スペシャリストの意味や、採用・育成のポイントについて解説します。
スペシャリストとは?
スペシャリストの定義から解説していきます。
スペシャリストの言葉の意味
スペシャリストは
- 特殊技能を持つ人
- 専門分野を持つ人
- 専門家
という意味をもつ言葉です。
つまりスペシャリストは高い専門性を持っており、特化したジャンルで力を発揮する人材のことです。
ゼネラリストとの違い:専門性の高さ
ゼネラリストは「広い範囲の知識や技術を持つ人」を意味する言葉です。
スペシャリストが専門家であることに対し、ゼネラリストはなんでも屋といったイメージです。総合職がゼネラリストで、技術職がスペシャリストにあたります。
もちろん、どちらが優れているという話ではなく、人材の適材適所で生産性が向上するのです。
エキスパートとの違い:実務経験の有無
エキスパートの定義は「特定分野において知識と“経験”がある専門家」です。
未経験でも専門機関で学んでいたらスペシャリストを名乗れますが、まだエキスパートではありません。スペシャリストが実務の経験を積むとエキスパートになるというイメージです。
プロフェッショナルとの違い:スペシャリストは全員がプロフェッショナル
プロフェッショナルの定義は「本職として生計を立てること」です。
対義語は「アマチュア」です。
スペシャリストのほとんどが自身の専門分野で生計を立てているので、プロフェッショナルといえるでしょう。
スペシャリストが求められている時代的な背景
現在、スペシャリストが求められている時代的な背景についても解説をしていきましょう。
技術発達
まずは技術の発達です。
昔はゼネラリストが求められました。技術の発達により、高度な技術を扱う人材が必要になりました。今までのゼネラリスト的人材では扱えない、高度な技術を使いこなす専門性の高いスペシャリストが求められているのです。
終身雇用制度が廃れてきている
かつての日本は終身雇用制度で、自社で社員を囲い込み、ゼネラリストとして時間をかけて育てる仕組みでした。
しかし、今は終身雇用制度が廃れつつあります。年功序列のゼネラリスト的な発想では個人のキャリアに不安が残るようになりました。
そこで、社員一人ひとりが専門分野のスキルを磨くことで、スペシャリストになることが重視され始めているのです。
スペシャリストが求められる職種7選
具体的な職種の例は下記です。
技術職
エンジニアをはじめとした技術職は、スペシャリストとしての専門性が求められる職種でしょう。入社時点でのより高い専門性や、問題が生じた場合の対応を要求されるといった即戦力が求められます。
研究・開発職
大学や研究機関で基礎を学んでいる人材が該当します。長年の勉強や研究により、非常に高度な専門知識を持っている人が多いです。
財務・会計の責任者
役職が用意されているケースも多く、CFO(最高財務責任者)と呼ばれることもあります。
CFOは経営陣の一員として、高い金融知識を企業に提供します。
企業の会計や財務として働く際、資格は必要ありませんが、CFOのスペシャリストは「公認会計士」をはじめとした専門性の高い資格を有している場合が多いです。
マーケター
自社製品の認知度を上げたり、売り上げの向上に寄与したりするためのスキルが必要です。
マーケターのスペシャリストは企業の利益向上に直結貢献できるため、重宝されます。
コンサルタント
クライアント(顧客)の問題を解決して、道筋を示す職種です。
コンサルタントと一言でいってもジャンルはいろいろあります。
- 経営
- 会計
- 人事
- その他専門分野
コンサルタントは、常にクライアントの問題解決をしていく必要があるので、非常に高い専門性が求められる職種です。
講師・教師・インストラクター
他人に技術や知識を教えるため、専門性が必要です。
自分ができるレベルを超えたレベルの知識・技術が必要なので、スペシャリストにしか務まりません。
デザイナー・イラストレーター・ライターなど
デザイナーやイラストレーター、ライターなどクリエイティブな職種も専門性が必要です。
知識に加えてセンスも必要で、スペシャリストの中でも独特な立ち位置にいます。
企業のコンテンツ作成を請け負う人材になるので、重要性も高いです。
スペシャリストに向いている人の特徴
スペシャリストの適性についても説明します。
ジャンルに関する興味・関心・熱意がある
誰よりもジャンルに詳しい・好きだという気持ちがないと、スキルや経験を身につけることはできません。意欲や興味は、何より重要な資質です。
強い熱意を持った人を採用するのはセオリーでしょう。
探究心が強くストイック
スペシャリストは1つの事柄を徹底的に追求します。
一般人よりもさらに高みを目指しているのです。
適切に人材の性質を見抜き、相応しいキャリアを提示することが大切です。
新鮮な情報を常に仕入れている
スペシャリストはジャンルの専門家です。
常に最新で正確な情報のキャッチアップが必要です。
業界について勉強・理解がないと活動はできません。
自分で問題解決ができる
問題解決ができるのも重要な資質です。
多くの場合、問題解決はスペシャリストの業務なので、自身の経験と知識で対応することが大切です。もし、専門外でも、調査・検証から問題解決まで実行できる人はスペシャリストとして成功するでしょう。
自社でスペシャリストを育成するメリット・デメリット
スペシャリストを自社に導入するには、
- 自社で育成する
- 外から招き入れる
の2つの選択肢があります。
それぞれのメリット・デメリットを紹介していきましょう。
自社でスペシャリストを育成するメリット
自社育成では
- コストを抑えられる
- 自社の組織構造や社風をしっかり理解した人材になる
といったメリットが挙げられます。
自社で育成することで、最初から高スキルな人材を採用するよりコストを抑えることができます。また、自社の組織構造や社風を理解できるスペシャリストの育成が可能です。
自社でスペシャリストを育成するデメリット
自社での育成には時間がかかります。
年単位でかかるケースもあるので、最短で成果を出したい場合は、外部からの採用が効率的でしょう。
スペシャリストを外から採用するメリット・デメリット
外からスペシャリストを採用するメリット
スペシャリストを採用するメリットは時短です。
即戦力として活動してもらえるので、企業としては早い段階で成果を期待できます。
育成コスト(時間とお金)がかからないという点が自社育成より効率的です。
外からスペシャリストを採用するデメリット
「採用時のコストが高い」ことに尽きます。
- 大学院を卒業している
- 他の企業で成果を出している
など、特殊な経歴を持っている場合、
待遇によっては断られる場合があります。
金銭的なコストと時間を天秤にかけて最適な選択をしましょう。
スペシャリストを自社で育成する手順
実務と関係のない業務・研究をさせる
まずは、実務と関係のない業務・研究で幅広い知見を持たすことで、「T字型人材」の育成が可能です。
T字型人材とは、特定の領域で専門性を持っている上に、その他ジャンルにおいても知見がある人材のことを意味します。
縦軸を専門分野、横軸をその他の領域としたときに、大文字の「T」のような形になることが由来です。
T字型人材は、客観的で柔軟なアイデアの発想ができる人が多いです。
例えば、新卒で技術職になり、営業を経験し、その後管理職といった流れでキャリアアップした人は、幅広い経験がありつつ、且つ専門性の高い人材となるでしょう。
出向や外部研修などの支援をする
自社での教育だけでは限界あるので、出向や外部研修などで、能力の底上げを目指しましょう。企業として、出向時の待遇向上・補助など、金銭的な支援も必要です。
タレントマネジメントシステムを導入する
タレントマネジメントシステムは、1990年代にアメリカで生まれた考え方で、2011年ごろから日本でも浸透してきました。
タレントマネジメントシステムは
- 個人情報
- スキル
- 経験値
といった社員データを一元管理するシステムです。
これにより、個人の能力値を総合的に評価できるため、適切な人材配置が可能です。
採用する際の注意点
採用する際の注意点は下記です。
自社に必要なスキルを明確にする
まずは自社に必要なスキルを明確にすること。
スペシャリストを雇ったけれども、能力を活かせなかったでは意味がありません。
まずは欲しい人材の能力を明確にして、適切な採用を行いましょう。
相応しい待遇の設定
スペシャリストは高い技能・知識を有するため、相応の待遇が求められます。
相場感をつかみ、適切な待遇を用意しましょう。
活動しやすい環境作り
スペシャリストは、ゼネラリストのような一般的な出世のキャリアプランを歩めないことが多いです。具体的には、ゼネラリストは課長・部長などの管理職に昇進しますが、スペシャリストは専門性が高い故に管理職になりづらい傾向があります。
スペシャリストのキャリアプランを明確にし、待遇向上を図ることが、彼らのモチベーションを維持する上で重要です。
スペシャリストには「プレイングマネージャー」のポジションがおすすめといえます。
プレイングマネージャーとは、管理をしつつ現場の業務にあたる人材のことです。
プレイングマネージャーは部下を管理しながら、自身でも専門性の高い仕事をしなければなりません。
その際、スペシャリストは高い専門性を持っているので、部下にスキルを教えながら、自身も高い生産性を維持できるため、プレイングマネージャーが向いているというわけです。
まとめ
スペシャリストは高い専門性を持った人材です。
彼らが働きやすい環境・待遇を整えたり、キャリアプランを明確にしたりすることで、モチベーション維持にもつながります。企業の生産性を高めるためにも、人材育成・採用時にスペシャリストの選択肢を入れてみてください。
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