- ストレス耐性が「高い人」と「低い人」の特徴・違い
- 採用や人員配置でストレス耐性を見極める方法
- ストレス耐性を高める方法【企業・個人の取り組み】
時代のニーズに応じてビジネス環境が変化するなか、さまざまな課題にも屈しない「ストレス耐性の高い人材」を求めている人事担当者の方もいるのではないでしょうか。
ストレス耐性が高い人は、困難な状況下であっても「なんとかなる」と楽観的に考え、今やるべき仕事に集中する特徴があるため、組織の生産性を高める人材となります。
採用担当者にとっては、どのようにしてストレス耐性が高い人を見極め、育成し、現場で活かしていくかが重要です。
本記事では、ストレス耐性が高い人・低い人の特徴や見極め方、企業と個人それぞれの実践すべき取り組みについて解説します。
ストレス耐性の意味【ストレスに対する抵抗力】
ストレス耐性とは、仕事上の精神的な負担やプレッシャーを受けたときに、必要以上に影響を受けずに対処する抵抗力のことです。
ストレス耐性が高い人ほど、困難な状況下でストレスを感じたとしても、自分のなかでストレス度合いを弱めたり、ポジティブに捉えなおしたりできます。
しかし、面接や適性検査でストレス耐性が低いと判断した場合でも、入社後のメンタルヘルス研修や職場コミュニケーションを通じて鍛えることも可能です。
以下の記事では、適性検査を活用したストレス耐性の見極め方について、臨床心理士が詳しく解説しています。ストレス耐性の知識を深めたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
ストレス耐性を構成する6つの要素
ストレス耐性は、ただ単に「ストレスに強い」だけで成り立つものではなく、以下の6つの要素によって構成されています。
要素 | 内容 |
感知 | ストレスの存在を感じたり、ストレス要因を察知したりする力 |
回避 | ストレスを回避して、心理的な負荷を抑える力 |
処理 | ストレスを受け止め「どのように対処するか」を考える力 |
転換 | ストレスをポジティブ要素として捉えなおす力(置き換える力) |
経験 | 過去にストレスがかかった場面で「どのように対処し、乗り越えてきたか」を示す経験値 |
容量 | 「どの程度のストレスを抱えられるか」を示した容量(キャパシティ) |
ストレスを感知する能力は、個人の性格や生まれ育った環境に由来し、この能力を伸ばしたり育成したりするのは難しい場合があります。
しかし回避や処理などの能力は、仕事での経験や社内教育を通じて成長する可能性があるため、ストレス耐性を総合的に高めることも可能です。
企業がストレス耐性の高い人を求める背景
現代のビジネス環境は、グローバル化に向けた海外進出やテクノロジーの進化に伴って、企業間の競争も活発化しています。
そのなかで、従業員は予測不能な課題やプレッシャーに直面し、さまざまなストレスを抱えるようになり、企業としても「ストレスに耐える力を持つ人材」を求めているのです。
厚生労働省の労働安全衛生調査によると、労働者の82.7%の人が「強い不安・悩み・ストレスを感じる事柄がある」と回答しています。
ストレスの内容として、回答割合が多い事柄は以下のとおりです。
- 仕事の失敗、責任の発生等(39.7%)
- 顧客、取引先等からのクレーム(26.6%)
- 会社の将来性(22.2%)
約8割の人がなんらかのストレスを抱えている状況において、企業はストレス耐性に着目するだけでなく、従業員のメンタルヘルス不調防止にも取り組む必要があります。
参考:令和5年 労働安全衛生調査(ストレスに関する事項)|厚生労働省
ストレス耐性が高い人・低い人の違いとは?
ストレス耐性が高い人と低い人の違いは、主に以下の3点に表れます。
- 物事の捉え方
- 感情をコントロールする能力
- 行動の柔軟性
具体的には、それぞれ以下のような特徴が挙げられます。
ストレス耐性が高い人 | ストレス耐性が低い人 |
物事をポジティブに捉える | 生真面目で責任感が強い |
楽観的な思考を持っている | 小さなことでも思い悩む |
ありのままの自分を受け入れる | 自己肯定感が低い |
目の前の仕事に没頭する | 周囲に影響されやすい |
ストレス耐性が高い人は、困難な状況においても「これは成長のいい機会だ」とポジティブに捉える傾向があります。
一方、ストレス耐性が低い人は「失敗したらどうしよう」とネガティブに捉え、その不安を長時間思い悩んでしまう点が特徴です。
こうした違いを理解し、自社や個人で対策することが、ストレス耐性を高める第一歩となります。
ストレス耐性が高い人の4つの特徴
ストレス耐性が高い人は、以下の4つの特徴を持っています。
これらの特徴を理解したうえで、自社におけるストレス耐性の基準を定め、具体的な育成計画を検討していきましょう。
※日本心身医学会の「ストレス耐性チェックリスト」をもとに解説しています。
参考:ストレス耐性度チェックリストの検討|一般社団法人 日本心身医学会
物事をポジティブに捉える
ストレス耐性が高い人は、困難な状況や失敗を成長の機会として受け止め、ポジティブな思考で解決策を模索し、未来に向けて行動を起こします。
たとえば、納期が遅延するようなトラブルが起きても、ストレス耐性が高い人は「次回はどのように改善して納期を守れるか」と建設的に考えます。
一方で、ネガティブな思考に陥りがちな人は「自分のミスだ」と自責の念に駆られ、業務効率を下げてしまう可能性があるのです。
日本心身医学会のストレス耐性チェックリストにおいても、設問に「ポジティブシンキングをする」「行動的だ」といったストレスを前向きに捉える要素が含まれています。
ストレス耐性が高い人のポジティブな姿勢は、周囲の人にもいい影響を与え、チーム内の士気が高まる効果も期待できます。
楽観的な思考を持っている
ストレス耐性が高い人は、楽観的な思考を持っているため、ストレスを強く感じる場面でも「なんとかなる」と考えて行動します。
そのため、最終的には困難な状況が改善されると信じて「やってみないとわからない」「きっと道は開ける」といったように、前向きな姿勢を保つのです。
日本心身医学会のチェックリストにおいても「陽気である」「柔軟性がある」など、楽観的な思考に関する設問が含まれています。
楽観的な思考を持つ人は、細かいことを気にせず、課題解決に向けて大きな視点で物事を捉えるため、チームを励ましながら仕事を進めるリーダー的存在とも言えます。
ありのままの自分を受け入れる
ストレス耐性が高い人の特徴として、自身の置かれている状況を把握し、ありのまま素直に受け入れる点が挙げられます。
現実的な自己評価の基準を持っているため、自分を過小評価したり、他人と比較して落ち込んだりすることなく、限界や弱点も含めて自分を受け入れます。
たとえば、他の従業員が期待以上の成果を上げたときに「自分にはできない」と感じた場合でも、そのような自分の弱点を受け入れ、次に活かそうとするのです。
企業側としては、従業員の失敗を責めるのではなく、改善策を一緒に考えながらフィードバックを行うことで、自己理解を深めるサポートができます。
目の前の仕事に没頭する
ストレス耐性が高い人は、集中力や持続力が高く、目の前の仕事に没頭する傾向があります。
「今この瞬間」に集中する精神状態をつくるマインドフルネスにも似た特徴で、過去の失敗や将来への不安に気をとられることなく、現在の課題に全力を注ぎます。
冷静な判断力も持ち合わせているため、複数のタスクが発生しても焦ることなく優先順位をつけ、他の不安を切り離しながら一つのタスクに集中するのです。
一方、目の前の仕事に集中できない人は、それぞれのタスクが気になって注意が散漫になり、納期に間に合わなかったりミスが増えたりします。
なお、日本心身医学会のチェックリストにおいても「冷静な判断ができる」「思慮深い」など、集中力や思考力に関する設問が含まれています。
ストレス耐性が低い人の4つの特徴
続いては、ストレス耐性が低い人の特徴を4つ紹介します。
ストレス耐性の低い人に対しては、過度なプレッシャーを与えないような環境づくりや、自己肯定感を高めるフィードバックなどの取り組みが必要です。
※日本心身医学会の「ストレス耐性チェックリスト」をもとに解説しています。
参考:ストレス耐性度チェックリストの検討|一般社団法人 日本心身医学会
生真面目で責任感が強い
ストレス耐性が低い人は、生真面目で責任感が強く、常に高い成果を出さなければならないと考える傾向があります。
たとえば、プロジェクトで問題が発生した場合でも、チームの一員として仕事を進めているにもかかわらず、すべて自分の責任だと受け止めてしまいます。
責任感が強いゆえにプレッシャーを過度に感じとるため、精神的な疲労やストレスが蓄積しやすく、最終的には休職や離職につながってしまうケースも少なくありません。
また、上司や同僚からの期待に応えようとするあまり、リスクをとることに消極的になったり、決断を先延ばしにしたりする場合もあります。
ストレス耐性の低い人に対しては、大きな期待を持っていたとしてもプレッシャーをかけすぎず、失敗が成長につながることを伝えましょう。
小さなことでも思い悩む
ストレス耐性が低い人は、小さな問題や不安要素でも思い悩んでしまい、すぐ解決できないことに過剰に反応する傾向があります。
たとえば、会議中の意見を言い間違えただけで、周囲にどのように受け取られたのかを過剰に心配し、会議後も長時間にわたって反すうしてしまいます。
些細なミスや出来事を引きずってしまうことで、精神的な負担やストレスが大きくなり、普段の業務にも集中できなくなるのです。
また、仕事に対する不安や恐れから気持ちの切り替えも難しく、小さな失敗が起きたとしても大きな問題だと認識してしまいます。
企業としては、問題をひとりで抱え込まないように1on1ミーティングを実施するなど、オープンなコミュニケーションを促す環境づくりが必要です。
自己肯定感が低い
ストレス耐性が低い人は自己肯定感が低く、自分の能力や価値に自信を持てないため、失敗に対して自己否定してしまう傾向があります。
自己肯定感とは?
ありのままの自分を受け止め、肯定する感覚のこと。他者と比較することなく「今の自分」を認め尊重すること。
たとえば、上司から簡単な修正を求められただけで、自分の業務品質が不十分だと感じてしまい、今後の仕事に自信を持てなくなる場合があります。
自己肯定感が低いことで、フィードバックを成長の機会として捉えられず、むしろ自己評価を下げる要因となり、精神的な負担を感じてしまうのです。
自信のなさから決断力が鈍ってしまう可能性もあるため、定期的なフィードバックに加えて、小さな成功体験を積ませる環境づくりが必要です。
周囲に影響されやすい
ストレス耐性が低い人は、他人の意見に対して過敏に反応し、周囲の評価を気にしすぎる傾向があります。
たとえば、上司から業務の方向性について指摘があった場合、その言葉の一つひとつが心に残り、数日間悩んでしまうようなケースです。
他人の言動によって、冷静な判断で仕事を進めるのが難しくなるうえに、同僚の反応も気になり、職場の人間関係でもストレスを感じやすくなります。
人間関係に不安が生じると「自分が原因かもしれない」と思い悩んでしまうため、企業としては、冷静な判断力と自己主張スキルを身につけられる教育・研修を検討しましょう。
なお、日本心身医学会のチェックリストにおいては「他人の喜びを重視する」「他人を非難する」といった、他人に対する考え方についての設問が含まれています。
ストレス耐性を見極める方法とは?
ストレス耐性を見極める方法として、主に2つのアプローチがあります。
ストレス耐性の高さ・低さを見極められれば、従業員の適性に合った人員配置ができ、職場のストレス管理もしやすくなります。
面接でストレスに対する考え方を聞く
面接時にストレスに対する考え方や具体的な対処法を聞くことで、自社の職場環境でもストレスと上手に向き合っていけるかを見極められます。
とくに、過去のストレスフルな環境において「どのように受け止め、対処(回避・転換)したのか」を尋ねれば、その人の対応力の高さがわかります。
ストレス耐性を判断する質問例は、以下のとおりです。
- プレッシャーのかかる状況で最善を尽くすために、どのような工夫をしますか?
- 他人と意見が対立したときに、どのようにして乗り越えますか?
- ストレスを感じたときに、気持ちを切り替えるためにしていることは何ですか?
- どのような状況のときに眠れなくなりますか?
自社の業務や職場環境に適応するかどうかを見極めるには、社内分析の結果をもとに明確な採用基準を決めなければなりません。
ストレス耐性検査を実施する
ストレス耐性検査は、採用や人員配置で活用される適性検査の一種で、ストレス耐性の傾向やストレスマネジメント(どのように対処するか)の特性を測定できる検査です。
検査を通じてストレス耐性を数値化するため、客観的な評価ができる手段として有効であり、評価基準を統一するときにも役立ちます。
面接や日常の業績評価だけでは見抜きにくい、従業員の深層心理や反応パターンを明らかにできる点がストレス耐性検査のメリットです。
ただし、ストレス耐性が高い人材でも職場環境によって変化しうるため、ストレス耐性が「高い・低い」ことだけを理由に採用可否を判断するのは避けましょう。
以下の表では、ストレス耐性やストレスマネジメント特性を測定できるツールを3つピックアップしています。導入を検討している人事担当者の方は参考にしてみてください。
検査ツール | 特徴 | 提供会社 |
ミキワメ 適性検査 | ・ストレスマネジメント特性(ストレスをどのように対処するか)がわかる ・個々の性格に応じたマネジメントガイドが提供される | 株式会社リーディングマーク |
DIST | ・ストレス要因に対する耐性や、対処に必要な資質を診断できる ・豊富な調査データにもとづいて、信頼性の高い診断結果が得られる | 株式会社ダイヤモンド社 |
コーピング適性検査 G9 | ・ストレスフルな環境でも辞めない人材かを見極められる ・コーピング理論にもとづき、ストレスへの対処力を測定できる | 株式会社ヒューマネージ |
適性検査におけるストレス耐性の要素については、以下の記事で詳しく解説しています。具体的な検査の質問例も紹介していますので、本記事と合わせて確認してみてください。
ストレス耐性を高める方法【企業の取り組み】
従業員のストレス耐性を高める方法として、企業が取り組むべき3つの方法をみていきましょう。
業務や人間関係のストレスに対して、従業員自身で対処できるよう企業がサポートすることで、困難な課題にも立ち向かう強い組織になります。
ワークライフバランスの充実を図る
従業員のストレス耐性を高めるためには、仕事と生活のバランスがとりやすい職場環境を整え、心身の健康を保てるようにする必要があります。
過度な業務負担や長時間労働が続くような状況だと、健康に悪影響を及ぼすだけでなく、ストレスに対する抵抗力も低下しかねません。
そのため、従業員が柔軟に働き方を選択できるように、フレックスタイム制度や短時間勤務制度を導入し、ワークライフバランスの充実を図ることが不可欠です。
繊維製品製造業の株式会社ワコールでは、働き方のコンセプトに「生き生きと働き充実したキャリア&ライフ」を掲げ、さまざまな制度を取り入れています。
制度 | 主な目的 |
テレワーク | 会社以外の場所での仕事を推進し、生産性を高める |
長期休暇制度 | 休暇中のボランティア活動や留学を通じて、能力を高めるとともに視野も広げる |
副業制度 | 社外での活動でスキル・能力・専門性を高め、本業で発揮する能力を高める |
同社のワークライフバランスの取り組みが認められ、健康管理を経営的な視点で戦略的に取り組む企業として「健康経営銘柄」に認定されています。
社内のコミュニケーションを活性化させる
社内のコミュニケーションを活性化させることも、従業員のストレス耐性を高めるためには重要な取り組みです。
コミュニケーションが不足している職場では、情報の行き違いや伝達ミスが生じやすく、それがストレスの原因となる場合があります。
一方で円滑なコミュニケーションがとれている職場は、業務で問題が生じても相談がしやすいため、従業員は不安を感じにくく、ストレスに対する抵抗力も高まるのです。
スナック菓子の製造・販売を行うカルビー株式会社では、仕事の目的に合わせて「働く場所・時間」を選択できるモバイルワークを取り入れています。
原則モバイルワークを標準とする一方で、リアルな場でのコミュニケーションも重要だと考え、本社オフィスを開放的な明るい空間へとリニューアルしました。
日常のコミュニケーションだけでなく、プロジェクトに推進力を与えるディスカッションや、入社・異動直後の従業員のフォローなど、さまざまな場面での活用を目指しています。
コミュニケーションの活性化に取り組んでいる人事担当者の方は、以下の記事も合わせて確認してみてください。具体的なアイデアや企業事例を紹介しています。
メンタルヘルス研修を実施する
メンタルヘルス研修の実施により、心身の健康やストレスへの理解を深められ、自分の「心の状態」に気づき対処する方法を身につけられます。
主な研修項目や内容は、以下のとおりです。
研修項目 | 内容 |
メンタルへルスの基本 | ・メンタルヘルスの必要性 ・労働安全衛生法について |
セルフケアへの取り組み | ・ストレス要因 ・ストレスへの気づき ・ストレス対策(セルフケア) |
コミュニケーションの活性化 | ・報告、連絡、相談のやり方 ・自己理解、他者理解 |
快適な職場づくり | ・相談の受け方や聴き方 ・メンタルヘルス不調にならない働き方 |
メンタルヘルス研修では、ストレスを管理・コントロールする「ストレスマネジメント」の手法を学べるプログラムも取り入れてみましょう。
深呼吸や瞑想、時間管理術など日常的に取り入れやすい方法を学ぶことで、従業員はストレスを感じたときに自分で対処する能力・スキルを身につけられます。
なお、厚生労働省では「職場のメンタルヘルス研修ツール」を無料で提供していますので、セルフケア研修やラインケア研修を行うときに活用してみてください。
ストレス耐性を高める方法【個人の取り組み】
続いては、ストレス耐性の高め方「個人編」として、3つの方法を紹介します。
従業員個々の取り組みによって、ストレスをコントロールする自己管理能力を身につけ、ストレスに対する抵抗力を高められます。
ストレス要因を分析する
ストレス耐性を高めるためには、まず自分が「どのような状況でストレスを感じているか」を考え、具体的なストレス要因を分析しなければなりません。
具体的には、日々の業務をリストアップして、ストレス要因を「感情面・環境面・身体面」の側面で分析してみましょう。以下の表は一例です。
業務内容 | 感情面 | 環境面 | 身体面 |
期限が短い資料作成 | 期限に間に合うか、期待に応えられるかなどの不安 | 騒音があり集中できない職場の環境 | パソコン作業による目の疲れや肩こり |
クライアント対応 | クレーム対応のストレスや、不慣れな相手への緊張感 | 長距離移動が必要な訪問先 | 長時間移動による疲労や体力の消耗 |
それぞれの業務がどの程度のストレスを引き起こしているか自覚することで、問題点が明確になり改善策を見つけやすくなります。
友人との交流や趣味の時間をつくる
仕事の緊張から解放される時間を意識的につくることが、ストレス耐性を高めるうえでも重要な取り組みです。
とくに友人との交流を通して、職場でのストレスや悩みを友人に打ち明けることで、共感を得られたり異なる視点からアドバイスを受けたりできます。
気の合う友人とリラックスした時間を過ごせれば、精神的な疲労を軽減しつつポジティブな感情を引き出し、ストレスをコントロールする手助けとなります。
また、自分の趣味に没頭することもストレス耐性の向上には欠かせません。
趣味を通じて仕事のプレッシャーを一時的に忘れることで、気持ちのリセットと精神的な余裕が生まれ、ストレスの受け止め方も改善されていきます。
適度な運動と十分な睡眠を心がける
適度な運動と十分な睡眠は、心身の健康を維持・増進させるだけでなく、ストレスに対する抵抗力の向上やストレスの発散につながります。
厚生労働省が推奨する基準は、以下の表のとおりです。
運動 | 1日60分以上の中強度以上の身体活動(ウォーキング、サイクリングなど) |
睡眠 | 適正な睡眠時間は6〜8時間(少なくとも6時間以上を確保) |
運動の時間がとれない場合は、通勤手段を自転車や徒歩に変えてみたり、仕事の合間に体操を取り入れてみたりして、こまめに体を動かす習慣をつくりましょう。
睡眠においては、休養できている感覚を得られるように、就寝前のリラクゼーションや寝室の快適さを整えるなどの工夫が必要です。
ストレスによるメンタルヘルス不調を防ぐには?
ストレス耐性が高い人であっても、職場環境や健康状態によってストレスの感じ方が変わるため、メンタルヘルス不調を引き起こす可能性があります。
メンタルヘルス不調を防ぐために、以下の2つの取り組みを実践してみましょう。
一つずつ解説していきます。
ストレスチェックの結果から要因を洗い出す
ストレスチェックは、労働安全衛生法により「常時50人以上の労働者を使用する事業場」において実施義務が課されています。
ストレスチェックでは、メンタルヘルス不調の従業員を把握するだけでなく、職場で「どのようなストレス要因が存在するのか」を洗い出すことが重要です。
たとえば「業務量が多すぎる」「職場の人間関係に悩んでいる」など、個別の問題が浮かび上がれば、どの部署・業務でストレスを感じやすいのかが分析できます。
厚生労働省のマニュアルによると、ストレスの度合いを評価するときは、レーダーチャートなどの図表でわかりやすく示すことが望ましいとされています。
参考:労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル|厚生労働省
ストレス状況を企業が把握するだけでなく、従業員一人ひとりが「自分のストレス要因はなにか」を認識することで、メンタルヘルス不調の防止につながるのです。
定期的に1on1ミーティングを実施する
定期的な1on1ミーティングで個々の業務進捗や日々の悩みを把握し、適切なサポートを提供することで、心理的な負担を軽減できます。
「上司は部下の状況を把握し、部下は上司のアドバイスを受けて行動する」といった環境を整えられ、ストレス要因や課題を話し合いながら解決策を見つけ出せます。
また、1on1ミーティングを通じて従業員の不安を解消できれば、メンタルヘルス不調による離職の防止にもつながるのです。
株式会社リーディングマークの独自調査によると、若手社員の離職対策で効果を感じたものとして、以下の取り組みが上位を占めています。
効果を感じた離職対策 | 回答割合 |
定期的な1on1面談の実施 | 36.8% |
メンター制度の導入 | 16.0% |
フィードバックを重視した評価制度の導入 | 9.0% |
1on1ミーティングによって信頼関係が構築されることで、ストレスを過度に感じた場合でも気軽に相談でき、問題の早期解決にもつながります。
まとめ:従業員のストレス耐性を高めて休職・離職を防ごう
ストレス耐性が高い人は、ストレスフルな状況でも打開策を導き出して行動するため、ビジネス環境が激化する昨今において必要な人材だと言えます。
たとえストレス耐性が低くても、以下の取り組みによって高めることも可能です。
企業の取り組み | 個人の取り組み |
ワークライフバランスの充実を図る | ストレス要因を分析する |
社内のコミュニケーションを活性化させる | 友人との交流や趣味の時間をつくる |
メンタルヘルス研修を実施する | 適度な運動と十分な睡眠を心がける |
企業の業務内容や職場環境によってストレス度合いは異なるため、ストレス耐性だけで採用や人員配置を決めるのは避けましょう。
まずは、ストレス耐性やストレスマネジメント特性を適性検査で測定し、自社の働き方にマッチした人材を見極めてみてください。
ミキワメは、候補者が活躍できる人材かどうかを500円で見極める適性検査です。
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