人事戦略

社員のパフォーマンスが向上するメリットや保つ方法を解説

「社員のパフォーマンスが上がらない……」と悩んでいる経営者や人事担当者の方は多いのではないでしょうか。社員のパフォーマンスが低い状態が続くと、職場全体の士気が下がり、業績悪化に直結します。

本記事では、社員のパフォーマンスとは何かを定義し、生産性との違いを明確にすることで、パフォーマンス低下の根本原因を探ります。

さらに、パフォーマンス向上によるメリットやパフォーマンスを左右する要素、高く維持するための具体的な方法まで体系的に解説します。

社員のパフォーマンスでお悩みの方は、ぜひ最後までお読みください。

社員のパフォーマンスとは?生産性との違いを解説

社員のパフォーマンスとは、単に業務をこなす効率だけではなく、仕事の質やチームへの貢献度、モチベーション、リーダーシップなども含めた総合的な業務遂行能力を指します。

一方、生産性は「一定時間内にどれだけの成果を出せるか」といったアウトプットの量や速度など、成果の効率性に重きを置いた指標です。

パフォーマンスと生産性の主な違いは、以下のとおりです。

  • パフォーマンス:仕事の質、チームワーク、コミュニケーション力、問題解決力、リーダーシップなど、多面的な行動や姿勢を含めて評価
  • 生産性:アウトプットの量やスピード、効率性を数値化して評価

つまり、パフォーマンスは社員の行動や周囲への影響力など、定量化しにくい部分も含めて評価されるのに対し、生産性はより成果物の「量」に注目した、定量的に測定しやすい指標である点が大きな違いです。

上司が部下の力を最大限に引き出すためには、パフォーマンスと生産性の違いを正しく理解し、部下一人ひとりの強みを活かすマネジメントを行うことが重要です。生産性だけではなく、パフォーマンス全体の向上を意識した働きかけが、チームや組織の持続的な成長につながるでしょう。

社員のパフォーマンスが向上するメリット

社員のパフォーマンスを向上するメリットは、以下の3つです。

  • 生産性が上がる
  • 売上が増加する
  • 組織へのエンゲージメントが高まる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

生産性が上がる

社員の生産性を高めることは、企業にとって大きなメリットをもたらします。社員のパフォーマンス向上が生産性アップにつながる主な理由は以下のとおりです。

  • 業務の効率化
  • コスト削減
  • 品質の向上

まず、社員一人ひとりが高いパフォーマンスを発揮することで、業務全体の効率が飛躍的に向上します。同じ時間内にこなせるタスクが増えれば、組織全体の生産性も自然と底上げされるでしょう。

次に、業務を効率的に進められるようになると残業が減り、人件費の削減につながります。また、ミスや手戻りも減るため、無駄なコストを抑えることが可能です。

さらに、社員が業務に集中してスキルを高めることで、提供される製品やサービスの質が向上します。これにより顧客満足度の向上が期待でき、企業への信頼もより強固なものとなるでしょう。

上司は、部下一人ひとりの能力を最大限に引き出すための働きかけを行い、日々の業務のなかでパフォーマンスを高められる環境を整えることが重要です。

売上が増加する

売上の増加は、社員のパフォーマンスを高める最も重要な効果といえるでしょう。

パフォーマンスの高い社員は、顧客に対して質の高いサービスを提供できます。これにより顧客満足度が向上し、リピート率が高まります。満足した顧客は、ほかの人にもその企業の製品・サービスをおすすめする可能性が高くなるため、新規顧客の獲得にもつながるのです。

また、先述したとおり、優秀な社員は効率的に業務を遂行できるため、生産性が向上します。同じ時間でより多くの仕事をこなせるようになれば、それだけ売上アップが見込めるでしょう。

さらに、高いパフォーマンスを発揮する社員は、革新的なアイデアを生み出すことも少なくありません。新商品の開発や販促施策の立案など、売上増加に貢献する提案ができる可能性があります。

組織へのエンゲージメントが高まる

パフォーマンスの高い社員は、自分の仕事に対してより強い責任感とやりがいを感じています。会社の目標達成に貢献していると実感できることで、組織に対するエンゲージメント(愛着や帰属意識)が芽生えるのです。

エンゲージメントの高まりは、以下のような効果をもたらします。

  • 仕事へのモチベーションが向上し、自発的に業務に取り組むようになる
  • 同僚とのコミュニケーションが活発になり、チームワークが強化される
  • 会社の方針や決定に対する理解が深まり、積極的に協力するようになる
  • 離職率が下がり、優秀な人材の定着につながる

組織全体のエンゲージメントが高まれば、一人ひとりが能動的に動くようになります。社員同士が切磋琢磨し合える環境が生まれ、会社としての生産性も自然と向上するでしょう。

会社と社員の良好な関係を築き、組織力を強化するためにも、社員のエンゲージメント向上は欠かせない要素です。

社員のパフォーマンスを左右する要素

社員のパフォーマンスを左右する要素は、以下の3つです。

  • モチベーション
  • 職場環境
  • スキルと能力

とくにモチベーションは、パフォーマンスに大きな影響があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

モチベーション

社員のモチベーションは、パフォーマンスを大きく左右する重要な要素です。モチベーションが高い部下は、仕事に対して前向きな姿勢で取り組むため、生産性や業績の向上につながります。

一方、モチベーションが低い部下は、業務に消極的になりがちで、パフォーマンスの低下を招くおそれがあります。

部下のモチベーションを高めるためには、上司として以下のような働きかけが効果的です。

  • 明確な目標設定と達成感の提供
  • 適切な評価とフィードバック
  • 成長の機会と能力開発の支援
  • 働きやすい職場環境の整備

上記の施策を通じて、社員一人ひとりのモチベーションを引き出し、能力を最大限に発揮できる環境を整えることが重要です。社員のモチベーションを高く維持すれば、組織全体のパフォーマンス向上と持続的な成長を実現できるでしょう。

職場環境

職場環境は、社員のパフォーマンスを大きく左右する重要な要素の一つです。快適で協力的な職場環境を整えることで、社員のストレスを軽減し、効率的な業務遂行を促進することができます。

職場環境を改善するためには、以下のような取り組みが効果的です。

  • 照明や空調などの不備がないかを日常的にチェックし、必要に応じて上層部へ改善提案を行う
  • 長時間のデスクワークに配慮し、人間工学に適した椅子やレイアウトの導入を検討・提案する
  • リラックスできる休憩スペースの活用を促したり、雑談のしやすい雰囲気をつくる
  • 日々の会話や1on1面談などを通じて、チーム内のコミュニケーションを円滑にする
  • ハラスメントの兆候に早期に気づき、適切に対処・相談機関へつなぐなど、健全な人間関係づくりを主導する

これらを意識的に実践することで、部下が心身ともに健康に働ける環境づくりに貢献できます。

また、チームの雰囲気づくりも上司の重要な役割です。部下や同僚との良好な関係性を築き、互いに尊重し合える文化を育むことで、部下は安心して能力を発揮できるようになります。

定期的なチームビルディングや雑談の時間の確保、オープンなコミュニケーションの促進を通じて、一体感のあるチームを育てていきましょう。

スキルと能力

社員の専門知識やスキル、つまり能力もパフォーマンスに大きく寄与します。社員一人ひとりが持つ能力は多様で、それぞれ強みや特性が異なります。組織としては、社員の能力を適切に評価し、それらに応じた業務を任せることが重要です。

具体的には、以下の取り組みが効果的でしょう。

  • 社員の能力を正確に把握するための評価制度の導入
  • 能力に応じた適切な業務の割り当て
  • 能力開発のための研修やOJTの実施
  • 専門性を高めるためのキャリアパス設計
  • 能力発揮を促す職場環境の整備

社員の能力を最大限に引き出すことで、個人のパフォーマンス向上だけではなく、組織全体の生産性や業績アップにもつながります。社員の能力を活かすことは、組織の持続的成長にとって欠かせない要素です。

適材適所の配置と能力開発支援により、社員一人ひとりが持つ力を十分に発揮できる環境を整えることが、組織のパフォーマンス向上の鍵を握っているといえるでしょう。

社員のパフォーマンスを良い状態に保つ方法

社員のパフォーマンスを良い状態に保つ方法は、以下の4つです。

  • 目標設定を明確にする
  • 適切なフィードバックを提供する
  • ワークライフバランスを整える
  • 研修の実施でスキルアップをサポートする

それぞれ詳しく見ていきましょう。

目標設定を明確にする

社員のパフォーマンスを最大限に引き出すためには、明確で具体的な目標設定が不可欠です。目標設定を適切に行うことで、社員は自分がどう期待されているのかを正確に理解し、目標達成に向けて努力するモチベーションを持てるようになります。

効果的な目標設定には、以下のポイントを押さえることが重要です。

  • 目標は具体的(Specific)であること:漠然とした目標ではなく、達成すべき明確なゴールを設定する。
  • 目標は測定可能(Measurable)であること:数値化するなどして、進捗状況や達成度合いを把握できるようにする。
  • 目標は達成可能(Achievable)であること:現実的で手の届く範囲内の目標を設定し、社員のやる気を引き出す。
  • 目標は関連性(Relevant)があること:会社の戦略や方向性に沿ったものにする。
  • 目標には期限(Time-bound)を設けること:いつまでに達成すべきかを明確にし、計画的に取り組めるようにする。

上記のSMARTの原則にもとづいて目標を設定すれば、社員は自身の役割と責任を明確に理解し、自発的にパフォーマンス向上に取り組めます。

また、目標達成に向けた進捗状況を定期的にフォローアップし、必要に応じてサポートすることも重要です。

適切なフィードバックを提供する

適切なフィードバックの提供は、社員のパフォーマンスを良い状態に保つうえで欠かせません。フィードバックを通して、社員は自分の強みと弱み、改善すべき点を明確に理解できます。

効果的なフィードバックを行うためのポイントは以下のとおりです。

  • 具体的な行動や成果に焦点を当てる
  • ポジティブな面と改善点の両方を伝える
  • タイムリーにフィードバックを行う
  • 対話の機会を設ける

例えば、具体的な行動や成果に焦点を当てることで、社員は自分のパフォーマンスをより正確に把握できます。漠然とした表現ではなく、どのような行動や成果があったのかを具体的に伝えることが重要です。

また、一方的にフィードバックを伝えるだけではなく、社員の意見や考えを聞くことも重要です。対話を通じて社員の理解度を確認すれば、今後の目標設定に活かせます。

上記のポイントを押さえ、定期的にフィードバックを行うことで、社員のパフォーマンスを良い状態に保ち、成長を促せるでしょう。適切なフィードバックは、社員のエンゲージメントを高め、組織全体の生産性向上に貢献します。

ワークライフバランスを整える

健康的なワークライフバランスを整えることは、社員の幸福度とパフォーマンスに大きな影響を与えます。適切なバランスを保つことで、社員は仕事とプライベートの両方で充実した時間を過ごせるのです。

ワークライフバランスを整えるためのポイントは以下のとおりです。

  • フレックスタイム制度の導入を検討する
  • リモートワークの選択肢を提供する
  • 有給休暇の取得を奨励する
  • 残業時間に上限を設ける
  • 社員の意見を積極的に聞く

例えば、フレックスタイム制度を導入すると、社員は自分のライフスタイルに合わせて働く時間を調整できるようになります。子育てや介護などの事情を抱える社員にとって、この制度はとくに有効でしょう。

また、リモートワークの選択肢を提供することで、社員は通勤時間を削減し、より集中して仕事に取り組めます。自宅で仕事をすれば、家族との時間を増やすことも可能です。

過度な残業やストレスを避け、社員が仕事とプライベートの両方で充実した時間を過ごせるよう、企業は積極的に取り組んでいく必要があります。

研修の実施でスキルアップをサポートする

社員のスキルアップをサポートするには、定期的な研修の実施が効果的です。業界のトレンドや新しい技術について学ぶ機会を提供することで、社員は自信を持って業務に取り組めます。

研修を行う際のポイントは以下のとおりです。

  • 社員のニーズに合わせた研修内容を選定する
  • 実践的なワークショップを取り入れる
  • 社外の専門家を招いて新しい視点を得る
  • 研修後のフォローアップを行い、学びを定着させる

例えば、社員のニーズに合わせた研修内容を選定することで、モチベーションを高く保てます。また、実践的なワークショップを通して、学んだ知識をすぐに業務に活かすことができるでしょう。

社外の専門家を招くことも有効な手段です。自社の枠を超えた新しい視点を得ることで、イノベーションを促進できます。さらに、研修後のフォローアップを行うと、学びを定着させ、継続的な成長につなげられます。

社員のパフォーマンスを高く維持できるようにしよう

社員のパフォーマンスは「生産性」だけではなく「仕事の質」「チームワーク」「モチベーション」など複数の要素から構成されます。これらの要素に対して上司が意識的に関与し、支援することで、部下一人ひとりの力を引き出し、結果的に組織全体の成果やエンゲージメント向上につながります。

パフォーマンスを高めるためには、上司による明確な目標設定と効果的なフィードバック、働きやすい環境づくり、継続的なスキル支援などが重要です。ただし、これらの取り組みは一度実施して終わりではなく、日々の様子や変化を把握し、継続的にサポートする姿勢が求められます。

社員のパフォーマンスは、モチベーションや職場環境、スキルなどの影響を受けるため、上司はそれぞれの要素を可視化し、適切に対応することが重要です。それにより、部下の力を最大限に引き出し、組織の成長に寄与できます。

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高パフォーマンスな組織をつくるには、社員の“今”を理解し、未来の成長を支える体制づくりが不可欠です。まずはミキワメウェルビーイングサーベイの導入により、社員の力を最大限に引き出す第一歩を踏み出しましょう。

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