人事戦略

1年で退職率3割以上の企業が注目した「生産性」の重要度と変化

本記事は、株式会社サイバーエージェントの取締役・曽山哲人氏(以下敬称略)と、株式会社リーディングマークの代表取締役社長・飯田悠司との対談動画をもとに作成しました。

組織の生産性が低いと悩んでいる方に役立つ内容をまとめているので、企業全体の成長を目指す経営者や管理者の方は参考にしてください。

組織崩壊の経験から「生産性」重視の経営へ

曽山:「組織が崩壊した」というのは、具体的にどのような状況でしたか?

飯田1年間で社員の3割以上が退職しました。「3割の社員が辞めた=退職を検討している人が半分以上」いたのではないでしょうか。

当時を振り返ると、社内の雰囲気が悪く人間関係にまで悪影響を与えていましたね。もう二度と同じ失敗をしてはいけないと肝に銘じた出来事でした。

組織の生産性を上げる3つの秘訣

曽山:過去の失敗が現在の「ミキワメ」につながっているんですね。さっそく組織の生産性を上げる3つの秘訣をお聞きしましょう。

1. 心身の健康を維持する

飯田第一に心と身体が健康であることです。どんなに仕事にやりがいを感じている人でも、仕事の量が多すぎると突然プツッと糸が切れてしまいます。一度切れると休職に追い込まれ、最悪のケースとして退職も想定されます。

組織が崩壊した時期を思い返すと、責任感の強い人ほど会社に残ってくれました。しかし、少ない人数で仕事を回すには限界があり、頑張りすぎて心身の健康を害してしまった社員が出てきてしまいました。申し訳ないことをしたなと今でも思います。

曽山:飯田さんが心身の健康を保つために実践していることはありますか?

飯田:一週間のうちでアポイントを入れないでほしい期間を設けています。期間中にたまっている課題をこなしたり、中長期的に取り組むべきタスクと向き合ったりしていますね。

他には、定期的にサウナで心身を整えています。サウナに入るとドーパミン・オキシトシン・セロトニンなどの物質が脳内で分泌されると聞いて実践していますね。3つの物質がバランスよく脳から分泌されると、高い生産性を維持できるといわれています。

2. メンバーが主体性を発揮できる環境を整える

飯田第二に主体性が重要ですね。社員が自らの意思で行動できる環境作りに力を入れるべきだと考えています。

過去業績が振るわない時期に「あれをやれ」「これをやれ」と社員に指示していました。今となっては反省していますね。やらされ仕事が楽しい人はおそらくいないでしょう。社員の内発的モチベーションにもとづいて、やりたい仕事をやってもらうのが理想的です。

最近は「ウェルビーイング(心が健康で良い状態)」という言葉が流行っています。ウェルビーイングを高めるには5つの要素が必要で、それぞれの頭文字を取って「PERMA(パーマ)※」と呼ばれています。

※ポジティブエモーション(Positive Emotion)、エンゲージメント(Engagement)、リレーションシップ(Relationships)、ミーニング(Meaning)、アチーブメント(Achievement)

PERMAの提唱者であるセリグマン教授によると、5つの要素を満たすとウェルビーイングの実現につながり、自然とやる気が湧いてくるそうです。弊社でもセリグマン教授の概念を採用し、社員の動機付けに注力しています。

曽山:会社のやりたい仕事と社員のやりたい仕事にズレがある場合はどう対処しますか?

飯田P&Pというフレームを活用して解決します。本人のパッション(Passion)と会社に対して貢献すべきパーパス(企業の社会的な存在価値・Purpose)をつなぎ合わせるのがベストだなと。マネージャーに伝えて実践してもらったり、研修で紹介したりしています。「対象の人物がパッションを持てる仕事はなにか?」とヒアリングし、適材適所の位置に配置することで、会社と社員のズレに対処していますね。

3. 良好な人間関係を築く

飯田良好な人間関係も「生産性」に直結します。具体的には、社内の人間関係と心理的に安全な対人関係に分けられます。

アメリカのギャラップ社によると、社内に心から信頼できる上司や同僚がいる人は、そうでない人と比べて在籍期間が長くなり、業績に貢献する確率が2倍以上高くなるそうです。調査結果からも、社内の人間関係は重要だといえます。

「心理的に安全な対人関係」とは、エドモンドソン教授が提唱した概念です。自分がありのままでいられる関係性のことですね。

ただし、安全とぬるい職場は意味が異なります。安全な職場とは、やるべき仕事をきっちりこなし、周りとの衝突を恐れず生産的な議論ができる環境を指します。いずれにせよ目標を明確にするのはもちろん、良好な人間関係を社内で築きあげることが、組織の成長に重要ですね。

離職率の高いIT業界に対応できる企業へ成長

曽山:組織の生産性を上げたことでどのような変化がありましたか?

飯田:結果として離職率が劇的に下がり、現在も1ケタ台を維持しています。IT業界は離職率の高い傾向にありますが、弊社では低く抑えられています。

確かに退職する社員こそ存在するものの、前向きな理由で辞める人が圧倒的に多いですね。離職者の3割は起業・独立するので、以前のように会社に不満があるから退職する人は激減しました。

曽山:過去に失敗したとしても、その経験を糧にして学ぶと良い組織を作れる好事例ですね。いいお話を聞かせていただきました。

視聴者へのメッセージ

曽山:最後に飯田さんから視聴者へのメッセージをお願いします。

飯田:弊社では「ミキワメ」という適性検査サービスを提供していまして、採用のミスマッチを防ぐのに役立っているとお客様から好評をいただいています。

もうひとつ「ミキワメ ウェルビーイングサーベイ」も展開していて、社員の性格や心理状態を把握し、離職や休職を減らす目的で多数の企業に導入していただいております。

本記事をご覧になってミキワメにご興味をもった方がいましたら、弊社の問い合わせ窓口、またはFacebookX(旧Twitter)のDMなどから直接ご連絡ください。無料で一定期間ミキワメをお使いいただけるよう手配いたします。

【インタビュイー】
飯田 悠司(いいだ ゆうじ)

株式会社リーディングマーク 代表取締役社長。1985年生まれ。2005年東京大学経済学部へ入学。仕事にやりがいを感じる日本人が18%しかいないという状況に危機感を覚え、在学中の2008年1月に株式会社istを起業。2011年9月に社名を株式会社リーディングマークに改名し、「ミキワメ 就活」「ミキワメ 適性検査」「ミキワメ ウェルビーイングサーベイ」といったキャリア支援プラットフォームや従業員サーベイを展開中。

【インタビュアー】
曽山哲人(そやまてつひと)

株式会社サイバーエージェント 常務執行役員CHO 上智大学文学部英文学科卒。高校時代はダンス甲子園で全国3位。 1998年に株式会社伊勢丹に入社し、紳士服の販売とECサイト立ち上げに従事。 1999年に当時社員数20名程度だった株式会社サイバーエージェントに入社。 インターネット広告事業部門の営業統括を経て、2005年人事本部長に就任。 現在は常務執行役員CHOとして人事全般を統括。 「若手育成の教科書」「クリエイティブ人事」「強みを活かす」などを出版。 プロダンスDリーグの「サイバーエージェントレジット」のオーナーも務める。

離職・休職を防ぐミキワメ ウェルビーイングサーベイ

従業員のメンタル状態の定期的な可視化・個々の性格に合わせたアドバイス提供を通じ、離職・休職を防ぐパルスサーベイ。30日間無料トライアルの詳細は下記から。