適性検査の受検者から「検査が難しかった」といった声を聞くものの、採用担当者は「どのような理由から難しく感じるのか」よくわからない方もいるのではないでしょうか。
適性検査には『ミキワメ』や『SPI』といったさまざまな種類があり、それぞれ出題内容や難易度が異なります。
「時間内に解答できなかった」「言語問題が難しくて時間がかかった」といった理由から、適性検査を難しく感じる受検者も少なくありません。
企業の人事担当の方は採用試験の評価基準を決めるうえで、適性検査の特徴や出題例を事前に把握しておくことが大切です。
本記事では、適性検査が難しいと感じる5つの理由と対策に加え、一般的な適性検査の問題例についても解説しています。
適性検査を導入するときのポイントも紹介しているので、人事担当の方は自社に合った検査選びの参考にしてみてください。
そもそも適性検査とは?
適性検査とは、新卒採用や社員の適性判断に使われる検査のことで、受検者の能力や性格、社員との相性などを測定・分析します。
適性検査には大きく分けて「能力検査」と「性格検査」の2種類あり、検査内容は以下のとおりです。
種類 | 検査内容 |
---|---|
能力検査 | 基礎学力や一般常識を測定 |
性格検査 | 人間性や価値観のパーソナリティを測定 |
受検者の社会性や積極性などを把握するうえで「公平で客観的なデータが取得できる」という理由から、適性検査を導入する企業が増えています。
実際に2632社を対象にした調査によると、約7割の企業が新卒採用時に適性検査を実施しています。
種類 | 全体実施率 |
---|---|
適性検査(ペーパーテスト) | 25.4% |
適性検査(Webテスト) | 49.8% |
合計 | 75.2% |
参考:2023年卒企業新卒採用予定調査(77ページ)|株式会社マイナビ
企業が求める人物像やポジションに対応した結果を正しく評価することで、採用や人事異動の判断に活用できます。
新卒採用向けの適性検査選びについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
適性検査が難しいと感じる5つの理由と対策
適性検査が難しいと感じる理由と対策は、以下の表のとおりです。
難しいと感じる理由 | 対策 |
---|---|
短い制限時間で解答する必要がある | 問題数と制限時間を事前に把握する |
問題形式に慣れていない | 過去問で公式やパターンを勉強する |
苦手な問題の解答に時間がかかる | 得意分野より苦手分野を繰り返し勉強する |
テストの受検環境に慣れていない | 模擬試験をしてテストの環境に慣れる |
適性検査の種類によって出題傾向が異なる | 事前に企業が行う適性検査を調査する |
難しさを克服するための具体的な対策を理解することで、より精度の高い選考・評価ができるようになるため、人事担当の方は参考にしてみてください。
以下より一つずつ解説していきます。
理由1:短い制限時間で解答する必要がある
適性検査は、数十分と限られた時間内に数多くの問題に解答する必要があるため、多くの方が苦手意識や難しさを感じます。
一般的な適性検査の時間と問題数は、以下の表のとおりです。
種類 | 検査時間 | 問題数 |
---|---|---|
性格検査 | 10分〜30分 | 約60問〜300問 |
能力検査 | 20分〜70分 | 約20問〜90問 |
短時間で解答するためには、高い思考力と判断力が求められ、スピードも意識しなければならないため、焦らず落ち着いて解答することが重要です。
対策:問題数と制限時間を事前に把握する
適性検査の時間に対する課題を解決するためには、検査の特徴や目的を理解したうえで、あらかじめ検査時間と問題数を把握しておきましょう。
以下のような手順で対策ができます。
- 企業の適性検査の種類を調査する
- 検査時間と問題数を把握する
- 一問あたりにかける時間を計算する
先ほど記載した表から、一問あたりの時間を計算すると以下の表のようになります。
種類 | 検査時間 | 問題数 | 一問あたりの時間 |
---|---|---|---|
性格検査 | 10分〜30分 | 約60問〜300問 | 約6秒〜10秒 |
能力検査 | 20分〜70分 | 約20問〜90問 | 約60秒 |
一問にかけられる時間が少ないことを把握できれば、適切な時間管理を行ったうえで試験対策が可能です。
試験時間の時間切れの対策を知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。具体的な内容を6点解説しています。
理由2:問題形式に慣れていない
適性検査の問題形式に慣れていないことが、受検者にとって難しさの一因になっています。
一般常識テストとは異なり、能力検査では非言語分野(数学)と言語分野(国語)から問題が出題され、中学から高校までの範囲の学習が必要です。
適性検査を受検する前には、長文読解や割合の計算など問題形式に慣れておきましょう。
問題の解き方や公式を覚えていないと、一問一問の解答に時間がかかり解答できず、難しさを感じてしまう原因になります。
対策:過去問で公式やパターンを勉強する
適性検査の問題形式に慣れるためには、過去に出題された問題を使って、公式や解き方のパターンを勉強することが有効です。
一般的な能力検査では、以下のような問題が出題されます。
分野 | 出題内容 |
---|---|
非言語(数学) | ・料金の割引 ・速さ、時間、距離 ・順列、組み合わせ など |
言語(国語) | ・2語の関係 ・同じ意味の語 ・空欄補充 など |
問題形式や公式を学んでおけば、問題文を読んだら自然と解き方がイメージできるようになります。
理由3:苦手な問題の解答に時間がかかる
「理由2」でも解説したように、能力検査は幅広い出題範囲で構成されているため、苦手な問題があると解答に時間がかかります。
たとえば「確率の問題は30秒で解答したが、グラフの問題で3分かかってしまい、後半の問題に取り掛かれなかった」といった事例です。
その結果から「時間内に解けない問題があった」といった印象を持ち、適性検査を難しく感じてしまう要因になります。
企業によっては、数学や国語の他に英語の分野から出題されることもあり、言語分野に苦手意識がある方は、より集中した勉強が必要です。
対策:得意分野より苦手分野を繰り返し勉強する
能力検査の解答時間を短縮するためには、得意分野よりも苦手分野の問題を繰り返し勉強することが重要です。
苦手分野を学習することで、解答スピードが上がり試験全体の時間配分が適切に管理でき、余裕を持った解答が可能です。
過去の経験から、ある分野に苦手意識があったとしても、その分野を避けず集中的に勉強することで、企業に求められる知識や技術が習得できます。
苦手分野に対する理解が深まると「問題解決能力」や「応用力」が身に付くため、全体的な評価アップにもつながるでしょう。
理由4:テストの受検環境に慣れていない
適性検査には、Webテストやマークシートといったテスト形式があり、受検のやり方に慣れていない場合、試験への不安を感じてパフォーマンスに悪影響を与えます。
とくにWebテストの場合は、パソコンを使い解答群から選択していくため、操作方法に不慣れだと解答に時間がかかってしまいます。
検査によっては、問題ごとに制限時間が設けられており「一定の時間が経過すると次の問題に進んで、前の問題に戻れない」といった形式もあるため注意しましょう。
適性検査は短い時間で解答しなければならず、焦りを感じて誤操作する恐れもあるため、テスト形式に慣れておくことが大切です。
対策:模擬試験をしてテストの環境に慣れる
適性検査はパソコンによる受検が多くなってきており、一般的な筆記試験とは異なった独特なテスト形式であることから、操作に慣れていないと正確な解答ができません。
一般的な適性検査のテスト環境は、以下の3種類があります。
テスト環境 | 会場 | 受検方式 |
---|---|---|
Webテスト | 受検者が希望する時間・場所 | パソコン受検(オンライン) |
テストセンター | 適性検査用の外部会場 | パソコン受検(オンライン可能) |
ペーパーテスト | 企業が指定した会場 | マークシート受検 |
いきなり試験本番に臨むのではなく「パソコンを利用して模擬試験をする」といった対策をして、テストの環境に慣れておきましょう。
模擬試験をすることで「どのような環境で受検するのか」を把握でき、自信を持って試験に臨めます。
理由5:適性検査の種類によって出題傾向が異なる
適性検査は『ミキワメ』や『SPI』などさまざまな種類があり、それぞれで出題傾向が異なります。
複数の企業を受検した場合、適性検査が各企業で異なるため、事前の準備が広範囲になることも適性検査が難しく感じる要因です。
たとえば論理的思考力や言語能力を重視する検査があれば、空間認識能力や判断力を重視する検査もあります。
学力や性格など企業によって求める人物像が異なり、企業は目的に合った適性検査を導入しているため、事前に検査の種類を把握しておくことが重要です。
適性検査とSPIの違いを詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
対策:事前に企業が行う適性検査を調査する
適性検査の出題傾向を把握するためには、希望する企業が行っている適性検査の種類を事前に調査することが重要です。
一般的な適性検査の出題傾向や測定項目については、以下の表のとおりです。
適性検査の種類 | 能力検査 | 性格検査 |
---|---|---|
ミキワメ | ・言語(穴埋め など) ・計数(推論 など) | ・コミュニケーション ・ストレスマネジメント ・バイタリティ など |
SPI | ・非言語(確率 など) ・言語(長文読解 など) | ・行動的側面 ・意欲的側面 ・情緒的側面 など |
TAP | ・言語(二語の関係 など) ・数理(図形 など) ・論理(推論 など) | ・職務バイタリティ ・対人的側面 ・行動的側面 など |
企業によっては採用試験で実施する適性検査を公開しているので、事前に確認しておくことをおすすめします。
事前に企業が行う適性検査を把握することで、検査の種類に応じた勉強法を取り入れ、確実な試験対策が可能です。
適性検査の対策については、「対策が必要な適性検査 ※能力検査」と「対策不要の適性検査 ※性格検査」があります。より詳しい内容を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
適性検査に落ちる確率は?不合格になることはある?
適性検査に落ちる確率は受検者の適性や実力によって異なり、一般的に2割〜3割の人が不合格になります。
ただし、同じ適性検査でも企業ごとで合格ラインが決められており、検査結果だけで合否を決定するわけではありません。
エントリーシートや面接の選考フェーズから、企業が求める人物像や職務の適性を総合的に判断して採用の合否を決めます。
適性検査は基礎的な学力や、自社との相性などの客観的データを取得する選考であり、企業の評価基準に満たない場合は検査で落ちる可能性があります。
適性検査に落ちる理由や対策を詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
適性検査に不合格になった場合は、理由を深く追求するのではなく「企業との相性がよくなかった」と受け入れることも大切です。
一般的な適性検査の問題例
ここからは、一般的な適性検査の問題例について、検査の種類ごとに紹介します。
適性検査の問題例を理解しておくことで、受検者の性格や考えを把握するためのツールとして、適性検査を採用選考に活かせます。
以下より問題例を紹介していきますので、人事担当の方は適性検査を導入する参考にしてみてください。
【問題例】性格検査
性格検査の問題例を紹介します。
(例題)
あなたは自分の意見を明確に述べますか?
(例題)
あなたは基本的に、何をするにも計画を立ててから行動に移す方ですか?
このような質問に対して、以下のような回答から選択します。
(回答)
・あてはまる
・どちらかといえばあてはまる
・どちらかといえばあてはまらない
・あてはまらない
なお、適性検査『ミキワメ』の問題例は、以下のとおりです。
性格検査には正解がなく、自分の性格や想いに沿った正直な回答が求められます。
制限時間も約10分と短く設定されているため、一問一問に時間をかけ過ぎず、スピーディーな回答をしましょう。
【問題例】能力検査
能力検査の問題例を紹介します。
(例題)
以下の数列の次の数字は何でしょうか?
「2、4、 8、16、32、64、?」
(回答群)
A.128
B.92
C.96
D.88
(例題)
以下の文章を読んで、後に続く空欄に当てはまる言葉を選んでください。
「旅行中には、航空券や宿泊施設だけでなく、現地での食事や観光にも( )が必要です」
(回答群)
A.予約
B.費用
C.手続き
D.申し込み
能力検査は、中学から高校レベルの基礎的な学力を測定するための検査です。
学習してから期間が空いている場合、公式や解き方を忘れてしまっている可能性があるため、試験本番で悩まないために繰り返し勉強しておきましょう。
適性検査の導入・活用における注意点
適性検査を導入・活用するときのポイントは、以下のとおりです。
適性検査は、書類や面接ではわからない基礎的な学力や、自社との相性を評価してくれる重要なツールです。
適切な検査結果が取得できれば、面接時に多角的な視点から質問ができ、受検者を公平に評価できます。
以下より一つずつ解説していきます。
社員との相性分析ができる検査を選ぶ
適性検査を導入するときの重要なポイントは「社員との相性分析ができる検査を選ぶ」ことです。
その理由は、配属後に思わしい成果が出ない場合や、社風に合わず早期退職をしてしまうケースなど、採用後のトラブルを防げるからです。
適性検査『ミキワメ』では、あらかじめ社員が適性検査を受検したうえで、候補者との相性を分析できるシステムが導入されています。
社員との相性を考慮しないまま、ただ評価基準だけで採用を決めてしまうと、採用後に「人間関係がうまくいかない」といった問題が起きる可能性があります。
したがって「適性検査で相性分析ができるかどうか」は、採用後のトラブルを防ぐために重要な導入のポイントです。
ミキワメ適性検査をより詳しく内容を知りたい人事担当の方は、以下の記事をご覧ください。
受検者が負担にならない試験方式を選ぶ
受検者が負担にならない試験方式を選ぶことは、適性検査を実施するうえで重要です。
試験時間や場所に制約がある従来の適性検査では、試験当日に会社に出向かなければならず、試験中に退席するといった柔軟さもありません。
近年の適性検査には短時間で実施できるものや、自宅で受検できるオンライン形式のものがあります。
オンライン形式の適性検査を導入すれば、会場に足を運ばなくても実施できるため、移動時間もかからず受検者の負担を軽減できます。
また、遠方に住んでいる方でも気軽に受検できることから、全国から志望者を募集でき採用の幅も広がるでしょう。
せっかく頑張って集めた候補者が、検査時間の長さ・受検方式によって離脱してしまうのはもったいないですよね。短時間でしっかり見極められて、受検する人にとって負担にならない時間・受検方式を選びましょう。
公平かつ客観的な採用基準として活用する
適性検査を活用するうえでの注意点は、検査結果を公平かつ客観的なデータとして取得し評価することです。
エントリーシートや面接による通常の採用試験に加え、適性検査を評価項目に導入することで、採用担当者の裁量に関わらず受検者を公平に評価できます。
面接だけで採用判断をしてしまうと、面接官の主観や直感で評価が変わるため、公平な採用ができません。
適性検査を活用することで、採用プロセスの透明性や正確性が向上し、受検者に対しても自社の採用基準をアピールできるでしょう。
まとめ:対策次第で適性検査の難易度は下がる
今回は、適性検査が難しく感じる理由と対策について解説してきました。
検査が難しいと感じる5つの理由とそれぞれの対策は、表(以下)のとおりです。
難しいと感じる理由 | 対策 |
---|---|
短い制限時間で解答する必要がある | 問題数と制限時間を事前に把握する |
問題形式に慣れていない | 過去問で公式やパターンを勉強する |
苦手な問題の解答に時間がかかる | 得意分野より苦手分野を繰り返し勉強する |
テストの受検環境に慣れていない | 模擬試験をしてテストの環境に慣れる |
適性検査の種類によって出題傾向が異なる | 事前に企業が行う適性検査を調査する |
適性検査は多くの企業が採用試験に導入している一方で、苦手意識を持つ受検者が多いことも事実です。
そのため、適性検査を導入する前には、検査の種類を把握したうえでオンライン形式の検査を導入するといった、受検者の負担を軽減する方法を選択しましょう。
企業の人事担当者として、受検者がどのような悩み・不安を持って検査に臨んでいるのか把握しておけば、自社に合った適性検査を選ぶ基準にもなります。
採用活動の質を高めるために、今回紹介した検査の難しい理由や対策を参考にして、適性検査を有効的に活用していきましょう。
適性検査を使いこなすためのポイントを知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
ミキワメは、候補者が活躍できる人材かどうかを500円で見極める適性検査です。
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