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オフィス環境は社員のモチベーションに直結!NG例と具体的な改善策を解説

オフィス環境を良好に保ち、社員の安全と健康を守ることは企業の義務です。また、快適で便利なオフィス環境は、社員のモチベーションアップやコミュニケーションの活性化につながり、生産性向上や新たなアイデアの創出といった便益を企業にもたらします。

今回の記事では、オフィス環境のNG例を具体的に挙げ、それらに対する改善策を解説します。オフィス環境の整備に取り組む担当者様は、ぜひ参考にしてください。

オフィス環境とは

オフィス環境とは、オフィスを構成する物理的要素の総称です。オフィスのレイアウトや部屋の種類、広さ、設備といったオフィス全体の環境に加え、空調や照明、音やにおい、感染対策の徹底なども含まれます。

職場環境との違い

オフィス環境と類似した言葉に「職場環境」があります。この2つの言葉は同義で用いることもありますが、一般的には以下のように使い分けます。

  • 職場環境:労働にかかわる周辺環境の総称。物理的要素(部屋の広さや空調など)、人間工学的要素(設備や導線の使いやすさなど)、人間関係、労働条件(仕事の量や質、休日数、賃金など)から構成される
  • オフィス環境:職場環境を構成する要素のうち、物理的要素にかかわるもの

上記からわかるとおり、オフィス環境は職場環境の一要素です。職場環境におけるハード面に相当する部分であり、職場環境の根幹を構成しています。

職場環境の要素と改善策は、以下の記事で詳しく解説しています。

職場環境改善には離職防止のメリットも。具体的な取り組みを解説 職場環境の改善は、社員の満足度向上に直結します。 オフィスの室温や設備、レイアウト、労働条件など、社員を取り巻くさまざまな要素を...

良好なオフィス環境が企業にもたらすメリット

先述のとおり、オフィス環境は職場環境において非常に重要な部分を占めます。オフィス環境の整備により、社員は安全かつ快適に業務を遂行でき、心身の健康やモチベーションに好影響を及ぼします。

良好なオフィス環境が企業にもたらす主なメリットは以下のとおりです。

業務効率が向上する

良好なオフィス環境がもたらす最大のメリットは業務効率の向上です。静かで清潔なオフィス空間を整備すると、社員はストレスを感じることなく業務に集中できます。

また、移動しやすい導線、使いやすいオフィス家具があれば、作業をスムーズに進められるでしょう。

結果として、社員一人ひとりが最大限のパフォーマンスを発揮できるようになり、生産性の向上が期待できます。

社員の健康維持につながる

社員の健康維持のためにも、オフィス環境の整備は欠かせません。たとえば、暑過ぎる室内は熱中症、まぶしい照明は眼精疲労の原因になるなど、社員の健康を脅かすリスクがあります。

また、騒音や悪臭がストレスとなり、集中力の低下やメンタルの不調を引き起こしてしまう場合もあります。

体調不良による生産性の低下や休職・離職を防ぐためには、オフィスを快適な環境に整えることが重要です。

社員のモチベーションが向上する

快適な環境や便利な設備は、社員の満足度や企業への愛着、労働意欲の向上に結びつきます。モチベーションの向上は社員個人の生産性を高めるだけではなく、組織全体の士気も上がり、企業の持続的発展につながります。

コミュニケーションが活発化する

良好なオフィス環境はコミュニケーションの活発化につながります。ミーティングスペースや休憩所など、気軽に交流できる場所を設けることで、信頼関係が築かれ、業務が円滑に進みます。

また、オフィスに緑やアートを取り入れると、ストレスの緩和になるだけではなく、自然と会話も生まれるでしょう。

企業のイメージアップにつながる

整ったオフィス環境は、オフィスを訪れた顧客や取引先に好印象を与えます。「社員の満足度や業務効率を重視している」と評価されることで、信頼を得られます。

また、求職者にとっても良好なオフィス環境は非常に魅力的です。企業のイメージが良くなれば、志望者数の増加につながり、優秀な人材を獲得できる可能性が高まります。

上記のメリットから、以下のような効果が期待できます。

  • 生産性の向上:業務効率化やコミュニケーション活性化により生産性が向上する
  • 離職の防止:快適な労働環境と良好な人間関係によりメンタルの不調やモチベーションダウンで離職する社員が減る
  • 新たなアイデアの創出:整然としたオフィス環境で思考がクリアになる。活発な対話により新しい視点を得られる
  • ブランディングの構築:洗練されたオフィス環境と社員を大事にする姿勢により信頼や共感を得られ、ブランディングの構築につながる
  • 採用力の強化:労働環境が良い企業であるというイメージが定着し、志望者数の増加が見込める

オフィス環境のNG例と改善策

オフィス環境を構成する主な要素は以下のとおりです。

  • 感覚的環境
  • 安全面に関する要因
  • 設備に関する要因
  • レイアウト・スペースに関する要因

各要素における具体的なNG例と改善策を解説します。

感覚的環境に関する要因

感覚的環境とは、オフィス内の音、室温、照明など、感覚に直接影響を与える要素です。

騒音や強すぎる照明、不適切な室温といった不快な刺激は、社員にとって大きなストレスとなり、心身の健康に悪影響を及ぼすおそれがあります。

感覚的環境は比較的改善しやすく、整備による効果も大きいため、優先的に見直したいポイントです。

騒音が大きい

話し声やタイピング音が響くオフィスでは、集中して仕事に取り組めません。また、プリンターなどの設備の音、会社の外を走る自動車や電車の音も意外と気になるものです。

慢性的に騒音にさらされると、ストレスがたまるだけではなく、不眠や耳鳴り、めまいといった身体的な症状を引き起こすリスクもあります。

防音パーテーションや防音ブースの設置により、騒音に悩まされない快適な環境を提供することで、社員の集中力を高められるでしょう。

また、逆に「静か過ぎる」環境もおすすめできません。静まり返った空間では多少の音も気になり、不安やストレスを感じやすくなるためです。

環境音楽やクラシック音楽など、リラックスできるBGMを流すことで、心地良い空間を作れます。

室温が不快である

暑過ぎる、もしくは寒過ぎる環境は、集中力の低下やストレスを招く要因です。さらに、熱中症や風邪の原因となるおそれもあります。

空調設備の見直しにあわせて、直射日光をさえぎるブラインドや空気を循環させるサーキュレーターを導入し、空調環境を整えましょう。

空気がこもっている

空気がこもり、不快な臭いや息苦しさのあるオフィスは心身に悪影響を与えます。とくに近年問題となっているのが、たばこの臭いや煙です。

禁煙・分煙を徹底するのはもちろん、定期的な換気や空気清浄機の設置により、室内の空気の臭いや汚れを取り除きましょう。

空気の清浄化はダニやカビ、ウイルスを減らし、社員の健康維持に役立ちます。

照明が不快である

まぶし過ぎる、もしくは暗過ぎる照明は、眼精疲労や肩こり、頭痛といった健康被害を引き起こします。

また、照明の光がパソコンのモニタや作業面に反射することで、目がより疲れやすくなります。視認性が悪くなり、作業効率が落ちる点も大きな問題です。

オフィスに適した光度は750〜1,000ルクス程度です。照度計を使ってオフィス内のさまざまな場所の明るさを測り、照明の見直しを行いましょう。

モニターへの光の反射が気になる場合は、照明やディスプレイの角度を見直してください。また、間接照明の導入や蛍光灯カバー、ルーバーの設置も不快なまぶしさを抑制するのに役立ちます。

清潔感に欠ける

オフィスの掃除が行き届いておらず、汚れている状態は誰にとっても不快なものです。見た目が悪いだけではなく、悪臭や害虫が発生する原因にもなります。

オフィスが不潔であると社員の衛生観念も低くなり、ゴミや汚れを放置してさらに環境が悪化してしまうリスクも無視できません。

清掃の頻度や方法を見直し、オフィスを常に清潔に保ちましょう。また、クリーンアップタイムを取る、掃除用具を取りやすい場所に置くといった工夫により、社員自身がオフィスの美化に関与する環境を整えることも重要です。

整理されていない

業務スペースが整理されていないと、必要な書類や物品をすぐに取り出せません。

業務効率が悪くなるだけではなく、社員のストレスや集中力の低下にもつながり、生産性を大きく下げる要因となってしまいます。

企業が行うべき対策としては、収納スペースの見直しや、ペーパーレス化による書類削減などが挙げられます。

整理整頓のメリットやルールを社員に周知し、整理整頓の習慣を定着化させることも必要です。

安全面に関する要因

先述のとおり、企業は社員の安全を確保する義務を負います。社員の安全や健康を脅かす要因に対し、十分な対策をしなければなりません。

安全面に関する要因と対策を紹介します。

感染症対策がなされていない

感染症対策は企業の重要な責務です。人が多く集まるオフィスは、感染リスクが高まります。感染症が広がると社員の健康を損ねるうえ、自宅待機者が増えれば業務に支障をきたしかねません。

感染症対策の基本は「換気」「マスクの着用」「手洗い・手指の消毒」です。定期的に換気するとともに、マスクやアルコールの貸し出し、ポスターなどによる手洗い方法の啓発を行いましょう。

また、パーテーションでデスクを区切る、テレワークを導入するといった対策により、感染のリスクを下げられます。

業務内容や予算を考慮しつつ、自社に合った感染症対策を取り入れましょう。

災害対策がなされていない

災害発生時の被害を最小限に抑えることも、重要なオフィス環境整備の一つです。

地震や火災が発生した際、十分な対策をしていないと、被害が拡大してしまいかねません。家具の下敷きになる、火災の煙を吸うといった事故により、最悪のケースでは死亡事故につながるおそれがあります。

災害はまれにしか起こりませんが、だからこそ普段から災害を意識し、対策を行うことが必要です。

とくに火災は、オフィスの整備により発生リスクを低減できます。照明器具や電源コードの不適切な使用から火災が発生することが多いため、定期的な見直しや交換、清掃を行いましょう。

地震対策としては、パソコンやオフィス家具の転倒防止策が最優先事項となります。また、窓ガラスに飛散防止フィルムを貼る、食料や飲料水を備蓄するといった対策も必要です。

災害発生時には迅速かつ安全に避難しなければなりません。避難経路の確保や、メガホン・懐中電灯の設置により、有事の際の避難がスムーズになります。

定期的に防災教育・防災訓練を行い、社員に避難や初期消火、救護の方法を習得させることも重要です。災害発生時に、冷静かつ適切に行動できる姿勢が身につき、被害を最小限にとどめる効果が期待できます。

設備に関する要因

続いて、設備に関する要因と対策を解説します。

いすが体に合わない

いすの高さが体に合っていないと、腰痛や肩こりなどの健康被害を引き起こすリスクが高まります。

いすの座面から天板までの適切な距離は280〜300mm程度です。また、いすに座った状態で、足裏全体が床についていると快適に作業できます。 

デスクの高さや社員の身長に合わせて、適切な高さのいすを選びましょう。

書類や備品が探しにくい

書類や備品が多く整理されていないと、探す手間がかかり作業効率が下がります。収納スペースを十分に取り、機能性の高い収納家具を設置して、整理整頓しやすい環境を整えましょう。

不要品の処分やペーパーレス化を行い、収納品を減らすことも有効な対策です。

余裕が感じられない

人の生活には遊びや余裕が必要であり、オフィスも例外ではありません。必要なものしかないオフィスは無機質な雰囲気となり、社員のモチベーションに悪影響を与えるおそれがあります。

緑やアートを置くことでリラックスでき、ストレスが緩和されます。社員同士の会話のきっかけになることから、気軽に話しやすい雰囲気が生まれる点もメリットです。

レイアウト・スペースに関する要因

最後に、レイアウトやスペースに関する要因と対策を解説します。

パーソナルスペースが狭い

パーソナルスペースを確保できていないと、周りの視線が気になり業務に集中できません。

オフィスにおける適切なパーソナルスペースは1,400mmとされています。これを意識してデスクの幅を考えましょう。

必要な設備や他部署へのアクセスが悪い

連携を取ることの多い部署同士が離れている、コピー機や書類棚など共有する設備へのアクセスが悪いといった問題があると、業務をスムーズに進められません。

作業効率が落ちるだけではなく、社員同士の交流が滞るため、チームワークに支障が出てしまうこともあります。

業務内容や社員の動き方を意識して、レイアウトの見直しを行いましょう。

コミュニケーションの場がない

オフィスには社員が気軽にコミュニケーションを取れる場所が必要です。コミュニケーションの場がないと社員同士の交流が進まず、信頼関係の構築が難しくなります。

カフェスペースやソファブースの設置、フリーアドレスの導入により、部署の垣根を超えたコミュニケーションが生まれやすくなります。

予算やスペースの関係でダイナミックな対策が難しい場合は、既存のスペースを有効活用しましょう。人が集まる印刷室や給湯室に本や雑誌、インテリアを置くだけでも話が弾み、交流が促進される効果が期待できます。

リフレッシュの場がない

長時間デスクワークを続けると、疲労がたまり、集中力の低下や心身の不調を引き起こします。

休憩スペースや給湯室といったリフレッシュできる場所を設けることで、ストレスの軽減や疲労回復につながります。

オフィス環境を改善する際のポイント

オフィス環境を改善する際に注意すべきポイントは以下の4つです。

  • 社員の意見を取り入れる
  • 他社の成功例を参考にする
  • 専門業者に相談する
  • 効果測定を行う

各ポイントについて詳しく紹介します。

社員の意見を取り入れる

オフィス環境の改善策を計画する際には、社員の意見を取り入れることが重要です。経営層や担当者の思い込みで改善策を考えると、実情に沿わない場合があるためです。

実際にオフィスを使う社員の不満や意見を積極的に聞き取り、改善策に反映させましょう。

他社の成功例を参考にする

他社の成功例は、オフィス環境改善策を立てる際、大いに参考になります。他社のサイトやプレスリリースで、オフィス環境改善の取り組みについて情報収集をしましょう。

しかし、他社の成功事例が自社に適合するとは限りません。成功事例を適切に活用するためには、内容を精査し、自社の企業風土や業務内容に適した形に落とし込む必要があります。

専門業者に相談する

オフィス環境の改善には、専門的知識が必要となる場合もあります。たとえば、レイアウトの見直しには、オフィス設計業者との連携が欠かせません。

照明や空調の問題も専門家による測定やアドバイスがあれば、自分たちでは気づけない問題点や解決策が見つかります。

専門業者への依頼はコストがかかりますが、効率的に改善を行える点は大きなメリットといえるでしょう。

効果測定を行う

オフィス環境の改善策を実施したら、必ず効果測定を行いましょう。効果測定をすることで、その施策を定量的に評価できます。

効果のある施策は継続し、効果の少ない施策は見直すか、取りやめを検討しましょう。ブラッシュアップを重ねることで、施策の効果をより高められます。

評価の際に有効な指標となるのは、社員の労働意欲や労働環境への満足度といったエンゲージメントにかかわる要素です。

アンケートやツールを活用すると、社員のエンゲージメントやパフォーマンスを把握できます。

オフィス環境改善は社員のモチベーション向上につながる

社員の健康と安全を守り、快適な労働環境を提供することは企業の義務です。また、オフィス環境の整備は、モチベーションアップやコミュニケーションの活性化につながり、生産性向上や企業の持続的発展をもたらす効果もあります。

オフィス環境改善の施策を計画し、適切に評価するためには、社員の満足度やパフォーマンスを把握することが重要です。そのような情報の把握は、オフィス環境の悪化による社員の不調にいち早く気づき、ケアをするためにも役立ちます。

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