接においては、前職でチャレンジしたことや、失敗から学んだことなどを聞き取り「どのように考えて行動したのか」を確認することも重要です。
また、能力や性格を確認したい場合は、適性検査を活用して数値化することで、他の候補者との違いが明確にわかります。
逆に期待外れとなりそうな人材については、以下の記事を参考にしてみてください。
社風とのマッチ度を適性検査で把握する
候補者の性格・価値観と社風(働き方・社員の性格傾向・労働環境など)とのマッチ度は、長期的な活躍を判断するための評価基準の一つです。
そのため、適性検査で「社風にどれだけ適応できるか」を測定することで、配属部署の役割に対する適性や、性格傾向の類似性を見極められます。
株式会社フィッツコーポレーションでは、面接官による主観的な意見と、適性検査の客観的なデータを併用した「採用基準の可視化」に取り組みました。
適性検査の社内受検をもとに、プラス面・マイナス面を含めた組織全体の傾向を把握し、独自の採用基準を決めています。
今後は中途採用への活用も検討しており、組織文化への馴染みやすさを重視した選考を実施し、定着率改善にどのような効果があるかを検証する予定です。
中途採用で使われる適性検査については、以下の記事で詳しく解説しています。適性検査の目的や選び方にも触れていますので、導入を検討している方は参考にしてみてください。
面接で入社後のビジョンを聞き出す
期待以上の人材を見極めるためには、面接で入社後のビジョンやキャリアプランを聞き出すことが重要です。
具体的には、前職での経験をもとに「この会社では、どのようなことを成し遂げたいのか」を聞き出し、会社のビジョンとマッチしているかを確認しましょう。
面接での質問例は以下のとおりです。
- どのような目標を持って働きたいと思っていますか?
- これまでの経験をもとに、当社ではどのように貢献できると考えていますか?
- 〇年後、どのような役割を担いたいと考えていますか?
- 入社後は、どのようなプロジェクトや業務に挑戦してみたいですか?
- あなたの強みを活かせる分野や業務があれば教えてください
また、面接前に適性検査を実施することで、検査結果を参考にしながらより深い質問ができます。
共通の評価基準を持つ方法、面接官の目線を統一する方法は以下の資料を参考にしてみてください。
インターンシップ制度で実力を確認する
中途採用において候補者の実力を確認するためには、働く環境や業務を体験できるインターンシップ制度の活用が有効です。
職務経歴書や面接だけでは見えない実務能力が確認できるため、入社後スムーズに業務に取り組めそうかの判断ができます。
「インターン終了後のフォローをどうすればいいのかわからない」という方は、以下の資料でインターン設計時のポイントを参考にしてみてください。
>>>インターン終了後のフォローアップ戦略を無料でダウンロードする
インターンシップは新卒が対象だと思われがちですが、社会人(中途・キャリア採用)を対象とした活用事例もあり、その一つを紹介します。
障害者支援施設を運営する「たかはら学園」では、中途採用での離職率改善と未経験者を採用する不安解消のため、採用時の「1日体験」を導入しました。
採用面接で評価が高かった応募者に参加してもらい、最終的な採用の可否を判断しています。
1日体験では、施設使用者の着替えや食事の介助をしたり、入浴介助の現場を見学したりして、福祉の仕事に対する理解を促しています。
中途採用での見極めにAIは活用できる?
近年注目を集めているAIは、あらゆるデータを取り込んで、属性ごとの傾向分析や将来的な予測を可能にする技術です。
企業の採用業務においても、採用の企画や求人票の作成などにAIが活用されており、候補者の見極めに使用する適性検査にもAIが搭載されてきています。
とくに即戦力として期待される中途採用においては、能力やスキルの評価だけではなく、社風や組織文化とのマッチ度が重要な評価指標となります。
AI搭載の適性検査を活用すれば、社内データの分析結果にもとづいて、候補者の性格特性が自社と合うかどうかの予測が可能です。
リーディングマークの適性検査においても、ChatGPTを活用した「ミキワメAI」を導入し、精度の高い組織分析や性格分析ができるようになりました。
AIを活用した⼈事業務の具体的な活用例は、以下の資料を参考にしてみてください。採⽤計画の⽴案、⼈材開発・育成の戦略について解説しています。
>>>⼈事なら知っておきたい︕ChatGPTで変わる人事業務を無料でダウンロードする
まとめ:中途採用で期待以上の人材が来ても慎重な評価と判断を
革新的なアイデアを提供してくれる中途社員は、採用時の見極めによって入社後のパフォーマンスにも大きく影響します。
優秀な人材を見極める方法について、もう一度確認しておきましょう。
期待以上の人材が入社したとしても、優秀だからと放置状態にならないようにサポートし、会社のビジョンや期待する役割を伝えることが重要です。
まずは自社の採用プロセスを見直し、社風や価値観とのマッチ度を見極められる適性検査を導入してみてはいかがでしょうか。
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