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従業員満足度アンケートを実施したものの「適切な質問ができているのか」「アンケートの効果が感じられない」と、悩みを持つ人事担当者の方もいるのではないでしょうか。
社員と組織の状態を的確に把握するためには、従業員満足度アンケートの実施目的を明確にして、その目的に合った質問項目を設定することが大切です。
アンケートの結果を集計・分析して、社員の満足度が高められるような改善を継続的に実施することで、より組織の活性化が期待できるでしょう。
本記事では、従業員満足度アンケートを実施する際の注意点と質問の項目例・質問サンプルを紹介しています。
従業員満足度アンケートを活用するやり方やツールも解説していますので、自社への導入時の参考にしてみてください。
従業員満足度(ES)アンケートとは?
従業員満足度(ES)アンケートとは、仕事内容や労働環境、待遇など、企業に対する社員の満足度を測定する調査のことです。
従業員満足度は、主に以下の7つの要素で構成されています。
- 企業理念・ビジョン
- 人事評価・キャリア
- 仕事内容
- 労働環境・条件
- 給与・報酬
- 福利厚生
- 人間関係・チームワーク
今回は従業員満足度(ES)アンケートを解説する記事となりますが、従業員満足度について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
アンケートを実施して社員の満足度や意見を把握することで、現状の課題や改善点を特定し、働きやすい職場づくりに向けた具体的な施策の検討ができます。
従業員満足度アンケートを実施する目的
従業員満足度アンケートは、主に以下のような目的で実施されます。
- 社員の離職率を低下させる
- 定期的に組織や社員の状態を把握する
- 労働環境や待遇面などの改善策を検討する
- 改善策を実行して効果の検証をする
- 顧客満足度(CS)を向上させる
従業員満足度アンケートを実施する企業のメリットは、社員の定着率を高めて「働きやすい会社」「やりがいのある仕事」といった、企業のイメージが向上する点です。
一方で社員にとってのメリットは、柔軟な勤務体系が整備されたり、給与や福利厚生が充実したりと、より働きやすい環境に改善されていくことです。
このように、企業と社員の双方に従業員満足度アンケートを実施するメリットがあります。
従業員満足度アンケートの実施ポイント・注意点
従業員満足度アンケートを実施する際のポイントや注意点は、主に以下の3つが挙げられます。
社員の率直な意見や正確な満足度を把握するために、企業の人事担当者の方は、これらのポイントを把握してアンケートを実施しましょう。
従業員満足度アンケートの実施ポイントと注意点について、以下より解説していきます。
目的を明確にして質問項目を決める
従業員満足度アンケートを実施する際は、ただ満足度を把握するだけではなく、目的を明確に決めておくことが重要です。
目的が明確になれば、それに対応した質問項目や内容を設定でき、社員から得られる回答もより具体的で正確なものになります。
また、社員が自由に意見できるようなアンケート形式にすることも、さまざまな要望を収集するために有効な手段の一つです。
少ない質問数で回答しやすくする
従業員満足度アンケートの質問数を少なく抑えて、社員が回答しやすくすることも、調査するうえで大切なポイントです。
質問数が多すぎると、回答に時間がかかり社員の負担が増えるため、回答する意欲や正確性が低下してしまう可能性もあります。
一度のアンケートでさまざまな要素を把握しようと質問を多く設定しがちですが、目的に沿った質問数とシンプルな内容のアンケートにするように心がけましょう。
また、質問の文章や内容は、抽象的な表現を避けて誰でも同じように解釈できるように、わかりやすくすることも重要です。
一度だけではなく定期的に実施する
従業員満足度は、一度だけのアンケート結果ではすべての要素を把握しきれません。
定期的にアンケートを実施して、別の視点から複数回の調査をすることで、新たな問題点や改善点を発見できます。
従業員満足度アンケートを定期的に行うことは、満足度の把握に加えて社員とのコミュケーションの機会にもなり、企業と社員との信頼も構築できるでしょう。
従業員満足度アンケートの項目例と質問サンプル
従業員満足度アンケートで質問される項目例は、主に以下の8つの内容です。
適切な質問項目を選定し、社員の本音を引き出すことで、職場環境の改善や満足度向上につながります。
各項目の質問サンプルも紹介していますので、企業の人事担当者の方は、自社のアンケート活用時の参考にしてみてください。
以下より、質問の項目例とサンプルを紹介していきます。
総合的な満足度
総合的な満足度は、組織や仕事に関する全体的な満足度を調査する項目で、質問サンプルは以下のとおりです。
【質問サンプル】
- 現在の仕事に満足していますか?
- 働くことに誇りを感じていますか?
- 組織の雰囲気や文化に満足していますか?
- 仕事にやりがいをもって取り組めていますか?
- 社員の意見や要望が反映されていると感じますか?
社員が組織に対して抱く全体的な印象や満足度を把握することで、組織の強みや仕事全般に対する改善点の把握ができます。
仕事内容に関する満足度
仕事内容に関する満足度は、社員自身が従事している仕事内容についての満足度を調査する項目で、質問サンプルは以下のとおりです。
【質問サンプル】
- 自分の仕事の内容や職務に対してどの程度満足していますか?
- 仕事において達成感を得られていますか?
- 仕事の難易度についてどの程度満足していますか?
- 仕事のスキルや能力を活かせていますか?
- 自分の仕事が会社の貢献に役立っていると感じますか?
社員の仕事の「モチベーション・意欲・やりがい」を把握して、能力に合った仕事内容や働きやすい環境への改善につなげられます。
上司に関する満足度
上司に関する満足度は、上司のリーダーシップやコミュニケーションなどについての満足度を調査する項目で、質問サンプルは以下のとおりです。
【質問サンプル】
- 上司とのコミュニケーションに満足していますか?
- 上司からのフィードバックや指導に満足していますか?
- 上司が目標や役割を明確に伝えてくれていますか?
- 上司が部下の成長をサポートしていると感じますか?
- 上司が公平かつ適切に評価していると感じますか?
上司との関係が社員のモチベーションやパフォーマンスに影響を与えるため、上司からのサポートやコミュニケーションの改善点を見つけることが重要です。
職場環境に関する満足度
職場環境に関する満足度は、職場の雰囲気や人間関係、設備状況などについての満足度を調査する項目で、質問サンプルは以下のとおりです。
【質問サンプル】
- 職場の雰囲気や文化に満足していますか?
- 職場の仕事とプライベートのバランスに満足していますか?
- 職場のコミュニケーションやチームワークに満足していますか?
- 職場の労働環境や設備に満足していますか?
- 職場のサポート体制に満足していますか?
職場の雰囲気やチームワーク、設備などの状況を把握することで、社員同士がコミュニケーションを取りやすい環境の構築や、業務効率化に向けた改善ができます。
待遇・福利厚生に関する満足度
待遇・福利厚生に関する満足度は、給料や報酬、労働時間などについての満足度を調査する項目で、質問サンプルは以下のとおりです。
【質問サンプル】
- 給与やボーナスに満足していますか?
- 福利厚生制度について満足していますか?
- 退職金や年金制度に満足していますか?
- 健康保険や医療制度に満足していますか?
- 休暇制度や有給休暇の取得に満足していますか?
待遇や福利厚生は、社員のモチベーションに影響を与える要素の一つであるため、給与や福利厚生制度を充実させることで、従業員満足度の向上にもつながります。
企業風土に関する満足度
企業風土に関する満足度は、企業ビジョンやコンプライアンスなどについての満足度を調査する項目で、質問サンプルは以下のとおりです。
【質問サンプル】
- 当社のビジョンや目標に共感できますか?
- 社内のコミュニケーションに満足していますか?
- チームワークや協力体制に満足していますか?
- 社内の意思決定プロセスに満足していますか?
- 当社の行動規範やコンプライアンスを守って働いていますか?
企業ビジョンへの共感や企業の価値観に対する満足度は、従業員エンゲージメント(組織への貢献意欲)にも影響があるため、企業の成長には欠かせない要素の一つです。
従業員エンゲージメントを詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
人事評価に関する満足度
人事評価に関する満足度は、キャリア開発や昇進、人事異動などについての満足度を調査する項目で、質問サンプルは以下のとおりです。
【質問サンプル】
- 人事評価が公平に行われていると感じますか?
- 成果に対する評価のフィードバックは適切に行われていますか?
- 人事評価に見合った報酬があると感じますか?
- 評価に対して意見を言いやすい環境だと感じますか?
- 人事評価の結果を自己の成長やスキルアップに活かせていますか?
人事評価の透明性や公平性、評価のフィードバックなど、社員が適切に評価を受けているか把握することで、社員の成長やキャリアアップに活かす施策が検討できます。
経営に関する満足度
経営に関する満足度は、経営理念や経営層との関係性などについての満足度を調査する項目で、質問サンプルは以下のとおりです。
【質問サンプル】
- 経営理念・方針に共感できますか?
- 経営層が社員の意見を聞く機会がありますか?
- 経営層の意思決定プロセスに透明性を感じますか?
- 経営層のコミュニケーションは適切で理解しやすいですか?
- 会社の将来に対して希望を持っていますか?
経営方針への共感や将来への希望、経営層とのコミュニケーションなど、経営に対する満足度は、社員との信頼関係を構築するうえでも重要な要素の一つです。
従業員満足度アンケートの実施〜活用までのやり方
従業員満足度アンケートの実施からデータの活用までのやり方は、以下の8つのステップです。
具体的な実施手順やフィードバックの方法を把握することにより、組織の改善点を特定し、従業員満足度を高める施策が検討できます。
以下より、従業員満足度アンケートの実施・活用の手順を解説します。
1:実施目的を明確にする
まずは、従業員満足度アンケートの実施目的を明確に決めておきましょう。
- 職場環境や労働条件の改善点を特定する
- キャリア開発や福利厚生の制度改革をする
- 部署やチームの満足度を比較し検証する
このように、具体的な目的を決めておくことで、アンケート結果の分析や改善策の検討がより効果的なものになります。
2:実施方法を検討する
次に、以下の実施例のような、自社の特性に合ったアンケート方法を検討します。
- 自社のシステムで行う
- 外部の会社に依頼する
- 紙ベースのアンケートを行う
- サーベイツールを利用する
アンケートを実施する時期や頻度についても検討し、社員に負担をかけず率直な意見が聞き出せる環境にすることが大切です。
3:質問項目を設定する
「ステップ1」で決めた目的をもとに、質問する項目を設定します。
前述の「アンケートの項目例」を参考に「社員のどのような満足度を調査するのか」を明確にして、質問数を多くしすぎないように注意が必要です。
また、自社の正社員や契約社員、アルバイトなど、調査対象や範囲についても検討して決めておきましょう。
4:アンケートを実施する
実施方法や質問項目が決定したら、社員へのアンケートを実施します。
アンケート実施前には、社員に対して調査目的やスケジュールを丁寧に伝え、参加意欲を高めることが大切です。
アンケートの期間や回答期限を提示して、回答率や正確性を上げるために、社員が余裕をもって回答できるように配慮しましょう。
5:回答の集計・分析をする
アンケートの結果を集計し、満足度を数値化して分析を行います。
データの分析には、主に以下のような方法があります。
分析方法 | 内容 |
---|---|
単純集計 | 調査結果を質問項目ごとに集計して、組織全体の傾向を把握する分析方法 |
クロス集計 | 単純集計の結果から、チームや年齢、性別といった属性ごとに分析する方法 |
満足度構造分析 | 満足度の高い人の傾向を把握するために、重視している項目を分析する方法 |
数値化したデータをグラフ化し、満足度の「高い人」と「低い人」の傾向やパターンを把握することで、客観的に評価して改善すべき項目を的確に捉えられます。
6:改善策を検討する
アンケートで得られた要望や分析結果をもとに、具体的な改善策を検討します。
アンケートの実施から改善策の提示まで期間が空いてしまうと、社員から不満が出る可能性もあるため、スピーディーな検討が必要です。
組織やチーム、社員個人に分類した改善策を立てることで、それぞれの役割が明確になり、組織全体のパフォーマンス向上にもつながります。
社員のパフォーマンスを高める方法は、モラールサーベイもおすすめです。より詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
7:社員へフィードバックする
アンケート結果を社員に対してフィードバックを行い、満足度の傾向や改善点について正確に伝えましょう。
社員の意見を組み込んだ具体的な改善策を伝えることで、社員は自身の意見が反映されたことを実感し、組織に対する信頼度や貢献度が向上します。
フィードバックする際は、満足度が低いネガティブな情報だけではなく、満足度が高い項目を紹介するといった、ポジティブな情報の提供も重要です。
8:改善策を実行・検証する
社内の方針が決定したら準備を行って、実際に改善策を実行します。
改善策は、関係部署と協力して速やかに実行し、スケジュール管理と継続的な取り組みが重要です。
定期的に進捗をモニタリングして「課題が解決されてきているか」を確認し、必要に応じてやり方や方向性の修正を行いましょう。
また、月1回や週1回といった高頻度で状況確認する方法として、パルスサーベイの活用が効果的です。
パルスサーベイについて詳しく知りたい方は、以下の記事を確認してみてください。
従業員満足度アンケートでよく使われる3つのツール
ここからは、従業員満足度アンケートでよく使われるツールを3つ紹介します。
ツールを選定する際は「どのような満足度が調査できるか」や「課題解決に向けた改善策が提案されるか」など、特徴や機能を確認しておくことが重要です。
人事担当者の方は、以下より紹介するツールを参考にして導入の検討をしてみてください。
1:ミキワメ ウェルビーイング(株式会社リーディングマーク)
費用 | 要問い合わせ ※利用人数によって異なる |
特徴 | ・社員の心理状態をタイムリーに把握できる ・離職や休職の予兆がある社員の特定が可能 ・社員の性格を踏まえた評価・アドバイスができる |
公式ホームページ | https://mikiwame.com/well-being.html |
提供会社 | 株式会社リーディングマーク |
『ミキワメ ウェルビーイング』は、社員の心理状態をもとにした調査や分析を行い、離職や休職の予兆を把握することに特化したパルスサーベイツールです。
パソコンやスマホから約2分で回答できる質問形式になっており、社員に負担をかけることなく、コンディション(幸福度)の可視化が可能です。
ケアが必要な社員を特定して、性格を踏まえたアドバイスができるため「親身なサポートが受けられる」と社員が実感し、従業員満足度の向上が期待できます。
2:リアルワン従業員満足度調査(リアルワン株式会社)
費用 | 要問い合わせ ※3種類のコース(ライト・スタンダード・プレミア) |
特徴 | ・Web集計システムで詳細な分析が可能 ・87項目の設問で全体的な満足度を把握できる ・領域別にさまざまな視点で満足度の調査が可能 |
公式ホームページ | https://www.realone-inc.com/service/es/ |
提供会社 | リアルワン株式会社 |
『リアルワン従業員満足度調査』は、3種類のコースの調査パッケージから選択でき、自社の特性や要望に沿った調査が可能です。
プレミアコースでは、アンケート結果をもとに、専門的な視点から現状の課題や改善策のアドバイスを受けられるため、アクションプランの実行がスムーズに行えます。
リアルワン株式会社は、他の調査サービスを含めて利用者が100万人を超える、調査・評価を専門にしている会社であり、豊富な実績と信頼があると言えます。
3:スマカン(スマカン株式会社)
費用 | ベーシック:5万円〜/月 ※満足度アンケートはオプションのため、要問い合わせ |
特徴 | ・社員情報を一元管理して状態を把握する ・社員のスキルを分析して育成計画が立てられる ・満足度アンケートに加えてさまざまな調査が可能 |
公式ホームページ | https://smartcompany.jp/ |
提供会社 | スマカン株式会社 |
『スマカン』は、人材情報の管理や人事評価といった総合的な人事マネジメントシステムのツールです。
社員のモチベーションやコンディション、スキルなどを一元管理し、労働環境の改善やキャリアアップの形成に役立てられます。
スマカンは、公的機関や大手企業まで710社以上の導入実績があり、満足度や導入のしやすさでも高評価を受けています。
従業員満足度アンケートを実施する場合は、ベーシックプランに加入したうえで、アンケート機能のオプション追加が必要です。
従業員満足度(働きがい)のランキング上位の企業とは?
調査機関である「株式会社働きがいのある会社研究所(GPTW)」によって、従業員満足度(働きがい)のランキングが発表されており、1位〜3位の企業は以下のとおりです。
順位 | 大規模企業 (1000人以上) | 中規模企業 (100人〜999人) | 小規模企業 (25人〜99人) |
---|---|---|---|
1位 | シスコシステムズ合同会社 | 株式会社コンカー | 株式会社あつまる |
2位 | 株式会社セールスフォース・ジャパン | アチーブメント株式会社 | 株式会社現場サポート |
3位 | DHLジャパン株式会社 | 株式会社CKサンエツ | 株式会社バーテック |
参考:2023年度「働きがいのある会社」ランキング|GPTW
GPTWが考える「働きがい」とは「働きやすさ」と「やりがい」の両方が備わっている状態のことをあらわし、満足度に関わる要因は「やりがい」に含まれています。
ランキング上位の企業の社員からは「仕事に行くことが楽しみである」「経営層と気軽に話ができる」といった、働きがいを感じられる声が上がっています。
まとめ:アンケートを活用して従業員満足度を向上させよう
今回の記事では、従業員満足度アンケートの概要や目的、活用手順について解説しました。
従業員満足度アンケートは、組織に対する社員の満足度やリアルな意見を把握して、職場環境や福利厚生の改善につなげる重要な調査方法です。
アンケートは自社のシステムや紙ベースで行うこともできますが、企業が提供しているツールを活用することで、集計や分析にかかる時間を削減でき、効率的な運用ができます。
社員のモチベーション向上や離職率の低下など、企業の成長につなげる施策を行うために、従業員満足度アンケートの導入を検討してみてください。
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