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新卒社員の早期離職はどう防ぐ?早期離職の理由を知り対処法を考えよう

新卒社員が早期離職してしまうと教育コストを回収できないだけでなく、長期的な人材確保が困難となるおそれがあります。早期離職を防ぐためには離職の原因を知り、適切に対処することが重要です。今回の記事では、新卒社員が早期離職する理由と対策について解説します。

早期離職とは

早期離職の明確な定義はありませんが、一般的には採用から3年以内の退職を指します。

今回の記事においても、3年以内に退職することを「早期離職」と定義し、現状や離職の理由、対策について解説していきます。

新卒社員が早期離職する割合

新卒社員の早期離職は決して珍しいものではありません。厚生労働省の発表によると、新卒社員の3割~4割程度が3年以内で離職しているのです。

データを読み解くことで、早期離職の現状や理由を把握できます。まずは厚生労働省のデータから、学歴別、企業規模別、職種別の離職率を紹介します。

学歴別

学歴別の新卒者離職率は以下のとおりです。

1年目2年目3年目
中学35.8%12.5%6.8%55.0%
高校16.9%11.9%8.1%36.9%
短大など17.9%13.0%10.6%41.4%
大学11.6%11.3%8.3%31.2%
※令和2年3月卒業者の離職率

出典:厚生労働省 プレスリリース 新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)を公表します

特に中卒者の離職率が高く、1年以内に3分の1、3年以内に半数以上が退職していることがわかります。

大卒者の離職率は比較的低いものの、1年に10%程度が離職している状況です。在職期間が1年を超えても離職のリスクが減るわけではないため、2年目以降も早期離職を防止する対策を行っていかなければなりません。

事業規模別

続いて、事業規模別の離職率を見ていきましょう。

5人未満5~29人30~99人100~499人500~999人1,000人以上
高卒61.9%52.8%44.1%35.9%30.0%25.6%
大卒56.3%49.4%39.1%31.8%28.9%24.7%
※令和2年3月卒業者の離職率

出典:厚生労働省 プレスリリース 新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)を公表します

事業規模が大きいほど離職率は低い傾向があります。大企業は給与や待遇が好条件であることが多く、労働環境を理由に離職する確率が低いためだと考えられます。

一方、小規模な事業の離職率が比較的高いのは、一人あたりの業務が多くなりやすい、人間関係が閉鎖的になりやすいことが理由といえるでしょう。

業種別

業種別の新卒離職者の割合をまとめると以下のようになります。

※令和2年3月卒業者の離職率

出典:厚生労働省 プレスリリース 新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)を公表します

離職率の高い業種としては、宿泊業や飲食業、生活関連サービス業といったBtoCのサービス業が挙げられます。一方、電気会社やガス会社など、インフラに関わる業種の離職率は低めです。

早期離職の主な理由

早期離職を防止するためには、新卒社員が離職する原因を把握することが重要です。主な離職理由を以下で紹介します。

労働条件が悪い

労働条件や評価制度に対する不満は離職の理由になりえます。人事評価の対象や昇給のタイミングで「思ったより昇給しなかった」「同僚よりも評価が低い」といった理由で離職を選ぶ新卒社員も少なくありません。

加えて、労働時間の長さや休日数の少なさも不満につながる要素です。特に最近では、ワークライフバランスが推進されていることもあり、プライベートの時間を大事にしたいと考える社員が増えています。「残業や休日出勤が多く自分の時間を取れない」という悩みは、離職に直結する可能性が高いため注意が必要です。

人間関係が良くない

人間関係の悩みは、仕事を続けるうえで非常に大きな足かせとなります。社内における人間関係のトラブルとしては以下が挙げられます。

  • 職場の雰囲気が悪い
  • パワハラ、セクハラ
  • 経営者や上層部への働き方や態度への不満
  • 上司や同僚との相性が悪い
  • 悩みや不安を打ち明けられる相手がいない

人間関係は一度こじれると改善が困難であり、早期離職を余儀なくされるところまで新卒社員を追い込んでしまう要因となります。

業務内容のミスマッチ

入社前に会社に抱いていた印象と、入社後の様子に大きなギャップがあると、新卒社員はやりがいを失ってしまいます。簡単にいえば「思っていたのと違った」ということです。

具体的な理由としては以下が挙げられます。

  • やりたいことと違っていた
  • ノルマや責任が重い
  • 雑用ばかりで経験が積めない
  • 自身の能力不足

特に、就職自体が初めての新卒社員は、会社に対するイメージを明確につかめないため、ミスマッチが生じやすくなります。

将来性を見いだせない

企業に将来性を感じられないことも、新卒における早期退職の重大な事由です。将来性に不安を抱かれる要因としては、業績不振や企業体質の古さ、教育体制の不備などが挙げられます。

優秀な社員ほど断固とした理念があり、自分の将来を見据えた行動を取ります。そのため、企業の業績や体制に失望すると、早々に退職を選びかねません。

キャリアアップのため

キャリアアップ、もしくはキャリアチェンジを目指して早期退職するケースです。「専門職としてのスキルを活かしたい」「より幅広い業務に携わりたい」「独立したい」など理由はさまざまです。

一見ポジティブな退職理由に感じられますが、裏返すと「今の企業では自分の思う仕事ができない」という不満の表れでもあります。また、キャリアアップは建前で、人間関係や待遇への不満を抱えている場合もあるでしょう。丁寧にヒアリングを行うと、本音を聞き取れるかもしれません。

個人的な理由

結婚や出産、介護といった個人的な理由で退職を選択する新卒者もいます。ライフスタイルの変化は誰にでもあるもので、退職もやむなしと思われるかもしれません。

しかし、育児休暇や介護休暇といった制度の充実化により、個人的な理由での退職を抑制できる可能性があります。

早期離職が企業に及ぼす悪影響

持続的な経営を目指す企業にとって、将来を担うはずであった新卒社員の早期退職は大きな痛手となります。特に深刻な影響としては、以下の3点が挙げられます。

採用や教育コストが増大する

新卒社員が早期離職すると、採用や教育コストが増大しかねません。人材獲得のためには、求人メディアへの掲載をはじめ、会社説明会の開催や面接担当者の人選などが必要となり、さまざまな費用が発生します。

新卒社員を雇用した場合、新人研修はもちろんのこと、配属後も教育担当者によるサポートを受けながらの業務となり、費用だけではなく時間的コストも割かれます。

早期離職が増えると、採用者にかけたコストがすべて無駄になってしまうでしょう。また一から採用・育成しなくてはならず、コストが増大して経営を圧迫するおそれがあります。

人材確保が難しくなる

新卒の早期離職者が増えると、いずれリーダーや教育者となる人材の確保が難しくなります。企業の人員は、ただ数がそろっていればよいわけではありません。組織を牽引するリーダーや、新人の教育やメンタル面でのサポートをするエルダーなど、企業を存続するうえで必要な人材を確保する必要があります。

新卒社員が早期退職してしまうと、企業にとって必要な人材を確保できません。新たに新卒社員が入社しても十分な指導やサポートができず、早期退職してしまうという負のスパイラルに陥り、企業の安定性が保てなくなるおそれがあります。

企業のイメージダウンにつながる

早期離職は企業内部だけではなく、外部に抱かれるイメージにも悪影響を及ぼします。離職率が高いと「人間関係がよくないのではないか」「ブラック企業なのでは」という印象をもたれてしまうためです。

早期離職者がSNSや求職サイトのクチコミページなどで、企業に対するネガティブな情報を書き込むことで、さらなるイメージダウンにつながるリスクもあります。採用活動に悪影響が及ぶだけではなく、顧客や取引先にも敬遠され、業績の悪化を招くでしょう。

新卒の早期離職を防止するための対策

新卒社員の早期離職は、コスト増大や業績悪化の要因となり、企業に甚大な悪影響を及ぼしかねません。早期離職を防止するためには、新卒社員が抱く不満や不安を解消し、企業で働くことに喜びを見出せるよう対策する必要があります。特に有効な対策を5つ紹介します。

ミスマッチの防止

入社前後のミスマッチを回避する対策は新卒社員の離職防止に欠かせません。具体的な対策としては、企業説明会や面接時に企業の情報を余すことなく伝えることが挙げられます。

残業時間や休日出勤数、転勤の可能性など、退職の事由になりうるネガティブな情報も隠さず伝えましょう。

デメリットを理解したうえで、それでも就職したいという新卒者を採用することで、ミスマッチによる離職を抑えられます。

ワークライフバランスの改善

労働条件を見直し、ワークライフバランスの改善に努めることも有効な早期離職対策です。具体策としては、休暇制度利用の促進、ノー残業デーやテレワークの実施、ビジネスチャットのような生産性向上のためのツール導入が挙げられます。

何より重要なのは社内全体の意識改革です。まずは経営陣がワークライフバランスの重要性を認識し、社員にも発信していきましょう。

社内コミュニケーションの活性化

良好な人間関係の構築と情報共有を促進することで、社内コミュニケーションを活性化させ、人間関係の不和による早期退職を低減できます。

普段から新入社員の様子に気を配り、体調不良や悩みを抱えていそうな社員には声をかけましょう。活発なコミュニケーションにより、新入社員からの信頼を勝ち取ることができます。

また、コミュニケーション活性化のための制度を取り入れることも有効な手段です。具体的な施策としては、社内イベントの開催、コミュニケーショントレーニングの実施、情報共有のためのチャットツールの活用、社員同士で感謝のメッセージを伝え合うサンクスカードの導入などが挙げられます。

評価制度の見直し

優秀な人材の流出を防ぐためには、評価制度を見直すことも重要です。上司の主観や好みが評価に影響しないよう、客観的な評価制度を導入しましょう。併せて、評価事由をこまめにフィードバックすることで、評価の公平性と透明性が保たれます。

勤務年数に関わらず能力が正当に評価され、その評価が給与や昇進に適切に反映されれば、社員のモチベーションアップと愛社精神の構築につながります。

研修や教育の充実

モチベーションが高く上昇志向の強い人材こそ、仕事を通じたスキルアップを望んでいます。研修や教育を充実させることで、優秀な人材の離職を防げます。

また、新入社員へのフォロー研修で企業の長期的計画を伝え、今後のキャリアを考える機会を設けると、将来に対する不安を解消できるでしょう。

研修や教育にかけられる予算がない場合は、OJTに力を入れるのも効果的です。仕事を振ったら最後まで丁寧にフォローし、仕事を通じて成長できるよう気を配りましょう。

まとめ:早期離職の理由を知り適切なサポートを提供しよう

新卒社員の早期離職は人材不足をもたらすだけではなく、採用や教育コストの増大や企業のイメージダウンにもつながる深刻な問題です。新卒社員の離職には、職場環境や人間関係への不満、企業の体制への失望など、さまざまな事由が隠れています。まずは社員とのコミュニケーションを積極的に行い、信頼関係を構築することが重要です。

加えて、ワークライフバランスの充実や評価制度の見直しなど、社員の不満を解消するための根本的な対策を行うことも求められます。費用や手間はかかりますが、優秀な人材を確保し、企業として成長し続けるためには必要な対策です。新卒社員がモチベーションを保って仕事を続けてくれるよう、企業として丁寧なサポートを行っていきましょう。

ミキワメウィルビーイングサーベイを活用すれば、性格や心理状態をもとにサポートが必要な社員を可視化し、適切なケア・マネジメントが可能です。社員の状態変化をタイムリーに把握できるため、手遅れになる前に不満や不安を解消し、早期離職のリスクを低減できます。

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