採用で適性検査を実施しているものの「意味がある活用ができているのだろうか」と、疑問を感じている人事担当者の方もいるのではないでしょうか。
適性検査は候補者の適性を評価してくれますが、単に結果を鵜呑みにしてしまっては、本当の人物像を見落としてしまう可能性があります。
また、形式的に実施したり、目的もなく何度も受検させたりするのでは、採用ミスマッチにつながりかねません。
しかし、採用基準をもとに適性検査を上手に活用すれば、候補者の適性を多角的に評価でき、自社の求める人材を採用できます。
本記事では、適性検査の意味がない活用のケースとデメリットを解説し、その解決策となる具体的な活用方法と企業事例をご紹介します。
適性検査の意味がない活用をしているケース
企業が適性検査を導入する目的は、採用プロセスの効率化やミスマッチの防止ですが、その本来の目的を果たせていないケースがあります。
ここでは、適性検査の意味がない活用をしている3つのケースをご紹介します。
以下より一つずつ解説していきますので、自社でも同じような活用をしていないか確認してみてください。
適性検査の結果だけを鵜呑みにしている
候補者を採用するかどうかの判断に、適性検査の結果だけを鵜呑みにして合否を決めてしまっているケースです。
このケースでは、適性検査の結果を絶対的なものと捉えて、履歴書や面接など他の評価項目を軽視、または無視してしまっていることが問題点です。
候補者の人間性を見抜くためにも、適性検査の結果はあくまで判断材料の一つとして位置付け、他の評価方法と組み合わせて総合的に判断しなければなりません。
採用における適性検査が形式的になっている
採用において「とりあえず適性検査をやっている」というように、形式的な状態になってしまっているケースです。
このケースは、適性検査を実施する目的や、検査結果の活用方法が明確に決まっていない場合に起こりやすいです。
また、検査結果がどれだけよくても、面接での印象が悪ければ不採用にするといった、面接官の主観で採用してしまうケースもあります。
以下の記事では、適性検査の結果を有効活用するための方法を詳しく解説しています。自社の採用プロセスを見直すときの参考にしてみてください。
目的なく適性検査を複数回受検させている
採用エントリーのときや面接の前後など、目的なく複数回にわたって適性検査を受検させているケースです。
たとえば、1次面接前に性格検査、2次面接前に能力検査、最終面接前にストレス耐性検査といった各段階で独立した評価を行っている場合です。
候補者は各検査を受検するたびに準備が必要なため、時間とエネルギーを消耗してしまい、最終的には企業への不信感を抱く可能性があります。
検査の複数回実施は、候補者がストレスを感じるだけでなく、企業としても各検査の結果を活用しにくく、一貫性のない判断につながりかねません。
また、受検者が適性検査を難しいと感じてしまう側面もあるため、時間と労力をかけないような受検形式にする必要もあります。
以下の記事では、適性検査を難しく感じる理由とその対策を詳しく解説していますので、自社で運用するときの参考にしてみてください。
適性検査の意味がない活用によって生じるデメリット
ここまで解説した「適性検査の意味がない活用」によって、企業側には次のようなデメリットが生じてしまいます。
上記のデメリットを避けるためには、適性検査の目的を明確にし、他の選考手法と組み合わせて総合的に評価することが重要です。
適性検査を有効活用する方法については後述していますので、先に確認してみたい方はこちらからチェックしてみてください。
候補者の人間性を見抜けずミスマッチが起きる
適性検査の結果だけを重視してしまうことで、候補者の人間性や考え方を見抜けず、ミスマッチが起きる可能性があります。
たとえば、数値的に業務遂行能力が優れた人材を採用したものの、企業の働き方や職場環境に馴染めず早期離職してしまう、といったケースも考えられます。
リクルートの調査によると、早期離職した理由のなかで「労働環境・条件がよくない」と回答した人が25%と、もっとも多いことがわかりました。
入社前と入社後のイメージが異なるミスマッチによって、早期離職してしまうケースがあるため、自社のリアルな働き方を伝えていく取り組みも必要です。
以下の記事では、採用ミスマッチによって生じるデメリットと、その原因・対策を解説していますので、適性検査を活用するときの参考にしてみてください。
本来採用すべき人材を見落としてしまう
適性検査の高いスコアの人だけを採用してしまうと、本来採用すべきポテンシャルを秘めた人材を見落とす可能性があります。
とりあえず適性検査を受検させているような形式的な運用では、自社の社風に合わない人材を採用してしまうことも考えられます。
「どのような人材が自社に必要か」という明確な採用基準をもとに、適性検査の結果と照らし合わせながら、採用合否を判断することが重要です。
採用にかかる時間や費用が無駄になってしまう
適性検査を何度も実施するような運用をしてしまうと、一貫性のある評価ができず、採用プロセスを進めるのが非効率になります。
その結果、検査の受検料や準備するための人件費など、採用にかかる経費がかさむうえに、データの集計・分析にも時間がかかってしまいます。
就職みらい研究所の調査によれば、2019年度の新卒採用にかかった一人当たりの平均コストは93.6万円、中途採用においては103.3万円だとわかりました。
調査結果を踏まえてみても、採用にかかるコストは無視できないため、適性検査を目的に応じて活用し、採用コストを抑える工夫も必要です。
適性検査の意味がある3つの活用方法
適性検査の意味がある活用をするために、次の3つの方法を実践してみましょう。
候補者を客観的に評価できる便利なツールですが、検査結果を鵜呑みにせず、他の方法と組み合わせて総合的に採用合否を判断する必要があります。
以下より、それぞれの活用方法を解説していきます。
適性検査以外の選考方法と組み合わせる
適性検査の結果だけでは候補者の全体像を把握するのは難しいため、他の選考方法と組み合わせることが重要です。
たとえば、検査結果でスコアが低い項目を確認できれば、面接においてその項目を掘り下げる質問をすることで、スコアではわからない本人の考えが聞き出せます。
マイナビの調査によれば、適性検査(Web)を実施している上場企業は73.7%であり、動画選考やWeb面接を実施している企業もあります。
また、次のような採用手法を取り入れ、採用前に自社の魅力を伝える取り組みを行っていることもわかりました。
- 体験型インターンシップ
- 会社・工場見学
- 企業セミナー
適性検査のみでは見抜けない「人間性」や「価値観」を面接などで補完し、総合的に候補者を評価する仕組みづくりが重要です。
自社の採用基準をもとに検査を実施する
適性検査を行うときは、まず自社の採用基準を明確に定義して、その基準にもとづいた検査と評価が不可欠です。
自社の求める人物像や、仕事を進めるために必要なスキルセットを社内で協議しておくことで、適性検査で評価すべき要素が明確になります。
就職みらい研究所の調査によると、企業が採用基準を決めるうえで、次のような項目を重視していることがわかりました。
項目 | 重視している企業の割合(n=1520) |
---|---|
人柄 | 93.8% |
自社への熱意 | 78.9% |
今後の可能性 | 70.2% |
適性検査(性格)の結果 | 42.3% |
基礎学力 | 36.5% |
適性検査(能力)の結果 | 32.4% |
自社の採用基準をもとに、各項目が測定できる適性検査ツールを選定し、具体的な検査内容や設問を決めていきましょう。
新卒採用における適性検査の概要や評価項目については、以下の記事で詳しく解説しています。おすすめの適性検査ツールも紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
また、性格検査のデータを採用基準に活用する方法についても、別の記事で紹介しています。
データ分析で効率的かつ多角的に人物評価する
適性検査の結果をデータ化し、自社の採用基準や過去の実績をもとに分析することで、候補者の適性を多角的に評価できます。
候補者の基礎的な能力はもちろんですが、次のような項目も測定しておきましょう。
- 組織風土(社風)とのマッチ度
- 仕事の安定度
- 職種・チームへの適性
採用合否を判断するときは、適性検査のデータを絶対視するのでなく、面接などの評価を掛け合わせることで、より客観的な人物評価が可能です。
近年では、適性検査の回答データをAIに分析させて、採用前の段階で早期離職を予測する研究も行われています。
リーディングマークが提供する適性検査ツール『ミキワメ』では、ChatGPTを活用したAI機能「ミキワメAI」を導入しました。
AIによる精度の高い分析で、個々の性格に応じたアクションプランが提供されるツールです。ご興味のある方は以下の記事を確認してみてください。
適性検査を上手に活用している企業事例
ここからは、適性検査を上手に活用している企業を3社ご紹介します。
どの企業も、自社の採用基準にもとづいた検査を実施しており、早期離職やミスマッチの防止につながっています。
以下より各事例を解説していきますので、自社でも取り入れられる点がないか確認してみてください。
入社後の「馴染みやすい部署」の決定にも活用
適性検査を採用判断の場面だけで利用するのではなく、入社したあとの「馴染みやすい部署かどうか」の決定にも活用しています。
まずは、社員全員を対象とした性格検査を行って、組織全体の傾向(社風)を把握し、自社オリジナルの採用基準を策定しました。
適性検査の結果は、採用合否の判断に加えて、教育担当者やメンターとのマッチング度の把握にも活用し、馴染みやすい部署の選定を行っています。
適性検査を有効活用したことで、60%だった候補者の内定承諾率が、83%にまで向上しました。
事例:新卒採用と社内組織の改善にミキワメを活用したい|株式会社フィッツコーポレーション
面接(感覚的)と適性検査(定量的)を組み合わせた採用
適性検査の結果だけでは合否を決めず、最終面接での定量的なデータとして、次のような点を参考にしています。
- ミッションへの共感が得られているか
- 入社後にミッションを体現していけそうか
- どういう傾向がある人なのか
検査結果をもとに出力される採用上の懸念事項や、面接で質問すべき項目を参考にしながら、候補者との面接を行いました。
面接による「感覚的なものさし」に、適性検査の「定量的なものさし」が加わったことで、採用の精度が向上しています。
「社内で活躍している人に近いタイプの人材か」など、新たな視点で面接できている点も、適性検査を活用した成果だと感じています。
事例:中長期の組織の理想像から逆算をした採用基準を設定|デジタルアスリート株式会社
社風分析の結果から明確な採用基準を設定
適性検査の組織(社風)分析を通して、成果を出している社員の特性を可視化し、自社独自の採用基準を設定しています。
以前は明確な採用基準が決まっておらず、感覚に頼った採用をしていたため、候補者の個性を見落としてしまうケースがありました。
面接官が感じた結果と、適性検査で得た客観的なデータをもとに「社風に合っているかどうか」を判断し、最終選考につなげるように改善しました。
適性検査を有効活用したことで、採用基準に合致している内定者が増加し、合否判断にかかっていた時間や工数も削減できています。
事例:「感覚で実施していた採用」をデータで可視化し、明確な採用基準を設定|株式会社フォーラス&カンパニー
適性検査を有効活用できるおすすめツール
適性検査の意味がある活用をするためには、自社の採用プロセスに合ったツールの選定が重要です。
導入実績が豊富な3つのおすすめツールをピックアップしましたので、検査項目や特徴を参考に検討してみてください。
適性検査ツール | 検査項目 | 機能・特徴 |
---|---|---|
ミキワメ 適性検査 | (1)性格検査 ・価値観 ・バイタリティ など (2)能力検査 ・言語理解 ・文章構成力 (3)ストレス耐性検査 ・ストレスマネジメント特性 ・職場適応力 ・メンタスヘルス など (4)自社のハイパフォーマーとの適性度分析 | ・組織分析を通して、自社独自の採用基準が策定できる ・活躍可能性の高い人材を見極められる ・カスタマーサクセスチームによる、導入のサポートが受けられる |
SPI | (1)性格検査 ・組織適応性 ・職場適応性 など (2)基礎能力検査 ・言語分野 ・非言語分野 ※英語検査などオプションあり | ・さまざまな受検形式から選択でき、企業規模や業種を問わず利用できる ・実績に裏付けられた高い精度で、受検者の特徴を分析できる |
GAB | (1)知的能力検査 ・言語理解 ・計数理解 (2)パーソナリティ検査 ・入社時に見ておくべき特性 ・将来のマネジメント適性 ・職務適性 | ・将来のマネジメント適性や組織適応性などを総合的に判定できる ・営業、研究開発など7つの職務適性を予測できる |
以下の記事では、24種類の適性検査ツールを解説していますので、より多くの検査を比較してみたい方は確認してみてください。
まとめ:意味がない適性検査の活用方法を見直してみよう
今回の記事では、適性検査の意味がない活用のケースとそのデメリットを解説し、解決策となる有効な活用方法を紹介してきました。
意味がない活用のケース | 意味がある活用のケース |
---|---|
適性検査の結果だけを鵜呑みにしている | 適性検査以外の選考方法と組み合わせる |
採用における適性検査が形式的になっている | 自社の採用基準をもとに検査を実施する |
目的なく適性検査を複数回受検させている | データ分析で効率的かつ多角的に人物評価する |
適性検査を上手に活用している企業では、社内向けの性格検査を通して社風を分析し、その採用基準をもとに候補者の適性を評価しています。
検査結果だけで採用の合否は決められませんが、精度の高い分析データを活用することで、自社に合った人材が発掘できます。
本記事の事例を参考にして、適性検査の効果を引き出せるような活用方法を検討してみてください。
ミキワメは、候補者が活躍できる人材かどうかを500円で見極める適性検査です。
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