データ時代の採用市場はこうなる!「ミキワメ」開発者の曽和氏とリーディングマーク代表飯田氏が対談
AIやデジタル技術の発展により急激に変化する日本の採用市場。
人事の経験と直感で採用する時代から、データに基づいて判断する時代へと着実にシフトしています。
採用のあり方が変わっている今、企業はどのように対応していくべきなのでしょうか。
適性検査クラウド「ミキワメ」の元となる技術を開発した曽和利光氏と、リーディングマーク代表の飯田氏が対談しました。
ポイント
- 採用市場は経験と直感の時代から、データに基づいて採用する時代へ。
- 人による面接+データ結果を組み合わせ、採用の精度が向上。
- 一方で、「お金がかかる」「データを集めるのが大変」「データの活用が困難」というハードルも存在。
- データを集め、分析する一連のプロセスをリーズナブルな価格で実現する適性検査クラウド「ミキワメ」に注目。
採用市場の状況
飯田悠司(以下、飯田):まず、最近の採用のトレンドはどのようなものがありますか?
曽和利光(以下、曽和):これまでの採用は、人事が経験と勘でやってきたところが大きかったです。それが、服部泰広先生の『採用学』が出版されたあたりから、直感採用に疑念が生まれ始めました。 今やデータベースで人事のあらゆることを判断できる時代になっています。 AIがエントリーシートを判定したり、動画選考でAIが表情や声まで分析することが一般化しており、その精度も向上しています。
「直感採用」から「データ採用」へ
飯田:データに基づいた採用は決して簡単ではないと思うのですが、色々な会社を見てる中で、データ採用をしっかりできている会社はどれくらいあると思いますか?
曽和:まだ1〜2割程度だと思います。だからこそ本格的に導入すれば先んじられる時期だと思います。
飯田:データ採用の重要性は認知されているものの、まだまだ実践できているのは少数派というのが採用市場の現状なのですね。
採用にデータを導入するともっと大変になる、という意見もありますが、むしろ効率化をもたらし人事の方にもプラスになるのではないでしょうか。
曽和:おっしゃる通りです。面接一つとっても、採用担当者は非常に多くの時間をかけてきました。本当に合う方のみをデータで絞ってからじっくり話をした方が、採用の時間もより有益になると思います。
飯田:データ採用がトレンドになっているのは良く分かりました。しかしハードルが高いと思われる方が多いと思います。そうなってくると、やはり実現できるのはお金のある大企業に限られてくるものですか?
曽和:現時点ではそうなのかも知れません。適性検査は、一人当たり何千円かかりとても高額ですよね。採用の初期段階でのテスト導入は非常に有益ですが、ある程度の資金力が必要です。
また、データを分析できる統計学のスペシャリストが自社内にいるのも大企業が中心です。ほとんどの企業は自社だけでデータ採用を行うのが難しく、諦める企業も多いです。
飯田:そもそもデータを集められている企業が少ない、分析するのも簡単ではない、スペシャリストに依頼しないとデータ採用ができない。これらがデータ採用普及の足かせになっているのでしょうか。
曽和:現状ではそれが一番大きな壁なのではないかと思います。
データ採用に切り替えて危なくないのか?
飯田:コストに加えてもう一つの懸念として、これまで人による採用を行ってきたのに、いきなりデータ採用に切り替えて危なくないのかという意見もあるのではないでしょうか。
曽和:データ採用に対してアレルギーのある企業も少なくありません。 ただ、これまでの人による面接を完全にデータで置き換える訳ではなく、新たな視点を加えるという見方の方が正しいです。 人間だけでは立てられない仮説をAIの力で作り出し、それをリアルの面接で確かめる。人とデータの両方の良さを組み合わせ、活かすことにマイナスはないと考えます。
「人」だけの判断から「人」+「データ」の判断になる
飯田:データ採用は人による採用を置き換えるものではなく、むしろ人の採用を強化するものなのですね。
曽和:その通りです。人間のバイアスや先入観を払拭するためにデータはとても有益です。
飯田:チャレンジ精神を確かめるにも、情熱が前面に出る「赤い炎」の方と、内なる熱意がある「青い炎」の方がいらっしゃいます。人による採用だとどうしても「赤い炎」の方が積極的だと見なされやすいですよね。
曽和:大人しそうに見える方も、データで積極性が検知されれば、のちの面接でエピソードを引き出し、隠れた情熱を見つけ出すこともできます。
人による採用では、外向性と情緒安定性などの特徴が分かりやすい一方で、誠実さや知能は分かりずらいという側面があります。
飯田:人の直感による結果とデータの結果は、最終的にはどちらを信じれば良いと思いますか?
曽和:最終的にはその人の意志と覚悟が大事なのではないかと思います。人は元々矛盾だらけで複雑なので、固定観念に当てはめて判断すべきではないと思います。 直感とデータの結果に矛盾があれば、突っ込んで質問してみたり、第三者の目を入れてみたりして精度を上げれば良いと思います。
例えば、「ラグビー部の主将」にも本来は色んな性格の人がいますよね。しかし、人だとイメージによるバイアスがかかりやすいです。そのバイアスに囚われない、という意味でデータの結果は採用の精度を向上させると思います。
データ採用を実現するためにすべきことは?
飯田:これまでのお話で、データ採用の優位性や重要性が理解できました。では、実際にデータ採用を導入したいとなったときに、何をすれば良いのでしょうか。
曽和:とにかく早く、できるだけ多くのデータを集めることだと思います。 早くデータを集める必要があるときは、例えば早期退職をしない人を判別したい場合が挙げられます。 この判別には、比較対象として過去に自社で早期退職した人のデータが必要になります。しかし、退職後にその人のデータは集められないので、とにかく早くデータを取っておく必要があります。
次に、多くのデータを集める必要があります。 最終面接の直前だけでなく、全ての応募者や自社の面接担当者の傾向などの多くのデータを集めておくと、採用全体の精度が向上します。
また、データは転勤や異動などの人事判断を説明する根拠にもなります。 このような判断はその人の人生に与える影響が大きいので、納得性のある説明が必要であり、説明をするには根拠となるデータが必須です。
意味あるデータを集め活用すること
飯田:現状では、社員や応募者のパーソナリティデータを集めている会社は少なく、ちゃんと活用できている会社も少ないのですね。
曽和:せっかく適性検査の結果を集めても、紙で放置されてデータ化されていなかったり、新卒はあるが中途はやっていないなどで全数調査ができていなかったりします。 一部のハイパフォーマーだけにテストを受けさせても、比較対象のプロフィールがないと差分がわからないので、全員のデータを集めることが重要です。
データ採用の課題を解決するには
曽和:今までの話をまとめると、データ採用にはお金がかかり、データを集めるのが大変だということに加えて、データを実際に保管・活用する流れも大変だったり様々な課題が残っていました。
飯田:曽和さんはパーソナリティデータの重要性を認識しており、それを表示する適性検査を作られました。 しかし、お金がかかる、データを集めるのが大変、活用するのも難しいという3つの点が課題として残りました。
当社では、曽和さんの作ったテストを元に「ミキワメ」という製品を発表し、この3つの課題を解決する形でサービスを設計しております。 「ミキワメ」では、簡単にデータを集め分析することができるだけでなく、利用の費用も極めてリーズナブルです。
曽和さんに整理していただいた問題点や想いは核心をついていると思いますので、今後「ミキワメ」を普及させ、全ての会社がデータ採用を実現できるように努力してまいります。
引き続き、曽和さんのご指導、ご意見をいただきたいと思います。
曽和:データ人事を広めることは、日本の働く人の能力や可能性を最大化させるベースになると思います。 今までは直感や偏見により可能性を閉じられていたような人たちの可能性が広がると思うので、「ミキワメ」には大いに期待しています。
補足:適性検査クラウド「ミキワメ」とは
「ミキワメ」は、学生と企業の相性を適性検査に基づき数値化し、分かりやすく表示するツールです。 学生がその企業でしっかり活躍と定着できるか、また最も相性の良い部署はどこか、という所まで数値化できます。 その仕組みは、学生が回答した適性検査のデータを、あらかじめ企業側で実施していた社員の検査結果と照らし合わせることで、お互いの相性を確認するというものです。
これにより企業側は、双方の回答データを有効に活用し、自社と相性の良い学生を採用することができます。 企業側は採用コストを削減でき、同時に正確性も向上させられることが「ミキワメ」の最大のウリとなっています。(https://mikiwame.com/)