用語集

ファシリテートとは?会議における役割や手法・必要なスキル

多くの人が集まる会議では、「発言の頻度が人による」「時間内に合意形成ができない」「論点がずれてしまう」など、結論にたどり着くためのスムーズな進行が難しい場合があります。

それらの問題を解決する「ファシリテート力」が、近年注目を集めるようになりました。
この記事では、ファシリテートを行うファシリテーターの意味や役割、導入するメリットや、求められるスキルについて詳しく解説します。

ファシリテートとは?

ファシリテートとは、英語で「進める」「促進する」と言う意味を持つ言葉です。
ビジネスの場では、「ファシリテーション」と呼ばれるのが一般的であり、会議で使われる場合は「研修や会議・ミーティングなど、さまざまな話し合いの場を円滑に進めるための手法」を表します。

参考:ファシリテーションとは – コトバンク

ファシリテーターとは?

ファシリテーターとは、研修や会議・ミーティングの場で、実際にファシリテート(ファシリテーション)を行う人のことを言います。

ファシリテーターの役割は、定められたとおりに会議を進行させることだけではありません。活発な会議では、多くの発言や、意見の衝突を調整していく必要があります。また発言が少ない会議では、一人ひとりの意見やアイデアを引き出し、議論ができるように導く役割を担っています。置かれた目標や目的をクリアできるよう、集団と意見を上手くまとめるのが、ファシリテーターの仕事なのです。

参考:ファシリテーターとは – コトバンク

ファシリテーターと司会者との違い

司会者の役割は、会議などを定められた時間で滞りなく進行することのみです。参加者に発言や議論を求める、最終合意に導くなどの役割は担っていません。
一方でファシリテーターは、会議の進行にとどまらず、満遍なく発言を促して意見をまとめ、最終的な合意に導くまでの役割を持っています。

ファシリテートの始まり

現代社会では多様化が進み、性別や国籍・年齢・立場に寄らない社会づくりの重要性が広がっています。

また、従来は縦社会であったビジネスの構造も、横へと広がるネットワーク社会へと変化してきました。このような社会の流れから、上からの指示を待つよりも、自分たちの力で考え、物事に取り組み、答えを出すことが求められるように変化しています。

そのため、集まった一人ひとりから意見を引き出し、一つの方向へと導く「ファシリテート力」が必要とされているのです。

ファシリテートのメリット

ファシリテーションを行うことで、会議におけるさまざまな無駄を省くことができ、メリットを享受できます。

新しい意見を引き出せる

会議には、異なる価値観や意見を持っている多数の人が集まります。その中で、立場や職位に関わらず、参加者の意見を引き出すことに成功すれば、お互いが思っていても口には出さなかった考えを知り、革新的なアイデアにたどり着くこともあるでしょう。
最終的に、参加者全員が納得し、前向きにゴールに到達することで、さらなる達成感が得られることは言うまでもありません。

幅広い分野で変化をもたらす

ファシリテートは、ビジネスの場だけではなく、地域やNPO、グループ学習など、幅広い分野で用いられています。ファシリテートの目的は、集団活動での目標を達成させるサポートをすることです。参加者に気づきを与え、新しい発想や意見を交わすことで協働が生まれ、人間関係や組織にも良い影響を与えることが期待されます。

会議の目標を達成できる

会議では、限られた時間内で結論を出さなければなりません。会議が白熱しすぎて、論点がずれてしまっている場合でも、ファシリテーターがいればすぐに気づいて軌道修正ができます。また、時間を管理しながら時間内に一定の結論にたどり着けるため、すぐに次の行動に繋げることが可能です。

参考:ファシリテーションとは?役割と必要なスキル、具体的なやり方

具体的なファシリテートの役割と手法

ファシリテーターは、話し合いの場で多くの役割を持っています。しかし、ファシリテートの基本的な考え方については知っていても、実際にファシリテートを実行するとなると、どのように取り組めばよいか悩んでいる人も少なくありません。ここでは、ファシリテートの具体的な役割や手法についてご紹介します。

その会議の目的を設定する

何を目的とした会議かがはっきりしていないと、話し合いが迷子になり、発言もぶれてしまいます。目的のないファシリテーションはできないため、この会議では具体的に何のために話し合い、何を決めるものなのかを、最初に明確にして周知しておきましょう。

たとえば、会議の内容が、最近起きた業務上のミスについてだったとします。その場合は、ミスが起きた原因を確認し、どうすれば今後そのミスを起こさずに済むかを話し合うことを目標にしておくとよいでしょう。

目的を明確化しておくことで、論点がずれにくくなり、より質の高いファシリテーションが可能となるのです。

場の雰囲気を作り上げる

年齢層や性別、立場、国籍、価値観などが異なるさまざまな人が集まる会議では、それぞれが話しやすい場を、ファシリテーターが自ら提供していかなくてはなりません。

常に中立の立場を保ち、発言の全てに興味を持つ立ち居振る舞いが求められます。参加者同士の意見の衝突などが原因となり、場の雰囲気が険悪になるケースでも、個々の立場を思いやり、全員が発言しやすい雰囲気を作り出せるよう気を付けましょう。

また、会議が始まる前には、お互いの意見を尊重する、人の意見を否定しない、などのルールを決めておくと、気持ちの良い意見交換が可能となります。

その他、ある程度参加者の性格を把握しておくのもおすすめです。どのように話を振っていくと効果的かの判断がしやすくなります。

コミュニケーションを引き出す

ファシリテーターは、参加者から多くの意見を出してもらえるよう、ファシリテートの場でのコミュニケーション促進を心がける必要があります。積極的に参加者の話に耳を傾けたり、相手のペースに合わせた会話を心がけたりなどの工夫をしていくと良いでしょう。互いに興味や理解を示すことは、参加者が信頼感や安心感を得て意見を出しやすくなることにもつながります。

話をきちんと聞いていることを示すために、目を見て話を聴き相槌を打つ・頷くなどの動作も効果的です。また、発言者が偏らないよう、発言の少ない人にはファシリテーターから呼びかけ、意見を促すのも良いでしょう。

なお、発言の内容は、ホワイトボードや模造紙などを使い、参加者全員が視覚的に情報共有できるような仕組みを整えておきましょう。間違った捉え方や、聞き違いを防ぐための手段にもなります。

時間を管理する

会議の時間の管理を行うことも重要な役割です。話し合いに熱中すると、つい時間を忘れがちですが、実際には限られた時間の中で目標を達成しなければなりません。

そこでファシリテーターは、その会議で必ず話しておかなければいけない議題と、後日でも問題ないが今日できれば取り組んでおきたい議題を分け、それぞれにかける時間を設定しておくのが理想的です。時計やタイマーなどで時間を管理して進行しましょう。

議事録にまとめる

ファシリテーションが終わったら、会議の議事録を作成します。ファシリテーションでは、参加者が多く活発な意見が交わされるほど、目標の達成度は高まります。

会議にはいつ、誰が参加し、どのような流れで行われ、どんな内容が話し合われたかを記しておきましょう。細かい点まで残そうとせず、箇条書きで十分です。振り返りができることを目的とした議事録を残しましょう。

ファシリテートで注意すべきこと

良いファシリテーションを行う上で、ファシリテーターが気を付けなければいけない点があります。

自分の意見を混ぜない

ファシリテーターは、自分の意見や主観を入れず、進行に集中しなければいけません。
ファシリテーター自身がその組織の一因である場合、自分の主観が入ってしまうのは、ある意味で仕方のないことではあります。

しかしそれでは、会議にファシリテーターがいないことと同じになってしまいます。会議で起こり得る問題点を、自分から作り出してしまうおそれもあるため、ファシリテーターを担当する際には、進行に集中するようにしましょう。

自ら決定しない

ファシリテーターは、自ら問題解決をする立場ではありません。問題解決に向けて、参加者が意見を出し合い、その意見をまとめて解決のサポートをすることが仕事です。
進行が上手くいかないからといって、自ら解決に向けて意見をまとめるのも、間違った行動と言えます。

ファシリテートに必要なスキル

ファシリテーションで求められる成果を出すためには、以下のような能力を持っていることが不可欠です。

理解する力

ファシリテーターには、参加者の意見を理解する力が求められます。会議にはさまざまな人が参加しますが、その発言の内容をしっかりと汲み取り、進行していけるように尽力しましょう。

整理する力

論点を正しく押さえ、整理する力も必要です。特にビジネスにおいては、ずれた論点での話し合いを続けても、問題を見逃したままで正しい意思決定ができません。

そこで、ファシリテートの場では、論点を見失わず、話し合いの中で出てくる参加者の意見を掘り下げるかどうかの判断をしていく必要があります。この判断力や整理する力は、ファシリテーターとして一番求められる部分と言えるでしょう。

問いかける力

参加者の意見に疑問や不足した点を感じた時には、「それは具体的にはどのようなことを指しますか」「こういう意味ですか」などの質問をし、解消する必要があります。どのような意図で質問しているのかを相手に伝え、答えを引き出しましょう。

傾聴の力

ファシリテーターが参加者の意見を興味深く聞いている姿勢を示すことで、参加者の発言意欲は高まります。相手に体を向け、しっかりとアイコンタクトを取って話を聴きましょう。相槌やうなずきを入れ、聴き終わった後には「こういうご意見ですね」と正確に要約すると、より信頼感が増します。
ファシリテーターには、自分が話すことよりも、参加者に話してもらうための能力が必要なのです。

参考:ファシリテーションとは? 役割や必要なスキル、実践方法ついて解説

ファシリテートのスキルを身につける方法

自分がファシリテーターとして会議に臨む場合に、円滑に進行するためにはどのようにすればよいのでしょうか。ファシリテートのスキルを身につける3つの方法をご紹介します。

セミナーに参加する

近年では、日本各地でファシリテートに関するセミナーが開催されています。実際にファシリテーターとして活躍している人の話が聞けるなど、貴重な情報を得ることができるでしょう。

ファシリテートの関連書籍を読む

ファシリテーションについての書籍も多数発売されています。レビューなどを参考に、自分に合う書籍を見つけて読んでみると良いでしょう。

実践を積む

セミナーや書籍は、知識を付けるといった点では確かに頼りになります。

しかし、実際の会議での効果的な立ち回りについて学ぶには、実践で経験を積んでいくことが一番の近道です。なぜなら、ファシリテートでは、理解力や思考力・表現力など、複数の能力を同時に発揮できる高度なスキルが求められるからです。
実際に会議でファシリテートを行い、試行錯誤を繰り返して、スキルを身につけていきましょう。

まとめ

多様化が進む現代のビジネス社会においては、今後ますます、さまざまな人との話し合いの場に身を置く機会が増えていくでしょう。そうした中で、会議を円滑に進めて結論に導くファシリテート力は必須の能力と言えます。


しかし理解力や思考力は、思いついて学習を始めても、すぐに身につくものではなく、日々の興味や努力が必要です。日頃から、人の発言に対して興味を持ち、より理解を深めようとするなど、ファシリテート力を高める習慣を心がけましょう。

参考:
ファシリテーションとは?役割と必要なスキル、具体的なやり方
ファシリテート(ファシリテーション)とは?言葉の使い方·手法·ファシリテート力を高めるには?
ファシリテーションとは – FAJ:特定非営利活動法人 日本ファシリテーション協会
ファシリテーターとは 会議での役割や必要スキル、Web時のコツなど

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