- 社員定着率の概要と計算方法
- 定着率の向上によるメリットと低下する原因
- 社員定着率を高める方法と具体例
「採用した人材がすぐに辞めてしまう」
「コストをかけているのに人材不足が解消されない」
これらの課題を解決するために、まずは「入社した社員がどのくらいの割合で働き続けているか」を示す、社員定着率の現状を把握しなければなりません。
そこで本記事では、社員定着率の計算方法や日本の現状、向上させるメリットについて詳しく解説します。
社員の働きやすい環境を提供して定着率を維持することで、採用や人材育成のコストが抑えられ、企業の安定経営につながります。
記事の後半では、定着率を高める具体的な方法も紹介していますので、自社の人材戦略を検討するときの参考にしてみてください。
社員定着率とは?
社員定着率とは、ある一定期間内において「入社した社員がどのくらいの割合で働き続けているか」を示す指標のことです。
企業が定着率を重要な指標として捉えている理由には、次のような点が挙げられます。
- 知識やスキルを蓄積させ技術継承していくため
- 採用や人材育成にかけるコストを抑えるため
- 組織全体の士気やモチベーションを高めるため
- 自社が求める人材を確保するため
定着率が高い会社は、社員の働きやすさを重視している証拠であり、求職者にとっても魅力的な会社として認識されます。
定着率と離職率との違い
定着率と離職率との違いは、対象が「会社で働き続けている社員」か「離職した社員」かという点です。
定着率は、ある一定の計測期間を設けて、その期間内に離職することなく会社に定着している社員数の割合を示します。
一方で離職率は、離職した社員数の割合を示しており、厚生労働省では「常用労働者数に対する離職者数の割合」と定義された指標です。
つまり、定着率と離職率は対になる指標だと考えられ、定着率が高ければ離職率は低い状態であることを意味します。
社員定着率の計算方法と計算例
社員定着率を計算するには、以下の計算式を用いて算出します。
【計算式】
社員定着率 =(〇年前の社員数 ー 〇年間の離職者数)÷ 〇年前の社員数 × 100(%)
※〇年間に入社した社員は含まない
たとえば、5年前の社員数が340人で、5年間で60人の社員が離職した場合、定着率は82.4%となります。
【計算式】
社員定着率 =(340人 ー 60人)÷ 340人 × 100 = 82.4%
定着率の計算は、全社員を対象とした場合以外にも、部署や年代ごとに分類したり、入社年を限定したりしても算出が可能です。
ある入社年の社員定着率を計算したい場合は、以下の計算式で求められます。
【計算式】
社員定着率 = 現在の△年入社の社員数 ÷ △年入社の社員数 × 100(%)
たとえば、2021年入社の社員数が25人で、2024年現在では20人になっていた場合、計測期間3年間での定着率は80%となります。
【計算式】
社員定着率 =20人 ÷ 25人 × 100 = 80%
定着率の一般的な計測期間
定着率の計算は、1年間の計測期間で算出されるケースが一般的であり、4月から3月の年度ごとに計測を行います。
長期的な人材戦略を立てるために、3年間や5年間など長期にわたって定着率を計算する場合もあります。
計測期間によって得られるデータの意味合いや解釈が変わるため、自社の状況に合わせて適切な期間の選定が必要です。
また、短期と長期のデータを組み合わせて分析することで、さまざまな視点で定着率に関わるプラス要素・マイナス要素が把握できます。
社員定着率の現状・平均値
厚生労働省の調査結果をもとに以下の3つの視点で、定着率の現状や平均値、過去からの変化などを解説します。
各データと自社の状況とを照らし合わせることで、業界での立ち位置が明確になり、定着率改善へのきっかけにもなります。
日本全体の定着率
厚生労働省が実施している「雇用動向調査」の結果をもとに、日本全体の定着率を紹介します。
調査結果の離職率から逆算(100% ー 離職率)して求めると、以下のような定着率となり、いずれの区分においても前年より低下しています。
区分 | 2022年 | 2021年 | 前年比 |
全体 | 85.0% | 86.1% | ー1.1% |
男性 | 86.7% | 87.2% | ー0.5% |
女性 | 83.1% | 84.7% | ー1.6% |
また、就業形態別にみても定着率は低下傾向です。
区分 | 2022年 | 2021年 | 前年比 |
一般 労働者 | 88.1% | 88.9% | ー0.8% |
パートタイム 労働者 | 76.9% | 78.7% | ー1.8% |
参考:令和4年 雇用動向調査結果の概要(入職と離職の推移)|厚生労働省
産業別の定着率
続いて、産業別の定着率を紹介します。
以下の表は、定着率の高い5つの産業をまとめたもので、上位3つの産業においては、前年よりも定着率が上昇傾向です。
産業 | 2022年 | 2021年 | 前年比 |
鉱業 採石業 砂利採取業 | 93.7% | 90.0% | +3.7% |
金融業 保険業 | 91.7% | 90.7% | +1.0% |
学術研究 専門技術サービス業 | 90.0% | 88.1% | +1.9% |
製造業 | 89.8% | 90.3% | ー0.5% |
建設業 | 89.5% | 90.7% | ー1.2% |
一方で定着率の低い産業においては、定着率がさらに低下している産業もあれば、上昇している産業も見受けられます。
産業 | 2022年 | 2021年 | 前年比 |
宿泊業 飲食サービス業 | 73.2% | 74.4% | ー1.2% |
生活関連サービス業 娯楽業 | 81.3% | 77.7% | +3.6% |
医療 福祉 | 84.7% | 86.5% | ー1.8% |
教育 学習支援業 | 84.8% | 84.6% | +0.2% |
卸売業 小売業 | 85.4% | 87.7% | ー2.3% |
新卒者の定着率
続いて、新卒者の定着率について、2023年に厚生労働省から公表された資料をもとに紹介します。
以下の表は、定着率を学歴ごとにまとめたもので、2020年の定着率は前年と比べて全体的に低下傾向です。
学歴 | 2020年 | 2019年 | 前年比 |
大学卒 | 67.7% | 68.5% | ー0.8% |
短大等卒 | 57.4% | 58.1% | ー0.7% |
高校卒 | 63.0% | 64.1% | ー1.1% |
中学卒 | 47.1% | 42.2% | +4.9% |
参考:新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)を公表します|厚生労働省
前述した日本全体の定着率(83〜87%程度)と比べてみると、新卒者の定着率は全体的に低いことがわかります。
新卒における定着率低下のリスクや原因については、以下の記事で詳しく解説しています。定着率を改善するための対策例も紹介していますので、施策を検討している人事担当者の方は参考にしてみてください。
社員定着率の向上による4つのメリット
社員定着率が向上することで、企業においては主に4つのメリットがあります。
各メリットの解説では、企業の事例も紹介していますので、定着率向上の重要性と具体的な効果を確認してみてください。
また、定着率を上げる方法については以下の記事でも詳しく解説しています。定着率改善に向けて取り組んでいる人事担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
優秀な人材を確保しやすくなる
定着率が高い企業は「働きやすい労働環境が整備されている」とよい評判が広まり、企業イメージ向上によって優秀な人材が集まりやすくなります。
人事制度の見直しを行った企業では、女性のライフイベント(妊娠、育児など)に配慮し、以下のような施策を行いました。
- 妊娠中の配置転換
- 育児休業中の代替要員の確保
- 短時間勤務制度の整備
女性が仕事を続けやすい制度を導入したことで、社内では「女性が働くのは当たり前」という意識が浸透しています。
その結果「女性が定着する働きやすい職場」だと評判も広がり、人材採用の面でも効果が出ています。
また、職場環境や仕事内容に満足している社員が、知人や友人への紹介によって人材が集まりやすくなる点も、定着率向上の効果の一つです。
採用・育成にかかるコストを抑えられる
採用した社員が定着することで、採用活動の頻度を減らせるため、求人広告の掲載費用や手数料、面接や選考にかかる人件費を抑えられます。
労働環境を改善した企業では、社員が自身の子どもを連れて出勤する「子連れ出勤」の運用を行いました。
保育園が決まるまでの待機期間中や、保育園へ通わせていない社員が子連れ出勤を利用しており、常に子どもがいるオフィス環境になっています。
育児の面を考慮した労働環境の整備によって、優秀な人材が定着し、採用コストの抑制にもつながっています。
また、経験豊富な社員が増えれば、長期的な人材育成のプランが立てやすくなり、教育の質や効率が高まる点も効果の一つです。
組織全体の生産性が高まる
定着率が高い企業の社員は、一人ひとりが自分の業務に慣れ、日々のルーティンや業務プロセスを熟知しています。
そのため、経験から得た知識や技術を活用し、効率的な業務遂行が可能となり、組織全体の生産性が向上するのです。
ある企業では、社員の事情に合わせた働きやすい職場環境をつくるため、以下のような取り組みを行いました。
- 体調の悪化に伴う休憩や勤務時間の変更
- 仕事と病気治療の両立を可能にする多様な勤務時間の導入
継続的に勤務できるように、13パターンの勤務時間帯を設けて、可能な限り個人に配慮した環境を整えています。
その結果、人材の定着によって社員のスキルが向上し、設備投資をせずに、生産量が1.5倍程度にまで増加しています。
また、社員同士の信頼関係やチームワークが強固になり、より業務を進めやすくなるのも定着率向上によるメリットです。
社員のモチベーションの低下を防げる
長期間にわたって働き続けている社員は、会社への不満が少なく、モチベーションを高く維持しながら業務に取り組んでいます。
一方で社員が次々と離職してしまうと、残された社員は「このままこの会社で働くべきなのか」と動揺し、仕事への意欲や活力の低下につながりかねません。
会社に定着している社員が組織内に多く存在すれば、周囲の社員もよい影響を受けながら仕事に取り組めて、モチベーションの低下を防げます。
外国人の採用を行っている企業では、ベトナムへの進出を見据えて、ベトナム語と日本語が堪能な高度外国人材を採用し、リーダー職として活躍しています。
- ベトナム語の会社パンフレット作成
- 翻訳や通訳など、ベトナム語のやりとりの仲介
上記の業務を積極的にこなし、そのモチベーションの高さに刺激を受けた日本人の新卒社員も、士気が向上して組織の活性化につながっています。
以下の記事では、モチベーションを高めるマネジメント方法や手順を詳しく解説しています。定着率を向上させる手段として、ぜひ参考にしてみてください。
社員定着率の低下によるデメリット
社員定着率が低下することで、企業においては以下のような悪影響を受けてしまいます。
離職によって社員が頻繁に入れ替わると、組織のビジョンや目標に対する理解が深まらず、結束力が損なわれる可能性もあります。
後述の「定着率を高める方法」を参考にしながら、自社に合った施策を検討していきましょう。
企業イメージが低下して人材が集まらない
社員定着率が低下すると、企業のイメージや評判が損なわれ、新たな人材を獲得するのが困難になる可能性があります。
「定着率が低い=働きにくい会社」といった悪い評判が広まることで、長期的に安定した会社で働きたいと思っている求職者から敬遠されてしまいます。
また、人材が集まらないからと積極的に採用活動をしたとしても、広報活動の経費や広告費といったコスト増加につながりかねません。
採用を強化する前に、まずは社内制度の見直しや労働環境の再整備を行って、社員の働きやすい職場にするのが先決です。
以下の具体例を参考に、自社に適した施策を検討してみましょう。
社内制度の見直し | ・生活環境に合わせて柔軟に働ける勤務制度 ・現代の働き方に対応した人事評価制度 |
労働環境の再整備 | ・快適に仕事ができる作業スペースの確保 ・コミュニケーションの活性化を目的とした社内ツールの導入 |
人材が育たず経営の安定性を保てなくなる
社員が定着しなければ、会社で身につけた技術やノウハウを後世に伝えていく熟練社員も減少し、会社の強みである専門性が損なわれてしまいます。
また、離職によって社員の入れ替わりが続くと、業務の引き継ぎが煩雑になるうえに、チーム内の連携や業務効率の低下にもつながりかねません。
結果として、プロジェクト遅延や納品ミスといった事態を招くことになり、経営の面でも安定性が保てなくなります。
「定着率が低い=経営が安定していない」とは言い切れませんが、その会社にしかない技術を磨き上げていくには、社員定着への取り組みが必要だと言えます。
社員定着率が低下する原因とは?
社員定着率の低下には複数の要因が存在しており、そのなかでもとくに顕著な3つの原因を解説します。
「なぜ社員が定着しないのか」と疑問に感じている人事担当者の方は、それぞれ原因の理解を深めて対策を検討していきましょう。
職場環境が自分に合っていない
社員が離職を考える理由の一つは、職場の雰囲気や人間関係が悪く、自分に合っていないと感じてしまう点です。
たとえば、職場のコミュニケーションに不満があった場合、上司からの日常的な声かけがなかったり、仕事に対するフィードバックが不十分だったりする状況が想定できます。
厚生労働省の調査によれば、転職した人が前職を辞めた理由として、職場環境や仕事内容に関するものが多数存在します。
離職理由 | 回答割合(男性) | 回答割合(女性) |
職場の人間関係が好ましくなかった | 8.3% | 10.4% |
仕事の内容に興味を持てなかった | 4.5% | 5.9% |
能力・個性・資格を生かせなかった | 4.0% | 4.3% |
参考:令和4年 雇用動向調査結果の概況(P15)|厚生労働省
また、組織の価値観や考え方、雰囲気などの社風に合わないと感じるのも、定着率を低下させる原因の一つです。
労働条件が悪くやりがいを感じられない
労働時間の多さや休日の少なさ、給与・賞与の不満など、労働条件が悪い点も社員が離職してしまうケースの一つです。
仕事が多忙でプライベートの時間を取れなかったり、成果に見合った給与が支払われなかったりする状況が続くと、社員は働きにくさを感じてしまいます。
厚生労働省の調査においても、労働条件の悪さが離職理由として取り上げられています。
離職理由 | 回答割合(男性) | 回答割合(女性) |
労働時間、休日等の労働条件が悪かった | 9.1% | 10.8% |
給与等収入が少なかった | 7.6% | 6.8% |
参考:令和4年 雇用動向調査結果の概況(P15)|厚生労働省
とくに企業間の競争が激しい業界では、適正な給与設定と福利厚生の充実を図ることが、優秀な人材を定着させるうえで必要な取り組みです。
会社の将来性に不安を感じている
会社の経営方針やビジョンが不透明な状態では、社員も仕事をする意義を感じにくく「今後、会社は成長していくのだろうか」と、将来性に不安を抱いてしまいます。
また、減収減益が長年続いてしまうような経営状況だと、倒産するのではないかと不安を感じ、転職を考える社員の増加も避けられません。
厚生労働省による離職理由の調査によれば、男性の7.1%は「会社の将来が不安だった」と回答しており、女性は4.4%という結果でした。
参考:令和4年 雇用動向調査結果の概況(P15)|厚生労働省
会社や経営陣への信頼感を高めるうえでも、会社が進むべき方向性を社員に示し、成長に向けた経営戦略を立てる必要があります。
社員定着率を高める具体的な方法
ここからは、社員定着率を高めるための具体的な方法について、3つの取り組みを解説します。
定着率を高めるには、上記以外にもさまざまな視点からアプローチする方法があります。以下の記事では、企業の具体例を用いて7つの方法を詳しく解説していますので、施策検討時の参考にしてみてください。
社員の強みを活かせる部署に配属する
社員一人ひとりが持つ能力やスキルを把握したうえで、個々の適性に合った最適な部署への配属や役割を与えることが重要です。
本人の強みを最大限に発揮できる仕事を任せることで、モチベーションを維持しやすくなり「この会社で働き続けたい」という意思が出てきます。
適材適所の人員配置に取り組む企業では、社員の性格や適性などの特徴を客観的に捉えるため、性格検査を実施しました。
検査結果をもとに、普段のコミュニケーションではわかりにくい「社員の心の状態」の可視化も行っています。
離職可能性のある「ケアすべき人」が判明したときは、面談を実施したうえで異動の検討を行うなど、個人の状況を考慮した人員配置を実施しています。
また、定期的なフィードバックやキャリア相談を通じて、社員の成長度合いを把握し続ける取り組みも必要です。
柔軟に働ける環境・制度を構築する
リモートワークやフレックスタイムなど、社員が柔軟に働けるような環境・制度を構築することで、定着率の向上にも影響します。
社員のライフスタイルや家庭の状況に合わせて働ける環境であれば、ワークライフバランスが向上し、モチベーションや心身の健康状態の維持にもつながるのです。
トマト関連商品を開発・販売しているカゴメ株式会社では、多様な働き方を実現させるため、以下のような制度を導入しています。
- テレワーク勤務制度
- フレックスタイム勤務制度
- 育児短時間勤務制度
- メモリアル休暇・リフレッシュ休暇
育児短時間勤務制度においては、2023年5月末時点で84人が利用しており、働きやすさを実感している社員の多さも伺えます。
エンゲージメント調査で組織状態を把握する
エンゲージメント調査を活用し、定期的に社員の状態把握や意見を収集することで、組織の課題が明確になり、定着につながる施策検討ができます。
「エンゲージメント調査とは?
組織内の社員がどれだけ会社に関わり、やる気を持って働いているかを定量的に評価する手法のこと。
社員の意見をもとに職場環境を改善したり、新たな人事制度を整備したりすることで、社員のエンゲージメントやモチベーションの向上が期待できます。
エンゲージメント調査を活用している企業では、月に1回の頻度でサーベイを配信し、社員の状態(エンゲージメントスコア)を確認しています。
スコアで状態が可視化されたことで「いま困っている人が、どんなことで困っているのか」が明確になり、離職につながる前に対策が打てるようになりました。
また、会社からのフォローや面談のきっかけにもなる点も、エンゲージメント調査を行った効果の一つです。
事例:株式会社ペンシル様
以下の記事では、エンゲージメント調査の実施方法やおすすめツールを紹介していますので、導入を検討するときの参考にしてみてください。
社員定着率の高い会社・低い会社の特徴
社員定着率の高い企業・低い企業にはさまざまな特徴がありますが、本記事ではそれぞれ代表的な点を一つずつ解説します。
定着率の 高い会社 | 給与が高く社内制度が充実している |
定着率の 低い会社 | 公平な評価がされず給与も低い |
それぞれの特徴の理解を深め、自社の状況に合わせた取り組みを行って、社員の定着率を高めていきましょう。
高い会社:給与が高く社内制度が充実している
定着率の高い会社の特徴は、他社よりも高い給与水準を設定している点と、充実した福利厚生や人事評価の制度が整備されている点が挙げられます。
マイナビの転職に関する調査によれば、転職先への入社を決めた理由のなかで「給与が良い」の回答が15.4%と、もっとも多い結果になりました。
また、転職先の会社ではキャリアを伸ばせる見込みがあり、新たなスキルを身につけられる期待感があることもわかっています。
高い給与の支給によって、社員は安定した生活基盤を構築できるため、経済的な不安を減らして、モチベーションを高く維持しながら仕事に集中できます。
以下の記事では、定着率の高い会社の特徴をより詳しく紹介していますので、実際の取り組み事例と一緒に確認してみてください。
低い会社:公平な評価がされず給与も低い
定着率の低い会社では、成果を報告しているものの公平な評価がされず、思っていたよりも給与が低いことが離職の要因になっています。
人事評価の基準やプロセスが不透明であり、社員に対して提示されていない状態も、会社への不満を抱きやすい原因の一つです。
マイナビの調査では、転職を開始した理由のなかで「給与が低かった」の回答が12.5%と、もっとも多くなっています。
また、次に多い回答が「職場の人間関係が悪かった」の9.3%であり、職場環境との不一致による離職の多さも伺えます。
以下の記事では、若い人が定着しない特徴と定着に向けた取り組みを解説していますので、同様の悩みを抱えている人事担当者の方は参考にしてみてください。
まとめ:社員定着率は経営の安定性に関わる重要な指標
社員定着率は、経営の安定性に関わる指標であり、常に意識しながら改善に向けて取り組むことが重要です。
もう一度、定着率の向上によるメリットを確認しておきましょう。
自社の社員定着率を把握し、他社と比べて低い状況だった場合は、離職を食い止めるための施策を検討しなければなりません。
社員から「働きやすい会社」と満足してもらえるように、現場の声を聞きながら組織改善に取り組んでいきましょう。
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