- 人が辞めていく会社の特徴や末路
- 退職予備軍の見分け方と対策
- AI活用などによるびっくり退職防止策
「辞めてほしくない人が辞める」
「優秀な人材が辞めていく兆候や原因を知るには?」
「びっくり退職を効果的に防ぎたい」
社員が連鎖的に辞めていく状況は、どの会社でも避けたいものです。
とくに優秀な人材の退職は大きな損失となり、職場全体の士気を低下させ、さらなる離職を招くなど悪循環に陥るリスクがあります。
しかし、社員が辞める兆候を事前に察知し、適切なアプローチを取ることで、こうしたリスクを大幅に減らすことが可能です。
本記事では、人が辞めていく会社の特徴や末路、優秀な人材が辞めていく兆候を紹介します。
また、退職予備軍を辞めさせないための対策や、びっくり退職を防ぐ方法を解説します。
AIを活用した効果的な離職防止ツールも紹介するので、ぜひこの記事を参考に、自社に合った離職防止策に取り組んでみてください。
なぜ優秀な人ほど突然辞める?人が辞めていく会社7つの特徴
人が辞めていく会社の特徴として、次の7つが挙げられます。
それぞれの特徴を理解することで、人が辞めていく兆候を把握しやすくなり、優秀な人材の離職リスクを大幅に軽減できます。
長時間労働やサービス残業がある
長時間労働やサービス残業は、社員の健康に深刻な影響を及ぼし、不満や離職につながる原因となります。
「過労死基準」とされる月平均残業時間が80時間以上の状況が2~6ヶ月続くと、疲労が蓄積し、心身に不調をきたすリスクが極めて高まります。
そのため、健康被害を防ぐには、残業時間を月45時間以内に抑えることが重要です。
また、近年はワークライフバランスを重視する風潮が強まっており、長時間労働やサービス残業が常態化している企業では、社員の退職リスクが高まる傾向にあります。
仕事に対する対価が見合わない
社員は仕事に対する対価が見合わないと感じる場合、「会社から正当に評価されていない」という不満を抱き、離職につながる可能性があります。
給与が低い、あるいは昇給の見込みがない状況では、「仕事に対する対価が見合わない」との認識が強まり、年収アップが見込める企業への転職を考えるようになるでしょう。
優秀な人材ほど、スキルや経験を活かせる転職先を見つけやすく、金銭的ストレスを解消しやすい傾向があります。
このように適切な報酬が得られない状況が続くと、組織全体の人材流出リスクが高まるでしょう。
ハラスメントが横行している
ハラスメントが横行する職場では、社員の精神的な苦痛が深刻化し、離職率の上昇につながります。
職場の人間関係が悪化し、セクハラやパワハラなどのハラスメント行為が常態化すると、精神的なストレスにより、退職を余儀なくされることもあるでしょう。
さらに、ハラスメントによって仕事への集中力やモチベーションが低下し、業務のパフォーマンスにも悪影響を及ぼすことも。
その結果、社員は仕事に対する楽しさややりがいを失い、より良い職場環境を求めて離職するケースが増加します。
人手不足が慢性化している
人手不足が慢性化すると、社員一人あたりの負担が増加し、長時間労働や過重労働を招きやすくなります。その結果、社員の疲労が蓄積し、心身の健康リスクが高まるでしょう。
また、人手不足が続く状況では業務が滞りがちになり、将来的な事業成長に対する不安が広がります。
これらの健康リスクや将来への不安は、社員のモチベーション低下や離職意向の増加を引き起こし、最終的には企業の業績悪化につながる懸念があります。
社内コミュニケーションが少ない
社内コミュニケーションが不足すると、社員のストレスが増大し、業務効率の低下や意欲の減退を招きます。
情報共有や意見交換が不十分な環境では、誤解や無駄な作業が生じやすくなります。上司の曖昧な指示や同僚との連携不足が不安や不満を引き起こすでしょう。
これらが積み重なることで社員のストレスが増大し、意欲減退やチームワークの低下につながります。
さらに、新しいアイデアが生まれにくい職場では、社員は仕事の意義や会社への貢献を実感しづらくなります。
その結果、会社への帰属意識や仕事への意欲が低下し、離職リスクが高まるでしょう。
人事評価の基準が不明確である
人事評価の基準が不明確な企業では、評価の不公平感から社員のモチベーションが低下する恐れがあります。
評価基準が曖昧な企業の場合、評価者によって判断がばらついたり、恣意的な評価が行われたりするリスクがあることも否めません。
「評価に値する行動基準が明文化されていない」「評価プロセスが不透明」といった状態では、社員は自分の努力が正当に評価されているのか不安を抱くことになるでしょう。
結果的に仕事への意欲を失い、より正当な評価をしてくれる企業への転職の意向が強まり、離職のリスクが高まるでしょう。
以下の記事では、人事評価の改善方法を詳しく解説しています。本記事と合わせてご覧になってみてください。
尊敬できる上司や先輩がいない
尊敬できる上司や先輩がいない職場では、社員がリーダーシップ不足や指導不足を感じ、成長機会を得られないと考える恐れがあります。
具体的には以下のような問題が発生しやすくなります。
- 上司が明確なビジョンを示さないことで、組織の方向性が見えづらくなる
- 適切な指導やフィードバックが不足することで、社員は自身のキャリアパスに迷いやすくなる
- ロールモデルとなる先輩がいないため、仕事へのモチベーションが低下する
- 経験豊富な先輩からの学びの機会が少なく、効果的なスキル習得が難しくなる
- 自分の成長を実感できる機会が減少し、キャリア形成への不安が高まる
このような状況は、社員の会社へのエンゲージメント低下や離職意向の増加を招くリスクが高まります。
人が辞めていく会社はどうなる?5つの末路
人が辞めていく会社はどのような末路を迎えるのでしょうか。ここでは、人が辞めていく5つの末路を説明します。
このような末路を避けるためにも、どのようなリスクがあるかを理解しておくことが重要です。
人手不足で業務が回らなくなる
退職者が増え続けると、人手不足により業務が滞り始めます。新規採用による人材補充が間に合わない場合、生産性が著しい低下を招くことになります。その結果、顧客対応の質の低下や納期遅延を引き起こし、企業の信用力を大きく損なわせる事態になりかねません。
さらに、社内のモチベーションの低下や技術・ノウハウの継承断絶により、組織の競争力が急速に失われていきます。
最終的には、企業は市場での競争優位性を喪失し、売上や利益の減少、株価下落、さらには事業継続の危機に直面する可能性が高まるでしょう。
残った社員への負担が一層重くなる
人手不足が深刻化すると、残った社員への負担はさらに増大します。退職者の穴を埋めるため、残った社員が長時間労働や休日出勤を余儀なくされ、精神的・肉体的に疲弊していく状況が続くかもしれません。
激務による極度の疲労とストレスは、不眠などの体調不良を引き起こし、仕事への意欲を完全に失わせてしまいます。心身ともに限界に達した社員は退職という選択を考えざるを得なくなり、新たな退職者が生まれる悪循環につながりかねません。
一人ひとりの負担が増大し続ければ、社員は心身の健康を著しく損ない、最悪の場合、過労死などの深刻な事態にまで発展するリスクが高まるでしょう。
職場の雰囲気が悪化し活気が失われる
職場から笑顔や活気が失われ、空気が重くなると、社員はストレスや不満を抱えやすくなり、仕事へのモチベーションや集中力が低下します。
楽しく仕事ができない状況が続けば、社員のエンゲージメントが下がり、結果として離職率の上昇を招く恐れがあります。
さらに、職場環境の悪化は優秀な人材の流出につながり、企業の競争力が低下する可能性も否めません。職場の活気を取り戻すことは、組織の成長にとって重要な課題といえるでしょう。
退職が続き、離職の連鎖が止まらなくなる
一部の退職が連鎖反応を引き起こし、次々と退職者が続出する事態に発展する恐れがあります。この現象は、退職者の業務が残された社員に押し付けられ、負担が増えることで発生しやすくなります。
とくに優秀な人材が退職した場合、その影響は大きく、引き継ぎを担う社員の負担が一層重くなるでしょう。こうした状況が続けば、職場への不満が高まり、さらなる退職を誘発する悪循環が生じかねません。
職場環境の改善が進まなければ、離職の連鎖を断ち切れず、企業全体に深刻な影響が及ぶことになるでしょう。
新規採用が難航し、組織の存続が危ぶまれる
度重なる退職によって企業の評判が悪化すると、新規採用が困難になる恐れがあります。魅力的な人材を確保できなければ、企業の成長や安定は期待できないでしょう。
慢性的な人手不足が続けば、業務の質の低下やクレームの増加を引き起こし、顧客や取引先の信頼を損なう恐れがあります。
最終的に会社の業績が悪化し、経営や組織の存続が危うくなる事態に発展するかもしれません。
退職予備軍の見分け方
人が辞めていく連鎖を断ち切るには、退職予備軍を見分けることが重要です。ここでは、退職予備軍の見分け方を4つ紹介します。
それぞれの退職予備軍の見分け方を理解し、適切なアプローチを取れるようにしてください。
長時間労働の常習化
「残業時間が多い」「休暇取得率が低い」といった特徴は、社員に過度な負担がかかっているサインであり、退職予備軍の兆候として注視すべき状態です。
こうした環境では、社員が仕事に追われる時間が増え、心身の疲労が蓄積しやすくなります。プライベートの時間が十分に確保できない状況は、ワークライフバランスを崩し、不満やストレスを生み出します。
その結果、仕事への意欲が低下し、職場への不信感や将来への不安を抱える社員が増えることも少なくありません。
さらに、こうした問題は個人にとどまらず、周囲の社員にも影響を及ぼし、職場全体の雰囲気が悪化する要因にもなりかねません。
退職予備軍の兆候として、こうした長時間労働の常習化の状態に早期に気付くことが、職場環境の把握において非常に重要です。
給与や待遇改善要望の増加・減少
社員が現状に不満を抱き始めると、評価面談での給与や残業に関する相談や、フレックス勤務やテレワークなどの働き方に関する要望が目立つようになります。
厚生労働省の「令和5年雇用動向調査」によれば、離職理由として「給料等収入が少なかった」を挙げた人は、男性で8.2%、女性で7.1%でした。
また、「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」と回答した人は、男性で8.1%、女性で11.1%に上っています。これらのデータから、給与や待遇に関する不満が離職の主な要因であることは明らかです。
一方で、社員が要望をほとんど口にしなくなった場合も注意が必要です。過去に積極的に改善提案を行っていた社員が沈黙するのは、不満が限界に達し、諦めムードに陥っている可能性があります。
待遇への要望の増加や減少といった兆候を見逃さず、社員の声に注意を払うことが、社員の離職動向の把握に欠かせません。
参考:令和5年 雇用動向調査結果の概要 転職入職者の状況 | 厚生労働省
社内コミュニケーションに消極的
社員が社内コミュニケーションに消極的になることは、会社への信頼や期待が薄れているサインかもしれません。このような状態では、職場へのエンゲージメントが低下し、モチベーションが失われやすくなります。
たとえば、会議での建設的な発言が減り、以前は積極的だった改善提案が表面的になることがあります。また、親しい同僚との会話や飲み会への参加を避けるなど、社内交流を控える行動が増えるのも特徴です。
さらに、テレワーク中にコミュニケーションが減少する社員は、仕事以外の活動に時間を割いている可能性が高く、仕事への集中力や意欲が低下することがあります。
こうした兆候が現れる社員は、周囲との関係が希薄になったり、業務パフォーマンスが低下したりすることで、職場全体の雰囲気や生産性に悪影響を及ぼすことがあります。
社内コミュニケーションに消極的な社員を早期に見極め、その背景を把握することが、組織の健全性を保つうえで重要です。
以下の記事では、社内コミュニケーションを活性化させるアイデアや事例を紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
キャリア成長の機会不足
キャリア成長の機会不足とは、従業員がスキルを向上させたり、責任のある役割に昇進したりするための環境や支援が十分に提供されていない状況のことです。
キャリア成長の実感が湧きづらい仕事をしている社員は、退職予備軍になりやすいといえます。
たとえば、若手社員が長期間同じ業務を担当し、変化が少ない環境に置かれている場合、キャリア成長の機会不足を感じていることが多いです。
また、能力に対して簡単すぎる仕事や裁量権が小さい業務を任されている社員も、成長を実感できず、転職を検討するきっかけになるでしょう。
とくに異動希望の提出は、現状の仕事に対する不満やキャリア成長の停滞実感を表すサインであり、見逃してはいけない重要な兆候です。社員の行動を注意深く観察し、早期に対応することが組織の安定につながります。
退職予備軍を辞めさせない4つの対策【現場・人事部門別】
退職予備軍の離職を防ぐには、問題の原因を正確に把握し、的確な対策を講じることが重要です。ここでは、その4つの対策を「現場」と「人事」の役割別に解説します。
それぞれの対策を講じることで、社員のモチベーションを向上させ、定着率改善につなげることが可能です。
業務効率化・人員配置の見直し|長時間労働への対策
役割 | 対策 | 具体的な取り組み |
---|---|---|
現場 | ・業務効率化 ・人員配置の見直し | ・ワークフローやAIを導入するなど、業務の効率化を図る ・各部署の人員配置を見直し、適切な人員配置を行う |
人事部門 | ・ワークスタイルの見直し ・社員の意見を取り入れた柔軟な勤務体制の導入 | ・社員の意見を取り入れた、柔軟な勤務体制を導入する ・テレワークやフレックスタイム制など、多様な働き方を導入する |
長時間労働を軽減するための施策として、業務効率化や新たな勤務体制の導入、各部署の人員配置の見直しなどが挙げられます。
現場はワークフローやAIを導入するだけでなく、業務フローの見直しや標準化なども併せて行うことで長時間労働を抑制し、さらなる効率化を図ることができます。
人事部門では、社員の意見を反映した柔軟な勤務体制を導入するだけでなく、社員のスキルアップやキャリアパスを支援することが重要です。これにより、長時間労働の削減と社員満足度の向上を両立させることが可能になります。
IT化や機械の導入によって、業務効率化と女性活躍を促進した事例として、空調機器メーカーの株式会社三功工業所の取り組みを紹介します。
同社は、適切な人材の採用難と社員の高齢化という課題に直面していました。この問題を解決するため、見積り・受注から工場指示、配送まで一貫したIT化を推進。製造軽作業や事務作業の効率化が進んだことにより、女性社員の増加や出産後の職場復帰率の向上といった成果が得られました。
また、工場では多工程を少人数でも対応できるようにするため、汎用機械ではなく、独自の機械を導入して効率化を図りました。
その結果、適切な人材の採用にもつながり、社員の年齢バランスが改善されるなど、組織全体の活性化が実現しています。
評価基準・給与体系の明確化|待遇改善要望への対策
役割 | 対策 | 具体的な取り組み |
---|---|---|
現場 | フィードバックの充実 | ・定期的な面談や評価の場で、社員の成果や課題を具体的に伝え、評価基準の明確性や透明性を示す ・日々の業務において良い点や改善点などをタイムリーにフィードバックし、社員の成長を促す |
人事部門 | ・評価基準の明確化 ・給与体系の見直し | ・公正で透明性のある評価制度を構築し、社員が納得できる評価を行う ・市場水準に合った給与体系に見直し、社員のモチベーションを高める ・インセンティブ制度などを導入し、社員の成果を適切に評価する |
待遇改善要望に応えるには、評価基準や給与体系の見直し・明確化、フィードバックの充実などが有効です。
現場では、社員への具体的なフィードバックを通じて、評価基準の明確性や透明性を示すことが重要です。良い点や課題を伝えることは、社員の成長を促し、モチベーションアップにもつながります。
人事部門は、公正で透明性のある評価制度や市場水準に合った給与体系を整備し、社員のモチベーションや定着率の向上を図ることが大切です。
F訪問看護ステーションでは、人事評価のばらつきを緩和するため、管理職への評価制度の浸透と面談訓練を実施しました。
具体的には、面談時の最初のコメントを全社で統一するなど、最低限の基準を設け、公平性を意識した運用マニュアルを作成。また、フィードバックのときは管理職のコメント通知を必須とするルールを導入し、評価が賞与だけでなく個人の成長プロセスを伝える機会となる仕組みを整備しています。
これにより、評価のばらつきが緩和されるとともに、公平感と納得感が向上する成果を上げています。
社内イベントの実施や感謝を伝え合う文化の醸成|社内交流不足への対策
役割 | 対策 | 具体的な取り組み |
---|---|---|
現場 | ・定期的な面談の実施ややり方の見直し ・チームビルディングの実施 | ・1on1ミーティングやチームミーティングで、業務以外の話題も共有する ・共通目標達成に向けた協力、達成感を味わえるゲームやワークショップを実施する |
人事部門 | ・社内イベントの実施 ・社内部活動の活性化 ・感謝を伝え合う文化の醸成 | ・共通目標達成に向けた協力、達成感を味わえるゲームやワークショップを実施する ・社内部活動への補助金制度、社内報等での活動紹介、オンライン部活動も検討する ・感謝を伝えやすい雰囲気づくり、ポイント付与などの仕組み導入を検討する |
社内交流を促進させるには、定期面談やチームミーティング、社内イベントや部活動の活性化によるコミュニケーションの促進が有効です。
現場では、定期的な面談やチームビルディングを通して、業務以外の話題も共有するとよいでしょう。これにより社員間の相互理解が深まり、チームの一体感が高まります。
人事部門は、社員旅行や懇親会などの交流イベントの実施、部活動支援による社員同士のつながり促進などの取り組みが効果的です。感謝を伝えやすい環境づくりやポイント制度導入などによる感謝の文化づくりも重要になります。
これらの活動を通してコミュニケーションを促進し、信頼関係を構築することで、チームワークの向上や組織活性化を目指しましょう。
社内の離職率を4分の1にした事例として、株式会社リーディングマークの取り組みを紹介します。
同社は、高い離職率に悩んでいましたが、社員同士がポイントを送り合い、それをインセンティブとして受け取れるサービス「Unipos」を導入。この仕組みを活用し、感謝を伝え合う文化を醸成した結果、離職率を4分の1に改善しました。
また、「ベストスピリッツ大賞」など企業の価値観を共有する仕組みを整備。この結果、エンゲージメントサーベイの偏差値が世の中の上位2%にランクインする組織状態に生まれ変わり、働きやすい職場環境を実現しています。
異動、新規プロジェクトへの登用|成長機会不足への対策
役割 | 対策 | 具体的な取り組み |
---|---|---|
現場 | ・キャリアプランのすり合わせ ・新規プロジェクトへの登用 | ・定期面談で従業員の目標や希望を把握し、能力に応じたキャリアパスを提示するほか、研修や教育機会を提供し、目標達成を支援する ・新規プロジェクトに従業員を参画させ、スキルを活かした役割を任せることで成長を促す |
人事部門 | ・人員計画の見直し ・ジョブローテーション | ・将来の人員需要を予測し、成長分野や新規事業に適切な人材を配置する計画的な管理を ・定期的なジョブローテーションで異なる部署や職種を経験させ、新たなスキル習得と多様な経験を通じて人材育成を促す |
成長機会を増加させる施策には、人員計画の見直しによる異動促進や、新規プロジェクトへの登用などがあります。
現場は、日頃から社員とのコミュニケーションを密に取り、キャリアプランのすり合わせを行うことが重要です。上司は部下の希望や能力を把握し、それを踏まえた育成計画を立案しましょう。新規プロジェクトへの登用など、成長の機会を積極的に提供するのもよいかもしれません。
人事部門は、人員計画の見直しやジョブローテーションなど、組織全体として成長機会を創出する仕組みづくりが求められます。こうした取り組みにより、社員一人ひとりが自らの成長を実感できる環境を目指しましょう。
社員の希望を反映した人員配置を実現している事例として、株式会社カシワバラ・コーポレーションの取り組みを紹介します。
同社は女性の早期退職対策として、全社員が社長親展で年に1回提出できる「自己申告書制度」を導入。この仕組みにより、社員が社長に直接意見を伝えられる環境を整え、異動希望や要望を反映した適材適所の人事配置を可能にしました。
さらに、職域変更や勤務地変更といった柔軟な働き方を推進した結果、女性の離職率が大幅に減少。出産後の職場復帰率はほぼ100%を達成し、女性が働きやすい環境を実現しています。
優秀人材の“びっくり退職”を防ぐ4つの方法
“びっくり退職”とは、社員が退職の前兆なしに突然辞めてしまうことです。優秀な人材の突然の退職を防ぐには、従業員の現状を把握し、適切な支援を行うことが重要です。
ここでは、AIツールの活用など、びっくり退職の防止に効果的な4つの方法を紹介します。
1:定期的な面談の実施
定期的な面談は、従業員の成長を支援し、企業への帰属意識を高めるうえで欠かせません。とくに、1on1ミーティングは上司と部下の信頼関係を築き、従業員満足度の向上に直結します。
株式会社リーディングマークが実施した『大企業の若手社員の離職対策に関する実態調査』によると、人事担当者が効果を実感した離職対策が「定期的な1on1面談の実施」(36.8%)であることがわかりました。
この場では、具体的な評価やフィードバックを行い、従業員が自分の努力や成果を実感できるようにします。また、キャリアパスについて話し合うことで、将来への不安を軽減し、モチベーション向上に貢献します。
従業員が「この会社で働き続けたい」と感じるきっかけを作る重要な機会といえるでしょう。
面談を通じて一人ひとりの状況を把握し、個別に対応することで、離職防止とエンゲージメント向上という大きな成果が期待できます。
以下の記事では、効果があった離職対策について詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。
2:キャリア形成の支援
企業が社員のキャリア形成を支援することは、社員のモチベーションを高め、会社へのコミットメントを強化する重要な取り組みです。
社員は、自分の成長やキャリアアップを重視する傾向があります。企業がスキルアップ研修やキャリア相談を提供することで、自分の努力が報われていると感じるようになり、仕事への意欲を引き上げることが可能です。
また、会社がキャリア形成に真剣に向き合っていると実感すれば、社員は「ここで働き続けたい」と思うきっかけを得るでしょう。
たとえば、スキル向上を目的とした研修制度や、キャリア相談の場を設けることで、社員は将来への安心感を得られます。このような支援により、社員は主体的に仕事に取り組むようになります。
サーベイツールを活用し、社員の声を反映したキャリア形成支援の事例として、トラスコ中山株式会社の取り組みを紹介します。
同社は、社員一人ひとりのキャリア形成を支援するため、さまざまな取り組みを行っています。従来のジョブローテーション制度に加え、社員の希望部署への異動を可能にする制度や、キャリア面談などを導入しました。
これらの取り組みを通して、社員が主体的にキャリアを考え、チャレンジできる環境を整えています。さらに、エンゲージメントサーベイの結果を人材育成に活用することで、社員のモチベーション向上やスキルアップを図っています。
社員の声を反映した人事施策によって、社員のエンゲージメント向上と、働きがいのある職場づくりを目指していると言えるでしょう。
キャリア形成支援は、社員の成長を後押しするだけでなく、企業への帰属意識を高め、離職防止にも大きな効果を発揮します。
また、企業の競争力向上にもつながるため、長期的な視点で投資を行う価値がある施策です。
3:退職予備軍を可視化するパルスサーベイの実施
パルスサーベイを実施することで、退職予備軍を早期に発見し、離職防止につなげることができます。
パルスサーベイとは、短い周期で社員のエンゲージメントや満足度を測定する調査のことです。従来の年1回の従業員満足度調査と異なり、リアルタイムで社員の状況を把握できる点が特徴です。
詳細については以下の記事をご覧になってください。
この仕組みの活用によって、不安や不満を抱える社員を早い段階で特定し、必要な対策を講じることが可能です。
サーベイ結果で「仕事にやりがいを感じない」や「上司とのコミュニケーションが不足している」などの回答が目立つ場合、退職リスクの高い社員が多いと判断できるでしょう。
こうした兆候をいち早く察知し、面談や配置転換などの具体策を迅速に行うことによって、離職を未然に防ぐ体制を整えることができます。
パルスサーベイツールの導入により離職の改善が進んだ事例として、株式会社笑美面の取り組みを紹介します。
同社は、東京証券取引所グロース市場への上場を目指していましたが、離職率の高さが課題でした。この問題に対応するため、パルスサーベイツールを搭載した「ミキワメ ウェルビーイングサーベイ」を導入し、従業員フォロー体制の強化を図りました。
導入以前は、ストレスチェック制度で用いていたツールが匿名回答形式であったため、個別対応が難しい状況でした。
しかし、「ミキワメ ウェルビーイングサーベイ」では実名回答が可能になり、退職の兆候が見られる社員を特定。経営陣が直接フォローに関与できる体制を整えています。
その結果、離職率は5分の3にまで減少。さらに、社員の率直な意見を収集する手段としても活用し、経営陣と社員間のコミュニケーション改善にも寄与しました。今後は、「ミキワメ」を採用時のミスマッチ防止やIR活動に活用する方針です。
パルスサーベイの資料が必要な方は、こちらからダウンロードできます。
4:AIを搭載した離職防止ツールの導入
適性検査とパルスサーベイを組み合わせたAI搭載の離職防止ツールは、AIが社員一人ひとりのメンタル状態や性格を考慮した適切なアドバイスを提供し、離職防止に効果を発揮します。
この仕組みは、適性検査を通じて社員の性格傾向を把握し、パルスサーベイでメンタル状態を定期的に収集。AIがこれらのデータを分析し、離職の傾向や時期を予測し、退職の兆しを察知することができます。
さらに、エンゲージメントの高い従業員の要因分析によって、組織全体の活性化や改善にもつながるでしょう。
企業はAIによるデータ分析を活用することで、離職の兆候を早期に発見して、迅速な対策を講じる体制を整えられるようになります。
他方、従来のストレスチェック制度は匿名回答のため、個別フォローが難しいという課題がありました。
「ミキワメ ウェルビーイングサーベイ」のような実名回答が可能なパルスサーベイを導入すれば、離職の兆候がある社員を特定し、経営陣が中心となってフォロー体制を整えることができます。
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まとめ:離職防止ツールを導入し、効果的にびっくり退職を防止しよう
優秀な人材の退職は、企業にとって大きな損失です。退職の兆候を見逃さないためには、社員の行動や変化に目を配ることが重要です。
長時間労働の常態化や待遇改善要望の変化、社内コミュニケーションへの消極的な態度、キャリア成長の機会不足などは、退職予備軍を示すサインといえるでしょう。
また、退職予備軍を辞めさせないためには、現場と人事部門が一体となり、「長時間労働の抑制」「待遇改善」「社内コミュニケーションの活性化」「成長機会の提供」の4つの対策を講じる必要があります。
さらに、優秀な人材の突然の退職を防ぐ4つの施策について、もう一度確認しておきましょう。
パルスサーベイの実施やAI搭載の離職防止ツールを活用することで、社員のエンゲージメントや満足度を把握し、潜在的な問題を早期に発見することができます。
とくに、AI搭載の離職防止ツール『ミキワメ ウェルビーイング』は、適性検査とパルスサーベイを組み合わせることで、社員のメンタル状態や性格を考慮した適切なアドバイスが可能。
離職の傾向や時期を予測するだけでなく、エンゲージメントの高い従業員の特徴を分析することで、組織全体の活性化につながるでしょう。
また、『ミキワメ ウェルビーイング』は実名回答を採用しているため、個別フォローにより、離職の兆候がある社員に迅速な対応が可能です。
社員の声に耳を傾け、働きやすい環境づくりを積極的に進めることで、離職率を抑え、優秀な人材が定着する組織を構築できるでしょう。
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