就職活動や採用プロセスにおいて、適性検査は重要な役割を果たします。しかし、その合格ラインについてははっきりとしておらず、多くの部分が不透明です。
本記事では、適性検査における一般的な合格基準や設定理由、効果的な活用方法について詳しく解説します。
適性検査の構成と特徴
適性検査とは、応募者の能力や適性を客観的に評価するものです。
適性検査は一般的に、能力検査と性格検査で構成されています。現在はリクルートマネジメントソリューションズが開発した「SPI」が主流のため「適性検査=SPI」のイメージですが、それ以外の適性検査もいくつかあります。
多くの企業が導入しているSPIによって測定されるのは、知識量や思考力など「どのような仕事をするうえでもベースとなるスキル」です。
能力検査は、一般的に語彙力や文章理解力を見る「言語分野」と、数的な処理力や論理的思考力を見る「非言語分野」をそれぞれ測定します。
そのほか企業によって別途出題されるのが、英語や構造的把握力の問題です。「構造的把握力」とは、与えられた情報から共通の構造を見いだすもので、物事の把握や問題解決に必要な力を測定します。
一方、性格検査は日ごろの行動や考え方に関する質問に回答することで、応募者の性格の特徴や行動傾向を測定し、数値化するものです。多くの場合、質問に対してどの程度当てはまるかを回答する検査形式であり、性格検査に正解・不正解はありません。
適性検査では能力と性格の両面から測定を行い、職場での適応性や将来的なパフォーマンスを予測する指標として用います。大量のデータの蓄積に基づく適性検査は、同一の基準で応募者の相対的な位置付けができるため、試験者に依存しない公平な選考が可能です。
企業の採用プロセスにおいて、適性検査の実施は一般的となっており、リクルート就職みらい研究所の『就職白書2023』によると、2023年卒の採用を実施した企業の適性検査・筆記試験の実施率は88.5%にも達しています。
SPIの合格ライン
SPIの合格ラインは企業によって異なり、公式には発表されていませんが、過去の傾向からおおよその目安が推測されています。
以下の表は、企業が設定しているとされる合格ラインの例です。
合格ラインの目安 | 企業名 |
---|---|
90%超~ | 日本銀行、外資系金融機関、野村證券IB(投資銀行)、外資系コンサルティング会社 |
80%超~90% | 三菱商事・住友商事などの大手総合商社、読売新聞などの大手新聞社、フジテレビなどの主要TV局、任天堂 |
70%超~80% | キヤノン、パナソニック、クボタ、東レ、SMBC、KDDI |
60%超~70% | JAL、ブリヂストン、川崎造船、カゴメ、オリエンタルランド |
多くの大手企業では、SPIで7割程度が合格のボーダーラインとされており、人気企業では人数を絞るために8割以上の正答率が求められるケースもあります。
性格検査の合格ライン
性格検査に関しては、多くの企業が応募者と自社とのマッチング度を見るために実施しています。そのため、能力検査のように明確な数値による合格ラインは設定されていないと考えてよいでしょう。
ただし「矛盾した回答が多い」「極端な回答が多い」などの結果が出た場合には、応募者の一貫性や適応力に疑問が生じるため、選考に影響する可能性があります。
また、企業が求める人物像や職種の特性と大きくかけ離れた性格傾向が示された場合にも、不利に働くケースが考えられます。
適性検査の合格ラインが企業によって異なる理由
適性検査の合格ラインは企業によって大きく異なり「高スコア=合格、低スコア=不合格」とは一概にいえません。
適性検査の合格ラインが企業によって異なる理由は以下の2つです。
- 求める人材像が異なるため
- 採用方針が異なるため
それぞれ見ていきましょう。
求める人材像が異なるため
企業が必要とするスキルや資質は、業界や職種によって異なり、適性検査において重視する点や合格ラインも企業ごとに調整されます。
そのため、多くの企業では、能力検査だけではなく性格検査も行い、応募者の内面や社風に適合する人材かどうかを見ています。組織の文化や価値観と異なる考え方を持つ人材を採用すれば、早期離職のリスクが高まるためです。
採用方針が異なるため
企業の採用方針も合格ラインの設定に大きく影響します。「応募者が多いためまずは足切りを行い、能力の高い応募者のみを残してから選考に入ろう」と考える企業と、「明らかに自社と合わない応募者のみを足切りして、あとは面接で見極めよう」と考える企業では、当然合格のボーダーラインも変わってくるでしょう。
また、企業の方針や採用する業種・職種の違いにより、学力重視か人柄・性格の特徴重視かも異なります。銀行系のボーダーラインが総じて高い理由は、人気が高いことはもちろん、業務の性質上ミスが少ない点をもっとも重視しているためと考えられます。
多くの企業では、適性検査をほかの選考要素と組み合わせて総合的に評価しており、適性検査の扱いは組織ごとに異なります。そのため、その解釈や活用方法はさまざまです。
適性検査の合格ラインを設定する際のポイント
求める人材を得られる適性検査の合格ラインを適切に設定するためには、自社の特性や採用戦略を十分に考慮する必要があります。自社に合った合格ラインを設定するためのポイントは以下の2つです。
- 自社の求める人材像との整合性を考慮する
- 職種や部署に応じた調整を行う
それぞれ詳しく解説します。
自社の求める人材像との整合性を考慮する
合格ラインの設定には、自社の企業文化や成長戦略との整合性が欠かせません。たとえば、チームワークを重視する社風の企業で、能力が高くても個人主義的な傾向が強い人材を採用すると、ミスマッチにより双方に良い結果をもたらさないでしょう。
企業の社風に合った社員を選考することで、組織への適応がスムーズとなり、採用した社員の定着率向上につながります。職場満足度が高く定着率が高い、自社の社風に合った社員の性格特性を分析し、採用基準に反映させることも有効です。
また「事業拡大期にある企業では、変化に強く新しいことに挑戦する意欲の高い人材を重視する」といったように、企業の成長段階や事業戦略に応じて、今後増やしていきたい人材の性格特性を設定する方法もあるでしょう。
職種や部署に応じた調整を行う
職種や部署によって必要とされるスキルやパーソナリティは異なるため、それに応じて能力検査と性格検査の重み付けを調整する必要があります。たとえば、営業職では言語能力やストレス耐性を重視し、エンジニア職では論理的思考力や問題解決能力に重点を置くといった具合です。
しかし、ポテンシャルの高い新卒採用では、能力検査の結果だけではなくパーソナリティも重視する必要があります。
適性検査の効果的な活用方法
適性検査は、単なる選考ツールにとどまらず、企業の人材戦略にも大きく貢献します。適性検査の効果的な活用方法は以下の3つです。
- 企業と応募者のマッチング評価や面接前の情報収集のために使う
- 採用プロセスの改善に用いる
- 人材マネジメントに活かす
それぞれについて見ていきましょう。
企業と応募者のマッチング評価や面接前の情報収集のために使う
適性検査は単なる「足切り」のためだけではなく、企業と応募者の相互理解を深める手段としても活用可能です。企業は適性検査の結果をもとに、自社の求める人材像と応募者の持つ特徴が合っているかや、面接時に結果を踏まえた質問や懸念点の確認ができます。
企業側は検査の目的と活用方法を明確に説明し、応募者の不安を軽減して率直な回答を促さなければなりません。一方、応募者にとっては自己分析を踏まえて正直に回答することで、自分に合った企業を見つける貴重な機会となります。
「合格=採用」が双方の目的ではあるものの、ミスマッチを減らし長期的で良好な雇用関係の構築を目指すためにも、適性検査を通じた相互理解は重要です。
採用プロセスの改善に用いる
適性検査の活用は採用したら完了ではありません。合格者の入社後のパフォーマンスを追跡調査し、その結果をもとに合格ラインや採用プロセスを改善できます。適性検査の実施と検証のPDCAサイクルを回すことで、適性検査の精度が向上し、より効果的な採用活動につながるでしょう。
企業の成長段階や事業戦略の変化に応じた評価基準の見直しにより、常に最適な人材確保と育成を目指せます。
人材マネジメントに活かす
適性検査の結果は、採用後の人材マネジメントにも活用できます。採用した社員の強みや弱みを把握し、個々の特性に合わせた配置を行うことで、効果的な人材育成が可能です。また、円滑なチームコミュニケーションのために、社員の特性を配属先の上司が把握する際の参考情報としても役立てられます。
適性に合った配置は、従業員の満足度やパフォーマンス、定着率の向上につながり、企業側と社員側の双方にメリットが生まれます。さらに、チームメンバー個々の特性を把握すれば、チーム編成にも活用できるでしょう。
採用におけるSPI適性検査の課題点と解決法
SPIは多くの企業で利用される適性検査ですが、以下の課題もあります。
- 対策情報の広まりにより、本来の能力の測定が難しい
- 企業が求める特定の人材像との適合性を見極めにくい
- 実施コストが高くなる
これらの課題の解決につながるツールが、以下の特徴を持つ『ミキワメ適性検査』です。
ミキワメ適性検査の特徴 | 概要 |
---|---|
模範解答を予測しにくい構造 | 自社の活躍人材データをもとに、企業ごとに異なる評価基準を設定する設計。意図的な回答操作を防ぎ、受検者本来の適性を評価する |
社員分析 | 分析したい社員を複数名選定すると、システムが自動で社員の性格傾向を分析 |
候補者が活躍する可能性の表示 | 社員分析をベースに候補者が活躍する可能性を14段階で表示。各部署との相性がわかり、適正配置もサポート |
低コスト | 1人あたり550円(税込)の低コストで採用コストの削減を実現 |
ミキワメ適性検査は、一貫した採用基準の設定とカスタマーサクセスチームによる丁寧なオンボーディングにより、採用担当者の負担を軽減します。
適性検査を活かして企業と人材の最適なマッチングを実現しよう
適性検査を単なる足切りツールではなく、企業文化やチームの特性に合った人材を見つけるサポートツールとして活用すれば、企業と人材の双方が満足する最適なマッチングを実現できます。
ミキワメ適性検査では、現在活躍している社員の特性を踏まえた採用基準の設定が可能です。低コストで企業の採用プロセスを最適化し、長期的な人材戦略の構築をサポートします。
「適性検査の導入で効果的な採用を実現したい」「自社の社風に合った人材を見極め、採用ミスマッチを減らしたい」とお考えの採用担当者様は、お気軽にお問い合わせください。
ミキワメは、候補者が活躍できる人材かどうかを500円で見極める適性検査です。
社員分析もできる30日間無料トライアルを実施中。まずお気軽にお問い合わせください。