- 中途採用でミスマッチが起きる4つの原因
- ミスマッチの防止に向けた具体的な取り組み方法
- 企業が実践しているミスマッチ防止の取り組み
「期待を込めて中途採用したのに、なぜ離職してしまうのか」と、会社の成長を担う人材の確保に悩む経営者や、人事担当者の方も多いのではないでしょうか。
中途採用した人材のなかには、十分な能力・スキルがあるものの、会社の働き方や仕事内容が合わず、早期離職してしまう人がいるのも事実です。
このようなミスマッチが起きる原因として、明確な採用基準が定まっていない点や、会社に馴染むためのサポートが不足している点が挙げられます。
そこで本記事では、中途採用におけるミスマッチの原因とその解決策を詳しく解説します。
企業が実践している取り組み事例も紹介しますので、適性を見極められる採用プロセスの構築に役立ててみてください。
中途採用の現状|ミスマッチによる離職者の割合
即戦力の人材獲得につながる中途採用は、自社の都合に合わせて柔軟に対応できる点から、実施する企業も増加しています。
マイナビの調査によれば、2024年3月に中途採用活動を行った企業は44.3%となっており、2021年9月の34.5%から9.8%増加しています。
業種別にみると、実施率が高い上位5つの業種は以下のとおりです。
業種 | 実施率 |
IT・通信・インターネット | 54.7% |
医療・福祉・介護 | 53.0% |
フードサービス | 50.0% |
メーカー | 49.3% |
サービス | 47.3% |
参考:2024年3月度中途採用・転職活動の定点調査|マイナビキャリアリサーチ
中途採用を行う企業が増えている一方で、採用後のミスマッチによって離職してしまうケースも少なくありません。
ビズリーチの調査によると、35〜49歳の転職経験者のうち、39.0%の人が早期離職(在籍3年未満の離職)しており、中途採用でも離職の課題の大きさが伺えます。
参考:早期離職はなぜ起きる? 中途社員の離職率や理由別対応策を紹介|株式会社ビズリーチ
中途採用におけるミスマッチの原因とは?
中途採用でミスマッチが起きる主な原因としては、以下の4つが挙げられます。
自社でも上記のような原因がないか調査を行って、即戦力となる人材の獲得と定着に取り組んでいきましょう。
明確な採用基準がなく適性を見極められていない
中途採用でミスマッチが起きる原因の一つは、明確な採用基準が決められておらず、募集職種や社風に対する適性を見極められていない点です。
経歴や能力だけで採用を決めてしまうと、入社後の業務内容や働き方が合わず、期待していたパフォーマンスを発揮できないケースがあります。
また、能力や性格を正確に把握できていない場合、適材適所の配置も難しくなるため、結果的にミスマッチが起きる可能性も高まるのです。
厚生労働省の転職者実態調査によれば、前職を辞めた理由として「満足のいく仕事内容ではなかったから」と、全体で26.0%の人が回答しています。
この回答割合は、離職理由のなかで2番目に多い項目です。
候補者の適性を見極めるには、書類選考や面接に加えて適性検査の活用が欠かせません。以下の記事では、適性検査の特徴やおすすめツールを解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
採用を急いで能力不足の人材を採用してしまう
即戦力となる人材を求めるあまり、候補者の能力を十分に評価せず、採用を進めてしまうケースも少なくありません。
採用を急いでしまう状況では、求める能力やスキルを持ち合わせていない人材を採用してしまい、結果的に担当業務に適応できない場合があります。
また、採用された社員においても、業務に適応できないことで正当に評価されない場合もあるため、離職する可能性も高まってしまうのです。
厚生労働省の転職者実態調査によれば、前職を辞めた理由として「能力・実績を正当に評価されないから」と、全体で15.3%の人が回答しています。
採用を急ぐ状況であっても、採用プロセスにもとづいて計画的に進める必要があります。
新しい環境に馴染むためのサポートが不足している
優秀な経歴や専門的な知識を持つ候補者だとしても、採用後のサポートが不十分だった場合、新しい環境に馴染めない可能性があります。
以前まで勤めていた会社の働き方や業務プロセスとの違いから、戸惑いやストレスを感じるケースも少なくないため、定期的なフォローアップが必要です。
また、職場が新しい社員を歓迎する雰囲気ではなかったり、コミュニケーションが少なかったりすると、人間関係に対する不満も膨らんでしまいます。
厚生労働省の転職者実態調査によれば、前職を辞めた理由として「人間関係がうまくいかなかったから」と、全体で23.0%の人が回答しています。
この回答割合は、離職理由のなかで5番目に多い項目です。
社風・仕事内容・労働条件を十分に伝えられていない
中途採用におけるミスマッチの一因として、採用時に社風・仕事内容・労働条件を候補者へ十分に伝えられていない点が挙げられます。
企業と候補者との間でギャップが生じると、入社後に「思っていた働き方や待遇と違う」と感じてしまうため、早期離職につながることも少なくありません。
厚生労働省の転職者実態調査によれば、転職した理由として「賃金が低かったから」と、全体で23.8%の人が回答しています。
この回答割合は、離職理由のなかで3番目に多い項目です。
自社の採用ページや求人サイトへの情報掲載はもちろん、実際に働いている社員の声を届けるなど、組織のカルチャーを伝える工夫が必要です。
企業の組織風土や文化への適合を意味するカルチャーフィットについては、以下の記事で詳しく解説しています。ミスマッチを防ぐための知識として、ぜひ参考にしてみてください。
中途採用のミスマッチを防ぐ4つの方法
ここからは、中途採用のミスマッチを防ぐ方法について、以下の4つの取り組みを解説します。
採用後すぐに離職されてしまっては、採用にかけた時間やコストが無駄になるため、候補者の適性を正確に見極められる体制を整えていきましょう。
社員分析をもとに「求める人物像」を明確にする
中途採用のミスマッチを防ぐためには、まず自社で働いている社員の特性やパフォーマンスを分析し「求める人物像」の明確化が重要です。
以下のような社内分析をしたうえで、採用基準を作成しましょう。
- 社員の性格を可視化し、個々の強み・弱みを理解する
- 向いている環境・向いていない環境を明確にする
- 活躍している社員の特性・傾向を分析する
求める人物像が明確になれば、その採用基準をもとに候補者の適性を客観的に評価でき、自社とのミスマッチの抑制につながります。
リーディングマークが提供する適性検査は、社内分析のデータに加えて、カスタマーサクセスチームの知見と採用方針を掛け合わせ、独自の採用基準を作成できるツールです。
適性検査の活用によって、短時間で候補者の特性データを収集できるため、中途採用における採用プロセスの効率化も期待できます。適性検査データの見方や活用方法は、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
新卒とは別の採用プロセスを構築する
中途採用は、新卒採用のように特定の時期や期間で実施するだけではなく、自社の都合に合わせて年度途中で行うケースがよくあります。
不定期での実施に加えて、即戦力の人材を獲得するとなると、中途採用に特化したプロセスの構築が必要となってきます。
一般的な書類選考や面接と合わせて、以下のようなプロセスの導入を検討してみましょう。
具体例 | 内容 |
実務経験とスキルにもとづく評価 | 具体的な職務経験やプロジェクト実績をもとに、自社での活躍可能性を判断する |
リファレンスチェック(職務調査)の実施 | 候補者の能力や職務適性を第三者の視点から確認し、より客観性の高い意見を収集する |
適性検査の実施 | 人事担当者や面接官による評価の偏りを軽減するため、検査での客観的なデータを取得する |
以下の記事では、中途採用で適性検査を実施する目的について詳しく解説しています。自社に合った検査を選ぶときのポイントにも触れていますので、導入時の参考にしてみてください。
入社後のオンボーディングを行う体制を整える
中途採用した社員が新しい職場環境に馴染むためには、オンボーディング(組織への定着を図るための取り組み)の体制強化が重要です。
入社直後は、組織体制や文化の理解を深めるオリエンテーションや、各部門の業務内容の説明を行って、自社の全体像をわかりやすく伝えましょう。
また、業務へのスムーズな適応ができるようメンター制度を導入し、先輩社員が個別にサポートする体制を整えておくのも効果的です。
Sansan株式会社では、中途入社向けのオンボーディングプログラム「SCOP(スコップ)」を導入し、以下のような取り組みを行っています。
業務で使用するツール・ソフトウェアのセットアップの説明各プロダクト担当者から、プロダクトに関する情報を紹介プロダクト開発のプロセスや、使用している技術を聞ける場の提供
SCOPは、基本的に同じ入社日の新入社員同士がグループで行うため、同期社員や先輩社員と関わりを持ち、お互いをサポートし合える関係が築けます。
社員のリアルな働き方を伝える
入社前後のギャップを軽減するためには、会社の基本情報を提供するだけではなく、社員のリアルな働き方を伝える取り組みが有効です。
社員が実際に働いている姿の動画コンテンツや、会社での働き方や体験談などの社員インタビュー紹介など、職場の雰囲気を伝える情報を提供しましょう。
中途採用に力を入れている三井化学株式会社では、中途採用向けのWebサイトを立ち上げ、インタビュー(対談)のコンテンツを掲載しています。
上司からの質問に中途入社した社員が回答していく対談形式で行われ、職場からの期待や転職当時の印象について語られ、リアリティを感じさせる内容です。
また、入社後の研修に関するページを設けるなど、転職した直後の「うまく職場に馴染めるだろうか」という不安を軽減させる取り組みを行っています。
社員のリアルな声は、中途入社を希望する人にとっては重要な情報源となり、企業側においても候補者に安心感を与えるためのコンテンツと言えます。
AIの活用で中途採用のミスマッチは防げる?
近年急速に進化を続けているAIは、自動化や業務効率化を目的とした活用だけではなく、あらゆるデータを取り込んで、傾向分析や予測分析にも活用されています。
さまざまな業界でAIの導入が進んでいるなかで、企業が行う採用活動においてもAIが活用されはじめています。
とくに迅速な人材確保を目指す中途採用では、候補者の適性やスキルを短時間かつ高い精度で見極めなければなりません。
その解決策となるのが、AIを搭載した適性検査の活用です。
検査結果をもとに、AIが候補者の性格傾向を細かく分析し「会社の働き方に適応しそうか」といった予測が可能なため、採用時の判断に役立ちます。
リーディングマークの適性検査においても、ChatGPTを活用した「ミキワメAI」を導入したことで、より精度の高い分析ができるツールへと進化しました。ミキワメAIについては、以下の記事で詳しく解説していますので、ご興味のある方は確認してみてください。
中途採用のミスマッチ防止への取り組み事例
ここからは、中途採用のミスマッチ防止に取り組んでいる企業について、3社の事例を解説していきます。
より精度の高い人物評価を行うためにも、各社の事例を参考にして、自社の採用プロセスを見直してみましょう。
事例1:入社前に「職場見学」と「配属先上司との面談」を実施
鉄鋼事業を展開するJFEスチール株式会社では、総合職の中途採用を拡大していくため、選考時のプロセスと採用後のサポート体制を強化しています。
入社前 (選考時) | ・配属する職場(工場)の見学 ・配属先の上司との面談によるマッチングを実施 |
入社後 | ・配属前研修や配属後OJTの実施 ・選択科目式の講座受講 ・人事によるフォロー面談 ・中途入社者の同期懇親会の実施 |
総合職の中途採用者数は、2014年度の1人から2018年度には20人まで増加しており、同社の取り組みが人材確保につながっています。
現在では、法務・IT・機械などの専門職に加えて、営業や購買などの一般的な職種へも拡大し、総合職の中途採用をさらに強化しています。
参考:中途採用・経験者採用に積極的な企業事例集(JFEスチール)|経済産業省
事例2:働く人の「温度感」を伝えるコンテンツの制作
電気機器の大手メーカーであるパナソニック株式会社では、経験や実績を持つプロフェッショナルを獲得するため、キャリア採用に注力しています。
その一つの取り組みが、会社の広報戦略と連動した採用ページのリニューアルです。
同社の採用過程は「認知・共感・発掘・誘引・採用・配置・育成」のサイクルで整理されており、Webサイトなどの広報で「認知〜誘引」を担っています。
サイト訪問者が「パナソニックを知って共感する」ためのコンテンツとして、働いている社員の仕事内容や働き方を紹介するインタビュー記事を掲載しました。
働く環境の魅力や一緒に働く人の温度感が伝わる発信をしたことで、2020年の新規入社者のうちキャリア採用が約3割を占めています。
参考:中途採用におけるウェブサイト等活用好事例集(パナソニック)|厚生労働省
事例3:性格特性にフォーカスした適性検査を短時間で実施
総合エンジニアリング事業を行う東洋エンジニアリング株式会社では、キャリア採用における選考中の途中離脱を防ぐ取り組みを行っています。
選考時は新卒採用と同じ適性検査を利用していましたが、所要時間90分の能力検査がメインであったため、キャリア採用には不向きだと感じていました。
キャリア採用においては、能力検査に重きを置く必要がないと判断し、短時間で性格特性を把握できる『ミキワメ 適性検査』を活用しています。
キャリア採用の一次面接では、履歴書・職務経歴書・適性検査結果の3点セットを面接官に共有して、面接を行っています。
面接官の主観的な意見だけではなく、検査結果をもとに性格特性が「仕事に合うか合わないか」という新たな視点を取り入れられました。
性格特性にフォーカスした適性検査の実施により、採用選考中における途中離脱の防止につながっています。
事例:キャリア採用候補者の負担を軽減するべく、短時間で受検できる適性検査の導入
中途採用は社風との適性判断がミスマッチ防止につながる
中途採用で直面するミスマッチは、企業側と社員側の双方にとってデメリットが生じるため、その原因の特定と対策が必要です。
もう一度、ミスマッチを防ぐ方法について再確認しておきましょう。
即戦力となる人材を求めるあまり、候補者の価値観や性格特性の理解を怠ってしまうと、長期的な定着は期待できません。
まずは、社内分析にもとづいて採用基準を策定し、自社にマッチした人材を判断する採用プロセスを構築しましょう。
『ミキワメ 適性検査』では、カスタマーサクセスチームによるサポートを受けながら採用基準を設定できます。無料トライアルも実施中ですので、ぜひお試しください。
ミキワメは、候補者が活躍できる人材かどうかを500円で見極める適性検査です。
社員分析もできる30日間無料トライアルを実施中。まずお気軽にお問い合わせください。