適性検査とは、人材の知識や能力、性格や人物特性を定量的に測定する試験です。採用選考の過程で、応募人材が自社にマッチする人材かどうかを見極める目的で活用されます。
優秀人材の確保が困難な現代において、新卒採用・中途採用ともに採用ミスマッチや退職リスクを測定するために適性検査を導入する企業は増加傾向で、検査内容は「基礎能力」「性格」「人物特性」などさまざまです。
本記事では、適性検査の概要、種類や内容、対策のポイントを解説し、企業の導入実績が多い6つの適性検査をご紹介します。
適性検査とは?
一般的には採用選考の一環で実施され、応募人材が企業の求める人物像とマッチするのか、募集職種に適性がある人材かを見極める目的で活用されています。
ただし、新卒採用と中途採用では、適性検査の主な利用目的が少々異なります。
・新卒採用:社会人基礎力を持つ人材か、社風や配属部署に適性を持つか見極める判断材料
・中途採用:離職リスクが少ないか、募集職種や人物像にマッチするか見極める判断材料
新卒採用と中途採用の適性検査の違いは、以下それぞれの記事を参考にしてください。
適性検査は、学力や性格だけではなく組織や職種への適性などを測定できるため、新卒採用・中途採用を問わず必要な試験となりました。「採用時に適性検査・筆記試験を実施する」と答えた企業が91.8%だったとする調査結果からも、適性検査の重要性が伺えます。
参考:株式会社リクルートキャリア|就職白書2019(p.5)
適性検査は2種類|「能力検査」と「性格検査」
適性検査の検査種類には、基礎能力を評価する「能力検査」と人物特性を評価する「性格検査」の2種類があります。
企業が導入する適性検査によって、測定する内容がどちらか一方だけ、もしくは両方となります。
能力検査とは?
適性検査の「能力検査」では、学歴や偏差値からは見えない基礎学力や一般常識、ロジカルシンキングなどを測定し、募集職種に必要な知識や能力を備えているかを見極めます。
その他、能力検査では次の基礎能力も測定できます。
・基礎学力
・一般常識(社会人基礎力、マナーなど)
・言語能力(語彙力、文章読解、論理的思考力など)
・非言語能力(計算、推論、数的理解力など)
・英語理解力
・暗号、法則性、図形、記号など
・企業のオリジナル(業界、歴史、専門性など)
性格検査とは?
適性検査の「性格検査」では、エントリーシートや面接では見えない人間性や考え方、価値観などのパーソナリティを測定し、募集職種や配属部署への適性を備えているかを見極めます。
その他、性格検査では次の性格特性も測定できます。
・性格(人間性、考え方、価値観など)
・行動特性(対人力、協調性など)
・コミュニケーション能力
・ストレス耐性
企業が適性検査を行う目的
企業が適性検査を行う主な目的は4つです。一つずつ見ていきましょう。
1.基礎学力などを判断できる
言語分野(主に国語)と非言語分野(主に数学)の両方の能力を可視化して、仕事を進めるうえで必要不可欠な基礎学力を兼ね備えているかを判断できるからです。
検査結果では「論理的に思考する能力はあるのか」「複雑な課題を解決できるのか」「効率的かつ合理的に仕事を進められるのか」を数値化できるため、他の候補者・応募者との比較も容易になります。
2.性格や特性を知ることができる
応募者の性格や行動特性を細かい項目に分けて確認できるため、企業風土に適性があるか、社内で調和を保てるかどうかなどを判断できることも目的の一つです。
また、仕事への向き合い方やストレスの対処法など応募者の内面を可視化できるため、「募集職種に適性があるのか」「職場の雰囲気に馴染めるのか」などを判断する材料としても活用できます。
3.客観的データで人物評価できる
3つ目の目的は、採用の合否判定において、個人の能力や性格を定量的な数値で比較できるため、面接や応募書類の印象に左右されず、客観的なデータに基づいて人物評価できることです。
適性検査の結果を採用合否の判断材料にすれば、面接官ごとの価値観やバイアス、好みなどで評価がバラつく心配もありません。
また、「自社の求める人材との適性」「募集職種のモデル人材と近い特性」などを評価軸にすれば、将来の活躍人材の確保につながるでしょう。
4.企業と応募者のミスマッチを防げる
応募者の基礎学力や性格、行動特性などを理解することで「求める人物像・職種にマッチするか」を入社前に判断できるため、企業と応募者双方のミスマッチの防止が期待できます。
感覚で「なんとなく社風に合いそう」「きっと活躍してくれるだろう」と採用しても、入社後にギャップを感じて早期離職されてはコストや時間が無駄になってしまいます。
面接の印象と適性検査の結果を、複合的に判断材料とすれば、社風や募集職種にマッチする確度の高い人材を獲得できるでしょう。
適性検査の形式
適性検査の形式は、受検方法や受検場所などによって4種類に分けられます。
形式ごとのメリットとデメリットは以下のとおりです。
形式 | 特徴 |
ペーパーテスト (マークテスト) | 【メリット】 ・筆記テストやマークテストが主流なので集計しやすい ・採点を提供会社に委託すれば自社の負担が軽減できる 【デメリット】 ・Webテストに比べ、集計や分析に時間がかかる ・受検者を会場へ集めて実施するため、受検者の負担が大きい ・受検会場や監督者の手配に労力やコストがかかる |
インハウスCBT | 【メリット】 ・自社の受検会場やパソコンで実施でき、結果をすぐ取得できる ・会社説明会や社員懇親会などを同時に開催できる 【デメリット】 ・受検会場の広さやパソコン台数の都合で、受検人数に制限が出る ・運営委託費用は抑えられるものの、自社の人手や負担が増える |
Webテスト | 【メリット】 ・パソコンなどを使ってWeb上で実施できる ・時間と場所を選ばずに受検できるため、受検者の負担が軽い ・受検会場や監督者の手配が不要で労力がかからない ・ペーパーテストに比べ、集計や分析が容易である 【デメリット】 ・替え玉受検などの不正が起こりやすい |
テストセンター | 【メリット】 ・適性検査用の外部会場に受検者を集めて実施する ・自社で受検会場や監督者を手配する手間がかからない ・全国の主要都市にあるため、受検者が移動しなくて良い ・身分証明書を提示するため、替え玉受検などの不正リスクが低い 【デメリット】 ・運営委託のコストがかかる |
適性検査の種類と内容
適性検査には20以上の種類があり、検査方法や検査内容は提供会社によって異なります。
今回は、その中でも多くの企業の導入実績を持つ適性検査6つをご紹介します。
ミキワメ
ミキワメは、株式会社リーディングマーク(当社)が提供する「候補者の能力と性格が自社に合っているかを可視化し、採用のミスマッチを防ぐ適性検査」です。
約30分の検査(性格検査10分、能力検査20分)を受けるだけで、候補者が自社で活躍する人材かどうかを見極めることができます。
コストは業界最安値クラスの1人500円であり、人事担当者が使いたい適性検査システムNo.1として活用されています。
提供会社 | 株式会社リーディングマーク |
検査手段 と 費用 | システム利用料 3万円/月(税別) (※年間契約) 受験料:従業員0円、候補者500円(税別) |
測定領域 | 能力検査、性格検査 |
利用用途 | 新卒採用、中途採用、社員 |
SPI3
SPI3は、株式会社リクルートマネジメントソリューションズが提供する「能力検査と性格検査の2領域を測定できる適性検査」です。
年間利用者数は13,500社、受検者数は203万人という実績を持ちます。
SPI3は、受検結果をすぐに受け取れるため、1次面接と同日に受検することでスピーディな選考を実現します。
提供会社 | 株式会社リクルートマネジメントソリューションズ |
検査手段 と 費用 ※大卒採用向け SPI3-Uの場合 | ・ペーパーテスト: 5,000円/名 ・インハウスCBT: 4,000円/名 ・Webテスト: 4,000円/名 ・テストセンター: 5,500円/名ftamago |
測定領域 | 能力検査、性格検査 |
利用用途 | 新卒採用、中途採用 |
導入社数 | 13,500社 |
玉手箱III
玉手箱IIIは、日本エス・エイチ・エル株式会社が提供する「能力検査と性格検査の2領域を測定できる総合適性検査システム」です。
知的能力に加えて、入社時に重視すべき「ヴァイタリティ」や「チームワーク」など9つの特性について分析可能です。
検査手段はWebテスト形式が採用され、既存社員が受検すれば、活躍人材の特性をモデル化して人材育成に応用展開することもできます。
提供会社 | 日本エス・エイチ・エル株式会社 |
検査手段 と 費用 | ・Webテスト ①年間利用料: 1,200,000円+受検料 1,000円/名 ②年間利用料: 2,500,000円+受検料 500円/名 |
測定領域 | 能力検査、性格検査 |
利用用途 | 新卒採用、中途採用、社員 |
GAB
GABは、日本エス・エイチ・エル株式会社が提供する「能力検査と性格検査の2領域を測定できる新卒総合職の採用を目的に開発された検査」です。
知的能力だけではなく、「ヴァイタリティ」や「チームワーク」など9つの特性、将来のマネジメント適性、「営業」や「研究/開発」など7つの職務適性を予測できる適性検査です。
検査手段はペーパーテスト(マークシート)とWebテストが用意されています。
提供会社 | 日本エス・エイチ・エル株式会社 |
検査手段 と 費用 | ・ペーパーテスト: 4,100円/名(問題600円+採点3,500円) ・WEBテスト: ①1,200,000円/年+1,000円/回 ②2,500,000円/年+500円/回 |
測定領域 | 能力検査、性格検査 |
利用用途 | 新卒採用 |
CAB
CABは、日本エス・エイチ・エル株式会社が提供する「コンピュータ職(SE・プログラマー)としての適性診断を目的に開発された検査」です。
能力検査で暗算・法則性・命令表・暗号などから知的能力を測定し、性格検査で入社時に見ておくべきパーソナリティ(「ヴァイタリティ」「チームワーク」など9つの特性)を予測する適性検査です。
検査手段はペーパーテスト(マークシート)とWebテストが用意されています。
提供会社 | 日本エス・エイチ・エル株式会社 |
検査手段 と 費用 | ・ペーパーテスト: 4,100円/名(問題600円+採点3,500円) ・WEBテスト: 30,000円/年+3,000円/回 |
測定領域 | 能力検査、性格検査 |
利用用途 | 新卒採用 |
内田クレペリン検査
内田クレペリン検査は、株式会社日本・精神技術研究所が提供する「受検者の能力面と性格面を測定する検査」です。
与えられた作業(足し算を繰り返す)をどれほど早くこなせるかを検査することで、受検者の作業能力や能力を発揮した時の性格的特徴が明らかになります。
年間70万人が受検し、英語版や中国語版など多言語に対応しているため、外国人採用にも活用できます。
提供会社 | 株式会社日本・精神技術研究所 |
検査手段 と 費用 | ・ペーパーテスト ①個別診断的判定: 2,420円 ②個別診断的判定(曲線類型判定のみ): 770円 など |
測定領域 | 能力検査、性格検査 |
利用用途 | 新卒採用、中途採用、社員 |
適性検査の対策方法
適性検査に落ちる理由は人それぞれ異なります。
しかし、しっかりとポイントを押さえて対策することで、良い結果につながりやすくなります。
ここでは、対策ポイントを能力検査と性格検査に分けて紹介していきましょう。
能力検査の対策ポイント1.問題集や頻出問題を学習する
能力検査は主に「言語分野」と「非言語分野」に分けられます。
「言語分野」は語彙力や文法、読解力を問われる問題が出題され、「非言語分野」は計算式や四則演算、グラフ問題などが中心です。
過去問や予想問題を解き、経験値と自信をつけましょう。適性検査の対策を詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
能力検査の対策ポイント2.素早い回答を心掛ける
能力検査は問題数が多いため、1問1問に時間をかけていると時間が足りなくなってしまいます。
1問あたり1分前後の所要時間でスピーディに対処できるよう、時間配分を考え、素早い回答を心掛けましょう。
性格検査の対策ポイント1.回答に一貫性をもたせる
性格検査では、切り口や質問内容を変えて何度も同じことを問われます。合格したいからという思いで、「嘘の回答」や「評価されそうな答え」を選んではいけません。
回答結果が矛盾する可能性もありますし、たとえ合格したとしても、社風や職務とのミスマッチが生まれて不幸な結果を迎えることになるからです。
性格検査では、素直に回答すれば結果に一貫性をもたせることができるので、自分の気持ちに正直に回答しましょう。
性格検査の対策ポイント2.極端すぎる回答は避ける
素直に回答すれば結果に一貫性をもたせることができるものの、極端すぎる回答は避ける必要があります。
例えば、「自分の意見を曲げないか」に対して「非常によくあてはまる」と素直に答えた場合、「同じ部署や顧客とトラブルになるのでは?」と面接官や採用担当者が不安を感じてしまいます。
極端すぎる回答はマイナス評価につながるため、あくまで本音と建前を使い分けることも忘れないようにしましょう。
性格検査の対策ポイント3.企業の特性をリサーチしておく
社風や働き方など企業の特性を事前にリサーチし、その特徴を回答に反映させることで、「求めている人物像とマッチする」などのプラス評価が期待できます。
例えば、企業が求めている人物像が「主体性を持ち、行動力を発揮できる人」にもかかわらず、受け身で控えめな性格に当てはまる回答では不合格になります。
入社したい企業の採用ホームページなどを確かめて、企業が求める人物像をイメージしながら答えると良いでしょう。
適性検査導入で採用効率をアップ
適性検査は、応募人材の知識や能力、性格や特性を定量的に測定できる試験です。
基礎能力を評価する「能力検査」と人物特性を評価する「性格検査」を通して、自社にマッチする人材か、募集職種に適性があるかを数値化・グラフ化できるため、客観的なデータに基づいて人物評価や合否判定ができます。
また、既存社員が受検すれば、社内で活躍する人材の特性をモデル化したり、潜在能力の発掘や最適配置などにも応用展開できます。
採用手法として適性検査を導入していない企業の担当者様は、この機会に導入してみてはいかがでしょうか。
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