- エース社員で「出世する人」と「出世しない人」の特徴
- エース社員が出世しない(望まない)5つの原因
- エース社員の出世を後押しする方法【事例あり】
エース社員の活躍の場を広げようと、出世させるべきかどうか悩んでいる人事担当者の方も多いのではないでしょうか。
高いパフォーマンスを発揮する優秀な社員でも、マネジメント能力が不足していたり感情の起伏が大きかったりする人は、必ずしも出世に適しているとは限りません。
本記事では、エース社員のなかで「出世する・しない人」の特徴と、出世を望まない優秀な人材との向き合い方について解説します。
この記事を読み終えることで、エース社員を適切に評価・育成し、管理職候補として出世に導くための具体的な方法を把握できます。
以下の資料では、エース社員の離職が増えている原因(メカニズム)や離職防止策を紹介していますので、本記事と合わせてご活用ください。
>>「エース社員の離職を防ぐEX(従業員体験)で捉える離職のメカニズム」の資料をダウンロードする

エース社員で出世する人の特徴5選

エース社員の成長をサポートするために、まずは「出世する人」の特徴を確認しておきましょう。
組織の中核を担うエース社員(ハイパフォーマー)の特徴については、以下の記事でも詳しく解説しています。優秀な人材を育成する具体的なステップも紹介していますので、本記事と合わせて確認してみてください。

※本記事は、株式会社リーディングマークが実施した「エース社員の離職に関する実態調査」をもとに解説します。
他の社員から頼られる存在である
豊富な知識や経験を持つエース社員は、同僚や後輩の相談相手として頼られる存在であり、その知見にもとづいた的確なアドバイスができます。
そのため、上司からも「周囲に気を配りながらチームを牽引している」と評価され、管理職やマネージャーとしての適性を認められやすいです。
株式会社リーディングマークの調査においても、エース社員の41.5%の人が「後輩や同僚の相談役として頼られている」と感じていることがわかりました。

職場やチームの中心的な存在となって、仕事に関するさまざまな情報の収集・共有を図るなど、人と人をつなぐキーパーソンとも言えます。
良好な人間関係を築ける能力は、職場のコミュニケーション活性化にもつながるため、マネジメントする立場の人材には欠かせない要素です。
会社への貢献が周囲に認められている
エース社員は、会社の成長に貢献しようと自身の能力を惜しみなく発揮し、他の社員を巻き込みながら目標達成に向けて行動します。
その行動が周囲に認められ、人事や上司からも「会社の成長に大きく貢献した」と高い評価を受けることで、より重要な役割・ポジションに昇進する機会を与えられます。
エース社員を対象とした調査においても、37.7%の人が「会社の成長に貢献できていると評価されている」と回答しました。
この結果から、成果を公平公正に評価する人事評価制度やマネジメント体制などの環境的な側面も、エース社員の成長をサポートしていると考えられます。
出世に向いている人材を見抜くためには、定量的な成果だけでなく「どのような行動や対応が周囲から認められているか」といった、定性的な評価の確認も重要です。
豊富なアイデアを持っている
豊富なアイデアを持つエース社員は、既存の業務を効率化したり、新しい商品・サービスを企画したりと、実行に移せる力も兼ね備えています。
市場の変化やトレンドを的確に捉え、柔軟な発想でイノベーションを生み出そうとするため、会社としても「重要な役割を担ってもらいたい」と考えるのが自然な流れです。
株式会社リーディングマークの調査においても、エース社員の34.9%は「目標達成のためのアイデアを求められることが多い」と回答しました。
エース社員の出世を決める過程においては、管理職として「状況を見極めながら、創意工夫をして課題にアプローチできるかどうか」を確認しましょう。
重要なプロジェクトで成果を挙げている
出世するエース社員の特徴として、重要なプロジェクトを担当しつつも、他の社員と比べて高いパフォーマンスを発揮している点が挙げられます。
実際に、エース社員を対象とした調査で「社内で期待される存在として経験したことがあること」について質問したところ、以下のような回答が得られました。
- 他メンバーと比較して突出した数値成果を出している(33.0%)
- 重要なプロジェクトを任されることが多い(28.3%)
組織の変革・成長に直結するようなプロジェクトでは、関係部署との密な連携も必要であるため、そこで成果を挙げれば、上層部の信頼を得る大きな要因となります。
多くのプロジェクトをこなし成功事例を積み重ねることで、社内での評価が高まるのと同時に、昇進・昇格の機会も与えられます。
リーダーシップを発揮してチームを牽引している
エース社員にリーダーシップがあるかどうかは、出世に向いている人とそうではない人を判断する重要な要素です。
チームを牽引する優秀な社員は、ただ指示を出すだけでなく、同僚や後輩の意見を尊重しつつ、困難な状況でも冷静に判断・行動する力を持っています。
エース社員を対象とした調査においても、28.3%の人が「チームの成果を牽引する役割を担っている」と回答しており、会社からの期待の大きさが伺えます。
また、チームが目指すべき目標やビジョンを描き、それをメンバー全員に理解・共感させるのもリーダーとしての役割です。
エース社員の出世を決めるときには、チーム運営のなかで活発に意見交換をしたり、感謝の気持ちを言葉にしたりと、なにげない自然な言動にも着目してみましょう。
エース社員でも出世に向いていない人

高い成果を出し続けているエース社員であっても、すべての人が出世に向いているとは限りません。主に以下のような人は、管理職に適していない場合があります。
以下より、それぞれの特徴を解説しますので、「優秀ではあるが、出世には不向きな人材」を見極める判断基準として参考にしてみてください。
勤続年数だけが長い人
勤続年数だけが長い社員は、業務知識や社内事情に精通している一方で、過去のやり方に固執している場合は、柔軟な対応が求められる管理職には向いていない可能性があります。
とくに「長く働いているから、そろそろ昇進させよう」といった年功序列による処遇は、成果を出している他の社員のモチベーションを低下させる要因にもなります。
マイナビの調査によると、勤続年数とともに給与が増えていく年功賃金について質問したところ、20〜40代の「良くない」という回答が、50〜60代に比べて多いことがわかりました。

出典:日本型雇用に対する世代間ギャップと、この20年の意識変化|株式会社マイナビ
若い世代には年功序列に対する不満があることから、企業としては、勤続年数に応じた評価で出世させるのではなく、成果にもとづく昇進・昇給が求められます。
感情の起伏が大きい人
たとえエース級の働きをする社員でも、感情の起伏が大きい人は、出世させるべきかどうかを慎重に判断しなければなりません。
管理職に必要とされるのは、冷静かつ公平な判断力と、周囲に安心感を与える言動です。
その日の気分によって態度や言動が変わってしまうと、冷静な判断にもとづく的確な指示ができず、チームメンバーからの信頼も得られません。
感情的な言動が、チームの士気や職場の雰囲気を悪化させる場合もあるため「感情をコントロールする力」と「ストレス耐性の高さ」を見極め、昇進・昇格を検討しましょう。
以下の記事では、ストレス耐性が高い人の特徴や、適性検査で測定する方法を解説していますので、本記事と合わせて確認してみてください。

他責思考のある人
他責思考のある人は、なにか問題が発生したときに自分の責任を認めず「部下のせい」「環境のせい」「顧客のせい」にする傾向があります。
そのため、管理職に求められる資質(以下)と相反する思考を持っており、出世に向いているとは言えません。
【管理職に必要な資質】
- 自らの言動に責任を持ち、うまくいかないときにも真摯に向き合う姿勢
- 現状に満足せず、常によりよい方法を模索する意識
- 周囲とコミュニケーションをとりながら信頼関係を築く力
出世すれば責任ある立場となり、日々の意思決定やトラブル時の対応も求められるため、自ら問題を受け止め、解決へと導けるような思考・行動が求められます。
エース社員が出世しない原因とは?

エース社員のように優秀な人材であっても、出世しない(望まない)場合があります。主な原因・理由は、以下のとおりです。
出世を望まない社員に対して無理に勧めても、かえってモチベーションやエンゲージメントが低下する可能性があります。
本人のキャリアや価値観を丁寧に聞き取って、昇進・昇格以外の形でキャリアアップできる機会がないかも検討してみましょう。
>>「エース社員の出世を後押しする方法」を確認する
※記事後半にジャンプします
そもそも出世する意欲がない
エース社員のように優秀な人材であっても、出世そのものに興味がなく、自分らしい働き方やワークライフバランスを重視する人が一定数います。
株式会社識学の調査によると、管理職になりたくない理由として、50.9%の人が「出世欲がないから」と回答しており、調査のなかでもっとも高い割合となりました。

「やりたい仕事ができなくなる」の回答が少ないことから、出世そのものに興味がない、出世するメリットを感じられない、といった人が多いと考えられます。
とくにエース社員は、いまのポジションで十分に成果を出せると自信を持っているため、出世欲がない場合は、無理に管理職への昇進を提案しても引き受けてくれません。
会社側としては、本人のキャリアに対する考えを聞き取り、さまざまな成長機会を与えて「やる気」を引き出す必要があります。以下の記事では、エース社員のやる気が出ない原因と対策を解説していますので、本記事と合わせて確認してみてください。

責任のある役職になりたくない
仕事をそつなくこなすエース社員であっても、管理職やマネージャーなどの「責任のある役職」を避けたいと考える人も少なくありません。
その背景には「意思決定による責任の重さ」や「マネジメント業務に対する不安」が考えられますが、管理職を対象とした調査において、その苦労が明らかとなりました。

エース社員のなかでも、自身の専門性を高めることに重きを置いている人は、部下を育成・指導するよりも、プロジェクトの中心となって成果を出したいと考えます。
また、過去に管理職としての苦労を間近で見ていた場合、出世へのネガティブなイメージを抱いている可能性もあります。
管理職のメリットやサポート体制を伝え「責任の重さ=心理的な負担」という印象を払拭することが、出世を後押しするための重要な取り組みです。
業務量の増加に懸念を抱いている
出世を望まない理由のひとつとして、部下の育成や指導といったマネジメント業務が増えることに懸念を抱いている点が挙げられます。
管理職やマネージャーに抜てきされた社員は、自身のタスク管理に加え、チーム目標の策定や進捗管理など、職場全体に目を配りながら仕事を進めなければなりません。
こうした業務量の増加が「労働時間や休日出勤も増えるだろう」といったネガティブなイメージを連想させ、出世を勧めたとしても拒否される可能性があります。
会社側としては、出世による過度なストレスで「バーンアウト(燃え尽き症候群)」になるのを防ぎつつ、管理職でも気軽に相談できるサポート体制の構築が求められます。
バーンアウト(燃え尽き症候群)とは?
それまで人一倍活発に仕事をしていた人が、なんらかのきっかけで、あたかも燃え尽きるように活力を失ったときに示す心身の疲労症状をいいます。主要症状として、心身の疲労消耗感のほか、人と距離をとり感情的接触を避ける、達成感の低下などが認められています。
マネジメント能力が低いと感じている
出世をためらうエース社員のなかには、自身のマネジメント能力に対して不安を抱いている人も一定数います。
株式会社識学の調査によると、管理職になりたくない理由として、38.0%の人が「管理職に向いていないと思うから」と感じていることがわかりました。
とくに、個人で成果を挙げてきたプレイヤータイプの社員は「部下を指導する」「チームをまとめる」といった役割に対し、経験不足を感じている場合があります。
このような心理的なハードルは、出世を止めるブレーキとなり、将来有望な人材の活躍する機会を逃してしまう可能性もあります。
出世を後押しするには、マネジメント能力は生まれ持った才能ではなく、段階的に育成できるスキルであることを、エース社員を含めた全社員に伝えていくことが重要です。
現在のポジションや働き方に満足している
現在のポジションや働き方に満足している社員は、昇進・昇格による役割の変化を望まない場合があります。
たとえば、自分の意思決定で働けている場合、責任が重くのしかかる管理職よりも「いまの仕事が性に合っている」と考えるのは自然なことです。
また、出世によって業務量が多くなり、ワークライフバランスが取れないことに懸念を抱く場合もあるため「柔軟に働ける環境を維持したい」といった意見も無視できません。
会社側としては、本人のキャリアの方向性や選択肢を一緒に考えつつ、専門性を活かした働き方を提案するなど、キャリア形成をサポートする体制が求められます。
次節からは、出世を望まないエース社員との向き合い方や、出世を後押しする方法を解説します。
出世を望まないエース社員との向き合い方

出世する意欲がないエース社員には、無理に昇進・昇格を提案するのではなく、現在のポジションの延長線上で新しいキャリアを築けるかどうかを検討しましょう。
出世そのものに興味関心がないからといって、仕事へのモチベーションやエンゲージメントが低下しているわけではありません。
むしろ、専門性を高めて「より会社の成長につなげたい」と考えている場合もあるため、キャリアの方向性を確認したうえで、個々に合った「成長の形」の提案が重要です。
具体例として、ソニーグローバルソリューションズ株式会社の人事制度を紹介します。
同社では、現在の役割に格付けをする「ジョブグレード制度」を設けており、等級は以下のように「専門職(I等級群)」と「マネジメント職(M等級群)」の2つに分類されています。

専門職とマネジメント職との間で、上下左右にシームレスに行き来できる仕組みとなっており、社員の役割に応じて柔軟にキャリアを提案できる制度と言えます。
また、出世を望まない理由として、人事評価への不満や人間関係の課題を抱え、より働きがいのある会社への転職を考えている場合があります。以下の記事では、エース社員が会社を辞める原因や対策を解説していますので、本記事と合わせて確認してみてください。
エース社員の出世を後押しする方法【離職防止にも有効】

エース社員の出世を後押しするためには、昇進に対する漠然とした不安を解消するとともに、以下のような取り組みも検討してみましょう。
※モバイルでは以下の表を右にスクロールしてご覧ください
取り組み | 期待される効果 |
---|---|
明確なキャリアパスを提示する | 将来のキャリアをイメージしやすくなり、不安・不満の解消につながる |
権限と裁量を増やす | 責任感が強くなり、リーダー的な存在としてチームを牽引する |
成果を可視化する仕組みをつくる | 人事評価への納得感が高まり、社員の成長実感につながる |
社外で視野を広げる機会を提供する | 自社の強み・弱みに気づき、品質改善への積極性が高まる |
適切な報酬やインセンティブを設定する | 成果に対して「正当に評価されている」という納得感を得られる |
柔軟に働ける職場環境をつくる | ライフスタイルの変化に応じた働き方を選択でき、働きやすさの実現につながる |
エース社員が出世を望まない場合でも、働きがいのある職場づくりによって出世への意欲を引き出し、結果として離職の防止にもつながります。
以下の記事では、職場環境の改善や人事評価の見直しなど、離職防止の取り組みを多数紹介していますので、本記事と合わせて確認してみてください。

明確なキャリアパスを提示する
現在のポジションから「どのような方向性でステップアップするか」を明確に提示することで、出世に対する意欲を高められます。
とくにエース社員は、新たな挑戦を通して自己成長することを求めているため、管理職になるまでのプロセスや必要な能力・スキルを理解させておきましょう。
実際に、人材育成に注力している企業では、職種ごとのキャリアパス(以下)を設定し、社員一人ひとりが「その道のプロフェッショナル」になることを目指しています。
【エンジニアのキャリアパス】
※モバイルでは以下の表を右にスクロールしてご覧ください
スペシャリスト | 製品やシステムの設計・開発を任せ、責任感を養う |
チームリーダー | 開発方式の検討や設計・開発をしつつ、チーム全体の指導を行い、マネジメント力を身に付ける |
プロジェクトリーダー | 顧客との折衝やプロジェクト全体の統括を行う |
プロジェクトマネージャー | プロジェクト全体を主導するポジションを任せる |
参考:人財育成|株式会社 日立情報通信エンジニアリング新卒者採用情報
明確なキャリアパスを提示すれば、社員は「どのようにして昇進するのか」「どのような能力が求められるのか」といった不安が解消されます。
また、定期的な面談やキャリアプランニングの機会を設け、社員が進むべき方向を自ら見つけられるようにサポートするのも効果的です。
以下の記事では、マネジメント理論にもとづく1on1の手順を解説していますので、キャリア相談を行うときの参考にしてみてください。

権限と裁量を増やす
エース社員は、会社の業績に直結するような成果を挙げているため、その経験・知識を活かしながら意思決定を行う仕事にも意欲的です。
そのため、より多くの権限や裁量を与えることで、チームとしての仕事にも責任感を持ちつつ、リーダーシップを発揮してチームを牽引します。
重要な決定を任せれば、社員は「自分の考えで物事を動かせるようになり、自信につながった」と自己成長を実感でき、出世に対する意欲も湧いてくるのです。
たとえば、ユニクロを運営する株式会社ファーストリテイリングでは、経営者の力を身に付けるための社員育成に取り組んでいます。代表的な教育は以下のとおりです。
※モバイルでは以下の表を右にスクロールしてご覧ください
マネジメントスキル教育 | 時代の変化と世界を見据えて、自ら意思決定ができる経営者になるための素養や知識を学ぶ |
店舗・営業教育 | 経営の実践を通じて、売上利益の最大化や部下育成などの実現に必要なスキルを学ぶ |
経営者に求められる「意思決定」と「実行力」を身に付ける教育体系になっており、管理職やマネージャーの役割を理解させる効果的な取り組みと言えます。
成果を可視化する仕組みをつくる
目標達成に向けて努力しても「どのような形で会社に貢献できたのか」がわからないと、エース社員は達成感を得られず、キャリアアップへの意欲も下がってしまいます。
昇進・昇格を後押しするには、自分の成果を目で見て把握できるような仕組みをつくり、定期的な評価とフィードバックの実施が必要です。
具体的には、プロジェクトの成功に向けた目標設定ができる「SMARTの法則」を用いて、以下のように定期的な進捗確認とフィードバックをする方法が効果的です。
※モバイルでは以下の表を右にスクロールしてご覧ください
法則 | 概要 | 例(営業職) |
---|---|---|
Specific (具体性) | 達成したいことを具体的な数値であらわす | 月内に新規法人顧客を5件獲得する |
Measurable (計測可能) | 目標を数値化して達成度を測定する | 新規契約件数・商談数・成約率を可視化する |
Achievable (実現可能) | リソースの制約内で達成可能な目標にする | 過去3ヵ月の平均契約件数が3件だったため、月5件は達成可能である |
Relevant (関連性) | 組織・個人の目標との関連性を持たせる | 会社の売上目標(前年比〇%)に直結する目標である |
Time-bound (期限付き) | 目標の達成期限を設ける | 月末(31日締切)までに目標を達成する |
ここで、企業の取り組み事例を一つ紹介します。
HRプラットフォーム『ミキワメ』を提供する株式会社リーディングマークでは、離職者が続出するなか、3年間で組織状態の立て直しに成功しました。
とくに効果があった取り組みは、適性検査で「誰がどの部署に向いているのか」を可視化したうえで、社員の個性に合う仕事だけをアサインする人材配置です。
個々の強みを発揮できる仕事を割り当てられるようになったことで、社員の生産性が上がり、事業成果の改善はもちろん、エンゲージメント向上にもつながっています。
参考:2年で社員が6割辞めたベンチャー企業を、3年間で活気あふれる組織に立て直した話|ミキワメラボ
社外で視野を広げる機会を提供する
エース社員がさらなる成長を遂げ、昇進・昇格につなげるためには、社外での経験を積むことも大切です。
社内の枠にとらわれず視野を広げられれば、新たなアイデアやアプローチを持ち帰り、組織改善につながる提案や行動が期待できます。具体例として以下が挙げられます。
具体例 | 内容 |
---|---|
セミナー・カンファレンスへの参加 | 最新の業界動向や成功事例に触れる機会を設ける |
海外研修・視察 | 海外のビジネスモデルを学び、新たな商品企画や市場戦略に活かす |
副業・社外プロジェクトへの参加 | 他企業のプロジェクトを経験できる制度を導入し、新しい技術や開発手法を学ぶ |
また、社外の人とのネットワークを築くことで、情報交換や新たなビジネスチャンスの発見にもつながり、チームのリーダー的な存在として活躍の場を広げられます。
適切な報酬やインセンティブを設定する
エース社員の出世を後押しするには、成果に対する適切な報酬やインセンティブを与え、仕事のモチベーションを高めることが第一歩です。
成果が報酬に直結すれば「努力が認められた」と感じ、より専門性を高める道を選ぶか、管理職の立場でチームを支える道を選ぶか、キャリアの選択肢の幅を広げられます。
たとえば楽天グループでは、会社に貢献した社員を表彰する報奨制度「楽天賞」を導入し、表彰者の成功事例を社内で共有する取り組みを行いました。
「自身の仕事に取り入れられる要素」を学ぶ機会を設けたことで、成功の秘訣を共有しあう組織文化の浸透につながり、個々のキャリアアップを支える基盤にもなっています。
また、成果にもとづく適切な報酬は、将来の昇給・昇進に対する不安を解消させ、エンゲージメント向上と離職防止にも効果的な施策です。以下の資料では、エース社員が離職する原因と具体的な対策を紹介していますので、本記事と合わせてご活用ください。
>>「エース社員の離職を防ぐEX(従業員体験)で捉える離職のメカニズム」の資料をダウンロードする
柔軟に働ける職場環境をつくる
仕事の状況に応じて柔軟に働ける環境をつくることで、エース社員に業務が集中するのを防ぐとともに、本人も仕事のペースを自分でコントロールしやすくなります。
具体的な取り組みは、以下のとおりです。
- フレックスタイムなどの勤務制度の整備
- 有給休暇の取得促進(半日・時間単位でも取得可能 など)
- タスク管理ツールの導入(業務の可視化 など)
- 組織診断ツールの導入(職場環境の改善 など)
適切な業務配分と調整によって、エース社員の持てる能力を最大限に引き出せれば、さらに活躍の場を広げ、結果として出世を後押しする評価・アドバイスにつなげられます。
実際に、職場環境の改善で休職者の減少につながった事例を紹介します。
ITエンジニア派遣サービスを提供する株式会社ラクスパートナーズでは、月1回のサーベイで社員の心理状態を測定し「ケアを求めている社員」の可視化を行いました。
社員のモチベーションやエンゲージメント(会社に貢献する意欲)をアンケート形式で測定する調査。測定対象や内容、頻度によってサーベイの種類が異なる。(組織サーベイ、従業員サーベイ など)
サーベイの導入当初は、通常業務の多さから面談対応を行うのが大変でしたが、ケア面談を実施する社員を新たに雇い、エンジニアをサポートする社内体制を整えています。
システムの優先順位にもとづくアプローチが可能となったことで、誰から面談をするか、しっかりと対応できているか、といった自己判断が必要なくなりました。
ケアを求めている社員に適切なアプローチができるようになり、四半期の休職者が「5〜6人」から「1〜2人」に減少しました。
事例:ケアを求める社員をサポートし、休職者数の減少を実現|株式会社ラクスパートナーズ
エース社員の出世が企業の成長に!働きやすい職場づくりを目指そう

エース社員は企業の成長や競争力強化に欠かせない存在であり、さらに活躍の場を広げるためには、組織的に昇進・昇格をサポートする必要があります。
しかし、出世そのものに興味がない場合や、責任・プレッシャーの重さに懸念を抱いている社員もいるため、個々のキャリアの方向性に寄り添った取り組みが求められます。
これらの取り組みを通して、エース社員が安心して働ける環境を整えられれば、仕事のモチベーション向上とともに、出世に対する意欲も高められます。
まずは、エース社員が抱えている不安・悩みをサーベイで把握してから、昇進・昇格を含めたキャリアアップのアドバイスをしていきましょう。

従業員のメンタル状態の定期的な可視化・個々の性格に合わせたアドバイス提供を通じ、離職・休職を防ぐエンゲージメントサーベイ。無料トライアルの詳細は下記から。