- 企業文化の意味と重要視される理由
- 企業文化の可視化の方法
- 企業文化の有名な具体例
企業文化とは、企業と従業員の間で共有される独自の価値観や行動規範を総称する概念です。意識的または無意識的に築き上げられる文化を意味し、企業文化は組織全体の方向性を形作る重要な要素となります。
企業文化は意思決定の迅速化や従業員のモチベーション向上にも有効ですが、自社に企業文化が根付いているのかわからない方も多いのではないでしょうか。
本記事では企業文化の意味をはじめ、重要視される理由や企業文化の構成要素を紹介します。
企業の具体例やAIツールを使って企業文化を可視化する方法も解説するので、企業文化の強化に取り組みたい企業はぜひ参考にしてください。

企業文化とは?意味を簡単に解説

企業文化とは、企業と従業員の間で共有される価値観や行動規範のことです。英語では「corporate culture」や「company culture」と表現され、行動指針や経営理念といった目に見えるルールだけでなく、無形の信念や価値観なども含まれます。
企業文化は、企業が目指す方向性や日々の意思決定に深く関わる重要な要素です。
企業文化が存在していれば企業の目標やビジョンが従業員に浸透しやすくなり、各従業員が自分の行動と企業全体の目的を結びつけられるようになります。
強固な企業文化は従業員のエンゲージメント向上や優秀な人材の獲得につながり、企業の成長にも大きく寄与するでしょう。
まさに企業文化は、組織経営を円滑にし、市場における競争力を高めるために欠かせない基盤と言えます。
企業文化と組織風土の違い
特徴 | 企業文化 | 組織風土 |
定義 | 経営理念やビジョンを反映した概念 | 実際の職場環境や日々のコミュニケーションから自然と生まれる考え方や行動 |
役割 | 経営陣が理想とする組織像を反映しており、企業全体の方向性を示す役割を果たす | 従業員同士の関係や職場の雰囲気など自然発生的な要素を含む |
持続性 | 創業当初から築き上げた概念であり、恒久的な企業の行動指針となる | 外部からの影響で変化する可能性がある |
企業文化と組織風土はどちらも組織内の価値観に関連する概念ですが、醸成の過程に違いがあります。
企業文化は経営理念やビジョンを反映した概念であるのに対し、組織風土は実際の職場環境や日々のコミュニケーションから自然と生まれる考え方や行動を指すのが特徴です。
企業文化は、経営陣が理想とする組織の在り方や行動規範を反映しており、企業全体の方向性を示す役割を果たします。一方で組織風土は、従業員同士の関係や職場の雰囲気といった感覚的で現場主導の要素が含まれるのがポイントです。
組織風土は企業文化の一部として存在しており、同じ企業でも部署やチームによって異なる組織風土を有します。
企業文化と社風の違い
特徴 | 企業文化 | 組織風土 |
定義 | 経営理念や経営方針に基づいて醸成される概念 | 職場特有の空気感や雰囲気 |
役割 | 組織全体の要素を包括的に含む | 職場風土よりも局所的な組織の特性を指す |
持続性 | 創業当初から築き上げた概念であり、恒久的な企業の行動指針となる | 従業員の個性や行動スタイルによって変化する |
社風は、従業員の仕事への取り組み方や性格などによって生まれる「職場特有の空気感や雰囲気」のことです。組織風土と似ていますが、社風はより局所的な組織の特性を指します。
社風は企業文化の影響を受けつつも従業員の個性や行動スタイルによって変化し、部門ごとに異なる雰囲気や独自の慣習が存在することも少なくありません。
一方、企業文化は経営方針や経営理念に基づいて醸成され、組織全体の要素を包括的に含んでいるのが特徴です。
企業文化の醸成方法については以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

企業文化が重視される4つの理由

ここでは、企業文化が重視される4つの理由について詳しく解説します。
企業文化は組織の基盤を作り上げるだけでなく、日々の業務や長期的な成長においても重要な役割を果たします。企業文化の重要性を理解しておけば、組織の成長を促進する戦略的なアプローチが取れるようになるでしょう。
迅速な意思決定につながる
企業文化の浸透は、組織内での迅速な意思決定につながります。従業員全員が共通の価値観や行動指針を共有できるため、判断に迷うことなく行動できるのがメリットです。
明確な企業文化があれば余計な議論や調整が不要になるので、より効率的な組織運営が可能になるでしょう。なお意思決定の迅速化は、企業文化が行動重視なのか分析・コンセンサス重視なのかによって異なると言われています。
Another aspect of decision-making to understand is whether your company culture has a bias for action or a bias for analysis and consensus. In organizations where the bias is for action, time and attention spans tend to be more limited, and decisions are made quickly. If you’re pushing for an initiative, you need to present your position clearly and give key stakeholders the information they need to make a decision.
企業文化が行動重視か分析とコンセンサス重視かによって意思決定の迅速化が異なる。行動重視の組織では、時間と注意力が限られる傾向があり、意思決定は迅速に行われる。イニシアチブを推進する場合は、自分の立場を明確に示し、主要な関係者に意思決定に必要な情報を提供する必要がある。
行動重視の企業文化が根付いている企業ほど意思決定が迅速な傾向にあると示されており、企業文化が意思決定に及ぼす影響が大きいことがわかります。
従業員のモチベーションを向上できる
組織全体で共有される価値観や目標が明確であれば、従業員は自分の役割や行動が企業全体の成功につながるという実感を持てるようになります。
とくに従業員が企業文化に共感している場合は、日々の業務に対して積極的に取り組む姿勢を育むことが可能です。
実際に以下の論文では、従業員のモチベーションを向上させるためには、従業員が一丸となって任務に邁進する企業文化・企業風土の醸成が必要だと述べられています。
・丁寧、且つ、ベストを追求する気風
・新しいものを求めて切磋琢磨し合う気風
・厳しい中にも家族的雰囲気が漂う社内気風
・相互協力の気風以上のような気風・伝統は、従業員が仕事に積極的に臨む条件であるが、このような企業風土 を育成することは極めて重要である。
会社の規模が大きくなるほど、従業員が一心同体になるのは非常に難しいものがあるが、少なくとも会社の一員であることへの誇りや帰属意識は大切であり、それが企業風土・文化・伝統の構築につながる。
引用:東京海上日動リスクコンサルティング(株) 危機管理グループ セイフティコンサルタント 梅田 正博 | 従業員のモチベーション向上のための一考察
このことから、従業員が同じ目標に向かって行動できる文化を醸成することは、従業員のモチベーション向上に寄与することがわかります。
自発的に行動する社員が増加すれば、結果として企業の生産性向上につながるでしょう。モチベーションの向上については、以下の記事も参考にしてみてください。

チームワークを強化できる
企業文化の整備は、従業員間の連携強化にも欠かせない要素のひとつです。従業員全員が同じ目標に向かって進めるため、人数が多くても一体感のある企業を形成できます。
社員間での情報共有の促進や相互協力の活性化につながるので、問題が発生したときにも迅速に解決できるチームを構築可能です。
とくに多様なバックグラウンドを持つメンバーが集まる職場では、明瞭な企業文化がチームワーク形成において重要な役割を果たすでしょう。
採用や人材育成の指針となる
企業文化は、採用活動や人材育成の指針としても活用可能です。
たとえば採用活動では、企業文化と一致する価値観や特性を持った人材を選ぶことで、入社後のミスマッチを防ぎ、早期離職のリスクを軽減できます。
実際にロバート・ウォルターズの「職務動向調査2018」によると、企業文化(社風)が転職を決断するときの決め手の4位にランクインしていることがわかりました。

参考(PDF):ROBERT WALTERS WHITEPAPER | 職務動向調査2018
同時にホワイトカラー契約・派遣社員の職務実態調査でも、約11%のホワイトカラー契約・派遣社員が「仕事を引き受ける決め手」として「企業文化」を選んでいることがわかっています。

参考:ロバート・ウォルターズ・ジャパン株式会社 | ホワイトカラー契約・派遣社員の職務実態調査
つまり企業文化は、人材が転職や仕事を受けるときの重要な指標となると理解できます。
採用基準として企業文化を活用することで、企業の価値観に合った人材を採用でき、従業員の定着率や満足度の向上につながるでしょう。
また、企業文化が明確であれば人材育成の方向性も定まりやすく、従業員が必要なスキルや知識を習得できる環境を整えることが可能です。企業の長期的な成長を支える人材を育成できるので、企業の競争力強化が期待できます。
採用時に見極めたいミスマッチについては、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。

「企業文化は戦略に勝る」は本当か

「企業文化は戦略に勝る(Culture eats strategy for breakfast)」とは、マネジメントの父と言われるピーター・ドラッカーによる言葉です。
企業文化の重要性を説いた言葉で「どれほど優れた戦略を立案したとしても、戦略を実行に移す企業文化がなければ、成果を上げることは難しい」ことを意味します。
戦略は企業の目標達成に欠かせない計画や手段ですが、戦略を実行するには基盤となる企業文化が必要です。戦略と企業文化は相互に補完し合う関係にあり、どちらかひとつだけを重視しても企業経営は成り立ちません。
戦略がどれだけ優れていても、企業文化が機能していなければ実行に移すことは困難です。
しかし強固な企業文化があっても、市場や顧客のニーズに対応するための戦略と結びつかなければ、企業は競争に遅れをとってしまうでしょう。
Netflixでは、社内の制約を極力排除した自由なカルチャーを重視しています。高いパフォーマンスを発揮できる社員だけを雇うという「能力主義」を取り入れ、従業員が自由な環境で能力を最大限に活かせる企業文化を醸成。
休暇日数の制限を廃止したり上司の承認プロセスを撤廃したりと、従業員の成長を妨げるルールを減らすことで、従業員がルールに縛られず自律的に働ける環境を生み出しました。
また、Netflixでは事業戦略の一環として、高いパフォーマンスを生む企業文化の維持に注力しています。企業文化へのアプローチこそが長期的な成功を収めるためにもっとも確実な道だと明記しており、企業文化と戦略の相互性を大事にしていることがうかがえます。
2008年にはカルチャーデックとして企業文化を文書として明文化し、社内における企業文化をより強固なものとして確立しました。
企業文化と戦略をうまく共存させている事例として、Netflixの取り組みを見てみましょう。
このように戦略と企業文化は密接に結びついており、どちらも同時に強化していくことが事業成長を促す鍵となります。
「企業文化は戦略に勝る」が正しいとは限りませんが、戦略を成功させるためには企業文化が不可欠であると言えるでしょう。
企業文化を構成する8つの要素

企業文化は以下8つの要素で構成されており、これらの要素は企業文化の醸成や変革において重要な役割を果たします。
ここからは、各構成要素が企業文化にどのように影響するのか詳しく見ていきましょう。
1. 果たすべき使命(Mission):企業活動における基本的な考え方
企業の使命とは、企業が社会に対して果たすべき役割や目的を表したものです。企業活動における基本的な考え方、つまりは企業活動すべての基盤となり、従業員一人ひとりの行動や意思決定に影響を与えます。
ミッションを共有することで従業員が自分の仕事に誇りを持ちやすくなり、企業全体の士気を高める効果も期待できるでしょう。
またミッションは、企業のブランディングや採用活動においても重要な役割を果たします。企業のミッションに共感するパートナーや求職者が集まれば競争力が向上するので、企業のミッションをステークホルダーに伝えることも大切です。
2. ビジョン(Vision):企業が目指す目標
ビジョンは、企業が将来的に目指す目標や理想像です。組織全体が共有すべき長期的な方向性を示し、組織の戦略にも影響を与えます。
明確なビジョンは業務中の意思決定や行動の基準になり、ビジョンを達成するための価値観形成にも有用です。従業員が目指すべき方向性を理解しやすくなるので、組織に一体感が生まれるでしょう。
また、ビジョンでは具体的かつ明瞭な目標を定めることが大切です。曖昧なビジョンは企業文化として根付きにくいため、数値や期限などを明確に設定しましょう。
なお企業文化としてのビジョンは、一度設定して終わりではありません。
経済産業省のDXレポートでは以下のように明記されており、急速に変化するビジネス環境で成長し続けるには企業文化(目標)の変革が必要です。
ビジネスにおける価値創出の中心は急速にデジタルに移行しており、いますぐ企業文化を変革しビジネスを変革できない企業は、デジタル競争の敗者になると予想される。
企業が競争上の優位性を確立するには、常に変化する顧客・社会の課題をとらえ「素早く」変革「し続ける」能力を身に付けること、その中では ITシステムのみならず企業文化(固定観念)を変革することが重要である。
DXレポートでは企業文化の変革こそがDXの本質であり、競争優位性を確立するために必要不可欠だと記載されています。企業は、起こりうる事業環境の変化に応じて柔軟に企業文化(目標)を変えていくことが重要です。
3. 価値観(Values):評価基準
企業文化における価値観は、企業が意思決定や行動を行うときの評価基準です。ビジョン達成に必要な行動様式や考え方のことを指し、企業にとって「何が重要で何が重要でないか」という価値を示します。
価値観の中でも、企業文化の中核となる要素がコアバリューです。コアバリューが社内に浸透していれば従業員が同じ判断基準で行動できるようになるので、スムーズな意思決定や業務効率の向上が期待できます。
コアバリューの例としては「顧客中心主義」「挑戦と革新」などが挙げられ、価値観の形骸化を防ぐにはリーダー層が率先して価値観に基づいた行動を示すことが重要です。
4. 慣行(Practices):日常的かつ継続的に行われる行動
慣行とは、企業内で日常的かつ継続的に行われている行動のことです。組織内で習慣となっている行動を指し、業務のプロセスやコミュニケーション方法などが含まれます。
慣行は企業文化を体現する要素であり、日々の業務に企業文化を反映できなければ意味がありません。ビジョンや価値観を業務に落とし込み、慣行として従業員に浸透させることが大切です。
5. 人材(People):企業文化を体現する人
企業文化を醸成するためには、企業で働く人材が欠かせません。企業のビジョンや経営方針に共感し体現する人材が多いほど、より強固な企業文化を醸成できます。
リーダーシップを発揮する経営陣から新入社員まですべての人が自社の企業文化を理解し、体現していくことが大切です。とくにリーダー層が企業文化を率先して実践すれば、従業員にも文化が浸透しやすくなります。
実際に以下の論文では、企業文化の形成にはトップが方向性を示すことが重要だと述べられています。
戦略経営の考え方によると、企業の新製品・新事業開発プロセスを活性化させてゆくために、まずはトップが明確なビジョンを示すことが重要となる。
本来ビジョンには、組織構成員の自由な発想を生み出す余地を残すという意図があることから、同じく組織構成員の内部統合を促す機能を持つ全社文化が組織を硬直化させてしまうような特性であってはならない。
そこで必要とされる全社文化の特性とは、有効な変革を生み出す人材やリーダーシップを大いに尊重する文化と考えられる。
「革新志向の企業文化」を形成してゆくには、まずはトップがビジョンによって将来の方向性を示しつつ、組織に変革をもたらすような人材やリーダーシップを尊重するような全社文化を組織に浸透させることが重要となる。
人は企業文化の担い手であるため、採用活動では文化に共感する人材を採用するのがポイントです。既存の従業員に対しても、企業文化を理解し、日頃の行動に反映させるための教育や研修が求められるでしょう。
6. ストーリー(Narrative):企業独自の風習や歴史
ストーリーは、企業独自の風習や創業以降の歴史、創業者の理念や成功体験などを指します。企業文化の背景を理解するために重要な要素であり、従業員やステークホルダーが企業に対して感情的なつながりを持つきっかけとなります。
たとえば、創業者が困難を乗り越えたエピソードや社会に大きな影響を与えたプロジェクトの成功事例などは、企業文化を象徴するものとして語り継がれることが多いです。
ストーリーは従業員に誇りや帰属意識を与え、企業全体の結束力を高める役割を果たすでしょう。従業員のエンゲージメントを向上させるためにも、企業のストーリーは積極的に共有することが大切です。
7. 場所(Place):本社や支社の立地・特徴
企業文化における場所とは、本社・支社の立地やオフィスデザインなど働く環境そのものを指します。物理的な環境は従業員の日常の業務や働き方に直結し、企業文化に影響を与える要素のひとつです。
たとえば、オープンなオフィス空間は従業員同士のコミュニケーションを促進し、協力的な企業文化の醸成に役立ちます。
「場所」は単なる働く場所ではなく、企業の価値観や方向性を体現するものです。そのため立地やオフィスの設計を考えるときは、従業員が企業のビジョンや価値観を感じ取れる空間づくりが重要となります。
8. 外部からの影響(Environment):企業を取り巻く環境
企業文化は、社会情勢や市場の動向、競合他社の動きといった外部環境からも大きな影響を受けます。企業文化の方向性や内容を形作る要素となり、外部環境を無視して企業文化を考えることはできません。
企業が競争力を維持しながら成長を続けるには、外部の影響を正しく企業文化に反映させることが大切です。とくにビジネス環境の変化によって経営戦略を変更する場合は、同時に企業文化を見直す必要があるでしょう。
企業文化を可視化する方法

企業の長期的な成長に欠かせない企業文化ですが、自社で醸成できているのかわからないという企業も多いのではないでしょうか。
企業文化を可視化したいときは、以下の2ステップを踏むのがポイントです。
企業文化は、経営者側と従業員側双方の共通認識があって初めて成立します。共通認識としての企業文化を明確化し、言葉にして全社員に共有することが大切です。
ここからは、企業文化を可視化する方法について詳しく解説します。
経営者側と従業員側の企業文化を明確にする
まずは、経営者側と従業員側の企業文化を明確にすることが大切です。
経営者と従業員が企業文化について共通の認識を持つことは組織運営の基本ですが、経営層が掲げる理念や価値観が従業員に伝わっていないケースも少なくありません。
経営者が目指す文化と従業員が日頃感じている文化が異なると、そのギャップが企業運営に支障をきたす可能性もあります。企業文化を明確にするためには、経営層と従業員の双方から意見を集めるのが有効です。
企業文化を把握する手段としては、主に以下のような方法が挙げられます。
企業文化を把握する手段 | 概要 |
組織サーベイ | ・社員全体を対象に、企業文化に関する広範なデータを収集 ・意識調査や満足度調査を通じて、企業文化への考え方や行動指針を把握 |
ヒアリング | ・リーダー層と社員が直接対話し、個別の価値観や日々の行動について詳しく聞く手法 ・複数回実施することで、特定の傾向や共通点を確認 |
アンケート調査 | ・特定のテーマや課題に焦点を当て、社員の意識や価値観を深掘りするための質問を設定 ・匿名性にすることで、率直な意見を得ることが可能 |
このような手段を使えば、企業文化における課題や改善点を浮き彫りにし、双方が共通の認識を持てるようになります。
従業員一人ひとりの考え方を理解し、意見を取り入れたうえで企業文化を醸成することが重要です。
企業文化を明文化する
経営者側と従業員側双方の認識をすり合わせたら、企業文化を明文化して目に見える形にします。
ミッション・ビジョン・コアバリューなどを明確にし、全従業員に共有しましょう。言葉にしてまとめることで、従業員全員がより企業文化を意識して行動できるようになります。
文章化した企業文化は公式HPや社内の掲示物、社内報などに掲載したりするのがおすすめです。社内への共有はもちろん、ブランドメッセージとして外部に公表すれば、取引先や顧客への周知も図れます。
採用ページやパンフレットに企業文化を明記することで、企業文化に共感する人材の獲得にもつながるでしょう。なお企業文化を文章で表すときは以下のように、誰にでもわかりやすい表現で簡潔にまとめるのがポイントです。
- 失敗を恐れず挑戦する
- 顧客第一主義
- 多様性を尊重し、創造を生み出す
- 社会に貢献し、持続可能な未来を目指す
企業文化の現状把握には「組織サーベイ」が有効

企業文化の現状把握には、組織サーベイが有効な手段となります。組織サーベイとは、自社の課題解決を目的に実施される従業員調査のことです。
組織診断とも呼ばれており、モチベーション・職場環境・ストレス状況などの幅広い観点から従業員の満足度を可視化します。
組織サーベイを行えば企業文化の浸透状況を把握でき、具体的な改善策を立てられるようになるのが魅力です。
組織サーベイについては以下の記事で詳しく解説しているので、企業文化の現状把握に悩んでいる企業はぜひ参考にしてみてください。

企業文化の把握に「組織サーベイ」を活用するメリット
組織サーベイを活用すれば、企業文化がどの程度従業員に浸透しているかを客観的に評価できるのがメリットです。経営者側と従業員側での認識の差を可視化できるので、改善すべき領域をスムーズに特定できます。
また、サーベイ結果を分析することで、企業文化の強みや弱みを明確にできるのも利点のひとつです。企業文化は定性的な要素が多いですが、データとして可視化すれば成功要因や改善点を明確にできるでしょう。
株式会社リーディングマークが提供する『ミキワメ ウェルビーイング』は、従業員のエンゲージメントや性格・価値観をスコアリングして見える化できるのが特徴です。
実名制のサーベイなので、経営層が認識する企業文化とギャップがある従業員に対して必要なフォローを行えます。
「組織サーベイ」で企業文化を可視化した事例

企業文化の可視化には、組織サーベイや適性検査ツールが役立ちます。とくに採用段階で企業文化にマッチする人材を採用するには、適性診断サービスである『ミキワメ 適性検査』を導入するのがおすすめです。
採用のミスマッチ防止を目的としたサービスですが、社員の性格分析に活用すれば会社全体における企業文化の可視化に役立ちます。
『ミキワメ 適性検査』によって企業文化を可視化した事例として、株式会社favyの取り組みを紹介します。
株式会社favyでは、従来面接官が感覚のみで判断していた「カルチャーフィット」の可視化を目的に『ミキワメ 適性検査』を導入しました。
採用面接では企業のミッションやバリューへの共感性を重視していましたが、カルチャーにフィットしているかどうかの判断は現場に任せていたため、企業文化が意図せず変わってしまう懸念があったといいます。
人事部としてカルチャーフィットの客観的な判断材料の必要性を感じ『ミキワメ 適性検査』を導入。その結果、個人の性格を可視化できるだけでなく、在籍する従業員と求職者のギャップが見えることでカルチャーフィットの度合いを測れる点が導入の決め手となりました。
ミキワメの導入後は、いままで感覚で測っていたカルチャーフィットを数値で可視化することに成功。今後もミキワメで得たデータの活用を検討しており、半年や1年など定期的な検査によってデータをアップデートしていく方針です。
『ミキワメ 適性検査』は社員の性格分析にも使用できるため、従業員の共通点や企業文化を可視化したいときに役立ちます。
「企業文化にマッチする人材を採用したい」「適性検査を企業文化の可視化に役立てたい」という方は、ぜひ以下の資料をダウンロードしてみてください。
>>人事のための適性検査活用BOOKの資料をダウンロードする
なおカルチャーフィットを見極める方法については、以下の記事でも詳しく解説しています。より詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。

企業文化の有名な具体例3選

最後に、企業文化の有名な成功事例を3社紹介します。
各企業が形成している企業文化や浸透させるための取り組みなどをまとめたので、企業文化の醸成で悩んでいる企業はぜひ参考にしてください。

トヨタ自動車株式会社
トヨタ自動車では、全従業員が会社・社会生活において規範とすべき行動指針「トヨタウェイ」を定めています。相互の尊重と継続的改善を核とした指針で、現場重視の姿勢や全員参加型の改善活動といった内容を含んでいるのが特徴です。
トヨタウェイはトヨタ生産方式にも反映されており、効率的で無駄のない生産体制を支える重要な要素となっています。
また、トヨタは「人を育てる企業」であることを強調しており、社員一人ひとりの育成を徹底することで、企業全体の成長を目指しています。
課題が発生したときも従業員が自ら解決策を考えて行動に移す文化は、トヨタの競争力を支える基盤であると言えるでしょう。
株式会社リクルート
株式会社リクルートの企業文化として重視されているのは「個の尊重」と「起業家精神」です。社員が主体的に考え行動することを奨励し、新しいアイデアや挑戦を尊重する風土が根付いています。
この姿勢は「リクルートDNA」と呼ばれており、経営陣から新入社員まで広く共有することで企業文化の強化につながっているのが特徴です。
社員の成長が企業の成長に寄与するという考えがあり、キャリアアップ支援制度なども豊富に提供しています。
サイボウズ株式会社
サイボウズ株式会社では「100人100通りのマッチング」という方針を掲げており、従業員の多様な個性と価値観を尊重しています。
社員一人ひとりが自分らしい働き方を選択できるよう、テレワークやフレックスタイム制度など多様な制度を整備しているのが特徴です。
また、サイボウズでは「チームワークあふれる社会を創る」という企業の存在意義を定めています。
チームワークを重視する企業文化が根付いており、社員同士が互いに助け合い、意見を自由に交わす環境が構築されているのがポイントです。
これらの企業文化の浸透は従業員の満足度向上に寄与しており、2023年度の離職率は4%以下と従業員の定着にもつながっています。
参考:サイボウズ株式会社 | 人事ポリシー、サイボウズ株式会社 | 企業理念
従業員の特徴や傾向をつかみ、理想的な企業文化を醸成しよう

企業文化とは、企業と従業員の間で意識的または無意識的に共有される価値観や行動規範のことです。理想的な企業文化を築くためには、
まず経営者側と従業員側のギャップを明確にし、自社における企業文化を可視化する必要があります。
企業文化を把握する手法にはアンケート調査やヒアリングなどが挙げられますが、従業員の性格や価値観を詳細につかむなら組織サーベイが有効です。
『ミキワメ ウェルビーイング』を導入すれば、従業員のエンゲージメントや考え方を数値として見える化できます。
目まぐるしく変化するビジネス環境で企業が成長し続けるには、企業文化を強化し、従業員が働きやすい環境を整えることが欠かせません。
まずは自社の企業文化を可視化し、強みと課題を明確にすることから始めてみてはいかがでしょうか。
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