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社内アンケートの作成では、慣れていないと質問文の精査に時間がかかります。
また、目的に合った質問文を設定しないと、主旨から逸れてしまい求めていた結果を得られない恐れがあります。
そのため、社内アンケートを作る際は質問例文を参考にすると良いでしょう。
本記事では、社内アンケートのカテゴリごとに質問例文と記述式の回答例を紹介します。社内アンケートの作り方のポイントも解説するので、アンケート作りの参考にしてみてください。
従業員に関する社内アンケートの種類
社内アンケートには、大きく分けて「従業員に関するもの」と「職場に関するもの」があります。ここでは従業員に関する社内アンケートのうち、以下の4種類を紹介します。
社内アンケートの種類によって、目的や設定すべき質問項目が異なります。まずは種類を理解して、目的に沿ったものを選べるようにしましょう。
従業員満足度調査
従業員満足度調査(ES調査)とは、自社の制度や業務内容、働きやすさについて従業員の満足度を把握するための調査です。総合的な調査となるため、幅広い範囲で質問が設定されます。
具体的な改善策を立案する際は、要望を聴くためのアンケートやインタビューを別途実施し、従業員の意見を深掘りしましょう。
従業員エンゲージメントサーベイ
従業員エンゲージメントサーベイとは、従業員が組織のために貢献したいと感じる度合いを測定する調査です。エンゲージメントが高まると、従業員はモチベーション高く仕事に取り組むため、組織全体の生産性の向上を期待できます。
たとえば従業員のキャリア形成に課題があるとわかれば、個に応じたプログラムの整備といった適切な対応が可能です。
エンゲージメントサーベイの詳細を知りたい方は、以下の記事をご覧になってください。
ストレスチェック
ストレスチェックとは、従業員の職場に対するストレスを把握するための検査です。
なお、同制度下におけるストレスチェックの実施者は以下のように定められています。
- 医師
- 保健師
- 厚生労働大臣の定める研修を受けた看護師・精神保健福祉士
参考:ストレスチェック制度導入マニュアル|厚生労働省
個人情報やプライバシーを扱うため、上記以外の人は実施できません。社内に人材がいない場合は、外部委託も可能です。ルールに則り、正しく運用することで、従業員の心の健康を維持しましょう。
コンプライアンス調査
コンプライアンス調査とは、従業員や会社がコンプライアンスを遵守して職務にあたっているかを把握する調査です。コンプライアンスは法令や倫理を遵守し、会社の信頼性に関わる重要な要素といえます。
日頃からコンプライアンス調査を行うことは、自社のイメージと信頼とともに従業員を守ることにもつながります。より詳しく知りたい方は以下の記事をご覧になってください。
職場に関する社内アンケートの種類
社内アンケートには、以下のように職場に関するものもあります。
それぞれで目的や設定すべき質問が異なるので、理解を深めたうえで適切な社内アンケートを選択しましょう。
業務内容・職場環境改善のためのアンケート
業務内容・職場環境改善のためのアンケートは、従業員にとって働きやすい環境を作る目的で実施します。業務内容や量は適切か、あるいは照明や作業スペースの広さといった物理的な環境から人間関係まで、幅広い内容を網羅します。
従業員のニーズに合った働きやすい環境を整備し、モチベーションやエンゲージメントの向上を目指す際に効果的な社内アンケートといえます。
組織力向上のためのアンケート
組織力向上のためのアンケートは、組織の全体的な生産性やパフォーマンスを高めるうえで、課題となっていることを把握する目的で実施します。
アンケートによって、従業員から見た組織の強みと弱みがわかると、課題が明確になるはずです。明確化された課題に対して改善策を打ち出すことで、組織力向上を狙えます。
社内制度改革のためのアンケート
社内制度改革のためのアンケートは、従業員が既存の社内制度に対してどう感じているか、あるいはどう改善して欲しいかを明確化するために実施します。
人事評価制度や報酬制度、テレワークやフレックスタイムといった勤務形態、育児休暇をはじめとする福利厚生制度などについて評価してもらいます。
従業員の意見を反映しながら社内制度を構築していることは、採用活動でのアピールポイントにもなるでしょう。
従業員のモチベーションやエンゲージメントを向上させる方法は、以下の記事で詳細を解説しています。詳しく知りたい方はご覧になってみてください。
組織風土調査アンケート
組織風土調査アンケートは、現在の組織に根付く風土や文化を調査する目的で実施します。組織の基本的な価値観や行動理念、暗黙のルールなどを把握することで、組織が抱える課題を明確化できます。
組織風土調査に特化した調査ツールもあるので、活用してみるとよいでしょう。
社内アンケートへの協力依頼の例文
実施する社内アンケートを選択したら、アンケートの作成を進めます。社内アンケートを実施する前に、従業員に協力をお願いするための依頼文を作成する必要があります。
メールで依頼する場合の例文は、以下の通りです。
件名:従業員満足度アンケートへの協力のお願い従業員各位
お疲れ様です。人事部の〇〇です。
この度、皆さまの意見を踏まえたうえで業務内容や職場環境の改善を目指すため、アンケートを実施する運びとなりました。
実施目的:業務内容や職場環境の改善に向けた課題の明確化実施期間:〇年〇月〇日~〇月〇日実施方法:Web上でのアンケートアンケートURL:https://www.xyz
ご多忙の中とは存じますが、〇日までにご回答いただけると幸いです。よろしくお願いいたします。
人事部 〇〇
書面で共有する際はやや形式が異なりますが、記載内容は同じです。実施目的や期間を明確にして、回答しやすい工夫をしましょう。
社内アンケートの記載項目例
社内アンケートでは質問だけでなく、実施時や結果の共有時に必要事項を記載した文書を作成します。ここでは2つの記載項目例を紹介します。
それぞれの記載項目例を参考に、アンケートを整えましょう。
社内アンケート実施時
社内アンケートを実施する際は、以下の項目をアンケート用紙やメールに記載します。
項目 | 詳細 |
---|---|
アンケートについて | 調査目的、調査対象、調査期間、留意事項 |
回答者の基本情報の記入欄 | 氏名、所属、入社年度、部署(記名方式によって変わる) |
質問文 | 質問数が多くなりすぎないよう記載する |
回答例 | 自由記述の回答例を記載し回答しやすくする |
「アンケートについて」は、アンケートの実施前にも共有している内容ですが、実施時にも再度掲載することで、あらためて意識づけできます。
これにより、従業員も含め組織全体で課題解消を目指すことが可能です。
社内アンケート分析結果の共有時
社内アンケートの分析結果を共有する際は、以下の内容を記載します。
項目 | 詳細 |
---|---|
アンケートについて | 調査目的、調査対象、調査期間、留意事項 |
アンケート結果のまとめ | アンケート全体を通して明確になったよかった点や課題 |
今後の取り組み | 課題に対する改善策 |
分析結果の共有方法は、自社サイトやメール、チャットツール、書面など複数あります。従業員がもっとも目にする方法を選択しましょう。
経営陣が従業員の意見を反映して組織作りをしているとわかると、従業員のモチベーションやエンゲージメントの向上につながります。
社内アンケートの質問例文と回答例8種
社内アンケートの質問例文と回答例を、8種類紹介します。
- 従業員の満足度に関する設問
- 従業員のエンゲージメントに関する設問
- 従業員のストレスに関する設問
- コンプライアンスに関わる設問
- 業務内容・職場環境改善に関する設問
- 職場の人間関係に関する設問
- 社内制度に関する設問
- 組織風土や文化に関する設問
それぞれの例をもとに完成イメージを深め、社内アンケート作りに役立ててみてください。
1:従業員の満足度に関する設問
従業員の満足度に関する設問は、一般的に以下の8つで構成されます。
- 総合的な満足度
- 仕事内容に関する満足度
- 上司に関する満足度
- 職場環境に関する満足度
- 待遇・福利厚生に関する満足度
- 企業風土に関する満足度
- 人事評価に関する満足度
- 経営に関する満足度
従業員の満足度を中心に調査する際は、幅広いカテゴリを扱う中で課題を見つけていきます。ここでは「総合的な満足度」の設問例を紹介するので、質問文の作成時に参考にしてみてください。
質問例文と回答例
質問例文 | 回答例 |
---|---|
現在の業務に満足していますか? | ・満足している ・やや満足している ・あまり満足していない ・満足していない |
1のように回答した理由をお聞かせください | 【「満足している」を選択した場合】 自分の得意分野を生かせるから 【「満足していない」を選択した場合】 もっとレベルの高い仕事に挑戦して、スキルアップをしたいから |
現在の業務にやりがいを感じていますか? | ・感じている ・やや感じている ・あまり感じていない ・感じていない |
組織風土や文化に満足していますか? | ・満足している ・やや満足している ・あまり満足していない ・満足していない |
知人や親族に職場を薦めたいと思いますか? | ・思う ・やや思う ・あまり思わない ・思わない |
今後も継続して働きたいと思いますか? | ・思う ・やや思う ・あまり思わない ・思わない |
職場に対する要望があれば、自由にお聞かせください | ・休暇を取りやすい風土になって欲しい ・テレワークを導入して欲しい |
記述式の設問は、選択式の設問に対する回答を深掘りするために設定し、最後に自由に記述できる欄を設けるとよいでしょう。質問数の制限はないものの、従業員の負担にならないよう配慮することが大切です。
以下の記事では、質問サンプルをより詳しく紹介しているので、従業員満足度アンケート作成の参考にしてみてください。
2:従業員のエンゲージメントに関する設問
会社に対する愛着と貢献したいと思う意欲を意味する従業員のエンゲージメントに関する設問は、米ギャラップ社の「Q12®」を参考にするのがおすすめです。「Q12®」は、従業員エンゲージメントを数値化し把握できるサーベイツールです。
「Q12®」では以下の12の設問について、5段階で評価してもらいます。
- 私は仕事の上で、自分が何を期待されているかがわかっている
- 私は自分がきちんと仕事をするために必要なリソースや設備を持っている
- 私は仕事をする上で、自分の最も得意なことをする機会が毎日ある
- この1週間で、良い仕事をしていることを褒められたり、認められたりした
- 上司あるいは職場の誰かが、自分を一人の人間として気遣ってくれていると感じる
- 仕事上で、自分の成長を後押ししてくれる人がいる仕事上で、自分の意見が取り入れられているように思われる
- 会社が掲げているミッションや目的は、自分の仕事が重要なものであると感じさせてくれる
- 私の同僚は、質の高い仕事をするよう真剣に取り組んでいる
- 仕事上で最高の友人と呼べる人がいるこの半年の間に、職場の誰かが私の仕事の成長度合いについて話してくれたことがある
- 私はこの1年の間に、仕事上で学び、成長する機会を持った
引用:米ギャラップ社公式サイト
数値が低くなっている設問に注目することで、改善が必要な課題の明確化が可能です。その後、課題にフォーカスしたアンケートやインタビューの実施によって、従業員のニーズを深掘りし、よりニーズに合った改善策の立案を行います。
以下の記事では、従業員のエンゲージメントをより詳しく解説しているので、合わせてご覧ください。
3:従業員のストレスに関する設問
従業員のストレスに関する設問は、厚労省の「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」を参考にするのがおすすめです。
厚労省が無料で配布する「職業性ストレス簡易調査票」は、4つのカテゴリに分けられており、全57項目で構成されます。以下は、設問例です。
カテゴリ | 設問例 | 選択肢 |
---|---|---|
あなたの仕事についてうかがいます。最もあてはまるものに〇を付けてください。 | ・非常にたくさんの仕事をしなければならない ・かなり注意を集中する必要がある ・自分のペースで仕事ができる | ・そうだ ・まあそうだ ・ややちがう ・ちがう |
最近1か月のあなたの状態についてうかがいます。最もあてはまるものに〇を付けてください。 | ・活気がわいてくる ・生き生きする ・怒りを感じる ・へとへとだ | ・ほとんどなかった ・ときどきあった ・しばしばあった ・ほとんどいつもあった |
あなたの周りの方々についてうかがいます。最もあてはまるものに〇を付けてください。 | 次の人たちはどのくらい気軽に話ができますか? ・上司 ・職場の同僚 ・配偶者、家族、友人等 | ・非常に ・かなり ・多少 ・全くない |
満足度について | ・仕事に満足だ ・家庭生活に満足だ | ・満足 ・まあ満足 ・やや不満足 ・不満足 |
引用:職業性ストレス簡易調査票|厚生労働省
ストレスチェックには、他にも民間のチェックツールを活用できます。ストレスチェック制度に則りストレスチェックを実施する場合は、実施者や補助者および面接指導を担当する医師が必要です。全体の実施計画やスケジュールを立てた後は、既存の社内アンケートを用いるのが効率的です。
4:コンプライアンスに関わる設問
コンプライアンスに関わる設問例は、以下の通りです。
質問例文 | 回答例 |
---|---|
自分が知る範囲で会社の業務プロセスは法令を遵守していると思いますか? | ・思う ・やや思う ・あまり思わない ・思わない |
コンプライアンス違反を見つけた際、相談できる体制が整備されていると思いますか? | ・思う ・やや思う ・あまり思わない ・思わない |
職場ではハラスメントについて適切に対応されていると思いますか? | ・思う ・やや思う ・あまり思わない ・思わない |
コンプライアンス研修は役立っていると思いますか? | ・思う ・やや思う ・あまり思わない ・思わない |
4のように回答した理由をお聞かせください | ・毎年同じDVDを見ているだけなので、更新が必要だと感じる ・実際に発生したコンプライアンス違反事例を知れるので、身が引き締まる |
コンプライアンスに関わる設問からは、従業員の法令遵守の姿勢を把握できます。もし、コンプライアンスを軽んじる風土がある場合、早急に改善しなければ企業の信用失墜につながる違反行為が起きかねません。
企業と従業員を守るためにも、コンプライアンスに関する調査は定期的に実施するのが望ましいといえます。
5:業務内容・職場環境改善に関する設問
業務内容や職場環境の改善に関する設問は、以下の通りです。
質問例文 | 回答例 |
---|---|
業務内容が自分の適性に合っていると感じますか? | ・感じる ・やや感じる ・あまり感じない ・感じない |
業務量は適切だと思いますか? | ・思う ・やや思う ・あまり思わない ・思わない |
2のように回答した理由をお聞かせください | ・勤務時間内に仕事が終わらない ・特定の人に業務が偏っている |
休日や休暇を十分に取得できていますか? | ・できている ・ややできている ・あまりできていない ・できていない |
どのような取り組みが職場を改善すると思いますか? | ・フレックスタイム制を導入することで、ワークライフバランスを保てると思う ・休暇に関する福利厚生制度を充実させて欲しい |
上記の内容は、従業員にとって働きやすい環境になっているかをチェックし、よりよくするための改善点を見つける際に役立ちます。
業務内容や職場環境が改善されると、従業員のモチベーションやエンゲージメントの向上につながり、早期離職の防止効果が期待できます。
早期離職を防止する方法は他の記事でも紹介しています。より詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
6:職場の人間関係に関する設問
職場の人間関係に関する設問例は、以下の通りです。
質問例文 | 回答例 |
---|---|
上司と円滑なコミュニケーションを取ることができていますか? | ・できている ・ややできている ・あまりできていない ・できていない |
上司と信頼関係が構築されており、連携が取れていますか? | ・取れている ・やや取れている ・あまり取れていない ・取れていない |
上司やから適切なフィードバックを受けることができていますか? | ・できている ・ややできている ・あまりできていない ・できていない |
人間関係で悩んでいることがあればお聞かせください | ・上司にいつも怒られるのがストレスになっている ・何回も同じ注意をされるが改善できない |
良好な人間関係の構築のために気をつけていることはありますか? | ・自分から挨拶をする ・報連相を怠らない |
上記は、上司との人間関係について問題がないかを見極めるための設問例です。同僚や他部署のメンバーなどをまとめて1つの質問にしてしまうと、上司との関係だけに悩んでいる場合に答えに困ります。そのため、「上司」の部分を「同僚」や「他部署のメンバー」とし、カテゴリ別に設問することが大切です。
人間関係の課題を見つけ、解消することで、従業員のストレスを軽減可能です。
7:社内制度に関する設問
社内制度に関する設問例は、以下の通りです。
質問例文 | 回答例 |
---|---|
現在の福利厚生制度は働きやすさを支えていると思いますか? | ・思う ・やや思う ・あまり思わない ・思わない |
適切な福利厚生施設が整備されていると思いますか? | ・思う ・やや思う ・あまり思わない ・思わない |
人事制度によって、自分は公正かつ正当に評価を受けていると思いますか? | ・思う ・やや思う ・あまり思わない ・思わない |
人事評価制度の基準が明確に示されていると思いますか? | ・思う ・やや思う ・あまり思わない ・思わない |
モチベーションの向上につながる新たな社内制度案があればお聞かせください | ・書籍購入制度があれば勉強しやすい ・成績優秀者をもっと評価して欲しい |
社内制度に関する設問では、人事異動や人事評価制度、福利厚生制度のように、それぞれのカテゴリごとに質問文を掲載します。この設問によって、従業員のワークライフバランスを維持できる体制になっているかどうかを確認できます。
カテゴリごとに課題を見つけられると、細かい改善策の立案が可能です。
8:組織風土や文化に関する設問
組織風土や文化に関する設問は、以下の通りです。
質問例文 | 回答例 |
---|---|
自分の意見を率直に伝えられる組織であると思いますか? | ・思う ・やや思う ・あまり思わない ・思わない |
失敗しても挑戦したことに対して評価される風土があると思いますか? | ・思う ・やや思う ・あまり思わない ・思わない |
問題や課題に対して周囲のサポートを受けることができると思いますか? | ・思う ・やや思う ・あまり思わない ・思わない |
あなたはどのような組織風土を望みますか? | ・創造的な風土 ・結果重視の風土 ・調和的な風土 ・秩序のある風土 ・その他 |
4のように答えた理由をお聞かせください | 【「成果を重視する風土」を選択した場合】 仕事に自信があり、どんどん評価して欲しいから 【「親和的な風土」を選択した場合】 失敗して怒られるとストレスが溜まるから |
この設問では、現在の組織風土や文化を把握し、従業員のモチベーションやエンゲージメントが維持できる状態になっているかを確認します。
たとえば、失敗した人を責める風潮のようにマイナス要素を見つけた場合は、よりよく改善するための方法を考えることが大切です。
モチベーションとエンゲージメントの違いについては、以下の記事をご覧になってください。
社内アンケートの作り方のポイント7つ
社内アンケート作りでは、押さえるべきポイントが7つあります。
- 目的を明確にする
- 質問文の言葉選びに配慮する
- 質問数を最低限に絞る
- 選択式と記述式のバランスに気をつける
- 誘導尋問にならないよう質問項目を作成する
- 実態に合わせて記名・無記名方式を選ぶ
- ツールを使ってアンケート作りを効率化する
ポイントを押さえることで、効率的かつ効果的な社内アンケートを作成できるので、参考にしてみてください。
1:目的を明確にする
社内アンケートを作成する前に、何のために従業員の意見を集めるのか、目的を明確にします。目的を明確にすると一貫性をもって質問を設定できるため、趣旨に合った意見を集めることが可能です。
社内アンケートの実施目的には、以下があります。
- 業務内容や職場環境を改善する
- 組織力を向上する
- 社内制度を改革する
- 組織風土や文化を修正する
詳しくは下記の記事の「社内アンケートの導入目的」で解説しているので、合わせてご覧ください。
2:質問文の言葉選びに配慮する
社内アンケートの質問文は、言葉によって回答の仕方が変わる可能性があるため、言葉選びに配慮する必要があります。
たとえば、以下の質問文は同じことを尋ねていますが、ニュアンスが異なります。
質問文 | 特徴 |
---|---|
上司とのコミュニケーションで、よいところを教えてください。 | ・回答者が自由に自分の考えを書ける ・よいところがある前提の質問であるためやや誘導的で、よい面がない場合に回答しにくい |
上司とのコミュニケーションで、よいところはありますか? | ・「はい」か「いいえ」で回答できるため、よい面がない場合も回答しやすい ・詳細が知りたい場合は、深掘りする質問の設定が必要 |
それぞれの特徴と前後の流れも踏まえて、回答者が気持ちよく回答できるよう言葉を選ぶことが大切です。
ひとつひとつの質問作成に時間を取られないよう、先に全体の流れを作ってから細かい文言を調整していくのがおすすめです。
3:質問数を最低限に絞る
社内アンケートの質問数が多すぎると従業員の負担になるだけでなく、回答率の低下につながる恐れがあるため、最低限に絞ることが大切です。
複数の目的をもって社内アンケートを作成すると、質問のカテゴリが増えてしまい、内容が拡散する可能性が高まります。質問数を絞りたい場合、社内アンケートの目的を限定するとよいでしょう。
4:選択式と記述式のバランスに気をつける
記述式の質問ばかりだと従業員の負担となり回答率が低下する恐れがあるため、回答形式のバランスに気をつける必要があります。
より詳しく従業員の意見を聴きたい場合は、アンケートをもとに面談やインタビューを行うのも手もあります。アンケート後に面談やインタビューを実施する際は、アンケートの目的とともに事前に告知しておくようにしましょう。
5:誘導尋問にならないよう質問項目を作成する
従業員の回答を誘導するような質問は、設定しないように気をつける必要があります。
人事評価制度の課題について意見を聴きたい場合は、以下のように問うと誘導尋問ではなくなります。
【質問例】
現在の人事評価制度について、気になる点があればお聞かせください。
社内アンケートで従業員の本音を引き出すためには、誘導尋問にならないよう質問文を見直すことが大切です。
6:実態に合わせて記名・無記名方式を選ぶ
社内アンケートでは、記名方式が回答の質や回答率を左右するため、実態に合わせて選ぶことが大切です。
記名方式には、以下の2種類があります。
記名方式 | 記名式 | 匿名式 |
---|---|---|
概要 | 回答者の氏名を書く | 回答者の氏名を書かない |
メリット | 未回答者を特定できる | 本音を書きやすい |
デメリット | 本音を書きにくい | 未回答者を把握できない |
記名式の社内アンケートは、「人事評価に関わるのではないか」といった不安を従業員に抱かせ、本音を書けなくすることがあります。
普段から「本音を書いても大丈夫」と思える安心できる風土が育っていない場合、記名式はリスクが高いため、匿名式にするといった配慮が必要です。
完全な匿名式で回答率を上げたい場合は、全従業員が同じ時間に実施するというように、実施方法を工夫するのがおすすめです。
7:ツールを使ってアンケート作りを効率化する
以下のようなツールを使うことで、アンケート作りを効率化できます。
ツール | 特徴 | できること |
---|---|---|
Googleフォーム | Googleアカウントがあればだれでもアンケートを作成できる | ・簡単にアンケートを作成できる ・スプレッドシートにデータを自動集約できる |
アンケート調査ツール | アンケート作成から集計、分析まで一貫して行える | 自動でアンケートの分析までできる |
Web上のテンプレート | レイアウトや質問項目が決まっており、アンケート作成の手間が省ける | ・手軽にダウンロードできる ・簡単に編集できる |
Googleフォームは無料で利用できるので、一度試してみるとよいでしょう。
有料版のアンケート調査ツールやテンプレートを導入する場合は、事前に作成したい社内アンケートの骨組みやイメージを固めておきましょう。
アンケート結果の活用方法:改善策の立案
アンケート結果を有効に活用するためには、得られたフィードバックから具体的な改善策を立案することが重要です。
たとえば、多くの従業員が職場環境に不満を示している場合、作業スペースの再配置や通勤のしやすさを改善することが考えられます。
これらの改善策は従業員の満足度向上に直結し、組織全体の生産性の向上にも寄与するでしょう。
アンケートから浮き彫りになった問題点を踏まえ、実現可能で効果的な解決策を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ:社内アンケートを作成して目的を達成しよう
社内アンケートを作成し、適切に結果を分析できると、従業員にとって働きやすい環境や組織への改善につなげられます。
ただし、社内アンケートの作成に慣れていないうちは、質問文の精査に時間がかかることもあります。
アンケートの作成から分析、改善策の実施までをすばやく行いたい場合は、既存のアンケート調査ツールやサーベイツールの導入を検討してみましょう。
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