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就活の早期化がもたらす課題や新卒採用時に企業が実施すべきことを解説

近年就職活動の早期化が進み、企業は人材獲得競争の激化から早い時期に採用活動を行う必要に迫られています。

一方で、採用活動の早期化にともなう学生の企業理解不足や、ポテンシャルを見極めることの難しさで起きる採用のミスマッチが新たな課題です。

本記事では、早期化する就活の現状や要因、学生の反応について整理し、企業がミスマッチを防ぎつつ新卒採用を実現するためのポイントを解説します。

就活早期化のトレンドと現状

まずは、就活スケジュールの早期化に関する現状と背景について見ていきましょう。

就活スケジュールの早期化が進んでいる

就活スケジュールは年々前倒しになっています。リクルートによると、2025年卒の大学生の就職内定率は2024年の5月1日時点で72.4%と過去最高を記録しました。

「大学4年生になったら就活」という従来のイメージは薄れつつあります。「あさがく(朝日学情)ナビ」の調査によると、いまや大学3年生の2月時点で既に4割の学生が「内々定」を獲得している状況です。

現在は「売り手市場」と呼ばれる学生優位の就職市場が続いていることもあり、企業側の動きも加速しています。

株式会社学情の調査によると、2026年卒を対象としたインターンシップやオープン・カンパニーの広報について、44.3%の企業が「すでに開始している」との回答です。

 一方で、政府は学生が学業に集中しながら安心して就職活動に取り組めるよう、以下のような就活日程を要請しています。

  • 広報活動開始:卒業・修了年度(大学3年)に入る直前の3月1日以降
  • 採用選考活動開始:卒業・修了年度(大学4年)の6月1日以降
  • 正式な内定日:卒業・修了年度(大学4年)の10月1日以降

参考:就職・採用活動に関する要請|内閣官房ホームページ

しかし実際の就活スケジュールはこの指針から大きく乖離しており、政府の要請が形骸化しているのが現状です。

就活におけるインターンシップの位置づけが変化している

就活スケジュールの早期化により、インターンシップも従来の目的である「職業体験・業界理解」としての位置づけから「事実上の採用選考」となり、実施時期も早くなっています。

前述の調査では、インターンシップの広報開始・開催時期を「前倒しする」と回答した企業が6割近くです。

大手企業のなかには、事前エントリーが始まる3年生の4月以降から学生に接触し、インターンシップに誘導する企業も登場しました。実際、大学1年生でもインターンに参加できる企業もあるほど、インターン参加が就活の前提となりつつあります。

一例として挙げられるのがニトリで大学1・2年生向けに実施されているWEBテストと面接をパスすると、翌年のインターンシップ参加権を得られるコースです。学生にとっては「インターンシップへの参加」自体が、就活の目標の一つとなっています。

就活が早期化する要因

就職活動が早期化している要因として、主に以下の3つが挙げられます。

少子高齢化による人材獲得競争の激化

少子高齢化にともなう人手不足により、DXなどの特定スキルを持つ優秀な人材に対する企業間の人材獲得競争が激化しています。

その状況を裏付けるように、マイナビの調査では76.6%の企業が「来年春に卒業する学生の採用環境は厳しくなる」と回答

リクルートでは就活の早期化について「学生に人気の高い大手企業が前倒しで内定を出す傾向が強くなっているのではないか」と分析しています。

採用直結型インターンシップの公認

政府は民間企業の採用スケジュールの現状に即し、2025年卒業予定者から以下の条件に限り学生の情報を採用選考に利用できる「採用直結型インターンシップ」を公認しました。

  • 5日間以上のインターンシップであること
  • 大学等の教育機関の学事日程に配慮して実施されていること
  • 募集対象を卒業・修了年度に入る直前の学年に限定せず、卒業・修了年度以外の学年の学生も募集対象とすること

この公認によって、インターンシップと採用選考の境界が一層曖昧になり、事実上の選考が早期化する傾向が強まっています。

オンライン化の普及による採用活動の効率化

コロナ禍を機に、オンラインでのアプローチや選考過程が一般化し、企業は早期から多くの学生と接触して選考を進められるようになりました。

さらに、オンライン化によって地理的な制約が減少し、遠方の学生との接点も増加しました。より広範囲の学生に早期からアプローチできるようになったことも、企業の採用活動の早期化を後押ししています。

就活の早期化に対する学生の反応

企業側の状況に対して、学生の反応は早期化をメリットと捉える学生と、急かされていると感じる学生で二極化しています。

株式会社ジェイックによる「2025年卒業学生の就職活動の早期化」に関するアンケート調査結果から、就活の早期化に対して学生がどう思っているのかを見てみましょう。

学生が実感する就職活動の早期化のメリット

調査によると、学生側も8割以上が「就活の早期化を感じる」と回答しています。回答が多かった早期化のメリットは以下の3つです。

  • 早い段階で内定を獲得できる(80.0%)
  • 安心感や余裕を持って就職活動に臨める(40.0%)
  • さまざまな業界・職種を見ることができ、視野が広がる(30.0%)

ほかにも「早期から就活について考えることで、自分が納得して会社選びがしやすくなる」といった意見も挙げられていました。

学生が実感する就職活動の早期化のデメリット

一方で、早期化によるデメリットとしては、以下のような回答が挙げられました。

  • 学業や部活動、アルバイトとの両立が大変(74.1%)
  • 選考の情報公開日が企業によりさまざまなので情報収集が大変(72.9%)
  • いつ就職活動を終えればよいかわからない(38.2%)

これらの回答からは、就活の早期化にともなう学生の負担増加がうかがえます。

また 「将来やりたいことや、志望動機が明確に固まっていない状態で面接に挑まなくてはいけないのが辛い」「就活の方法が分かっていない段階で早期選考を受けて力を出せないことがあった」といった回答もありました。

この意見は「早期化により応募者の本来の適性を見極めにくくなっている」という点で、企業側にとっても解決すべき重要な課題といえるでしょう。

就活早期化時代の新卒採用で企業が実施すべきこと

就活の早期化が学生と企業の双方にさまざまな影響を与えるなか、企業はどのような取り組みを行うべきでしょうか。

前述の「2025年卒業学生の就職活動の早期化」に関するアンケート調査結果における「就職活動の早期化にともない企業に求めたいこと」をもとに見てみましょう。

自社の強みと差別化ポイントの明確な発信

同調査によると、学生の43.5%が「会社説明会で、他社との差別化ポイントや強みを教えてほしい」と回答しています。

就活の早期の段階から学生に対して自社を強く印象づけ、優秀な人材の獲得につなげるためには、企業が自社の強みと差別化ポイントを以下のような形で明確に発信することが重要です。

  • 具体的なストーリーや数字・データを用いて説明する
  • 社員の体験談や成功事例を共有する
  • 視覚的な資料(グラフ、画像、動画によるバーチャルオフィスツアーなど)を活用する

しかし、企業側が思う「自社の強み」と、雇用される側の学生が思う「企業の強み」が同じとは限りません。

学生に効果的に訴求するためには、従業員に対するサーベイを実施して、従業員にとっての自社の強みを把握することも有効です。

早期からの学生とのコミュニケーション機会の創出

同調査では「早期から、社員と話せる機会を設けてほしい(座談会など)(31.2%)」、「リアルで話せる機会を作ってほしい(15.3%)」との要望も上がっています。

これらの要望には、就活の早期化により将来やりたいことや志望動機が明確に固まっていない状態で就活をしていることも影響していると考えられます。

そのため、企業においては、以下のような双方向のコミュニケーション施策の実施が効果的です。

  • 少人数制の座談会や懇親会
  • SNSを活用したライブ配信やQ&Aセッション
  • グループディスカッション形式のイベント
  • 若手社員との1対1の面談やキャリア相談会
  • 業務体験型ワークショップやプロジェクト参加型イベント

これらの施策により、学生は企業や仕事についての理解を深め、自身の将来像や志望動機を明確にできます。学生のニーズに応える意味でも、早期化のメリットを有効に活かし、自社で働く姿をイメージしやすくなる機会を創出すべきでしょう。

魅力的なインターンシップの企画

学生と企業の相互理解を深め、適性を見極めるためには、インターンシップを単なる就業体験ではなく、学生が企業の文化や価値観を理解して自身のキャリアを考える機会として活用しましょう。

就活の早期化が進むなか、魅力的なインターンシッププログラムの企画は、優秀な人材に対して早期にアプローチするための重要な施策です。

具体的な施策としては、実際のプロジェクトへの参加や複数部門でのローテーション型インターンシップなどが考えられるでしょう。一例として、富士通グループでは、2週間以上の期間を通じて富士通の仕事を実務に近い形で経験できる有償型インターンシップを実施しています。

データ分析とAIの活用による採用精度の向上

就活の早期化にともない、採用活動の過程で就活に対する意識・準備が不十分な学生に対して判断を求められる機会が増えています。これにより、本来自社に適した人材を見落とす懸念があります。

このような課題には、データ分析とAIの活用が有効な解決策となります。学生の潜在的な資質を分析・数値化できるAIツールを用いることで、表面的な情報だけではなく、潜在的な適性や将来性の見極めが可能となります。

就活早期化時代における適性評価の重要性

就活の早期化が進むなか、同業他社との人材獲得競争の激化や内定から入社までのタイムラグにより、企業と学生双方にとって最適な採用を実現することがますます難しくなっています。

そのため、企業は就職先としての競争力を強化するとともに、学生の現在のスキルだけではなく将来性や熱意、ビジョンなど個人のポテンシャルを重視した選考を行い、採用ミスマッチを防止しなければなりません。

終身雇用制度が変化しつつある現在でも、採用の本質的な成功は「今いる会社で従業員が活躍できる状態」を実現することにあります。 学生の性格傾向や価値観も含めて「自社で活躍できるか」という観点で、潜在能力や成長可能性を見極める必要があるでしょう。

「ミキワメ適性検査」は、能力面での検査に加え、性格傾向なども含めた総合的な評価により、現在活躍している社員の特徴分析を活かした学生の多角的な評価が可能です。

データを活用し、学生と企業の適合性を判断することで、就活の早期化により採用から入社までのタイムラグが大きくなっても、ミスマッチのリスクを低減できます。

適性評価によるデータ活用で就活早期化時代の採用課題を解決しよう

ミキワメ適性検査は、学生の特性と企業や採用業種との相性の多角的な分析により、企業と学生の双方にとって最適なマッチングを支援するツールです。内定から入社までの期間が長期化する就活早期化の時代においても、入社後に会社で活躍できる人材の採用に貢献します。 

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