企業の採用試験で用いられていることが多い適性検査。「適性検査の結果が原因で採用試験に落ちることはあるのか?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
企業は応募者とのミスマッチを防ぐ判断材料として、適性検査を導入しています。そのため、企業が定めた基準に満たない場合は不採用になってしまう可能性があるでしょう。
しかし事前に適性検査の特徴を知り、出題される問題形式を把握しておけば合格できる確率は上がります。
本記事では、適性検査に落ちる理由と対策を「能力検査」と「性格検査」に分けて8つ解説しています。
適性検査に落ちたときの対処法についても紹介していますので、人事や経営者の方は就活生のサポートに役立ててください。
適性検査で落ちる可能性はある?
基礎学力が一定の基準に満たない場合や、自社との相性がよくないと判断された場合、適性検査に落ちてしまう可能性があります。
適性検査には大きく分けて「能力検査」と「性格検査」の2種類あり、検査内容は以下のとおりです。
種類 | 検査内容 |
---|---|
能力検査 | 基礎学力や一般常識を測定 |
性格検査 | 人間性や価値観のパーソナリティを測定 |
企業は履歴書や面接だけでは判断できないパーソナルな部分を知るために、適性検査の結果を重要視しています。
実際に、2023年卒の採用試験に「適性検査・筆記試験」を導入している企業は88.5%でした。この調査結果からも、適性検査の重要度が伺えるでしょう。
また、応募者が多い企業は適性検査でふるいをかけて、面接に進む人材を選考する場合があります。
したがって、適性検査に落ちたからといって「自分には才能がない」と落ち込んでしまう必要はありません。
【能力検査】適性検査に落ちる5つの理由
適性検査の「能力検査」に落ちる理由は以下のとおりです。
それぞれの落ちる理由について以下より詳しく解説していきます。
能力検査で不合格になる理由を事前に把握しておけば、検査で落ちた受検者の特徴を分析しやすくなるので、人事の方は参考にしてみてください。
理由1:企業の合格ラインに達していない
企業が独自に定めている合格ラインに正答数が達していない場合、不合格になります。能力検査には基礎的な学力や一般常識の問題があり、企業が求める能力に合わせて出題されます。
企業によって合格ラインが異なり「正解率が70%未満は不合格」といった基準を設けているため、対策が必要です。
出題される問題は主に選択式であり、合格するためには未解答の問題をなくし、解答率を上げるように心がけましょう。
理由2:出題される形式に慣れていない
出題される形式や傾向に慣れていないと、本番にスムーズな解答ができずに不合格になります。たとえば、選択式の出題に慣れていない場合、似たような選択肢が並んでいると混乱して正しい解答が選択できないこともあるでしょう。
検査に用いられる問題は常に新しいものに更新されていきますが、ある程度は出題パターンが決まっています。
そのため、模擬テストなどで練習を重ねることで、検査に対する理解が深まり、本番に臨んだときにスムーズな解答ができるようになります。
理由3:一問一問に時間をかけすぎている
一問一問に時間をかけすぎると、すべての問題を解く時間がなくなり、正答数が少なくなって不合格になることがあります。
能力検査では、決められた時間内で多くの問題に解答しなければならないため、短時間で解答する判断力や思考力が求められます。
しかし、それほど難しい問題は出題されないため、長時間考える必要はありません。時間がかかってしまいそうな問題は一旦飛ばして、時間をうまくコントロールしましょう。
理由4:問題の読み取りミスや計算ミスがある
試験の緊張感から冷静さを失って、問題の読み取りや計算のミスをして不合格になることもあります。
制限時間を気にしてしまい焦りが生じ、ケアレスミスを起こしてしまうことも、能力検査に落ちる原因の一つです。
受検者にとって就職が決まる重要な試験であることから、心理的なプレッシャーがかかることもあります。プレッシャーによって判断力が鈍ってしまうことも、ミスの原因になるでしょう。
理由5:不得意な問題でつまずき時間がかかる
能力検査では幅広い分野から出題されるため、不得意な問題があるとつまずく可能性があります。主な出題内容は以下のとおりです。
分野 | 内容 |
---|---|
言語分野 | ・語彙力 ・文章読解 ・論理的思考 ・英語 など |
非言語分野 | ・計算 ・推論 ・暗号 ・図形 ・記号 など |
一般常識 | ・社会的基礎力 ・マナー ・時事問題 など |
不得意な問題でつまずいてしまうと解答に時間がかかり、制限時間内に解答しきれず合格ラインに到達できません。
あらかじめ自分の苦手分野を洗い出し対策することで、本番での解答数が増え、合格ラインに近づけます。
【性格検査】適性検査に落ちる3つの理由
適性検査の「性格検査」に落ちる理由は以下の3つです。
性格検査は社会性や行動意欲を測定して、自社との相性をみる大切な検査ですので、不合格になる理由を把握し面接時の参考にしてみてください。
性格検査に落ちる理由について、一つずつ以下より解説していきます。
理由1:相性が合わないと企業側に判断される
採用試験において、性格検査は必要不可欠なものであり、企業と相性が合わないと判断された場合、採用を見送られることがあります。
能力検査の評価や持っているスキルが高くても、性格や人柄に対する評価が低ければ、企業からは採用されません。
「まじめに仕事をしてくれそう」といった前向きな印象を持ってもらうことが大切です。
そのためには、企業の社風を自分なりに調べて自己分析を行うことが重要になります。
理由2:同じような質問に矛盾点がある
性格検査では同じような質問が出題され、回答の軸がブレてしまうと、企業側は正しい性格判断ができず、落ちる原因の一つになるでしょう。
たとえば以下のように、ニュアンスが違う同じような質問が出題されます。
・私は忍耐力があるほうだ
・私はすぐに諦めてしまうほうだ
最初の質問に対しては「忍耐力がある」と回答しているのに、もう一方では「すぐ諦めてしまう」と回答してしまった場合、回答に矛盾点が生じてしまいます。
性格検査の質問に対して、矛盾がないように回答することが大切です。
理由3:自己分析不足で性格と異なる回答をする
性格検査を受検する前に自己分析ができていないと、自分の性格と異なる回答になってしまうことがあります。
本来の自分とは異なる回答をした場合、面接の際に矛盾点が生じるため、企業から信用性が低いと判断・評価され、落ちてしまう原因になります。
たとえば、社交的で人との関わりを大切にする性格に対して、自己分析をせず「一人でいることが好き」と内向的な回答をするといったケースです。
これまでの経験や体験を振り返り、自分がどのような役割で生活してきたのかを再確認し、自己分析しておきましょう。
【能力検査】適性検査に合格するための5つの対策
適性検査の「能力検査」に合格するために必要な対策は以下の5つです。
能力検査にはさまざまな種類がありますが、どの検査も問題の正答数が評価に大きく影響するため、事前に対策方法をインプットしておきましょう。
能力検査に合格するための対策について、一つずつ以下より解説していきます。
対策1:能力検査の種類を事前に把握しておく
能力検査で合格ラインに達するためには、志望する企業がどの適性検査を行うかを事前に調べておくことが大切です。
適性検査は提供している会社によってさまざまな種類があるため、受検する企業のWebサイトやSNSなどから情報を収集しましょう。
代表的な適性検査は、以下の表のとおりです。
種類 | 検査手段 | 提供会社 |
---|---|---|
ミキワメ適性検査 | Webテスト | 株式会社リーディングマーク |
SPI3 | ・ペーパーテスト ・インハウスCBT ・Webテスト ・テストセンター | 株式会社リクルートマネジメントソリューションズ |
玉手箱Ⅲ | Webテスト | 日本エス・エイチ・エル株式会社 |
能力検査の種類を事前に把握しておくことで、対応する問題集を使って効率的に勉強できます。
また、英語力や読解力など企業が独自に求める能力に合わせて、対策を行うことも効果的です。能力検査の種類を確認して対策することで、試験本番で自分の能力を最大限に発揮できるでしょう。
上の3つ以外にも適性検査はあるので、さらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
対策2:ひとつの問題集を繰り返し勉強する
能力試験に合格するためには、問題の形式に慣れることが重要であり、問題集を使った勉強が有効な対策になります。
複数の問題集を使ってしまうと、さまざまなパターンを覚えなければならないため、ひとつの問題集を繰り返し勉強することが効果的です。
問題集を利用するときは、解答を暗記するのではなく、数学の公式など問題パターンを覚えることに重点をおきましょう。
問題パターンを覚えることで、同じタイプの問題が出題されてもスムーズに解けるようになります。
対策3:時間配分を意識した勉強法を取り入れる
能力検査の評価に関わる指標の一つは問題の解答数であり、全体の時間配分を意識して、解答率を上げるように心がけましょう。
代表的な能力検査の時間は、以下のとおりです。
種類 | 検査時間 | 検査手段 |
---|---|---|
ミキワメ | 20分 | Webテスト |
SPI3 | 70分 | ペーパーテスト |
玉手箱Ⅲ | 約50分 | Webテスト |
まずは、勉強する段階でタイマーを使い、一問にかかる時間を計測しましょう。問題の種類ごとに解答時間を決め「どの問題にどのくらい時間がかかっているか」を把握することが重要です。
対策4:冷静になって問題を読み解答する
問題の読み取りや計算のミスを防ぐためには、冷静になって問題文を読み解答することが重要です。正解率が低いと不採用になる原因にもなるため、慎重に解答することが求められます。
事前に問題集を使って勉強しておくことで、時間がなくて焦ってしまうような場面でも、冷静な対応ができるでしょう。
また、あらかじめ模擬テストを実施して、全体の時間を把握することも有効です。
対策5:苦手分野を集中的に勉強する
得意分野の勉強よりも、苦手分野を集中的に勉強するほうが大切です。
なぜなら、能力検査では正答数によって評価が決まり、不正答の割合が高くなると合格ラインに達しない可能性があるからです。
能力検査の難易度はそれほど高くないため、得意分野よりも苦手分野に時間を割くほうが効率的と言えるでしょう。問題集などで基礎的な知識を身に付け、実践的な問題に取り組むことが大切です。
【性格検査】適性検査に合格するための3つの対策
適性検査の「性格検査」に合格するために必要な対策は、以下の3つです。
性格検査は100問以上の質問に回答する必要があり、制限時間を考えた冷静な対応が求められるため、事前に検査の全体像を把握しておきましょう。
性格検査について合格するために必要な対策について、一つずつ以下より解説していきます。
対策1:企業の情報や社風を事前に調べる
性格検査では、企業の働き方や社員との相性を評価するため、あらかじめ企業の情報や社風を調べておくことが大切です。
企業のWebサイトやSNS、採用情報などをチェックすることで、企業の理念や文化、採用方針を把握できます。
まずは企業が求める人物像を把握し、自分の性格が企業に合っているかを判断しましょう。
ただし、企業が求める人物像に近づくために無理をする必要はなく、自分の個性や強みを生かして、正直に回答しましょう。
対策2:一貫性を持った回答をする
適性検査の性格検査において、一貫性を持った回答をすることが重要です。
なぜなら、同じような質問に対して矛盾点が生じず、信頼性の高い回答になるからです。矛盾点があると「嘘をついている」と企業側から判断されてしまう可能性があるため、注意しましょう。
また、短時間で多くの質問に回答する焦りから、回答の軸がぶれないように訓練することも大切です。一貫性を持った回答をするためには、自分自身の性格や考え方を深く理解しておきましょう。
対策3:自己分析をして素直に回答する
性格検査において、事前に自己分析をして素直に回答することが大切です。自己分析をせず自分を装い回答してしまうと、面接時に性格や人柄に矛盾が生じてしまい、信頼を失う可能性があります。
もちろん、企業の求める人物像に近づけるように心がけることは重要です。
しかし、無理に企業に合わせた回答をすると、自分の性格とは異なった回答をしてしまうことが考えられます。企業の社風にある程度近づけつつ、自分の素直な回答をすることが大切です。
適性検査で落ちたときの対処法
ここまで紹介した適性検査の対策をしても、不合格になってしまうこともあります。もし落ちてしまったとしても深く考えず、以下のような対処法を実践して次の目標に向け行動していきましょう。
適性検査で落ちたときの対処法について、一つずつ以下より解説していきます。
自己分析や勉強をやり直す
適性検査に落ちたときは、自己分析や勉強をやり直してみましょう。
まずは自分の得意なことや苦手なこと、興味のあることなどを自己分析し、今後のキャリアプランの方向性を考え直すことが大切です。
また、落ちた原因が知識不足だった場合は、問題集などで勉強をやり直すことも重要です。自分の知識レベルを上げることで、適性検査の評価も向上するでしょう。
不合格の理由を考えすぎない
適性検査で不合格になり落ち込むこともありますが、理由を深く考えすぎてしまうことはよくありません。適性検査が原因で不採用になることもありますが、企業側の事情で採用が難しくなった場合も考えられます。
そのため、落ちた理由ばかりに固執せずに、自分ができることを考え、改善するための対策を練ることが重要です。
悔しい気持ちを持って次に挑戦することで、自分自身が成長できる可能性もあるため、前向きに考えていきましょう。
相性がよくなかったと受け入れて別の企業を探す
「企業との相性が合わなかった」と素直に受け入れることも大切です。企業は自社に最適な人材を採用したいため、人物像や志向性など自社との相性を重要視しています。
すでに採用枠が埋まって不採用になるケースもあり、適性検査の結果以外の要素が不合格になる場合も存在します。
落ちた企業に採用される対策を考えるよりも、自分に合う企業を見つけることに重点をおき、就職活動を行うことが望ましいです。
適性検査で不採用になった気持ちを落ち着かせて、次に向けて前向きに取り組んでいきましょう。適性検査の対策方法は他にもあるため、以下2つの記事も参考にしてみてください。
まとめ:適性検査に落ちる原因を把握しておこう
適性検査に落ちる理由と対策は、能力検査と性格検査でそれぞれ異なるため、以下の表でもう一度確認しておきましょう。
能力検査
落ちる理由 | 対策 |
---|---|
企業の合格ラインに達していない | 能力検査の種類を事前に把握しておく |
出題される形式に慣れていない | ひとつの問題集を繰り返し勉強する |
一問一問に時間をかけすぎている | 時間配分を意識した勉強法を取り入れる |
問題の読み取りミスや計算ミスがある | 冷静になって問題を読み解答する |
不得意な問題でつまずき時間がかかる | 苦手分野を集中的に勉強する |
性格検査
適性検査は採用試験によく用いられ、企業との相性を判断するための指標の一つです。もし適性検査に落ちた場合でも、理由を深く考えすぎず、別の企業を探すことも視野に入れましょう。
人事担当者としても、適性検査の落ちる理由を知っておくことが重要です。応募者がどのような対策をして試験に臨んでいるのか把握でき、面接時の質問にも役立てられます。
本記事の内容をよく理解して、企業と応募者の双方が納得できる採用試験を目指しましょう。
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