企業の採用活動に適性検査を導入すると、客観的かつ公平な視点をもてるようになります。自社にマッチした人材かどうかの判断材料にもなるため、採用活動に適性検査を取り入れる企業が増えています。
自社の目的に合った適性検査を選び、適切な場面で導入することで、採用活動のブラッシュアップが可能です。
本記事では、企業の採用活動における適性検査の選び方や、導入目的、実施場面について解説します。活用方法も紹介するので、適性検査導入をお考えの方は参考にしてみてください。
企業が採用活動に適性検査を導入する目的
企業が採用活動に適性検査を導入する目的は、主に次の3つです。
適性検査は、目的に合ったものを選ぶことで大きな効果を発揮します。適切な適性検査を選ぶためにも、目的を明確にしておきましょう。
1:基礎知識・能力のレベルを把握する
適性検査を活用すると、一般的な基礎知識や能力レベルを把握できます。採用活動の中で応募者の人柄だけでなく、知識や能力レベルを知っておきたい場合に有効です。
基礎知識や能力レベルを把握するために適性検査を用いる場合、適性検査の中でも能力検査が適しています。
2:自社にマッチした人材かどうかの判断材料にする
適性検査は、自社にマッチした人材かどうかの判断材料としても活用できます。
自社にマッチした人材かどうかの判断材料として活用する場合、適性検査の中でも性格検査が適しています。
3:採用基準を構築する
適性検査は、自社の採用基準を構築する際にも活用可能です。
下記の記事で、適性検査の性格検査を活用した採用基準の策定方法を詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
採用活動に適性検査を導入するメリット
採用活動に適性検査を導入するメリットは、次の3つです。
- 社内で選考基準を統一することで、客観的に選考できる
- 適性検査をもとに、面接での詳細な深堀りができる
- 効率的かつ効果的な採用活動を実現する
書類選考や面接では、担当者の主観が入りやすいため、客観性や公平性の担保が必要です。
履歴書や職務経歴書だけではわからない性格傾向がわかると、面接時に解像度の高い質問が可能です。これにより、面接での人物像の深掘りが効率的に行えます。
このように、適性検査を導入することで、効率的かつ効果的な採用活動が実現します。
採用活動に適性検査を導入するデメリット
採用活動に適性検査を導入するデメリットは、大きく分けて2つです。
- 新規に導入する際は、予算に応じた適性検査を選ぶ必要がある
- 適性検査によっては対策できてしまうため、本当の能力を見極めたい場合に不安要素になる
適性検査の導入にはコストがかかるため、はじめて導入する際は新たに予算を組む必要があります。予算があまりない場合、性格検査のみ実施するといった工夫が必要です。
応募者による適性検査の対策が不安な場合は、下記の記事で紹介している考え方を参考にしてみてください。
適性検査を実施しない企業の理由
最近は採用活動で適性検査を実施する企業が増えているものの、適性検査を実施しない企業もあります。
適性検査を実施しない理由の1つに、独自の評価軸や選考方法を構築していることが挙げられます。
応募者が少ない、あるいは独自の採用活動で成果が出ている場合は、適性検査を実施しなくてもよい可能性があります。
新卒採用と中途採用における適性検査の用途の違い
適性検査の用途は、新卒採用と中途採用それぞれで下記のように異なります。
採用対象 | 用途 |
---|---|
新卒採用 | 選考を進めるうえでの優先順位や配属部署を決める際の判断材料の1つとする |
中途採用 | 自社が求める人材かどうか、判断材料の1つにする |
HR総合研究所が2012年に実施した「中途採用に関するアンケート調査」によると、中途採用の選考で重視する項目の上位3つは下記の通りです。
- 職務経験…78%
- スキル…71%
- 人柄…56%
これに対し、経団連が2018年に実施した「2018 年度 新卒採用に関するアンケート調査結果」によると、新卒採用の選考で重視する項目の上位3つは下記の通りです。
- コミュニケーション能力…約82%
- 主体性…約64%
- チャレンジ精神…約49%
中途採用は既に募集職種での職務経験や、社会人としてのスキルが備わっている前提があり、採用後は即戦力として扱います。
これに対して新卒採用は、これから育成するという視点で選考するため、用途に違いが生まれるわけです。
下記の記事では、新卒採用と中途採用それぞれで適性検査を活用する目的を解説しています。合わせてご覧ください。
採用活動における適性検査の実施場面
採用活動における適性検査の実施場面は、主に次の3つです。
場面によって目的や用途にも違いがあるので、それぞれについて理解したうえで、実施場面を決めましょう。
適性検査を活用する際は、よくある失敗や課題を解説している下記の記事も参考にしてみてください。
書類選考と合わせて実施する
適性検査を書類選考と合わせて実施し、選定材料の1つとして結果を活用します。
適性検査の結果からは、履歴書や職務経歴書だけではわからない基礎知識や能力を把握できるため、人物像が従来よりもクリアになった状態で選考可能です。
なお、適性検査の結果だけでなく履歴書や職務経歴書、その他の採用試験の結果も踏まえて、総合的に選考することが大切です。
一次面接と合わせて実施する
適性検査の結果を踏まえたうえで質問項目を作成することで、従来よりも面接で人物像を深掘りできるようになります。書類選考がなく一次面接からというケースが多い中途採用では、適性検査を導入することで判断材料を増やすことが可能です。
適性検査の結果は客観的かつ公平な定量的データのため、こうしたリスクの抑制にもつながります。
最終面接と合わせて実施する
最終面接で適性検査を導入すると、一次面接と同じように2つの方法で活用できます。
- 客観的かつ公平な定量的データにもとづいた選定
- 質問項目の作成
一次面接と最終面接の両方で同じ適性検査を実施すると、結果の整合性をチェックすることも可能です。
適性検査の結果は、採用後の配属や教育体制の構築にも役立てられます。
適性検査結果の4つの活用方法
適性検査の結果の活用方法は、主に次の4つです。
自社の総合的な利益のためにも、利用方法を1つに限定せず、多角的に活用することが大切です。
1:採用選考の材料にする
適性検査の結果は、書類選考や一次面接、最終面接における選考の材料として活用できます。
適性検査を採用選考の材料とする際には、履歴書や職務経歴書、面接の内容を踏まえて、総合的に判断することが大切です。
2:面接後にフィードバックする
最近は、面接終了後に応募者に対してフィードバックを行う企業もあります。これには、次の2つの効果を期待できます。
- 丁寧なフィードバックに魅力を感じ、応募者の「入社したい」という気持ちが強まる
- 応募者の企業イメージが向上する
面接後のフィードバックは、応募者にとって他社の面接に生かせるため大きな魅力です。
企業にとっては負担にもなりますが、企業のイメージアップや魅力の訴求につながるため、大きな効果を期待できます。優秀な人材を逃したくない場合、こうした手法も役立つでしょう。
3:入社後の配置や育成に活用する
選考や採用時に実施した適性検査の結果は、入社後の配置や育成に活用できます。
受検者の性格傾向がわかるので、個々に合わせたコミュニケーションがとれるとともに、特性を生かした配置や育成が可能です。これにより採用後のミスマッチが削減できると、早期離職を防ぐことにもつながります。
下記の記事では、他にも採用後のミスマッチを防ぐ方法を解説しているので、ミスマッチを改善したい方は合わせてご覧ください。
4:採用活動をブラッシュアップする
採用合格者の適性検査結果を分析することで、合格者の傾向がわかります。
これにより、「自社にマッチした人材」にフォーカスした採用基準の策定が可能です。不合格者の傾向をまとめておくと、次年度の選考時の材料にもできます。
このようにブラッシュアップを重ねることで、効果的かつ効率的な採用活動が実現できるでしょう。
押さえるべき適性検査の選び方4つ
適性検査を選ぶ際は、次の4つのポイントを押さえる必要があります。
自社に合った適性検査を選んで、採用活動の効果を最大化しましょう。
1:目的に合っているか
適性検査を選ぶ際は、目的に合っているかどうかをチェックします。
目的を果たせる適性検査かどうかは重要なポイントですので、注意しましょう。
2:テスト方式が自社に合っているか
適性検査のテスト方式が、自社に合っているかどうかも適性検査を選ぶポイントです。
適性検査には、一般的に次の3つのテスト方式があります。
テスト方式 | 概要 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
Web方式 | 受検者が自宅や学校のパソコンからインターネットを介して受検できる方式 | ・どこでも受検できる・集計の手間がかからない | ・不正行為が起きる可能性がある |
ペーパーテスト方式 | 自社で用意した会場に受検者を集め、マークシートによるペーパーテストを行う方式 | ・不正行為が起きにくい | ・会場準備や運営の手間がかかる・自社で集計を行う場合がある |
テストセンター方式 | 受検者が適性検査の運営会社が管理するテストセンターで受検する方式 | ・集計の手間がかからない | ・他の方式に比べてコストがかかる・受検者に移動の負担がかかる |
メリットとデメリットも踏まえて、自社に合ったテスト方式を選択することが大切です。
ほとんどの適性検査は、ニーズに合わせて柔軟にテスト方式を選べるようになっているため、事前に確認しておくと安心です。
3:予算に応じたコストかどうか
適性検査によって実施コストが大きく異なるため、予算内で実施できるかを検討する必要があります。
適性検査のコストの例は、次の通りです。
いくつか適性検査をピックアップしたら、応募者人数の想定を踏まえてコストシミュレーションをしましょう。
4:信頼できる適性検査かどうか
適性検査を選ぶ際は、信頼できるものかどうかも確認するのが大切です。
下記は、チェック項目の例です。
チェック項目 | チェックポイント |
---|---|
採点結果の精度(品質)はどうか | ・同じ適性検査を受けたときに誤差が小さいかどうか ・信頼係数(※)を参考にするとよい 能力検査の信頼係数の目安:0.7~0.8性格検査の信頼係数の目安:0.6~0.7 |
受検者データに偏りがないか | ・受検者データが結果に表示される場合は、偏りがないかをチェックする ・受検者の年齢や業界に偏りがないと、より正確なデータを把握できる |
実績はあるか | その適性検査を選んでいる企業が多いかどうか |
利用人数はどうか | その適性検査を受検している人数が多いかどうか |
※信頼係数とは、同じ適性検査を何度受けても同じ結果になるかを数値化したもので、1に近いほど信頼度が高いといえる。
上記項目を参考に、信頼できる適性検査かどうかをチェックしてみましょう。
採用活動におすすめの適性検査の種類一覧
下記は、「押さえるべき適性検査の選び方4つ」を踏まえて選んだおすすめの適性検査です。
適性検査 | 概要 |
---|---|
ミキワメ | ・株式会社リーディングマークが提供 ・性格検査、ストレスマネジメント特性、能力検査、自社のハイパフォーマーとの適性度分析といった幅広い分析に対応 |
SPI | ・株式会社リクルートマネジメントソリューションズが提供 ・性格検査と基礎能力検査に対応 |
GAB | ・日本エス・エイチ・エル株式会社が提供 ・知的能力、パーソナリティ、職務適性、将来のマネジメント適性がわかる |
玉手箱Ⅲ | ・日本エス・エイチ・エル株式会社が提供 ・知的能力と性格検査に対応 |
V-CAT | ・株式会社日本能率協会マネジメントセンターが提供 ・ストレス耐性や持ち味といった性格検査に特化 |
内田クレペリン検査 | ・株式会社日本・精神技術研究所が提供 ・年間70万人が受検する性格検査を含む心理検査 |
検査内容はさまざまなため、自社に合ったものを選びましょう。下記の記事で、上記を含む24種類の適性検査を紹介しているので、合わせてご覧ください。
適性検査を導入するうえでの注意点
適性検査を採用活動に導入する際は、次の2点に注意する必要があります。
適性検査を正しく理解したうえで活用することが、適性検査の導入効果を最大化します。
適性検査の結果だけで合否を判断しない
適性検査の結果は、あくまで応募者の一側面を可視化したものであり、断片的な情報に過ぎないため、結果だけで合否を判断しないことが大切です。
応募者にとっては、選考段階で適性検査を実施することに対しても「適性検査の結果によって合否が判断されるかもしれない」と不安になります。そのため、応募要項に「適性検査結果だけで合否は判断しない」旨を記載するのが適切です。
適性検査の結果を総合的に見る
適性検査の結果は、短所だけでなく長所も見るというように、総合的に分析することが大切です。
そのためには、適性検査を見る基準(採用基準)を明確に設定し、社内で共有しておきましょう。適性検査の結果の見方のポイントは、下記の記事でも詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
まとめ:自社に合った適性検査を選んで効果的な人材採用を行おう
適性検査を企業の採用活動に導入すると、下記のメリットを得られます。
- 社内で選考基準を統一することで、客観的に選考できる
- 適性検査をもとに、面接での詳細な深堀りができる
- 効率的かつ効果的な採用活動を実現する
適性検査の効果を最大限に発揮するためには、目的や用途に合った適性検査を選び、適切に実施することが大切です。
「自社にマッチした人材採用のために適性検査を活用したい」という場合は、ミキワメにご相談ください。ミキワメなら、受検者の傾向とともに社内データとの照らし合わせることが可能です。
まずは無料で体験いただき、検査内容を確認してみてください。
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