- 中小企業でエンゲージメントを向上させる方法
- エンゲージメントを調査する方法
- エンゲージメントを向上させた取り組み事例
離職率や生産性に課題を感じている中小企業の人事・経営者にとって、「従業員エンゲージメント」の改善は効果的な手段となる場合があります。
従業員エンゲージメントとは、会社への貢献意欲を表す指標のことです。その数値が高いほど、従業員が「自社で長く働きたい」「会社に貢献したい」と感じ、離職率の防止や生産性の向上につながります。
本記事では中小企業の人事・経営者の方に、従業員のエンゲージメントを向上させる方法や、調査の必要性を解説します。エンゲージメントの改善に取り組んだ企業も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
中小企業でエンゲージメントを向上させる方法7選
エンゲージメントを向上させる方法として、以下の7つがあります。
それぞれについて事例や具体例を踏まえながら紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
「そもそも、エンゲージメントとは?エンゲージメントを向上させる必要があるのか?」という方は、以下の記事で詳細を解説しています。本記事と合わせてご覧ください。
働きやすい環境や制度を整備する
ワークライフバランスを重視し、社員が安心して働ける環境を整えましょう。
残業が多かったり、休日が少なかったりするとプライベートの時間を確保するのが難しくなり、辞めたい気持ちが高まってしまいます。
社員が育児や介護、自己啓発などの時間を確保できるよう、社員のニーズにあった制度を設けましょう。
具体的には以下のような施策をおすすめします。
- フレックスタイム制の導入
- 有給休暇の取得推進
- ノー残業デーの設定
- 短時間勤務制度の導入
- 在宅ワークの導入
社員のニーズにあった環境や制度を整えることで、エンゲージメントが向上し、定着率の向上につながるでしょう。
在宅ワークを導入した企業として、株式会社リーピーがあります。同社は社長自身が育児を経験するなかで働き方を見直そうと考えるようになり、テレワークを導入しました。
テレワークの施策として、通勤時間を短縮するための制作拠点を設置し、本社と制作拠点で業務を進められるようにします。結果、10名だった社員が1年で22名に増え、離職率も直近2年で0人となりました。社員の士気も向上し、毎期増収増益となりました。
企業理念や組織のミッションへの共感を促す
社員が共感できるビジョンを策定し、浸透するように定期的に周知させましょう。
企業理念や組織のミッションを浸透させることで、社員に仕事の目的を明確に伝えられ、組織の一体感をつくれます。
浸透させるには、企業理念やミッションに関するワークショップを実施したり、1on1ミーティングで企業のミッションと個人の目標をすりあわせたりすると効果的です。
ほかにも社内報で経営層のメッセージを配信する方法もあります。
企業理念やミッションを掲げるだけではなく、日々の業務にどう反映されるかを具体的に示すようにしましょう。経営層が日常的に企業理念に沿った行動をすることで、社員に浸透しやすくなり、企業への理解を深められやすくなります。
ミッションやビジョンを浸透させている事例として、ミズノ株式会社を紹介します。
同社では経営戦略として「グローバル事業の強化」を掲げており、海外事業を展開しています。しかし、海外子会社と日本本社とのコミュニケーションが少なく、ミズノのブランドでひとつになり切れていないことが課題でした。
そこで、ミッションやビジョンを共有するためのカンファレンスを日本で実施し、海外子会社のマネージャーと対面でコミュニケーションをとるようにしました。
前日にウェルカムディナーを行い、信頼構築をしっかりしたうえでカンファレンスを開催します。結果、海外子会社との関係を深められ、自発的なコミュニケーションも見られるようになりました。コミュニケーションにより心理的な壁が取り除かれ、関係構築のスタートを切れるようになりました。
参考:グローバル事業強化の要として、本社と海外現法のHRが One Team となるための Global One HR Conference
従業員のキャリアのサポート体制を整える
大企業と比べてリソースが限られる中小企業では、社員一人ひとりの成長が組織のパフォーマンスに直結するため、キャリアをサポートする体制を整えることが重要です。
定期的に上司と部下で面談を実施し、社員の要望を把握してキャリアプランを作成しましょう。キャリアプランを作成したら、将来的に必要なスキルを洗い出し、習得できるようにサポートします。
必要なスキルが明確になれば、以下のような教育支援をしましょう。
- ジョブローテーションを実施する
- 資格取得をサポートする
- 外部研修に参加してもらう
キャリアアップにつながる機会を設けることで、自社に貢献できるよう行動してくれる可能性が高くなります。
キャリア形成の支援をしている企業に、株式会社リクルート住まいカンパニーがあります。同社では、人材マネジメントのポリシーにのっとり、自社のミッションを遂行するための一環として、キャリア形成支援をはじめました。
具体的には、以下の3つのことを実施します。
- 実現したいこと・強み・課題・ミッションをツールに記載し、どのようなキャリアを形成するか上長と定期的に話し合う機会の設定
- 入社6年目の社員を対象に、2日間かけて今後のキャリアを考えるプログラムの実施
- 産休・育休取得者と上長とのコミュニケーションシートの導入
上記の取り組みを実施した結果「キャリアプランが明確になった」「キャリア形成に向けて勉強をはじめた」という声があがり、社員のモチベーションが向上しました。ほかにも育児と仕事の両立を実現する社員が増加し、女性管理職の数が1.3倍になりました。
人事評価を改善する
透明性の高いかつ公平な人事評価制度を構築し、社員が納得して働けるようにしましょう。
人事評価の基準があいまいだと、主観での評価になりやすく、不満を抱くきっかけになります。
まずは公平な評価を作成するために、役職や職種ごとに基準を明確にしましょう。基準の策定後は社員に周知し、評価基準に納得できなければ社員の意見をもとに改善します。
評価基準は業績だけではなく、成果のために行動した過程も評価対象に含めるとより納得しやすくなります。企業理念に沿った行動も評価基準に含めることで、理念浸透の促進もでき、エンゲージメントをより高められるでしょう。
また、評価基準を明確にしたら適切な評価が行えるよう、上司を対象に評価方法の指導も実施しましょう。評価基準を改善した理由や、客観的に評価する方法などを伝えて、部下を公平に評価できるようにします。
自社にあわない評価制度を実施している場合は、評価方法の刷新を検討しましょう。最近では「ノーレイティング」という、ランク付けをしない評価方法があります。
ノーレイティングは上司と部下が1on1をして、上司が直接評価や昇給を決める制度です。
1on1を定期的に実施し、目標のすりあわせやフィードバックなどをすることで、部下が評価に納得しやすくなり、エンゲージメントの向上につなげられます。
ノーレイティングを導入してエンゲージメントを高めた事例として、アドビシステムズ株式会社があります。
同社は、もともと年に一度ランク付けをする評価をしていましたが、有用なフィードバックが得られないことが原因で、社員のモチベーションは低下していました。
そこで、評価制度を廃止し、チェックインという人事制度を設けます。チェックインとは、マネージャーと部下が1対1で定期的に面談をして信頼関係を構築する制度のことです。
同社では3ヶ月に1回、マネージャーが部下に期待していることやフィードバック、キャリア開発について話す機会を設け、社員の成長を促すようにします。マネージャーはチェックインのときにキャリア開発で設定した目標の達成をサポートし、進捗や本気度を確認するようにしました。
部下の昇給についてもマネージャーに一任するようにし、評価シートに記入するルールを撤廃します。
結果、社員がサポートされていると感じるようになり「アドビを働きがいのある会社として勧められる」と回答した人が10%増加しました。
人事評価の基準や種類、評価の流れについては、以下の記事で解説しています。評価を適切に実施したいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
コミュニケーションを活性化させる
社員同士でのコミュニケーションを活性化させることで、信頼関係を構築でき、エンゲージメントの向上につながります。
最近では在宅ワークを導入している企業もあり、対面でコミュニケーションをとるのが難しくなっています。社員が孤立していると感じないよう、周りの社員と気軽に相談できる場所を設けましょう。
具体的には、以下のような施策がおすすめです。
- コミュニケーションツールの導入
- 社内SNSの導入
- 社内イベントの開催
- 社内SNSの導入
- ランチ会の実施
所属している部署だけではなく、部門間との交流を設けることで、社内全体でのコミュニケーションが活性化し、組織力向上にもつながります。
コミュニケーションを活性化した事例として、株式会社DTSを紹介します。
株式会社DTSでは、健康経営の一貫として、ウォーキングイベントサービスの導入をしました。ウォーキングイベントサービスはスマホの歩数計アプリを通して、企業や部署対抗で、ウォーキングの歩数を競ったり、フォトコンテストを実施したりできるサービスです。
同社でもサービスを利用し、ウォーキング中に撮影した写真を投稿するフォトコンテストを開催しました。
結果、イベントを通してコミュニティが自然発生し、コミュニケーションが活性化しました。
参考:株式会社DTS|導入事例|RenoBodyウォーキングイベントサービス[リノボディ]〜歩数計アプリを活用したイベント開催で健康経営
上司のマネジメントスキルを向上させる
エンゲージメントを向上させるには、上司のマネジメントスキルを高めるよう人事部で育成しましょう。
上司が部下に対し、適切にコーチングやフィードバックをすることで、部下も成長をしていると感じられるようになり、モチベーションにつながります。
上司にエンゲージメントを高める目的や重要性を理解してもらい、どのようにマネジメントすべきかを教えましょう。
自社で育成が難しい場合は、外部研修を利用するのも効果的です。
たとえば、株式会社インソースが提供している管理職研修では以下のことを学べます。
- 管理職に求められる役割
- 正しい仕事の進め方
- 業務の進捗管理
- 業務改善
- 目標管理
- リスクマネジメント など
管理職になったばかりの人や、管理職のスキルが不足していると感じている人に受講してもらいましょう。
定期的にエンゲージメントを測定する
エンゲージメントは定期的に測定し、向上しているかどうかを把握しましょう。
測定しないと社員のエンゲージメントの実態がわからず、適切な施策を講じられません。
エンゲージメントを測定するときは、「パルスサーベイ」と「エンゲージメントサーベイ」の2つを実施することをおすすめします。
パルスサーベイとエンゲージメントサーベイの概要は以下のとおりです。
パルスサーベイ | エンゲージメントサーベイ | |
実施目的 | ・課題の早期発見 ・課題への迅速な対応 | ・組織状態の可視化 ・改善策の検討・立案 |
頻度 | 週1~月1回 | 年1~2回 |
質問数 | 約5〜15問 | 約50〜150問 |
主な質問内容 | ・やる気やモチベーション ・やりがい ・職場環境の満足度など | ・組織への貢献意欲 ・仕事に対する活力 ・職場環境の満足度など |
それぞれ自社にとって必要なサーベイを実施し、測定結果からどのような課題があるかを確認しましょう。
課題があれば解決策を立案・実施し、再度サーベイを行って改善できたかどうか効果検証をします。
サーベイと改善策を繰り返し行うことで、社員が働きやすい環境を整えられ、エンゲージメントを向上できるでしょう。
実際に従業員にサーベイを実施して、エンゲージメントを高められた事例をこちらで紹介しているので、ぜひご覧ください。
エンゲージメントの種類には、従業員エンゲージメントやワークエンゲージメントなどがあります。それぞれの違いや特徴は、以下の記事を参考にしてみてください。
中小企業で従業員のエンゲージメントを調査する必要性
中小企業で従業員のエンゲージメント調査が必要なのは、以下の3つの理由があるためです。
以上の課題を抱えていましたら、ぜひエンゲージメント向上に取り組むことを検討しましょう。それぞれ詳しく解説します。
優秀な人材の定着化
エンゲージメントが高い社員は、企業のビジョンに共感し「この企業で長く働きたい」という思いが強まるため、定着率の向上につながります。
定着率が向上することで、業務経験が豊富かつ優秀な人材が残りやすくなり、業務品質の維持や向上が期待できます。
「働きがいのある企業」としての評判が高まり、優秀な人材を集めやすくなるでしょう。
人材を安定的に確保できることで、採用・教育コストの削減にもつながります。
厚生労働省が採用方法別に正社員ひとりを採用するのに発生する平均コストを調査したところ、以下のような結果になりました。
- 民間職業紹介事業者(紹介会社):85.1万円
- 求人情報誌・チラシ:11.3万円
- インターネットの求人情報サイト:28.5万円
- スカウトサービス:91.4万円
定着率を上げる方法については、以下の記事で紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
組織力の底上げによる生産性向上
社員一人ひとりのエンゲージメントを向上させることで、自発的に行動しようとするため、組織全体が活性化して生産性が向上します。
組織のビジョンを理解しながら自分が何をすべきかを理解して進められるようになり、困難な課題に対しても積極的に取り組むようになります。
エンゲージメントの高い社員が増えることで、チームワークが良好になり、同じ方向を見て行動できるようになる点もメリットです。
サイボウズ株式会社の調査でも、チームワークの強さによってエンゲージメントが大きく変わることがわかっています。
同社では独自の指標により、チームワークが強めの「グッドチーム」とそれ以外の「これからチーム」に分け、回答者のチームの状況をうかがいました。
結果、以下の項目で「グッドチーム」のほうが「これからチーム」よりも「そう思う」と回答した人が多いことがわかりました。
- 今のチームは働きやすい
- 今のチームは業務効率が良い
- 今のチームで自分が貢献できていると感じる
- 今のチームはやる気がわく
- 今のチームで仕事を続けたい
- 今のチームで幸せだ
参考:チームワークが良い職場、そうではない職場の差が明らかに──サイボウズチームワーク総研が「グッドチーム」の要素を調査
チームワークが良好になると、社員同士でお互いをサポートしあえるような環境になるため、会社への愛着度が高まります。
社員全員が協力的になることで、業務の効率化や新しいアイデアの創出につながり、結果として組織全体の生産性が向上します。
業務品質の向上による顧客満足度の向上
従業員のエンゲージメントの向上は、業務品質の改善や顧客満足度の向上につながります。
エンゲージメントが高くなると、自社の商品やサービスに愛着や誇りを感じ、顧客によりよいものを提供しようと自発的に努力するためです。
ギャラップの調査でも従業員のエンゲージメントが高いと、品質の欠陥が32%低下することがわかっています。
商品・サービスの品質が向上することで、顧客からの評判が高くなり、リピート率の上昇や口コミによる新規顧客の獲得が期待できるでしょう。
中小企業におけるエンゲージメント調査の現状
商工中金が調査した「中小企業の従業員エンゲージメントに関する調査」によると、中小企業の従業員エンゲージメントの現状は以下のようになっています。
それぞれデータを踏まえたうえで詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
エンゲージメント調査を必要だと感じる企業が多い
2023年8月時点で、30.2%の企業が従業員エンゲージメントの計測をしています。「現在計測はしていないが、必要性は感じる」と57.2%の企業が回答しており、エンゲージメントの計測が必要と感じている企業が合計で9割近くいることがわかりました。
エンゲージメント調査をしている企業の計測方法は以下のとおりです。
計測方法 | 活用している企業の割合 |
外部ツール | 7.7% |
社内アンケート | 9.9% |
上記以外の方法 | 12.6% |
計測方法は外部ツールや社内アンケートが多い傾向にあります。それ以外の方法には、1on1ミーティングの結果や自己申告表への記録などがあるとわかりました。
ただし、必要と感じている企業は多い一方で、エンゲージメント調査が無駄と感じる人もいます。理由については、以下の記事で詳しく紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
「賃金の引き上げ」に取り組んでいる企業が多い
中小企業が実施している、従業員エンゲージメントの向上に向けた具体的な施策は以下の通りです。
施策内容 | 取り組んでいる企業の割合 |
賃金の引上げ | 64.4% |
ワーク・ライフ・バランスや多様な働き方の推進 | 47.3% |
企業理念の策定のための活動 | 46.7% |
福利厚生の充実 | 45.2% |
風通しの改善・コミュニケーション活発化 | 41.9% |
キャリア開発支援・研修の充実 | 37.1% |
人事評価制度の見直し | 34.8% |
「働きやすい職場」に関する認証の取得 | 28.3% |
エンゲージメントの向上に向けた施策として、64.4%の企業が「賃金の引上げ」に取り組んでいることがわかりました。
ほかにも「企業理念の策定」や「ワーク・ライフ・バランスや多様な働き方の推進」などに取り組んでいると回答した企業が半数近くありました。
実際に取り組んで効果があったと回答している企業も多く、とくに「賃金の引き上げ」をした企業の半数が効果を実感しています。
賃金を上げた事例として、とりそば下地橋があります。とりそば下地橋は、人口の少ない観光地の近くに位置するお店で、ほかのお店と人材の取り合いになりやすいことが課題となっていました。
そこで、長く働いてもらえるよう、全従業員の時給を90円アップしました。結果、ほかのお店や企業より賃金が高くなったことで、従業員のモチベーションの向上や店舗の活性化につながったと話しています。
調査において人材やノウハウの不足が課題となっている
従業員エンゲージメントを図るうえの課題として、以下のように回答している人が多いことがわかりました。
課題 | 課題と感じる企業の割合 |
時間がない、人手が足りない | 24.6% |
リーダー的人材がいない | 24.6% |
情報・ノウハウが不足している | 23.8% |
以上の結果より、エンゲージメント調査を実施する時間や人材などのリソースが不足していることが、課題になっていることがわかりました。
エンゲージメントの計測を実施するには、人材の確保が必要だと考えられます。
中小企業におけるエンゲージメント測定の種類
中小企業におけるエンゲージメント測定の種類として、以下の2つがあります。
それぞれの活用方法や実施手順を詳しく解説しますので、ぜひ確認してみましょう。
パルスサーベイ
パルスサーベイは、短スパンで簡潔なアンケートを実施し、エンゲージメントを測る方法です。通常、週1回から月1回の頻度で、5〜15問程度の質問を社員に回答してもらいます。
パルスサーベイはリアルタイムに近い形で社員の声を集められるため、一人ひとりの心理状態の変化にすぐ気づけるのがメリットです。変化に気づいてすぐフォローすることで、エンゲージメントの向上や離職防止につなげられます。
ただし、短スパンで調査・分析・改善策の実施が必要であり、運用側に負担がかかりやすい点がデメリットです。
質問内容は企業によって異なりますが、以下のような質問が一般的です。
- 今日一日を振り返ってどんな気分ですか?
- 先週やり遂げた仕事を誇りに思いますか?
- 今の職場に満足していますか?
パルスサーベイを導入したい場合は、以下のような手順で行いましょう。
- 実施目的とテーマを設定する
- サーベイツールを導入する
- 質問項目を決める
- 社員へ周知し、サーベイを実施する
- 結果を集計・分析する
- 社員へフィードバックして、必要に応じてフォローする
- 改善ができたか、再びサーベイを実施して効果検証する
パルスサーベイのメリットや導入手順は以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
エンゲージメントサーベイ
エンゲージメントサーベイは、年1〜2回の頻度で実施し、50〜100問程度の質問に回答してもらう調査方法です。
主に以下のような内容を質問します。
- 私は、自分の会社全体としての目的・目標・戦略をよく理解できている
- 経営陣は、事業の方向性について健全な意思決定をしている
- 自分の会社はよい職場だと他の人にも進めたい
- 自分の会社で働くことに誇りを持っている
- 自分の仕事について、給与や福利厚生など公正に報酬を得ていると思う
組織や経営に対して思うことや、自分が働いている職場環境、報酬などについて質問し、選択式で回答してもらうのがエンゲージメントサーベイの特徴です。
エンゲージメントサーベイを実施することで、組織全体の状況や課題を詳しく把握でき、経営や職場環境の解決につなげられます。
利用するサーベイツールや調査会社によっては、部署や役職ごとのセグメント分析が可能で、多角的な視点から組織の状況を把握できるでしょう。
データを使用しないと気づけない課題を発見し、トラブルの前兆を予測するときにも活用できます。
ただし設問が多く、社員の負担がかかりやすいのがデメリットです。
エンゲージメントサーベイを導入したい場合は、以下の手順で行います。
- 実施目的やプランを明確にする
- サーベイツールを導入する
- 質問内容を決める
- 社員へ周知し、サーベイを実施する
- 調査結果を集計して分析する
- 社員へフィードバックして改善する
エンゲージメントサーベイの目的や効果などは、以下の記事で解説しています。実施を検討している方は、あわせてお読みください。
中小企業でエンゲージメント調査を実施する方法
中小企業でエンゲージメント調査(パルスサーベイ・エンゲージメントサーベイ)を実施する方法として、以下の2つがあります。
それぞれのメリットやデメリットを紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
エンゲージメントの調査方法は、以下の記事でも紹介しています。より詳しく知りたい方は参考にしてみてはいかがでしょうか。
自社で実施する
自社でアンケートを作成したり、サーベイツールを活用したりすることで、サーベイを実施できます。
自社で実施することで、質問を組織の特性にあわせてカスタマイズできるようになり、知りたい情報を把握しやすいのが特徴です。費用を抑えやすく、手軽にはじめやすい点もメリットです。
自社でサーベイを実施する場合は、まず経営陣と人事部門が協力して調査の目的を明確にしましょう。自社の課題や企業風土に即した質問項目を作成し、社員に回答してもらいます。
はじめてエンゲージメント調査を実施する場合は、サーベイツールの活用がおすすめです。
以下の記事では、エンゲージメントサーベイツールの特徴や費用を解説しています。各社のツールを比較・検討できるので、参考にしてみてください。
『ミキワメ ウェルビーイングサーベイ』の活用法
サーベイツールのひとつである『ミキワメ ウェルビーイングサーベイ』では、回答者の性格にあわせて本当に必要な質問だけに絞って調査できます。
社員一人ひとりに適切な質問をすることで、リアルタイムに状態の変化に気づけるため、離職される前に対策を講じられるでしょう。
ただし、エンゲージメントの把握に向けて効果的な調査をするには、専門知識が必要です。
客観的な評価になるよう質問を選定することが求められるため、自社にノウハウがない場合は外部専門家からアドバイスを受けることも検討しましょう。
調査会社に委託する
サーベイを専門的に実施している調査会社に依頼する方法もあります。調査会社が用意している標準的な質問をしてサーベイを実施し、客観的な視点での分析結果を提供してくれます。
調査会社によっては他社との比較データも得られることがあり、自社の位置づけを明確に把握できるのもメリットです。
委託によって人事担当者の負担を軽減でき、コア業務に集中できるようになります。
ただし、コストが高くなる点や、自社固有の課題に対する調査が難しいというデメリットがあります。
できるだけ自社にあった調査会社を選ぶためにも、業界の特性に精通しているかを確認しましょう。
【成功事例】中小企業が実践するエンゲージメント向上施策
実際にエンゲージメント向上に取り組んで成功した中小企業の事例を5つ紹介します。
それぞれの企業が抱えていた課題や解決方法、成果について詳しく紹介します。
上記以外にもエンゲージメントが高い水準の企業は多くあります。詳しくは以下の記事で確認できますので、ぜひ参考にしてみてください。
未知株式会社
未知株式会社は、クライアントの課題にあわせたWebマガジンや動画などのコンテンツを手がける企業です。同社では、社員のエンゲージメントが低く、仕事を休む社員が毎日3名発生しており、離職率が高いことが課題でした。
組織として危うい状態だったことから、対策として「ミキワメ ウェルビーイングサーベイ」を導入し、組織の状態を定量的に見るようにします。
サーベイを定期的に実施し、社員一人ひとりの結果を確認するようにしました。調査結果に変化があり、ケア対象となった人がいたら上長に1on1の実施をお願いし、フォローするようにします。
社員同士で健康状態を確認するようにもして、ケアが必要な人がいればサーベイの結果と照らしあわせて、解決策を実施します。
結果、導入前より社内の空気が明るくなり、コミュニケーションが活性化しました。体調不良で休む人も月に1~2人となり、問題が起きても助け合える安心感が社内で醸成されるようになりました。
事例:サーベイの結果から改善アクションを実施し、エンゲージメントが劇的に改善。体調不良社員が激減した活用方法とは。
株式会社ペンシル
デジタル戦略コンサルティング事業を展開している株式会社ペンシルでは、過去に組織サーベイを実施していました。しかし、調査結果が匿名のため、誰にどうケアすればよいかわからないという課題がありました。
そこで同社は、社員一人ひとりの状態を実名で把握できる「ミキワメ ウェルビーイングサーベイ」を導入します。
月に1回サーベイを実施し、過去の調査結果と比較して急激な状態の変化がないかを確認しました。大きく変化している場合はマネージャーとの1on1を実施し、改善方法を考えてネクストアクションを設定します。
結果、個人のエンゲージメントを高めるための打ち手が明確になり、事前に離職防止への対策ができました。マネージャーと社員の間に齟齬が生じたときに、第三者目線からのフォローができるようになり、エンゲージメント向上につなげています。
参考:組織と個人の心の健康状態を見える化し、エンゲージメントのさらなる向上へ
株式会社フォーラス&カンパニー
株式会社フォーラス&カンパニーは、賃貸マンションの管理やリノベーションなどの不動産事業を展開している企業です。
同社は社員の離職が続いており、現場のメンバーに負担がかかっているという課題がありました。
そこで、離職防止のために「ミキワメ ウェルビーインクサーベイ」を導入し、社員にサーベイを受けてもらうようにしました。
調査結果から最優先ケアと優先ケアに出てきた人を確認し、対象者が働いている店舗の店長にケアをするよう依頼します。
ケアをした後は、店長と人事で会議をし、社員の状況をすりあわせたり、対応方法の成果について共有したりしました。
結果、離職の傾向が出ている社員をいち早く察知でき、どのような対応をすればいいかがわかるようになりました。今後、離職率の低下を目指し、業績アップにつなげたいと話しています。
参考:離職の傾向をいち早く察知。会社の未来を担う若い世代の離職の減少を目指す。
株式会社ハンナ
運送事業をしている株式会社ハンナでは、社員の性格や考え方が世代ごとに異なっている背景から、現社長の経営戦略が一部の社員から合意を得られにくい状態にありました。
経営陣と社員が対立したトラブルも複数発生しており、多数の社員が離職したこともありました。そこで、ワークエンゲージメントの改善のため、経営方針や考え方にマッチする人の採用に力を入れます。
採用時に自社が重視する価値観に沿った人材か確認し、入社後も定期的に企業風土や価値観を理解してもらうための面談を実施しました。
粘り強く社員と対話した結果、企業が大切にする考え方が社員に浸透し、社員の「働きがい」が向上しました。社員を大切にする会社と評判が広まったことから、2023年4月から6月までに30~40名程度の応募があり、11名の人材確保にも成功しています。
参考:働き方・休み方改善取組事例 | 働き方・休み方改善ポータルサイト
株式会社福井
卸売業をしている株式会社福井では、毎年採用する人数と同じくらいに離職者がおり、社員の定着率に課題がありました。
そこで、社員に対して向き合う必要性を感じ、ワークエンゲージメントサーベイを導入します。サーベイによってエンゲージメントを下げる要因を明確にし、問題点があれば対応するようにしました。
たとえば「忙しい」という不満に対し、休暇を増やしたり有給休暇をとりやすくしたりなどの対策をします。ほかにも1on1ミーティングを実施し、社長と社員、社長と管理職、課長と社員などで双方向のコミュニケーションをとるように促しました。
結果、社内の雰囲気がよくなり、社員同士がお互いに教え合う環境が醸成されるようになりました。社長と管理職の間に一体感が生まれたことで、経営も一丸となって進められるようになっています。
参考:働き方・休み方改善取組事例 | 働き方・休み方改善ポータルサイト
まとめ:中小企業ならではの柔軟性でエンゲージメントを向上させよう
社員のエンゲージメントを向上させることは、中小企業にとって重要な取り組みです。優秀な人材の定着化や生産性の向上、顧客満足度の向上に関わるため、経営にとっても大きな影響があります。
エンゲージメントを向上させるには、以下の7つの方法を試してみましょう。
上記のなかでもエンゲージメントの測定は、施策の検討をするための指標になるため、必ず実施しましょう。サーベイツールを利用して、一人ひとりのエンゲージメントを定期的に確認することをおすすめします。
リーディングマークのサーベイツール「ミキワメ ウェルビーイングサーベイ」では、社員一人ひとりの心理状態を実名で確認できます。心理状態の悪い社員をいち早く発見できるため、休職や離職をする前にフォローできるようになるでしょう。
性格にあわせてAIがケアの仕方も提案するため、社員に対して適切な対応ができ、エンゲージメント向上につなげられます。
現在ミキワメでは、無料トライアルを実施しています。社員のエンゲージメントを改善して、離職率を防止したいと考えている方は、ぜひご利用ください。
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