サーベイとは、組織の現状や課題を把握するために行う調査のことです。サーベイの活用は組織の全体像把握や改善に役立つ有効な手段ですが、適切に実施しなければ期待したとおりの効果は得られません。
本記事では、サーベイを導入する企業側・従業員側双方のメリットと陥りやすいケース、導入のステップについて詳しく解説します。
【企業側】サーベイを導入するメリット
サーベイの導入は、企業の健全性と生産性の向上に大きく貢献します。サーベイを導入する企業側のメリットは以下の4つです。
- 組織の現状把握と課題の早期発見ができる
- 組織文化を改善でき生産性が向上する
- 従業員のメンタルヘルスの維持・改善につながる
- 従業員の休職・離職に伴うコストを削減できる
それぞれについて解説します。
組織の現状把握と課題の早期発見ができる
サーベイの実施により、職場への満足度や周囲との関係性といった組織の実態を数値化し、客観的に把握できます。
これにより、部署間のコミュニケーション不足や特定チームの業務量の過多など、顕在化した課題を早期発見・解決できるだけではなく、トラブルに発展する前の対策も可能です。
また、サーベイによって可視化された問題点は、解決するための施策を上層部へ提案する際の根拠にもなるため、導入がスムーズに進みます。
組織文化を改善でき生産性が向上する
サーベイを通じた従業員のニーズに基づく改善は、従業員のエンゲージメント向上につながります。エンゲージメントとは、組織への愛着心や信頼関係のことです。
エンゲージメントが向上すると、従業員の仕事に対する意欲が高まるため、結果として組織全体の生産性アップにつながります。
従業員のメンタルヘルスの維持・改善につながる
会社組織において、一人の従業員のメンタルダウンや無気力が周囲に影響を及ぼし、職場全体のエンゲージメントを低下させるケースは少なくありません。
サーベイを通じて、従業員のストレスやチームの状態を定期的に把握すれば、従業員一人ひとりの変化を捉え、ストレスが深刻化する前に適切なサポートや環境改善を行えます。
これにより、従業員のメンタルヘルスを維持・改善すると同時に、職場全体の環境悪化も防げるでしょう。
従業員の休職・離職に伴うコストを削減できる
従業員のメンタルダウンの兆候を見逃し、問題が深刻化した場合に起こりやすいのが、突然の休職や離職です。従業員の突然の休職・離職は人員不足をもたらし、業務負荷の増大から休職・離職の連鎖を招きかねません。
サーベイを通して早期のメンタルヘルスケアや組織改善が可能となれば、従業員の休職・離職率の低下につながります。結果として、人材の流出により発生する新規採用や教育コストを削減可能です。
【従業員側】サーベイを導入するメリット
サーベイの導入は、従業員にとっても以下のようなメリットをもたらします。
- 職場環境が向上する
- 組織への帰属意識が向上する
- セルフマネジメント能力が強化される
- メンタルヘルスの維持につながる
それぞれ詳しく解説します。
職場環境が向上する
サーベイの実施は、従業員の状況や日ごろ感じていることを企業側に直接届ける効果的な手段です。日常的なやり取りでは伝える機会がない、組織や職場環境について思っていることを、従業員の一意見として気軽に表明できます。
サーベイ結果をもとに、従業員のニーズに沿った職場環境の改善が行われれば、職場環境の向上につながり、仕事への満足度も高まるでしょう。
組織への帰属意識が向上する
サーベイへ参加することで自分の声が組織に届き、何らかの形で反映されれば、従業員は「会社は自分たちの意見を聞いてくれる」と感じます。その結果、従業員の会社組織に対する信頼感と帰属意識の向上につながるでしょう。
セルフマネジメント能力が強化される
サーベイによっては、従業員自身へのフィードバックや個人に合わせたアドバイスが提供されます。自身の状態と対処法について定期的に情報を得ることで、従業員は自分の性格に合わせたセルフマネジメント能力の強化が可能です。
従業員自身がメンタルを適切に管理できるようになれば、職場の人間関係の改善や、ストレスの低下によるワークライフバランスの向上が期待できます。
メンタルヘルスの維持につながる
自身のメンタルの状態を客観的に認識する機会が少ないと、ストレスの蓄積に気づかないまま深刻な状態に陥るおそれがあります。
定期的にサーベイへ参加し、フィードバックを受けることで、自己のストレス状態の客観的な認識が可能です。早い段階でストレスを自覚できれば、深刻な事態に陥る前に適切な対処行動やサポートの要請につなげられます。
サーベイ導入における7つの落とし穴
サーベイの導入には多くのメリットがありますが、実施の仕方によっては本来の目的を達成できないおそれがあります。
効果的なサーベイ導入を実現するために、よくある失敗パターンについて理解しておきましょう。
失敗パターン | 内容 |
---|---|
導入コストに対する効果の不足 | サーベイ導入にかかる費用と労力に対して効果があまり見られず、結果として費用対効果が低くなる |
不適切な調査頻度によるリスクの見落とし | サーベイの実施頻度が少なすぎて従業員の変化を捉えられずにリスクを見逃す、逆に多すぎて従業員の負担増や回答の形骸化を招く |
匿名性サーベイによる支援機会の損失 | 匿名性を重視するあまり、個別の従業員に対する具体的な支援や介入の機会を逃してしまい、メンタルダウンやトラブルの深刻化につながる |
長時間のサーベイによる回答者の負担増大・回答の質の低下 | 調査結果の精度や情報収集力を重視するあまりサーベイの項目が多くなる。長すぎる実施時間が、回答の質の悪化や業務時間の低下を招き、生産性に悪影響を与えてしまう |
従業員の性格傾向の違いによるケア対象者の見落とし | 個々の従業員の性格や特性を考慮しない一律の基準での評価により、見極めが難しくなり、サポートすべき従業員を見落としてしまう |
画一的なアドバイスによる効果の低減 | 個々の従業員の性格や特性を考慮しない、画一的なアドバイスで効果が半減してしまう |
サーベイ後のアクション不足 | サーベイを実施したものの、具体的にどう改善・アプローチしてよいかわからない。結果として、従業員の不満増大やモチベーションの低下につながる |
サーベイの導入においては、これらの失敗を避けつつ、適切な手順を踏む必要があります。
効果的なサーベイ導入のための5ステップと注意点
サーベイを導入するステップは大きく分けて以下の5つです。
- 導入目的を明確化する
- 適切なツールを選定し調査内容を決定する
- 従業員への説明を行いサーベイを導入する
- 結果を分析しフィードバックする
- アクションプランを策定し改善サイクルを確立する
懸念点や注意点について、ステップごとに見ていきましょう。
1. 導入目的を明確化する
サーベイを導入する第一歩は、組織として解決すべき課題とサーベイを実施する目的の明確化です。
決定権を持つ層が懸念するのが「サーベイの導入や運用にかかるコストに見合う効果を本当に得られるのだろうか?」という点ではないでしょうか。
効果を最大化するためには「離職率の改善」や「生産性低下の原因解明」などの明確な目的を定め、それらに沿ったサーベイの選定・設計が不可欠です。
2. 適切なツールを選定し調査内容を決定する
ツールの導入目的が明確になったら、目的と予算に合ったツールを選定し、調査項目と調査頻度を決定します。
たとえば、生産性低下の原因を解明することが目的であれば「現在の業務プロセスは効率的だと感じますか?」「現在の仕事にやりがいを感じていますか?」といった調査項目が必要でしょう。
また、匿名性か実名制かも重要な検討事項です。匿名性のサーベイは安心して回答できる反面、具体的な個別のアプローチにつながりにくい点がデメリットです。
このステップの懸念点として「従業員が本当に正直に回答してくれるか」「頻繁なサーベイ実施が従業員の業務に支障をきたさないか」が挙げられます。従業員の質問疲れや業務時間の低下を防止するためには、必要な質問項目に絞ったサーベイが有効です。
3. 従業員への説明を行いサーベイを導入する
ツール導入前には、従業員へサーベイを実施する目的や概要について丁寧に説明しましょう。
とくに、実名制のサーベイを導入する場合、プライバシーの侵害や不利益をこうむる不安から反発が生じる可能性があります。従業員に前向きに協力してもらうためにも、サーベイの意義やメリットに加え、結果についてプライバシーの保護や不利益にならない対応を行う旨を説明して、理解を得ることが重要です。
また、サーベイに参加することに負担を感じる従業員もいるかもしれません。質問数を絞った短時間のサーベイを導入すると、不満を解消できるでしょう。
4. 結果を分析しフィードバックする
サーベイは実施するだけではなく、結果を活用して組織や従業員の状態を改善してこそ意味があります。
たとえば『キャリア成長の機会』に関する質問の回答が全社的に低スコアだった場合、キャリア開発プログラムの導入を検討できるでしょう。
サーベイの実施後に何もアクションがないと、従業員のサーベイ、ひいては組織に対する不信感につながります。
このステップで懸念として考えられるのは「結果に対して具体的にどのようなアクションを取ればよいかわからない」「明らかとなった課題に対応する時間とリソースが本当にあるのか」という点です。
これらの懸念に対しては、個人に合ったアドバイスを受けられるツールの選定が有効です。たとえば、AIを活用したサーベイツールを導入すると、効率的な結果分析と優先順位の高い従業員の特定が可能となります。これにより、限られた時間とリソースをもっとも効果的なサポートに集中させることができます。
5. アクションプランを策定し改善サイクルを確立する
最後のステップは、継続的な改善プロセスの確立です。
個人へのフィードバックやサポートと並行して、サーベイの結果から組織全体に関わる適切な課題を設定し、会社全体で改善への共通認識を持つ必要があります。
たとえば「部署間のコミュニケーション不足の課題解決策として『週1回の部門横断ミーティング』『部門横断型のプロジェクト立ち上げ』を行い、次回のサーベイで改善状況を検証する」といった形で具体的なアクションプランを策定します。
アクションプランの実行と定期的なサーベイによる効果検証を繰り返すことで、組織の継続的な改善が可能です。
サーベイ導入の課題を解決する「ミキワメウェルビーイングサーベイ」
ここまで解説した各ステップの適切な実行により、効果的なサーベイの導入が可能となります。サーベイの導入における各段階での懸念点を効果的に解決するツールが「ミキワメウェルビーイングサーベイ」です。
ミキワメウェルビーイングサーベイの主な特徴は以下の5つです。
- 短時間・高頻度実施:従業員の負担とならない「月1回・3分」で完了するサーベイで、回答に対する負担軽減と定期的な状態の把握を実現。変化の兆候を早期に発見する
- 実名制サーベイ:ピンポイントな個別のアプローチを可能にし、匿名性による機会損失を防止する
- 性格を踏まえたサーベイ:従業員の特性に合った最適な分析でケア対象者の見落としと画一的アドバイスによる効果低減を防止する
- AIによるアドバイス機能:サポートが必要な従業員に対してAIがケア方法のアドバイスを提示。アプローチの負担を軽減する
- 専門のカスタマーサクセスチームによるサポート:カスタマーサクセスチームによる丁寧な運用サポートにより、サーベイ導入から分析まで一貫したサポートを提供する
これらの特徴により、サーベイの導入における課題を解決し、組織と従業員の状態を総合的に改善します。
サーベイを導入してウェルビーイング経営を実現しよう
サーベイは単なる調査ではなく、組織改善のための重要な手段です。適切なサーベイの導入により、組織の健全な成長と従業員満足度の向上につなげましょう。
ミキワメウェルビーイングサーベイは、従業員・企業側双方の負担を軽減するさまざまな機能を備えています。専門家によるサポートにより、会社と個人双方のウェルビーイング向上を実現可能です。
ミキワメウェルビーイングサーベイは無料トライアルでも実際にお試しいただけます。「組織の課題を早期に発見し、効果的に解決したい」「従業員の帰属意識を高め、職場環境を向上させたい」とお考えの企業様は、下記からお気軽にお問い合わせください。
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