- エンゲージメントサーベイの結果がバレるケースと影響
- 匿名・実名でサーベイを実施するメリットとデメリット
- 豊富な導入実績があるエンゲージメントサーベイツール3選
「どのようなケースでサーベイの結果が第三者に知られてしまうのか」
「匿名か実名か、どちらの方法でサーベイを行うべきか迷っている」
エンゲージメントサーベイの導入を検討しているものの、結果がバレてしまうことに懸念を抱いている人事担当者の方もいるのではないでしょうか。
匿名によるサーベイは、率直な意見が集まりやすい反面、誰がどのような状態なのかが把握できないため、社員一人ひとりへのフォローアップが困難です。
一方、実名で実施すると「自分の意見が評価に影響しないか」と社員が不安を抱く可能性はありますが、個々の状態変化を察知して迅速なケアができます。
本記事では、エンゲージメントサーベイの結果がバレるケースや、匿名・実名それぞれの特徴について徹底解説します。
サーベイ実施時の注意点や信頼性の高いツールも紹介しますので、目的に応じて最適な方法を検討してみてください。
エンゲージメントサーベイの結果がバレる4つのケース
エンゲージメントサーベイの結果がバレてしまう原因として、以下の4つのケースが考えられます。
以下より各原因を解説しますので、自社でも同様のケースがないか再確認してみてください。
実名回答での内容が第三者に漏れる
実名でエンゲージメントサーベイを実施する場合、回答者の個別データが第三者に漏れてしまうリスクを考慮しなければなりません。
たとえば、人事部がある社員の「上司の指導方針に対する不満」を閲覧したとき、誤って上司本人に回答者の実名が伝わってしまうケースです。
回答した社員の意図しないところで上司に結果がバレると、人間関係のさらなる悪化も考えられ、秘匿性を守らない会社への信頼が損なわれます。
回答が第三者に漏れた場合、今後の調査にも影響を及ぼすため、情報管理を徹底する社内体制を整え、状況によっては匿名でサーベイを実施しましょう。
自由記述欄のコメントから回答者が特定される
エンゲージメントサーベイでは、自由記述欄のコメントや具体的なエピソードから、回答者が特定されるケースもあります。
たとえ匿名で実施していても、特定の出来事に対する意見や、自身の立場・役割による言い回しによって、読む人が「この発言はあの社員ではないか」と推測できます。
自由記述を求めるときは、個人が特定される詳細なエピソードや個人名の記載を避けるよう、サーベイ実施前の注意喚起が必要です。
結果の閲覧範囲が適切に設定されていない
調査結果の閲覧範囲が適切に設定されていないと、関係のない社員にまで閲覧できる状態になってしまい、秘匿性が保たれません。
とくに実名でサーベイを実施していた場合、健康状態や人間関係などのデリケートな情報が社内に広まると、回答者に不利益が生じてしまいます。
サーベイ導入を検討する段階で、調査結果へのアクセス制限を設定し、閲覧可能な担当者を明確に決めておくことが重要です。
また、調査を行う人事担当者は結果の取り扱いに関して定期的なチェックを行い、権限設定ミスを未然に防ぐプロセスを整えておきましょう。
評価者同士で回答内容が共有されてしまう
エンゲージメントサーベイの結果が評価者の間で共有されるケースも、第三者に情報が漏れてしまう原因の一つです。
管理職やリーダー層が集まるミーティングの場で、サーベイの結果を議論するときに個人の具体的な回答内容を話題にしてしまう可能性があります。
〇〇さんは「職場環境が改善されていない」と答えていたが、なにか不満があるのではないか?
上記のような発言によって、他の管理職にサーベイの回答が伝わってしまいます。
調査結果が社内に広まることで、社員個人の印象にも影響が及ぶ恐れもあるため、関係者以外への情報共有は避けなければなりません。
エンゲージメントサーベイの結果がバレてしまった場合の影響
エンゲージメントサーベイの結果が社内にバレてしまうと、以下のような組織全体と社員個人への影響が考えられます。
これらのリスクを防ぐためには、調査結果の取り扱いに関する管理体制を構築し、秘匿性を確保する仕組みが不可欠です。
社員からの信頼が失われる
エンゲージメントサーベイの結果が第三者にバレると、サーベイ自体への不信感が強まり、経営層や人事、上司に対する信頼も失われてしまいます。
匿名のサーベイにもかかわらず、個人の意見が特定されてしまった場合「匿名性がまったく確保されていない」と、次回以降の調査への参加を拒否する可能性があります。
情報管理に関する信頼性が損なわれると、対面でのコミュニケーションでさえも、個人的な情報が筒抜けになると感じ、建設的な対話が成立しません。
その結果、本来の目的である組織風土の改善やエンゲージメントの向上につながらず、組織全体のパフォーマンス低下につながってしまうのです。
職場の人間関係が悪化する
上司・同僚に対するコメントや不満が他の社員にバレてしまうと、その情報がきっかけとなり職場の人間関係が悪化する可能性もあります。
たとえば、特定の人へのネガティブな意見が誰かに漏れた場合、指摘された相手に情報が伝わり、双方の信頼関係が崩れて職場の雰囲気が悪くなります。
社員同士のコミュニケーションが途絶えると、業務が円滑に進まなくなり、組織全体の生産性低下にもつながりかねません。
秘匿性を確保する管理体制を整えるとともに、部署名・個人名を出さないといった、社員へのフィードバック方法にも慎重な配慮が求められます。
社員の本音が聞き出せなくなる
調査結果が第三者にバレるような事象が起きると、サーベイそのものへの信頼が損なわれ、次回以降の調査で本音を聞き出すのが困難になります。
社員自身の健康状態や会社に対する不満などが聞き出せず、表面的な回答が増えてしまい、本来の目的である組織改善や社員へのケアに取り組めません。
また、無難な回答が増えると数値上は改善したように見えますが、実態としては社員の不満が残っており、根本的な問題が取り残されてしまいます。
サーベイ実施前は、社員に対して秘匿性が確保されていることを伝え、安心感を与えることが重要です。
個人情報の漏洩など法的リスクが生じる
サーベイの結果が不特定多数の社員に広まると、予期せぬルートを介して個人情報が外部に漏れてしまう恐れがあります。
個人情報の漏洩によって、損害賠償責任に問われるといった法的リスクが生じ、企業自体の信頼の失墜につながります。
社員の個人情報を安全に管理するのは企業としての責務であり、第三者に情報を提供するときは、原則本人の同意を得なければなりません。
調査結果が関係者以外に漏れないように、まずは厳格な情報管理体制を整えて、社員に対しても個人情報保護の重要性を伝える取り組みが必要です。
参考:「個人情報保護法」をわかりやすく解説|政府広報オンライン
以下の記事では、個人情報保護を含むコンプライアンスについて詳しく解説しています。法令違反となる事例にも触れていますので、ぜひ参考にしてみてください。
エンゲージメントサーベイは匿名・実名のどちらで実施すべき?
匿名・実名それぞれのエンゲージメントサーベイには、以下のように異なるメリットとデメリットがあり、調査目的に応じて選択しなければなりません。
匿名 | 実名 | |
メリット | ・率直な意見が集まりやすい ・匿名性が保証され安心して回答できる ・回答率が高まり多くのデータが集まる | ・社員一人ひとりへのケアやサポートができる ・責任感を持った回答が期待できる ・企業と社員の間でオープンな関係性が築ける |
デメリット | ・社員個人へのフォローアップが難しい ・無責任な意見や批判が出る可能性がある | ・否定的な意見や本音が出にくい ・結果が第三者にバレる可能性がある |
匿名のエンゲージメントサーベイが適しているケースは、現場で働いている社員のリアルな声を収集し、組織内の隠れた課題や問題を洗い出したいときに向いています。
一方で実名は、社員個人の心理状態や会社に対する満足度を把握し、スコアの状況に応じた個別の対応をしたい場合に適しています。
エンゲージメントサーベイの特徴やメリットについては、以下の記事でも詳しく解説していますので、本記事とあわせて確認してみてください。
匿名でエンゲージメントサーベイを実施する3つのメリット
エンゲージメントサーベイを匿名で実施するメリットとして、以下の3点が挙げられます。
匿名での調査は、回答する社員にとっても「匿名性が確保されている」ことが感じられ、会社に対する本音を伝えやすくなります。
率直な意見が集まりやすい
匿名でエンゲージメントサーベイを実施すれば、社員は「どのような回答をしたとしても評価には影響がない」と考えるため、本音や率直な意見が集まりやすくなります。
たとえば、職場内の人間関係の状態を把握しようと「上司からの声かけやコミュニケーションに満足していますか?」と質問したとします。
実名での回答を求めると、上司の評価を気にしてネガティブな意見を避ける社員もいますが、匿名で実施すればコミュニケーションに対する不満を聞き出せるのです。
社員の率直な意見が集まれば、管理職を対象としたコミュニケーション研修を導入するなど、職場環境を改善する具体的な施策を検討できます。
匿名性が保証され安心して回答できる
匿名性が保証されたエンゲージメントサーベイにより、回答者を特定されることがなく、社員も安心して調査に参加できます。
たとえネガティブな回答をしたとしても、個人を特定できないため社内での立場が揺らいだり、人間関係が悪化したりすることはありません。
社員が安心して回答できるように匿名性を保つことで、調査に参加するハードルも低くなり、さまざまな意見を収集しやすくなります。
回答率が高まり多くのデータが集まる
匿名でエンゲージメントサーベイを実施することで、社員は調査に参加する抵抗感を抱かなくなり、回答率も高まります。
その結果、現場のいい点・悪い点などさまざまな意見が集まるため、統計的にも信頼性の高いデータが収集できるのです。
具体的な事例として、匿名かつ情報の秘匿性を確保したサーベイの実施により、自由記述では日頃の思いや意見が多数集まり、90%近い回答率が得られたケースもあります。
多様な意見が集まれば、組織の潜在的な問題が浮き彫りとなり、より社員のエンゲージメントを高められる施策が検討できます。
匿名でエンゲージメントサーベイを実施するデメリット
匿名でのエンゲージメントサーベイは、率直な意見を収集しやすいメリットはありますが、以下のようなデメリットも存在します。
このデメリットを踏まえて、エンゲージメントサーベイの質問設計や運営に工夫を凝らす必要があります。
社員個人へのフォローアップが難しい
匿名のエンゲージメントサーベイは、どの社員が回答したのかを特定できないため、個々のニーズや問題に対するフォローアップが困難です。
たとえば、自由記述のなかに「業務の負担が大きく、精神的に厳しい」といった意見があったとしても、どの部署の誰が回答したのかがわかりません。
社員の悩みに対して個別のサポートができないうえに、全社員を対象とした改善策を打ち出したところで、回答者本人の悩みが解消したのかも把握できないのです。
個別のフォローアップをしたい場合は、実名制のサーベイを検討してみましょう。以下の記事では、人事面談やメンター制度などのフォローアップ方法を解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
無責任な意見や批判が出る可能性がある
匿名でのサーベイは、社員の率直な意見を集められる一方で、無責任な意見や批判が寄せられる可能性もあります。
匿名をいいことに「誰が回答したかわからないから」と、自分の意見に責任を持たない回答が増えてしまい、サーベイ自体の信頼性も低下しかねません。
組織改善に有効なデータを収集するには、建設的な意見を求める呼びかけをして、調査の重要性を伝える工夫が必要です。
一方、実名でのサーベイであれば、質問に対して責任のある回答が期待できるため、信頼性のあるデータが収集できます。
実名でエンゲージメントサーベイを実施する3つのメリット
続いては、実名でエンゲージメントサーベイを実施するメリットについて、以下の3点を解説します。
実名であれば、社員一人ひとりの状態を確認しながらサポートができるため、職場内でのコミュニケーション活性化にもつながります。
社員一人ひとりへのケアやサポートができる
エンゲージメントサーベイを実名で行うことで、社員が抱えている悩みや問題を人事部・上司が把握し、状況に応じたケアやサポートができます。
社員の性格データと連携すれば「この社員はこういう性格の持ち主」といったように、具体的なイメージを持ちながら対応方法の検討も可能です。
実名制のサーベイを導入している株式会社ペンシルの事例を紹介します。
以前は匿名でサーベイを実施していたため、部署単位の状態しかわからず、スコアの低い社員がいても「誰に、どのようにケアすべきか」がわかりませんでした。
そこで実名制のサーベイに変更し、以下のように運用しています。
- 月1回の頻度でサーベイを配信
- 回答を促すシステムでのリマインドと声かけを実施
- 前回からの急激なスコアの変化、個別コメントの有無を確認
実名での調査により「いま困っている人が、どのようなことで困っているのか」が可視化され、離職に発展するような状態でも速やかに対策が打てるようになりました。
事例のように社員一人ひとりへのフォローによって、エンゲージメントやモチベーションの向上にもつながります。
以下の記事では、エンゲージメントとモチベーションの違いや、両者を高める方法を解説しています。「社員のやる気を引き出したい」と考えている人事担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
責任感を持った回答が期待できる
実名でのサーベイにより、社員は自分の意見に責任を持って回答するため、適当な回答や過度な批判の減少につながります。
たとえば、職場環境に関する質問をした場合、匿名だと「上司が話を聞いてくれない。意見を言っても無駄だと思う」といった、批判だけに留まりかねません。
実名で回答を求めれば「コミュニケーション不足を解消するため、チームミーティングを実施してはどうか」と、自分の立場や役割を踏まえた回答が期待できます。
また、各部署のコミュニケーション状況を比較したり、社員個人の悩みを直接聞いたりすることで、より実用的な取り組みの検討も可能です。
企業と社員の間でオープンな関係性が築ける
実名回答によって、社員個々の状況に応じたサポートができるため、企業と社員との間で透明性のあるコミュニケーションが生まれやすくなります。
「社員は組織改善を求めて建設的な回答をし、企業は社員の意見を聞いてよりよい組織づくりを行う」といったように、活発な意見交換により信頼関係が強化されるのです。
エンゲージメントサーベイを実名で実施している、嘉穂無線ホールディングス株式会社の事例を紹介します。
社員の定着率は悪くない状況でしたが、会社を辞める人はゼロではなかったため、離職者を少しでも減らそうと実名制のサーベイを導入しました。
約60店舗の各店長と協力して、普段のコミュニケーションでは気づけない社員の心理状態をサーベイで可視化し、その結果をもとに個別面談を実施しています。
社員一人ひとりの状態をデータで確認しながら話をすることで、本人の異動の意向を聞き取るなど、よりコミュニケーションが円滑になりました。
企業と社員との間でオープンな対話が実施されれば、組織全体でも一体感が生まれ、同じ目標を持って業務に取り組めるようになります。
実名でエンゲージメントサーベイを実施するデメリット
実名でのエンゲージメントサーベイには、以下のようなデメリットも存在します。
回答者が実名でわかるため、社員の個人情報や回答内容が第三者に漏れないように、適切な閲覧範囲の設定が必要です。
否定的な意見や本音が出にくい
実名でのエンゲージメントサーベイは、組織のよりよい改善を望む建設的な意見が出やすい一方で、否定的な意見や本音は出にくいです。
そのため、人事や上司からの反応を気にするあまりリスクを避けた回答になり、表面的な意見だけが増えてしまう可能性もあります。
社員の本音を引き出すためには、サーベイ導入前のオリエンテーションや説明会を通じて、調査結果が評価に影響しないことを明確に伝えなければなりません。
社員への丁寧な説明を行っている事例として、株式会社笑美面(えみめん)の取り組みを紹介します。
実名制のサーベイを導入した理由は、調査結果をもとに「どの社員がケアを必要としているのか」を判断してサポートを行い、離職率を低下させるためです。
不満を溜めている社員は、実名の調査でも率直な意見を出してくれるため、離職の傾向を察知してすぐにフォローをしています。
「関係者以外には調査結果を共有しない」「人事評価には影響しない」と、社員に繰り返し伝えたことで、実名制サーベイ導入後も回答率はほぼ100%の状態です。
結果が第三者にバレる可能性がある
サーベイを実名で実施した場合、結果の閲覧範囲を設定していたとしても、閲覧できる関係者によって第三者に情報が漏れてしまう可能性があります。
社員が抱えている不満が予期せぬところで職場内にバレてしまうと、人間関係が悪化したりチームの協力体制が崩れたりすることも考えられます。
情報が第三者へ漏れないようにするためには、システム上の設定に加えて、情報管理の徹底を目的とした管理職への教育も必要です。
実名でのサーベイを逆手にとった事例として、社員同士のコミュニケーションで活用している未知株式会社の取り組みを紹介します。
同社では、個人へのアプローチに注力して離職率を改善するため、組織の状態を可視化できる実名制のサーベイを導入しました。
ケア対象の社員が判明した場合は、上司による1on1ミーティングの実施はもちろん、メンバー同士でお互いの状態を確認し合っています。
メンバー間で「あの社員が少し悩んでいるかも」といった情報と、サーベイの点数を照らしあわせて、個々への改善アクションを起こしています。
匿名でエンゲージメントサーベイを行うときの注意点
エンゲージメントサーベイを匿名で実施するときには、2つの注意点があります。
回答者を識別できるような複数の条件(部署・職位・年齢など)を設定すると、匿名性が失われる可能性があるため、慎重な質問設計が必要です。
匿名性の確保を徹底する
匿名でエンゲージメントサーベイを行うときは、社員が安心して回答できるように、匿名性の確保を徹底する必要があります。
サーベイの設計段階では、個人を特定できるような質問をしたり、特定の出来事に対する意見を求めたりしないように、主催者による確認が必須です。
部署や年齢、業務内容など多数の条件を組み合わせず、プロジェクト全体・チーム全体といった一般化する形で設計しましょう。
また、回答データの管理や評価者に対する周知を徹底し、匿名性が守られていると社員に示すことも、サーベイの信頼につながる重要な取り組みです。
建設的な意見を求める姿勢を示す
匿名でのサーベイの場合、否定的な意見やネガティブなコメントが出やすくなるため、現状のいいところを伸ばしていく建設的な意見も社員に求めましょう。
具体的には、サーベイの導入時に経営陣や人事部が「皆さんの意見を聞いて、よりよい職場をつくりたい」と明言するのが効果的な方法です。
調査においても「働きがいを感じる点は、どのようなところですか?」といった問いかけによって、社員がポジティブな意見も述べやすい環境がつくれます。
問題や課題を解決するだけではなく、職場単位のいい点を見つけ出して組織全体に水平展開することも、エンゲージメントサーベイの目的の一つです。
実名でエンゲージメントサーベイを行うときの注意点
続いては、エンゲージメントサーベイを実名で実施するときの注意点を2つ解説します。
実名でのサーベイは、人事評価への影響を懸念する社員も出てくるため、回答データの利用範囲を明確に伝えておくことが重要です。
人事評価には影響しないことを伝える
会社に対する不満や人間関係の状況などを、社員が安心して回答できるように「どのような結果でも人事評価に影響しない」という点を伝えましょう。
実名でサーベイを実施すると、社員は「会社への不満を述べると、評価に影響するかもしれない」と考え、よくも悪くもない中間の回答をしてしまいます。
実施前に社内説明会を行い「このサーベイは職場環境の改善を目的としており、個々の評価には影響しません」と、社員に明言することが重要です。
人事評価の基準は、業績・能力・情意(姿勢や行動など)を用いるため、サーベイの結果は考慮しないようにしましょう。
以下の記事では、人事評価の方法や手順について詳しく解説していますので、評価制度を見直したい方は参考にしてみてください。
個人情報を安全に管理できるツールを導入する
エンゲージメントサーベイを実名で行うときは、社員名や所属部署、回答データなどの個人情報が外部に漏れないように管理しなければなりません。
その有効な方法の一つが、個人情報を安全に管理できるツールの導入であり、具体的なセキュリティ対策として、以下のようなものがあります。
- 調査結果の閲覧権限の設定
- 社員のアカウント管理
- データの暗号化
- サーバーへの不正アクセス対策
- アクセスログの管理
個人情報が守られるツールの導入によって、第三者に情報が漏れないことに対する安心感を与えられ、サーベイへの参加意欲も高まります。
信頼性が高いエンゲージメントサーベイツール3選
豊富な導入実績と信頼性のあるエンゲージメントサーベイについて、3つのツールを紹介します。
組織・社員両方の状態を可視化できるツールや、社員へのサポートの打ち手がわかるツールをピックアップしました。
ツール | 実名・匿名 | 特徴 |
ミキワメ ウェルビーイングサーベイ | 実名 | ・心の健康状態の可視化で、ケア対象の社員を特定できる ・「ケアを求めている人」のアラートが自動であがる |
Geppo | 実名※組織サーベイは匿名も選択可能 | ・シンプルな設問でエンゲージメントを把握できる ・エンゲージメントの悪化を4つの領域で可視化する |
Wevox | 実名・匿名※どちらも設定可能 | ・9つの項目を可視化して多角的な分析ができる ・豊富な蓄積データをもとに他社との比較ができる |
以下の記事では、上記を含めた10種類のツールを紹介していますので、各ツールの特徴や費用を比較したい方は確認してみてください。
ミキワメ ウェルビーイングサーベイ(株式会社リーディングマーク)
実名・匿名 | 実名 |
特徴 | ・心の健康状態の可視化で、ケア対象の社員を特定できる ・「ケアを求めている人」のアラートが自動であがる |
費用 | 要問い合わせ ※企業規模によって異なる |
公式ホームページ | https://mikiwame.com/well-being.html |
提供会社 | 株式会社リーディングマーク |
実名制の『ミキワメ ウェルビーイングサーベイ』は、社員一人ひとりのモチベーションや心身の状態を可視化して、個別のサポートができるツールです。
性格検査の受検結果をもとに「個々の性格傾向に合わせた改善の打ち手」が提供され、どのようなケアをすればいいのかが即座にわかります。
月1回や週1回といった高頻度で調査を行いますが、短時間(約3分)で回答できるように設計されており、社員に負担をかけません。
特徴や機能をより詳しく知りたい方は、以下の記事を確認してみてください。導入した企業の評判も紹介しています。
Geppo(株式会社リクルート)
実名・匿名 | ・個人サーベイ:実名 ・組織サーベイ:実名(匿名の選択も可能) |
特徴 | ・シンプルな設問でエンゲージメントを把握できる ・エンゲージメントの悪化を4つの領域で可視化する |
費用(税込) | ・1〜25人:2万2,000円 ・51〜100人:7万4,800円 ・301〜500人: 21万7,800円 など |
公式ホームページ | https://www.geppo.jp/ |
提供会社 | 株式会社リクルート |
『Geppo』は、個人サーベイ(高頻度)と組織サーベイ(低頻度)を組み合わせたツールで、社員・組織両方の課題を見える化できます。
個人サーベイでは、選び抜かれた3問の設問に回答するだけで、社員の健康状態や仕事に対する満足度などの測定が可能です。
一方で組織サーベイは、eNPS(※)をベースとした設問設計により、職場の情報を踏まえた評価になり、エンゲージメントの低下要因を特定しやすくなります。
(※)自社を他の人に「どの程度勧めたいか」をあらわす推奨度。
組織サーベイとeNPSを詳しく知りたいご担当者の方は、以下の記事を参考にしてみてください。
Wevox(株式会社アトラエ)
実名・匿名 | 実名・匿名 ※どちらも選択可能 |
特徴 | ・9つの項目を可視化して多角的な分析ができる ・豊富な蓄積データをもとに他社との比較ができる |
費用(税込) | ・スタンダードプラン:月額660円〜/人 ・ベーシックプラン:月額330円〜/人 |
公式ホームページ | https://get.wevox.io/ |
提供会社 | 株式会社アトラエ |
『Wevox』は、社員のエンゲージメントを高め、離職防止や生産性向上を支援するツールで、回答の集計は実名・匿名どちらでも設定可能です。
「現場にとって使いやすい」をコンセプトに設計されており、3分の調査でリアルタイム分析ができるうえに、回答や分析の操作性にも優れています。
蓄積されたビッグデータにもとづく解析により、これまで見えてこなかった組織の特徴や課題、職場活性化のポイントがわかります。
エンゲージメントサーベイの目的に応じて匿名・実名を使い分けよう
エンゲージメントサーベイは、社員の満足度やモチベーションを把握できる有効な手段ですが、調査結果が第三者に漏れないように情報管理を徹底しなければなりません。
回答の集計方法には匿名・実名の2種類があり、それぞれメリットやデメリットが存在するため、目的に応じた使い分けが必要です。
匿名・実名どちらの方法においても、評価者同士での意見交換や、閲覧範囲の設定ミスなどによって、調査結果がバレてしまうケースがあります。
まずは、社内の情報管理体制を整えたうえで、情報の秘匿性が確保できるサーベイツールを導入してみましょう。
従業員のメンタル状態の定期的な可視化・個々の性格に合わせたアドバイス提供を通じ、離職・休職を防ぐパルスサーベイ。30日間無料トライアルの詳細は下記から。