エンゲージメントサーベイを実施しているものの、「思ったよりも回答率が低い」「改善に活かせる情報が収集できない」といった悩みを抱えていないでしょうか。
回答率が60%に満たない状態だと、組織のエンゲージメント(仕事への活力、会社への貢献意欲)を正確に把握できず、組織改善や離職防止につなげられません。
とくに離職率が課題となっている企業では、サーベイの回答率を80%以上に保ち、調査結果を適切に活用できる社内体制の構築が必須です。
そこで本記事では、以下の内容をわかりやすく解説します。
- 回答率が上がらない3大原因と具体的な対策
- 100%の回答率を実現した企業の施策事例
- サーベイ結果を施策に活かす運用体制のつくり方
この記事を読み終えることで、サーベイに対する理解促進とスピード感のある運用が可能となり、働きがいを生み出す組織づくりが実現できます。

エンゲージメントサーベイの理想的な回答率とは?

組織行動の調査・研究を行うリクルートマネジメントソリューションの資料によると、社内アンケートにおける回答率は「80%」を超えているのが理想的としています。
参考:アンケート設計と活用のポイント|株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
ただし、回答率が80%を超えるような状態でも、特定の部署だけ回答率が低い可能性もあるため、組織全体の結果を見ながら総合的に判断する必要があります。
一方、60%を下回るような回答率だと、従業員の声をすべて拾いきれず、本当に改善すべき課題が見えてきません。
もちろん回答率100%がもっとも理想的ですが、組織改善に活かすためには70〜80%は確保したいところです。
サーベイを通してエンゲージメント向上が実現すれば、従業員はやりがいを感じて働くようになり、離職率の低下にもつながります。以下の記事では、エンゲージメントを高めるメリットについて詳しく解説していますので、本記事と合わせて確認してみてください。

【具体例】回答率とエンゲージメントスコアの考え方
回答率に対するサーベイ結果の考え方について、『ミキワメ ウェルビーイングサーベイ』を開発・提供している株式会社リーディングマークの見解を紹介します。
【目的】
エンゲージメントサーベイで従業員の心の健康状態を把握し、ケアが必要な人の特定とサポートを行う
【条件】
・従業員100人を対象にサーベイの回答を依頼する
・回答率に応じてケア対象者の人数を把握する
・全体でスコアが低い30%をケア対象と仮定する
この目的・条件でサーベイを実施した場合、回答率ごとにケア対象者を割り出し、対応方針の検討を行います。
※以下の表は右にスクロールできます
回答率 | 有効回答人数 | ケア対象者数 (30%の場合) | ケア対象外の人数 | 未回答の人数 |
---|---|---|---|---|
100% | 100人 | 30人 | 70人 | 0人 |
80% | 80人 | 24人 | 56人 | 20人 |
60% | 60人 | 18人 | 42人 | 40人 |
対応方針 | 1on1で個別の課題・悩みをヒアリングする | 定期的なサーベイでスコアの変化を観察する | 上司に未回答者の状況を確認し、ケア対象となるか精査する |
回答率が高いほど、社内の状態を網羅的に把握できていると判断できますが、回答率が低いと未回答者への対応が必要となり、調査結果の解釈も難しくなります。
一方で組織全体の回答率は高くても、部署ごとに集計すると回答率に差が生じている場合もあります。
回答率だけで良し悪しを判断するのではなく、エンゲージメントスコアの平均を算出したり、自由記述欄のコメントを検証したりして総合的に判断してみましょう。
以下の記事では、エンゲージメントスコアの概要や計測方法について詳しく解説しています。スコアが高い企業の取り組みも紹介していますので、本記事と合わせて確認してみてください。

企業におけるエンゲージメントサーベイの実施状況

出典:エンゲージメントサーベイの歴史・市場|株式会社HRビジョン(日本の人事部)
企業の成長に欠かせない要素としてエンゲージメントが注目されるなか、組織状態を可視化するエンゲージメントサーベイを導入する企業も増えてきました。
「日本の人事部」の調査レポート(上図)では、従業員501人以上の企業で5割近い実施率となっており、5001人以上の大企業だと64.3%がサーベイを実施しています。
また、月1回など高頻度で行うパルスサーベイの認知度も高まり、組織・個人の状態をよりタイムリーに把握しようとする動きもみられます。
近年では、AIを搭載したツールも登場していることから、組織状態のスピーディな分析や予測、回答の利便性向上も実現可能となりました。
このような背景から、エンゲージメントサーベイを導入する企業が増えていると推測できます。
エンゲージメントサーベイの回答率が上がらない3つの原因

エンゲージメントサーベイを実施しても、思うように回答率が上がらない場合、以下のような原因が考えられます。
また、サーベイ実施後のフィードバックを怠ってしまうと、従業員は「回答しても意味がない」「時間の無駄」といった印象を持ち、次回以降の回答率にも悪影響を及ぼします。
以下の記事では、エンゲージメントサーベイが無駄と言われる理由と対応策について詳しく解説しています。回答率の向上につながる活用方法も紹介していますので、本記事と合わせて確認してみてください。

調査結果の活用方法が従業員に伝わっていない
エンゲージメントサーベイの回答率が上がらない原因の一つが、調査結果が「どのように活用されているかわからない」という従業員の不満です。
サーベイの結果を施策に落とし込んだとしても、そのプロセスや成果が現場に共有されていなければ、従業員は結果が活用されていること自体もわかりません。
バヅクリ株式会社の調査においても、エンゲージメントサーベイに対する不満として、60.6%の人が「回答した結果が何に活かされているのかわからない」と回答しています。

出典:社員の約70%がエンゲージメントサーベイに不満|バヅクリ株式会社
有効な対策として、サーベイ実施前に「調査によって組織改善が行われること」を従業員に説明し、調査後のフィードバック体制をつくる必要があります。
>>【解決策1】調査結果が組織改善に活かされること十分に説明する
>>【解決策2】サーベイフィードバックで従業員と対話する機会を設ける
>>【解決策3】人事評価に影響しないことを伝える
※記事後半にジャンプします
エンゲージメントサーベイの目的や効果を再確認したい方は、以下の記事をご覧ください。導入から活用までの流れも解説しています。

質問数が多く、回答に時間がかかってしまう
サーベイの質問数が多くなると、従業員は回答に時間がかかることに対して負担感を抱き、回答を途中で辞めたり、そもそも回答すらしなかったりする場合があります。
とくに現場の業務が忙しい従業員にとっては、「調査に答える余裕がない」といった心理的障壁が高くなり、サーベイへの回答を後回しにしてしまいます。
前述したバヅクリ株式会社の調査においても、エンゲージメントサーベイに対して、44.8%の人が「回答するのに時間がかかる」と不満を抱いていることがわかりました。
有効な対策としては、質問数(調査項目)を絞り、テーマ別に調査を分けて実施するなど、従業員の負担を軽減する工夫が必要です。
>>【解決策1】質問数を減らし、複数回に分けて調査を行う
>>【解決策2】回答者へのインセンティブを設定する
※記事後半にジャンプします
以下の記事では、エンゲージメントサーベイの質問項目(質問例)や、質問設計時のポイントを解説しています。本記事と合わせて確認してみてください。

調査することが目的になっている
エンゲージメントサーベイで陥りがちな課題の一つが、調査そのものが形式的になり、「組織改善を行う」といった本来の目的が希薄になってしまう点です。
調査自体が目的化してしまうと、従業員は「また調査をするのか」「回答しても結局変わらない」といったネガティブな感情を持ち、回答を避けるようになります。
バヅクリ株式会社の調査によると、44.8%の人が「課題や不満に対する解決策が実施されていない」と回答しており、調査目的の不明確さが見てとれます。
回答率を上げるためには、従業員の声にもとづいて「働きやすい環境に改善する」ことを丁寧に説明し、組織全体で共通認識を持つことが重要です。
>>【解決策1】調査結果が組織改善に活かされること十分に説明する
>>【解決策2】ネガティブな意見も受け入れることを伝える
※記事後半にジャンプします
エンゲージメントサーベイの回答率を上げる方法7選【事例あり】

エンゲージメントサーベイの回答率を上げるには、前提として「なぜ答えるべきか」「答えるとどうなるか」を明確に伝える必要があります。
そのうえで、以下のような方法を実践し、サーベイへの参加意欲を高めてみましょう。
※以下の表は右にスクロールできます
カテゴリー | 方法 | 取り組み事例 |
---|---|---|
活用方法の説明・対話 | 調査結果が組織改善に活かされること十分に説明する | サーベイ配信前に「回答してほしい旨とその理由」を明確に共有する |
サーベイフィードバックで従業員と対話する機会を設ける | 各職場に調査結果のフィードバック(対話)を行い、活力向上と成長につながる施策を検討する | |
調査結果の閲覧範囲を設定する | 回答から個人を特定できないように、結果の共有は5人以上で構成される組織のみを対象とする | |
心理的安全性の確保 (安心して発言できる環境) | 人事評価に影響しないことを伝える | 経営陣が率先して「関係者以外には調査結果を共有しない」「人事評価には影響しない」と繰り返し伝える |
ネガティブな意見も受け入れることを伝える | 匿名式のサーベイを行い、職場・社長・経営に対するネガティブな意見を集める | |
サーベイ設計上の工夫 | 質問数を減らし、複数回に分けて調査を行う | パルスサーベイ(4問)を定期的に実施し、スコアの変化を観察する |
回答者へのインセンティブを設定する | 回答してくれた社員に対して「研修手当」という名目の補助を出す |
これらの具体的な方法について、実際の企業事例を交えながら詳しく紹介します。
調査結果が組織改善に活かされること十分に説明する
エンゲージメントサーベイの回答率を高めるには、従業員に対して「自分の声が組織改善に活かされる」という意識を持たせる必要があります。
そのためには、過去の調査結果がどのように施策へと反映され、どのような改善が実現したのかを具体的に説明し、サーベイへの参加意欲を高めましょう。
実際に、エンゲージメントサーベイを活用している企業では、サーベイを配信する前に、対象部署の従業員に対して「回答してほしい旨とその理由」を共有しています。
ただ回答して終わりではなく、従業員の心理状態を確認し「離職の傾向が出ている人」をいち早く察知することで、問題に対する打ち手が明確になりました。
従業員が「自分ごと」として調査に向き合えば、回答率の向上とともに質の高い調査結果が得られ、職場環境の改善に有効活用できます。
また、改善策の進捗状況やアクションプランを定期的に共有し、調査そのものが目的にならない体制づくりも必要です。
サーベイフィードバックで従業員と対話する機会を設ける
調査結果をフィードバックするときは、上司(もしくは人事)と本人の「対話の場」を設け、今後の未来(改善アクション)について語り合いましょう。
サーベイを通して「結果の見える化・対話・未来づくり」を行う手法のこと。
従業員と対話を行うときは、ミーティングの目的やルールを提示したうえで、調査結果をもとに「組織としてどうありたいか」を話し合い、すぐ実行できる行動を決めます。
従業員一人ひとりが調査結果を行動レベルに落とし込めれば、組織改善を「自分ごと」として捉え、サーベイの継続的な運用につながります。
実際にサーベイフィードバックを実施している企業では、既存の従業員満足度調査を見直して「活力と成長アセスメント」の活用に注力しました。
具体的には、各職場に対して調査結果のフィードバックを行い、職場内での対話を通して「自分たちの組織のありたい姿」を明確にしています。
サーベイをきっかけとした対話を促す取り組みによって、社員の主体性を生み出すのと同時に、約90%の高い回答率を実現しています。
サーベイフィードバックの効果や手順を詳しく知りたい方は、以下の記事を確認してみてください。失敗しないためのポイントも解説しています。

調査結果の閲覧範囲を設定する
エンゲージメントサーベイの結果を共有するときは、関係者以外に提供しないよう「誰に、どの程度の情報を開示するか」を明確に設定しましょう。
調査結果の取り扱いが不透明だと、従業員は正直な回答をしづらくなり、組織改善につながるような本音を引き出せません。
全社的な課題は全社員に共有すべきですが、部門別・チーム別の詳細なデータについては、閲覧範囲を管理職に限定するなどの対応が必要です。
卸売業を行う企業の事例では、社員の働きがい向上を目指し、朝型勤務の導入やエンゲージ メントサーベイの実施など、さまざまな取り組みを行いました。
サーベイ結果を組織改善に活用するときは、回答から個人を特定できないようにするため、5人以上で構成される組織の結果だけを共有しています。
継続的な組織改善が浸透してきたこともあり、エンゲージメントサーベイの参加率は95%程度と高水準を維持しています。
また、サーベイの回答率を上げるには、結果が第三者に漏れないような対策も必要です。以下の記事では、「匿名式・実名式のサーベイ」それぞれのメリットや注意点を解説していますので、どちらで実施するか悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。

人事評価に影響しないことを伝える
エンゲージメントサーベイを実施するときは、調査結果が人事評価に影響しないことを事前に説明することで、安心感を与えるとともに参加意欲も高められます。
とくに上司や職場環境に関する質問は、その情報が本人に伝わることを懸念し、忖度したポジティブな回答ばかりをする可能性があります。
調査結果の共有範囲を限定したり、匿名でサーベイを実施したりするなど、人事評価や昇進・降格には一切影響しない姿勢を示すことが重要です。
エンゲージメントサーベイの活用で離職率の改善につながった企業では、調査に対して協力的な社員も多く、ほぼ100%の回答率を実現しています。
経営陣が「関係者以外には共有しない」「人事評価には影響しない」と繰り返し伝えたことで、調査に協力してくれる社員が増え、ケア対象者への対処が可能になりました。
人事評価と切り離すことで、社員は安心して率直な意見を言いやすくなり、結果として回答率の向上につながります。
ネガティブな意見も受け入れることを伝える
エンゲージメントサーベイを実施するときは、従業員に対して「否定されない」「不利益にならない」といった安心感を与えることが重要です。
会社側としては、ポジティブな意見だけでなく、ネガティブな意見も歓迎する姿勢を示すことで、会社に対する本音や不満を引き出しやすくなります。
定着率に課題があった企業の事例では、社員に対して業績ばかりを追求していた関係性を改善すべく、エンゲージメントサーベイを導入して社員と向き合う姿勢を示しました。
匿名で実施したこともあって、職場・社長・経営に対するネガティブな意見も多かったものの、エンゲージメント低下の要因が浮き彫りとなり、職場環境の改善につなげられました。
社員の率直な意見を収集できれば、現場の不満を解消する取り組みができるのと同時に、「自分の意見で会社が変わった」と社員からの信頼も得られます。
質問数を減らし、複数回に分けて調査を行う
サーベイの質問数を多くすると、従業員の心理的・時間的な負担となるため、調査への不参加や回答途中での離脱につながりやすくなります。
調査項目を絞り、テーマごとに複数回に分けてサーベイを行うことで、短い時間での回答が可能となり、従業員の参加意欲も高まります。
医療福祉業を行う企業では、医療職の身体的・精神的負担が高いという課題を解決すべく、2種類のサーベイを活用し「いきいき働ける組織づくり」に取り組みました。
- パルスサーベイ:個人の毎月の定点観測
- Great Place To Work:組織全体の健康診断
4問で構成されているパルスサーベイは、回答者の負担を軽減するだけでなく、低い評価をつけた社員の面談や状況把握に活用するなど、離職者の減少にもつながっています。
適切な質問数・頻度がわからない人事担当者の方は、以下の記事を参考にしてみてください。パルスサーベイにおける質問項目や設計時のポイントを詳しく解説しています。

回答者へのインセンティブを設定する
サーベイに参加する動機づけとして、回答者に対するポイント付与やギフトカード進呈といった、インセンティブを設定するのも効果的です。
なにかしらのインセンティブを設ければ、これまでサーベイに関心がなかった従業員の参加意欲も高められます。ただし、過度なインセンティブは設定しないように注意し、組織改善に向けた調査であることを明確に伝えましょう。
介護福祉事業を行う企業の事例では、社員の平均年齢が高いこともあり、ガラケーを使っている人が多かったため、スムーズに回答できるように工夫をしています。
その一つが、回答してくれた社員に対して「研修手当」という補助を出す取り組みです。
パソコンでの回答方法などを1on1でサポートした効果もあり、現場からは「サーベイの性格検査で自己理解の気づきがあった」といった声がありました。
このように回答を促すインセンティブを設けることで、サーベイへの参加意欲を高めるとともに、継続的に運用する仕組みづくりにもなります。
エンゲージメントサーベイの結果を活かすための運用フロー

エンゲージメントサーベイの効果を最大化するには、単に従業員の声を集めるだけでなく「結果をどのように活かすか」が重要です。
以下のフローを参考に、計画的かつ継続的なサーベイの運用を目指しましょう。
各ステップを詳しく解説します。
1.調査目的・スケジュールの策定
エンゲージメントサーベイを行うときは、事前に調査目的や調査範囲、結果の活用方法などを明確に定めておきましょう。
【具体例】※モバイルでは以下の表を右にスクロールしてご覧ください
調査目的 | ・従業員満足度を把握し、職場環境の改善点を見つけ出す ・離職の可能性が高い部署や従業員を特定する |
調査範囲 | ・全従業員を対象にし、部署や年齢ごとに傾向を把握する ・職場の人間関係、評価制度などの領域を調査する |
結果の活用方法 | ・職場ごとの改善点を洗い出し、各職場で施策を検討する ・経営会議や管理職会議の資料として活用する |
また、年間スケジュールを策定し、調査のタイミングと分析・フィードバックの期日を設定しておけば、運用が属人化せず組織として計画的に進められます。
2.従業員への周知・説明
調査目的やスケジュールを決めたら、その決定事項を従業員に丁寧に説明し、サーベイの重要性について理解を促しましょう。とくに強調すべき点は、以下のとおりです。
- なぜサーベイを実施するのか
- 匿名と実名のどちらで実施するのか
- 調査結果はどのような場面で活かされるのか
- 人事評価に影響するのか
- 調査結果は誰が閲覧できるのか
従業員に説明するときは一方的な告知ではなく、社内ポータルで調査方法を共有したり、マネージャーから直接声かけをしたりなど、さまざまな方法を組み合わせて伝えましょう。
3.サーベイ実施・分析
サーベイ実施のフェーズでは、質問の妥当性や回答のしやすさを考慮し「本当に聞くべき質問」に絞って調査を行いましょう。
年1回程度のサーベイの場合、職場環境や人事評価など多くの調査項目を設けても問題ありませんが、従業員の状態を定点観測したいときは「5〜10問程度」に絞るのが適切です。
サーベイ実施後は、結果の集計だけでなく、以下のような多角的な分析を行いましょう。
【分析のポイント】
- 属性ごと(部署・役職・入社年など)の傾向を把握する
- 過去に実施したサーベイの結果と比較する
- 他のデータ(業績・離職率など)との相関関係を分析する
- 自由コメントの回答から重要度を評価する
以下の記事では、サーベイ結果の分析方法について、具体例を用いて詳しく解説しています。結果の活用事例も紹介していますので、施策検討時の参考にしてみてください。

4.調査結果のフィードバック
調査結果を分析したら、全社的な傾向と課題を経営層に共有したうえで、部署・チームごとの結果をそれぞれの責任者にフィードバックしましょう。
フィードバックするときは、結果の良し悪しだけでなく、「なぜその結果になったのか」「どのように改善に活かすのか」という解釈と方向性の説明が必要です。
従業員との対話の場を設け、これからの職場のあるべき姿を話し合うことで、当事者意識を高めるとともに、組織として継続的に改善する仕組みづくりにもなります。
また、結果の見せ方にも工夫が必要であり、単に数値を羅列するのではなく、グラフや図解などを用いて視覚的にわかりやすい資料を心がけましょう。
5.施策の実行・運用計画の見直し
従業員との対話(サーベイフィードバック)を通して、施策や改善アクションを実行し、その効果を継続的に検証していきましょう。具体的なステップは、以下のとおりです。
※モバイルでは以下の表を右にスクロールしてご覧ください
ステップ | 具体例 |
---|---|
優先課題の決定 | エンゲージメントスコアが著しく低かった「上司との信頼関係」を最優先で対応 |
改善施策の立案 | 1on1ミーティングの実施、管理職向けのコミュニケーション研修の導入 など |
進捗状況のモニタリング | 月末の人事・部署長ミーティングで進捗報告 |
現場の声を踏まえた計画の修正 | 「1on1の時間が足りない」という声をもとに、1回10分から20分に調整 |
次回サーベイに向けた設計改善 | 質問項目の追加・削除、時期の再調整、対象範囲の見直し など |
施策の効果を次回のサーベイで確認する仕組みをつくれば、スコアの変化に応じて再検討が可能となり「継続的に改善する組織文化」の構築にもつながります。
従業員の離職に課題を感じている人事担当者の方は、離職防止の取り組みを解説した以下の記事を確認してみてください。離職者が半減した事例や、離職率の改善で上場を果たした事例などを多数紹介しています。

離職対策としてエンゲージメントサーベイは効果があるのか

エンゲージメントサーベイは、従業員の心理状態の変化から「離職の可能性」を察知し、業務調整や配置転換などの対応につなげられる有効なツールです。
株式会社リーディングマークの調査(上図)によると、実施している若手社員の離職対策として、41.0%の企業が「エンゲージメントを測る調査ツールの活用」と回答しました。
「効果を感じた施策」について質問したところ、定期的な1on1面談の実施(36.8%)の割合がもっとも多く、サーベイの活用は6.1%という結果でした。
この調査結果から1on1面談の重要性が伺えるものの、面談を行うための情報を収集するには、サーベイツールの活用が不可欠となります。
実際にサーベイを導入している企業では、従業員の状態を可視化し「ケアが必要な人」へのサポートをしたことで、離職率が25%から20%に減少しました。
この事例のように、間接的ではありますが、エンゲージメントサーベイの活用によって離職防止につながることがわかります。
また、離職防止に特化したサーベイツールのほかにも、組織診断が可能なツールもあります。
以下の記事では、目的別におすすめのサーベイツールを紹介していますので、導入を検討している人事担当者の方はぜひ参考にしてみてください。

結果を活かす運用体制を構築し、サーベイの回答率を高めよう

エンゲージメントサーベイは、組織課題を浮き彫りにする有効な手段ですが、その効果を最大限に引き出すためには「回答率の向上」と「結果の活用」が不可欠です。
回答率が低い状態だと、組織改善に活かせるほどデータが集まらず、表面的な施策だけに留まってしまいます。
そのため、従業員に対して「働きやすい環境をつくるために協力してほしい」と丁寧な説明をしたうえで、調査を複数回に分けるなど負担軽減への配慮が求められます。
>>「エンゲージメントサーベイの回答率を上げる方法」を確認する
まずは、エンゲージメントサーベイを行う目的を定め、適切な質問設計と結果にもとづくアクションができるように、社内の運用体制を整えていきましょう。

従業員のメンタル状態の定期的な可視化・個々の性格に合わせたアドバイス提供を通じ、離職・休職を防ぐエンゲージメントサーベイ。無料トライアルの詳細は下記から。