- 人事部門の仕事と5つの課題
- 人事課題の解決策と具体例
- 2024年の人事課題に関わるトレンド
「採用した人材がすぐに会社を辞めてしまう」
「なにが原因で社員のモチベーションが上がらないのか」
このように、日々の業務のなかでさまざまな課題に直面し、頭を悩ませている人事担当者の方もいるのではないでしょうか。
自社で活躍してくれる人材の確保や、時代のニーズに応じた人材育成など、会社を成長させるうえで取り組まなければならない課題は山積みです。
また、近年増加しているM&Aや組織再編においても、専門知識を持った人材が不足しているなど、人事面での課題が表面化してきています。
そこで本記事では、人事部門が直面する5つの課題とその解決策について、具体的なデータをもとに詳しく解説します。
2024年に注目すべき重要なテーマについても触れていますので、人事課題の解決に向けたヒントを得てみてください。
人事部門の仕事と抱える課題とは?
人事部門は企業の成長を支える重要な役割を担っており、その仕事内容は採用活動だけにとどまらず、以下のように多岐にわたります。
仕事内容 | 主な業務 | 主な課題 |
採用 | 採用計画の策定、応募者の選考 | ・ミスマッチにより人材が定着しない ・募集をかけても人材が集まらない |
人材育成 | 研修や教育の計画・実行 | ・人材育成に充てる時間が確保できない ・育成・指導する人材が不足している |
人事評価 | 評価制度の設計・運用 | ・明確な評価基準が決められていない ・新しい働き方に対応した評価ができていない |
人員配置 | 能力・経験などを考慮した配置 | ・経験や勘だけを頼りに人員配置している ・専門性の高い仕事内容に合う人材がいない |
労働環境の整備 | 適正な労働時間管理、休暇取得を促進する施策 | ・長時間労働の削減に取り組めていない ・ハラスメントに該当するかの判断が難しい |
仕事内容に対する課題もさまざまで、人事部門としては解決すべき課題の優先順位をつけて検討しなければなりません。
上記の仕事内容のリンクからそれぞれの人事課題を確認できますので、知りたい情報からチェックしてみてください。
人事課題の実態調査|ランキングを紹介
ALL DIFFERENT株式会社が実施した「人事部の実態調査」をもとに、各企業の人事部門が取り組もうとしている課題をランキング形式で紹介します。
順位 | 取り組みたい課題 | 回答割合 | |
301人以上の企業 | 300人以下の企業 | ||
1 | 人材育成・組織開発 | 95.1% | 84.0% |
2 | 採用 | 72.5% | 67.1% |
3 | 評価制度 | 55.9% | 50.6% |
4 | 経営との連動性の向上 | 38.2% | 25.5% |
5 | 労務管理 | 26.5% | 22.5% |
昨年の調査に引き続き「人材育成・組織開発」が1位となっており、人事担当者の方が実際に悩んでいる点は以下のとおりです。
- 現場社員の現業が忙しく、育成に割ける時間がない
- 人材育成・組織開発を推進するメンバーの知識が不足している
- 部署によって育成への意識や取り組みに差がある
人材育成にかける時間確保が困難なことに加えて、会社全体を巻き込んで人材育成していく難しさを感じていることが伺えます。
参考:【調査】人事部の最大の課題「人材育成・組織開発」|ALL DIFFERENT株式会社
「採用」に関する人事課題
まずは「採用」に関する課題について、人事部門が抱える具体的な悩みを2つ解説します。
人材の採用は、企業の成長を支える重要な分野ですが、現代の多様化する労働市場において、人材確保が難しくなってきています。
ミスマッチにより人材が定着しない
採用時に期待していた能力やスキル、組織文化への適応度が入社後の実情に合わず、早期離職につながるケースも少なくありません。
ミスマッチが起きてしまうと、採用にかけた時間やコストが無駄になるだけでなく、社員が定着しない会社として企業イメージにも悪影響を及ぼします。
マンパワーグループによるミスマッチ状況の調査によれば、人事担当者の8割を超える人が新卒採用後のミスマッチを経験していることがわかりました。
また、ミスマッチによって以下のような影響も出ています。
- 採用した社員が早期離職した(57.9%)
- 採用した社員を配置転換した(31.2%)
- 配属先の人間関係が悪くなった(25.2%)
- 追加採用を行った(23.6%)
参考:調査データ(新卒採用におけるミスマッチは8割超)|マンパワーグループ
社員の定着率の低さは、企業の成長を妨げる要因となるため、採用時には会社のよいところも悪いところもすべて伝える工夫が必要です。
定着率を上げる方法については、以下の記事で詳しく解説していますので、取り組みを検討するときの参考にしてみてください。
定着率を上げる7つの方法と具体例|改善のステップや企業事例も解説募集をかけても人材が集まらない
人材確保の競争が激しい労働市場においては、採用の募集をかけたとしても応募者が集まらないケースも多くなってきています。
東京商工会議所の調査によると、中小企業の68.0%が「人手が不足している」と回答しており、2015年の調査以降でもっとも大きい数値となっています。
また、人手不足によって以下のような影響が出ていることもわかりました。
- 現有人員で工夫してやりくりしている(77.2%)
- 納期遅れや品質・サービスの低下などの支障が生じている(21.6%)
- 新規市場の開拓など、事業拡大を見送った(18.7%)
参考:人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査|東京商工会議所
人材確保に向けて、給与や評価などの制度見直しや、ワークライフバランスを重視した労働環境の構築が求められます。
採用においては、各フローでの歩留まりを改善する施策も必要です。以下の記事では、マーケティング視点での歩留まり改善戦略を解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
「人材育成」に関する人事課題
続いては「人材育成」に関する課題について、人事部門が抱える悩みを2つ解説します。
人材育成の課題を放置してしまうと、社員の能力やスキルの向上が遅れ、組織全体のパフォーマンス低下を招く可能性があります。
人材育成に充てる時間が確保できない
日常業務の多さや忙しさから、研修・教育を計画的に実施する時間が確保できず、人材育成が後回しになってしまうケースがあります。
とくに社員数が少ない企業では、限られた人員・リソースのなかで業務を遂行する必要があるため、人材育成の優先順位が下がりがちです。
厚生労働省の調査においても「従業員の業務が多忙で、人材育成に充てる時間を確保できない」の回答が、53.5%ともっとも多いことがわかりました。
また、研修や教育を計画したとしても、社員が参加しにくい時期や時間帯に設定すると、社員からの不満も出てしまいます。
オンライン学習ができるプラットフォームの導入など、社員が自分のペースで学べる環境を整えることも重要です。
以下の記事では「DeNAから学んだ人材育成・マネジメントの型」の講演をまとめて掲載しています。人材育成の課題を抱えている人事部門の方は、自社の育成戦略のヒントを見つけてみてください。
育成・指導する人材が不足している
人材育成に関する課題として、経験豊富な指導者やメンターが不足し、育成する体制が整わない点が挙げられます。
厚生労働省の調査によると、80.2%の企業が能力開発や人材育成に問題を抱えており、そのなかで「指導する人材の不足」の回答が58.5%ともっとも多くなっています。
専門知識を持った社員が必ずしも優れた指導者になるとは限らず、指導力やコミュニケーション能力を兼ね備えた人材が必要です。
指導者としてのスキルを磨くために、リーダー研修やコーチングプログラムを導入して、学ぶ機会を提供する取り組みも求められます。
また、外部の専門家やコンサルタントを活用するのも一つの方法であり、同調査においても、45.3%の企業が社員へのキャリアコンサルティングを実施しています。
「人事評価」に関する人事課題
続いては「人事評価」に関する課題について、人事部門が抱える具体的な悩みを2つ解説します。
評価基準が不透明だと評価を受ける社員においても、仕事に対する意欲や業務品質への悪影響を与えかねません。
以下の記事では、人事評価の基本的な考え方や評価基準を詳しく解説しています。適性検査を活用したマネジメント方法も紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
明確な評価基準が決められていない
評価基準があいまいで不明確な場合、社員は「自分の成果がどのように評価されるのか」が理解できず、目標やキャリアの方向性を見失う恐れがあります。
Adecco Groupが実施した調査によれば、人事評価制度に不満を感じている人のなかで、62.8%が「評価基準が不明確」と回答しています。また「評価する人の価値観・経験によって評価のばらつきがある」と回答した人は、45.2%と次に多い結果となりました。
評価の公正性や透明性が欠けているケースにおいては、仕事へのモチベーション低下や会社に対する不満の増加にもつながりかねません。
社員が人事評価に納得していない理由はほかにもあります。以下の記事で、その理由と制度を見直すときのポイントを解説していますので、参考にしてみてください。
新しい働き方に対応した評価ができていない
評価基準が従来の固定化された勤務体系にもとづいている場合、リモートワークやフレックスタイムなどの新しい働き方に適応できていない可能性があります。
たとえば、リモートワークで業務を進める場合、オフィスで仕事をするよりも社員同士でのコミュニケーションが取りにくく、業務進捗の遅延が考えられます。
評価者としては、そのコミュニケーションの不便さを考慮し、業務の進み具合を確認しつつ、成果や貢献度を総合的に判断しなければなりません。
「株式会社あしたのチーム」の調査によれば、管理職の53.6%が「働き方改革の推進に自社の体制が適していない」と回答しています。一方で、52.5%の人が「成果と報酬が適切に連動した評価制度」が必要だと回答しており、企業の積極的に改善していく姿勢も感じられます。
「人員配置」に関する人事課題
続いては「人員配置」に関する課題について、人事部門が抱える悩みを2つ解説します。
社員一人ひとりの特性に合った人員配置をするためには、主観的な意見や考えだけではなく、客観的なデータも加味した対応が求められます。
経験や勘だけを頼りに人員配置している
人事部門や上司による直感や、過去の経験だけに頼った人員配置では、職場や業務とのミスマッチによって、作業効率の低下や業務負担の偏りが起きてしまいます。
SmartHRの調査によると、育成目的で人員配置を行っている企業のうち、29%は「成果が出せていない」と回答しており、以下のような原因があると判明しました。
【成果が出ていない企業が回答した意見(割合)】
- 戦略的な取り組みができていない(59%)
- データにもとづいた客観的な取り組みができていない(48%)
- データよりも経験や勘が重視されることがある(48%)
この課題を解決するためには、過去の業績や適性検査のデータにもとづき、社員のパフォーマンスを細かく分析して人員配置を行う必要があります。
以下の記事では、適性検査の結果を活用するときのポイントを詳しく解説しています。人員配置を行うときの参考にしてみてください。
専門性の高い仕事内容に合う人材がいない
人員配置をするときに、高度なスキルや知識を持った人材が必要だとしても、その専門性の高い仕事内容に合う社員がいないケースがあります。
背景としては、あらゆる業務のシステム化や、AIなどのデジタル技術の進化によって、従来のスキルだけでは対応しきれなくなっている点が挙げられます。
厚生労働省がまとめた資料によると、配置転換の課題として「職種ごとの専門性が高い」の割合が、59.1%ともっとも高いことがわかりました。また、職種を変更することを打診したとしても、本人の同意が得られにくい点も配置転換の課題として挙げられています。
社員が専門的なスキルを獲得するためには、本人の自己啓発を支援する取り組みや、企業による人材育成の強化が必要になってきます。
戦略的な人材育成をするうえでは、社員の能力開発を目的としたジョブローテーションも有効な手段です。以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
「労働環境」に関する人事課題
最後は「労働環境」に関する課題について、人事部門が抱える具体的な悩みを2つ解説します。
後述の「人事課題に関わるトレンド」でも解説しているように、長時間労働の抑制やワークライフバランスの重視のニーズが高まっています。
長時間労働の削減に取り組めていない
社員の健康や安全を守ることを意識しつつも、数多くの業務をこなしてもらうため、長時間労働が常態化してしまっているケースも少なくありません。
リクルートの調査によると、月の平均労働時間が200時間以上(労働時間が長い)の人は、男性が42.4%、女性は18.5%だとわかりました。そのなかで、71.4%の人が労働時間の短縮を望んでおり、企業としても長時間労働を削減するための取り組みが求められます。
長時間労働が引き起こすリスクとして、ストレスや疲労の蓄積による健康への影響や、場合によっては過労死につながってしまう危険性も考えられます。
以下の記事では、過労死を防ぐために企業が取り組むべきことを解説していますので、労働環境を見直すときの参考にしてみてください。
ハラスメントに該当するかの判断が難しい
2022年4月の法改正により、すべての事業主がパワーハラスメント防止措置の義務化対象となり、ハラスメント防止に向けたより一層の取り組みが求められています。
しかし、ハラスメントの定義や範囲の認識が浸透しておらず「どのような状況のときに、なにをすればいいのか」といった、対応の難しさがあるのも事実です。
厚生労働省の調査によると、ハラスメント予防に取り組む企業のなかで、59.6%の企業が「ハラスメントかどうかの判断が難しい」と回答しています。また、管理職の意識が低いことや、ハラスメント発生状況の把握が困難なことも、企業が抱えている課題として挙げられています。
企業としては、ハラスメントの具体的な事例や行動ガイドラインを示し、社員が疑問や不安を抱えたときに迅速に対応できる仕組みを整える必要があります。
以下の記事では、ハラスメントの概要や種類、予防策についてまとめていますので参考にしてみてください。
M&Aや組織再編における人事面の課題とは?
経営者の高年齢化による後継者の問題を解決すべく、近年はM&A(企業合併・買収)や組織再編が注目されています。
企業と企業が一つになることで多くのメリットがある一方で、それぞれの企業で働いていた人の人事的な課題があるのも事実です。
そこで今回は、中小企業・スタートアップ企業のM&Aにおける人事課題について解説します。
中小企業 | 待遇・評価の悪化による優秀な人材の流出 |
スタートアップ企業 | M&Aの専門知識を持つ人材の不足 |
M&Aの効果を高めるためには、経営・業務・意識の3段階で統合を図っていくPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)の実践が欠かせません。
以下の記事では、PMIの進め方や手法を詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
中小企業|待遇・評価の悪化による優秀な人材の流出
中小企業のM&Aにおいて、社員への待遇・評価が悪化してしまうことは、仕事へのモチベーションが低下し、転職する社員の増加につながりかねません。
M&Aによって、報酬や福利厚生などの制度が見直されるため、売り手側の企業の社員に対する待遇が、合併前よりも悪くなるケースもあります。
また、買い手側の評価制度が適用される場合は、評価の基準が変わってしまい、社員の思い描いていたキャリアが実現できない可能性も考えられます。
人材の流出を避けるためには、社員に対してM&Aのプロセスやメリットを提示したうえで、買い手側と売り手側とで協力しながら丁寧に説明していく姿勢が必要です。
スタートアップ企業|M&Aの専門知識を持つ人材の不足
M&Aは複雑なプロセスを介して行われるため、戦略的な視点や実務的なスキルを持った人材が必要です。
しかし、創業してから間もないスタートアップ企業においては、M&Aの法律や規制、財務分析などの専門知識を持つ人材が不足している場合があります。
外部機関から新たに人材を採用することも可能ですが、自社でM&Aの専門知識を習得できる講座や教育を実施し、社員を育成していくことも重要です。
また、外部のコンサルタントや専門家の協力を得ながら、教育を補完する体制を整えることも有効な手段です。
人事課題の解決につながる4つの取り組み
人事部門が直面する課題を解決するためには、以下の4つの取り組みが有効です。
データを活用した人事管理を行うことで、人材の適性をより深く理解し、効果的な組織運営が可能となります。
社内アンケートやサーベイで人事課題を洗い出す
社内アンケートやサーベイの活用によって、組織内の潜在的な問題やニーズを的確に把握でき、解決すべき課題が明確になります。
たとえば、離職に関する設問の回答から、他社へ転職する可能性やその理由、求められている待遇や労働条件などが把握できます。
労働環境に関する不満が確認できれば、柔軟に働ける労働時間への見直しや、休日が取りやすい制度への改善といった施策を打つことも可能です。
組織に対する満足度や社員のリアルな声をもとに、具体的な人事課題を洗い出して、優先すべき課題の解決に取り組んでいきましょう。
社内アンケートやサーベイの概要については、別の記事で詳しく解説しています。人事課題の洗い出しに役立つツールも紹介していますので、ぜひ確認してみてください。
適性検査で社風にマッチした人材を見極める
採用時によく用いられる適性検査は、基礎学力や性格の測定だけが目的ではありません。
自社の組織分析によって社員の特性(社風)を明確にすることで、独自の採用基準が設定できるため「社風にマッチした人材」を見極められます。
採用で適性検査を活用している企業では、1次・2次選考における面接官の評価と、適性検査の結果を照らし合わせて合否を判断しています。
選考でとくに重視している点は、検査の客観的なデータをもとに「社風に合っている人材かどうか」の判断です。
採用可否に迷ったときに、適性検査の結果を判断材料として活用したことで、採用基準に合致している内定者の増加にもつながっています。
前述のミスマッチの課題でも解説したように、採用した社員が早期離職するケースは決して少なくありません。
そのため「能力を最大限に活かせるか」「良好な人間関係を築けそうか」など、適性検査を通じてミスマッチになる要因を把握しておくことが重要です。
以下の記事では、新卒採用における適性検査の概要と、評価項目を詳しく解説しています。活躍可能性を見極められるツールも紹介していますので、導入検討時の参考にしてみてください。
各部署の性格傾向にもとづいて人員配置する
人員配置の課題を解決するには、部署やチームに所属する社員の性格傾向と、配属する対象社員との性格を照らし合わせて判断することも重要です。
性格傾向が近い人や、対立しにくい性格タイプの人が判断できれば、配属した社員の働きやすさが実現するだけでなく、チーム内のパフォーマンス向上にも影響します。
サーベイを活用している企業では、普段のコミュニケーションではわかりにくい「社員の心の状態」を可視化して、離職の可能性があるかを確認しています。
以前から適性検査も実施していたため、社員の性格や適性を把握したうえで「ケアすべき人」への対応を行いました。
現在の業務を続けるのが困難だと判断した社員に対しては、異動を決断したことで活躍を続けており、強みを活かした人員配置を実現しています。
新たなプロジェクトの立ち上げや職場環境の変化に応じて、それぞれの場に適した人材を配置することで、組織全体の生産性も高められます。
社員の声を取り入れて社内制度を見直す
理想の労働環境や評価基準について社員の意見を収集し、その情報をもとに社内制度を見直すことで、満足度やモチベーションの向上につながります。
具体例として、以下のような取り組みが挙げられます。
- ライフスタイルに合わせて勤務時間を選択できる制度
- 自宅やカフェなど、オフィス以外でも働ける環境
- 人事評価とキャリア開発を連動させた仕組み
満足度の高い制度が整えられれば、会社に定着する社員も増え、企業イメージや評判の改善も期待できます。
現場の声が収集できる従業員満足度調査(アンケート)を活用し、仕事への意欲を高められるような施策を検討していきましょう。
従業員満足度アンケートの概要や、社員のモチベーションを向上させる方法については別の記事で解説しています。自社で活用するときの参考にしてみてください。
【2024年】人事課題に関わる重要なトレンド
あらゆる人事課題に取り組んでいくなかで、生成AIやリスキリング(新しいスキルの習得)といった、時代の流れに沿った対応も求められます。
ここからは、2024年に注目すべき人事に関わるトレンドを5つご紹介します。
各テーマが注目されている背景や詳しい内容を確認し、自社の強みが活かせる施策を検討していきましょう。
生成AIの活用
OpenAIが提供する「ChatGPT」などのAIツールを活用し、ビッグデータの分析や業務の自動化が一般化しつつあります。
なかでも、学習データをもとに新たなアイデアを創出してくれる生成AIは、企業における採用や人材育成の面をサポートする強力なツールです。
日本政府が発表した実行計画においても、AIへの投資を行い官民が連携して進めていくことを示しています。
- AI開発に不可欠な計算資源の整備
- AIの調達・利用・知見の共有
- AIスキルの習得、教育コンテンツの充実
人材育成で生成AIを活用すれば、社員の能力・スキルのデータをもとに、キャリアプランの企画や研修プログラムの生成などが可能になります。
リーディングマークが提供する適性検査やサーベイでも、ChatGPTを活用した「ミキワメAI」を導入しており、人事課題の解決に向けたサポートが受けられます。
以下の記事では「ミキワメAI」の開発秘話について詳しく解説していますので、ご興味のある方は確認してみてください。
リスキリング
リスキリングとは、現代の急速な技術革新と業務環境の変化に対応するために、スキルや知識を習得・学習する取り組みのことです。
日本政府が発表した「三位一体の労働市場改革」のなかで、終身雇用や転職の考え方の変化に対応するため、リスキリングによる能力の向上支援が必要だと述べています。
参考:新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2024年改訂版|内閣官房
企業においても、個々のスキル・能力を活かせる「ジョブ型人事制度」や、ハイスキル人材の採用強化など、専門性を高められるさまざまな施策を行っています。
職務に応じたスキルセットを設定し、社員自らがリスキリングする意欲を高めていくことが、いま企業に求められている取り組みと言えます。
ウェルビーイング経営
ウェルビーイング経営とは、社員の健康や幸福(ウェルビーイング)を重視した経営手法のことです。
近年、働き方へのニーズが多様化してきており、時間や場所に縛られない労働環境や、ワークライフバランスを重視した勤務制度の整備が求められています。
日本政府が発表した「経済財政運営と改革の基本方針」においても、ウェルビーイングの高い社会を実現すべく、健康意識の向上やキャリア設計の重要性を述べています。
参考:経済財政運営と改革の基本方針 2024(原案)|内閣府
また、CSR(企業の社会的責任)の一環として組織運営が評価される時代背景も、企業がウェルビーイング経営を推進する理由の一つです。
以下の記事では、ウェルビーイング経営を実践している企業の施策を解説しています。ウェルビーイングを実現するオフィス環境も紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
女性の活躍推進
日本の労働力不足を解決するためには、性別に関係なく多くの人が活躍できるような環境づくりが必要です。
とくに女性は、出産・育児をきっかけに職場環境や労働時間を変えたり、会社を退職したりして、キャリアを積み重ねることが困難なケースもあります。
女性が長期的に組織で活躍できるように、ライフイベントに対する支援策や、管理職への登用制度などの整備が求められています。
日本政府の「女性版骨太の方針2024」では、以下の4つの柱を掲げて、女性の活躍推進を実施していく計画です。
4つの柱 | 主な取り組み |
企業における女性活躍の推進 | 女性の採用や育成、登用の強化など |
女性の所得向上・経済的自立に向けた取り組み | 仕事と育児・介護の両立の支援など |
個人の尊厳と安心・安全が守られる社会の実現 | 配偶者等からの暴力や性犯罪・性暴力への対策の強化など |
女性活躍・男女共同参画の取り組みの加速化 | あらゆる政府・事業計画の策定等の推進など |
時間外労働の上限規制(建設業・物流業・医師)
2019年、2020年の労働基準法の改正によって、大企業と中小企業では「時間外労働の上限規制」が設けられました。
「時間外労働の上限規制」とは?
残業の時間に上限を設け、過度の残業をなくし、働く方の健康を確保するようにするためのもの。
2024年4月からは、新たに以下の業界においても「時間外労働の上限規制」が適用されるようになりました。
- 建設業
- 交通・運輸業(トラック・バス・タクシー)
- 医師
建設業での場合、建設工事の工期が短いと長時間労働になったり、休日が取れなかったりするため、働きやすさを考慮した工期で発注するなどの対応が必要です。
労働環境の改善を図るうえでは、国による助成金の活用も視野に入れて取り組んでいきましょう。
参考:建設業・ドライバー・医師の時間外労働の上限規制 特設サイト|厚生労働省
まとめ:人事課題を洗い出して解決の糸口をつかもう
労働市場の変化によって、企業が抱える人事課題も多様化しており、人事部門としては優先すべき課題を判断して対応しなければなりません。
もう一度、人事部門の仕事における主な課題を確認しておきましょう。
仕事内容 | 主な業務 | 主な課題 |
採用 | 採用計画の策定、応募者の選考 | ・ミスマッチにより人材が定着しない ・募集をかけても人材が集まらない |
人材育成 | 研修や教育の計画・実行 | ・人材育成に充てる時間が確保できない ・育成・指導する人材が不足している |
人事評価 | 評価制度の設計・運用 | ・明確な評価基準が決められていない ・新しい働き方に対応した評価ができていない |
人員配置 | 能力・経験などを考慮した配置 | ・経験や勘だけを頼りに人員配置している ・専門性の高い仕事内容に合う人材がいない |
労働環境の整備 | 適正な労働時間管理、休暇取得を促進する施策 | ・長時間労働の削減に取り組めていない ・ハラスメントに該当するかの判断が難しい |
課題に取り組むときは、経営層や人事部門からの一方的な施策を行うのではなく、現場の状況や社員の声を確認しながら進めていきましょう。
ミキワメでは、独自の採用基準を策定できる「適性検査」と、社員の離職傾向をタイムリーに察知できる「サーベイ」を提供しています。
人事課題を解決するためのサポートツールとして、ぜひ活用してみてください。
従業員のメンタル状態の定期的な可視化・個々の性格に合わせたアドバイス提供を通じ、離職・休職を防ぐパルスサーベイ。30日間無料トライアルの詳細は下記から。