- チームビルディングの基礎知識と取り組むべき理由
- チームビルディングの実践アイデアと具体例
- AIツールを使ったチームビルディングの方法
チームビルディングとは、メンバー各自が強みを最大限に発揮し、効果的に機能するチームをつくり上げる組織開発の一種です。
単にメンバーをまとめるだけでなく、相互の役割や責任を明確にしながら組織力を高めていくことが求められます。
組織ビジョンの浸透や適切な人材配置にも有効なチームビルディングですが、具体的な手法がわからない方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、チームビルディングのプロセスや実践アイデアを具体例付きで解説します。
最後にはAIツールを使ったチームビルディングの方法も解説するので、ぜひ参考にして高い成果を上げるチームづくりに取り組んでください。

チームビルディングとは?意味を正しく理解しよう

チームビルディングとは、目標達成に向けて効果的に機能するチームを形成する組織開発の一種です。各メンバーの個性やスキルを最大限に活かせる環境を整備し、高いパフォーマンスを発揮するための基盤をつくります。
変化が激しいビジネス環境において、単に優秀な人材を集めるだけでは競争力を維持できません。組織が生き残っていくためには、個々のポテンシャルを活用しながら協力体制を整えることが大切です。
チームビルディングは、単純にメンバーを集めてチームを形成することではありません。簡単に言うとメンバー同士が目標達成に向けて協力し、チーム自体を成長させるプロセスだと理解しておきましょう。
チームビルディングを正しく理解するための3つの基礎知識

ここでは、チームビルディングを正しく理解するための基礎知識を3つお伝えします。
チームビルディングに取り組むときは、まずチームの概念を把握しておくことが大切です。
また、チームワークやチームマネジメントとの違いも理解しておけば、目的を見失わずにチームビルディングを進められるでしょう。
チームとグループの違い
チームとグループは、似ているようで本質的に異なる概念です。チームは共通の目標に向かって協力し合う集団を指すのに対し、グループは単なる人の集合体を指します。
たとえば、会社の部署全体は「グループ」として存在しますが、その中で特定のプロジェクトを進めるメンバーは「チーム」となります。
チームでは役割分担が明確化され、各メンバーが特定の責任を担うことで目標達成を目指すのが特徴です。
なお、チームでは「一体感」や「協力」が求められますが、グループでは必ずしもそれを必要としません。
チームとグループの違いを理解しておけば、どのような場面でチームビルディングが必要かを判断しやすくなるでしょう。
チームビルディングとチームワークの違い
チームビルディングとチームワークは「共通の目標達成に向けて連携する」という点では同じ意味を持ちますが、以下のような違いがあります。
チームビルディング | 各メンバーの能力やスキルを最大限に活かし、効果的なチームを構築する |
チームワーク | 目標達成に向けて協力しながら、作業分担や共同作業を行う |
チームビルディングでは、チームが効率的に機能するための「基盤づくり」に重点を置いているのが特徴です。チームの協力体制を整えることに重きを置いており、メンバー間の信頼や相互理解の促進が大きな目的となります。
一方チームワークは、チームが実際に機能する過程に焦点を当てているのがポイントです。チームメンバーが共同で作業を行い、個々の役割を果たしながら成果を出すことに重きを置いています。
チームビルディングとチームワークは補完的な関係にあるため、どちらかが欠けてもチームの成功は望めません。チームワークを円滑にするにも、チームビルディングを継続的に実施することが重要です。
チームビルディングとチームマネジメントの違い
チームビルディングとチームマネジメントは、どちらも「チームの共通目標を達成するための取り組み」ですが、取り組みの主体者が異なります。
チームマネジメント | 管理者・リーダー・マネージャーが主体となった指示命令(上からの働きかけ) |
チームビルディング | 各メンバーを含めたチーム全体で行う取り組み |
チームマネジメントは、リーダーやマネージャーが中心となり、チーム全体の運営を行う取り組みです。具体的には、進捗管理やメンバーのパフォーマンス評価などを行い、チームの成果を最大化することを目的としています。
一方チームビルディングは、経営層から若手まであらゆる社員が該当する取り組みです。チームメンバー全員が積極的に参加し、チームの結束力や協力体制を高めます。
チームマネジメントにはリーダーシップが求められますが、チームビルディングではリーダーだけでなくメンバー全員の主体的な関与が求められます。
チームビルディングの目的

チームビルディングの目的は、単にチームの結束力を高めることだけではありません。目標達成に向けて、チーム全体のパフォーマンスを最大化するための重要なプロセスです。
目的 | 概要 |
---|---|
組織ビジョンの浸透 | 企業のミッションや目標を全員が共有する |
適材適所な人材配置 | 各メンバーの強みを生かして効率的な配置を行う |
チームメンバーの関係強化 | メンバー間の信頼関係やコミュニケーションを深める |
新入社員やリーダーの育成 | 若手社員や新任リーダーにスキルや責任感を持たせる教育プログラムを実施 |
ここからはチームビルディングを実施する目的を詳しく見ていきましょう。
1. 組織ビジョンの浸透
チームビルディングの目的のひとつに、組織ビジョンの浸透があります。チームビルディングは、新規チームが発足した段階で進めるのが一般的です。
発足時点はメンバー間で組織ビジョンを共有できておらず、同じ方向に向かって仕事を進められないケースもあるでしょう。
チームビルディングでは、組織ビジョンを言語化し、全員が共通の目標を理解する機会をつくります。初期段階で組織ビジョンを共有しておけば、チーム内の一体感を高めることが可能です。
組織ビジョンの浸透が企業の成長に寄与した事例を紹介します。
2010年に経営破綻したJALグループでは、企業の再建時に「JALフィロソフィー」を重視しました。JALフィロソフィーとは全社員が持つべき考え方や価値観を示した共通ビジョンで、40もの項目が挙げられています。
JALではJALフィロソフィーが書かれた手帳を全社員に配布し、ビジョンに馴染みを持った段階で「JALフィロソフィ教育」を開始。年4回、3ヵ月ごとに2時間ずつの教育を実施し、組織ビジョンの浸透に努めました。
プログラムの内容も社員が考えることで、一人ひとりが本質的な組織ビジョンを理解できるようになったといいます。
JALフィロソフィーの浸透によって経営破綻前に比べて社員の意識が変化し、採算意識の高まりが見られました。現在もJALフィロソフィーの教育は行われており、部署を超えたコミュニケーションの活性化にも寄与しています。
JALフィロソフィ教育のようにチームビルディングを実施すれば、メンバーは組織ビジョンに基づいた共通の目標を持つようになります。
価値観の確認や実践的なアクティビティを行うことで、メンバー一人ひとりが日々の業務の中でビジョンの実現を意識するようになるでしょう。
2. 適材適所な人材配置
チームの力を最大限に引き出すには、各メンバーの特性や強みを理解し、適した役割を割り当てることが大切です。
適材適所な人材配置は個々のパフォーマンス向上に直結し、メンバー全員が得意分野で力を発揮できるようになります。
メンバーの強みや弱み、スキルセットを深く理解するにはチームビルディングが有効です。1on1やワークショップを通じて各メンバーの能力や価値観を把握しておけば、最適な配属が可能になります。
また適切な人材配置は、社員の主体性向上にも寄与します。本来の力を最大限に発揮できるようになるため、個々の生産性はもちろん、チーム全体の生産性アップも期待できるでしょう。
各メンバーの特性や強みを把握するときは、適性検査を活用するのもひとつの方法です。客観的に分析できるので、より精度の高い人材配置が可能になります。
チームビルディングの一環としてメンバーの理解を深めたい場合は、ミキワメ 適性検査を導入してみてください。
3. チームメンバーの関係強化
チームビルディングの実施は、チームメンバーの関係強化につながります。アクティビティやワークショップを通じて日頃から信頼関係を築いておけば、業務でもスムーズに連携できるでしょう。
またチーム内でのコミュニケーションを促進すると、メンバー同士の議論も活発になります。自分の意見を発言しやすくなるので、新たなアイデアやイノベーションの創出が期待できるでしょう。
実際に「働きがいのある最高の組織とチームビルディング」では、チームメンバー同士の情報共有がイノベーションの創造につながると明記されています。
チーム学習がチームの有効性に結びつくことは多くの研究で示されている(van Woerkom とCroon,2009)。チーム学習はチームが有効に運営され、その目的を達成するのに重要であり、組織の競争優位性、品質の改善、イノベーション、顧客満足を高める重要な戦略であるとされている(Huang,2013)。
チームの成員がそれぞれの仕事に必要な知識やノウハウなどの情報を各成員が交換し、それぞれが知識やスキルを高めるように相互に学習をすることで、チームは新たなイノベーションを創造することができるようになる。
参考(PDF):李超・狩俣正雄 | 働きがいのある最高の組織とチームビルディング
チームビルディングはメンバー同士の関係強化に寄与し、結果として組織全体の競争力向上や長期的な成長に役立つと言えます。
4. 新入社員やリーダーの育成
新入社員や若手社員の育成も、チームビルディングの重要な目的のひとつです。新入社員が職場環境に慣れるためには、チームメンバーとの関係構築や職務理解が欠かせません。
チームビルディングによってコミュニケーションを促進すれば、新入社員も信頼関係を築きやすく、早期に組織の一員として活躍できるようになります。課題や悩みを素直に打ち明けられる職場環境をつくることで、早期離職のリスクも防げるでしょう。
またチームビルディングは、中堅社員がリーダーシップを磨くためのトレーニングとしても有効です。チームビルディングでは、メンバー同士の対話を促したり議論を先導したりする場面が多いので、リーダーシップスキルを実践的に鍛えられます。
チームビルディングの5つのプロセス

チームビルディングは、組織の成長を5段階に分けて考える「タックマンモデル」に倣って進めるとよいでしょう。
タックマンモデルとは、アメリカの心理学者ブルース・W・タックマンが提唱した、チームの成長プロセスを示す理論です。
本モデルではチームの発展段階を「形成期」「混乱期」「統一期」「機能期」「散会期」の5つに分類しており、各段階で生じやすい課題や取るべき対策が示されています。
タックマンモデルを活用すれば、チームの状況を客観的に分析し、適切なタイミングでフォローを行えるようになります。
ここでは、タックマンモデルにおける5つのステージを解説するとともに、各段階で重視すべきポイントを紹介します。
1. 形成期:コミュニケーションの活性化
形成期は、チームが結成されたばかりの初期段階です。メンバー同士がスキルや性格を把握できておらず、不安や緊張感が伴います。
そのため形成期では、メンバー間の信頼関係を構築する土台づくりが重要です。リーダーが積極的にコミュニケーションを促し、それぞれの考えや価値観を共有しましょう。
《具体的なコミュニケーションの例》
- アイスブレイク
- 自己紹介セッション など
また、形成期ではチームの方向性を明確にすることも大切です。初期段階で共通の目標を設定しておけば、各メンバーの役割理解もスムーズに進みます。
社内のコミュニケーションを活性化させる方法を詳しく知りたい方は、ぜひ以下の記事を参考にしてください。

2. 混乱期:相互理解の促進
メンバーの意見や価値観の違いから対立が生じやすい混乱期は、チームの成熟には欠かせないプロセスです。対話を通じて相互理解を深めることでチーム全体の連携が円滑になります。
混乱期では、単純にコミュニケーションを促進するのではなく、メンバー同士で深い合意形成を促すことが大切です。対話(ダイアローグ)の機会を設け、メンバーが自分の考えや意見を率直に話せる環境を整備しましょう。
またリーダーには、意見を平等に取り扱うことも求められます。個々の意見をしっかりと聞き、メンバー同士で認識のズレが生じないよう調整役を担うのがポイントです。
3. 統一期:役割の明確化
混乱期を乗り越え、チームとしての方向性が明確になる段階です。統一期では相手の価値観や考えを柔軟に受け入れられるようになり、意見の対立も少なくなります。
このプロセスでは、メンバー間の役割分担を具体的に決めることが重要です。各メンバーの強みやスキルを活かせる役割に配置することで、チーム全体の生産性向上につながります。
チームの一貫性を高めるために、目標やルールもあらためて整理しておきましょう。
メンバー間における意識の統一が見られる時期ですが、リーダーは常にチームの方向性を確認しておく必要があります。客観的にチームの状況を把握し、目標達成に向けて正しい方向に進んでいない場合は軌道修正を行いましょう。
4. 機能期:ハイパフォーマンスの持続
機能期は、チームが効率的かつ効果的に機能し始める段階です。メンバーそれぞれが自分の役割を理解し、積極的に行動するようになります。
チームとしての協力がスムーズになり、相乗効果によってハイパフォーマンスを発揮することが可能です。
機能期におけるリーダーは、あくまでもサポート役に徹することが求められます。リーダーが過干渉になると、メンバーの主体性を損なう恐れがあるため、適切なバランスを保つのがポイントです。
細かな指示を控えることでメンバーの問題解決力を養えるので、次世代のリーダー育成にも役立つでしょう。
5. 散会期:フィードバック
プロジェクトや目標の達成後に、チームが解散する段階です。散会期ではプロジェクト全体を振り返り、フィードバックを行うことが求められます。達成した成果を評価するのはもちろん、改善点を分析したうえで次のプロジェクトに活かしましょう。
また散会期では、メンバー同士の努力を称賛することも重要です。メンバーの長所や頑張りをきちんと評価すればメンバーのモチベーションが向上し、次のプロジェクトにも気分よく進めるでしょう。
チームビルディングを効果的に進める3つのポイント

チームビルディングを効果的に進めるには、以下3つのポイントを意識しましょう。
これらのポイントを押さえていなければ、期待するような効果が得られない可能性もあります。詳しく解説するので、最後までチェックしてみてください。
チームの目標を設定する
チームビルディングの効果を最大化するためには、目標設定が欠かせません。メンバー間で共通の目標を設定することで、向かうべき方向性が明確になります。
設定する目標は、具体的かつ達成可能な内容にするのがポイントです。全員が目的達成に向けて意識を合わせられるよう、SMARTの法則に倣って目標を立てるとよいでしょう。
〈SMARTの法則に倣った目標の例〉
3か月以内に新しい健康管理アプリを開発し、リリース後6か月以内に10,000人のダウンロードを達成する。
〈SMARTの法則に基づいたポイント〉
- Specific(具体的な): 健康管理アプリを開発し、ダウンロード数を目標に設定している
- Measurable(測定可能な): 「6か月以内に10,000人のダウンロード」という明確な数値目標がある
- Achievable(達成可能な): 開発チームのリソースや過去の実績を考慮し、現実的な範囲で設定している
- Relevant(関連性のある): ヘルスケア市場拡大に対応し、企業の成長戦略に適合している
- Time-bound(期限が明確な): 「3か月以内に開発」「リリース後6か月以内に目標達成」という具体的なタイムラインが設定されている
目標設定が不明確だとチームでの一体感が生まれにくく、モチベーションが低下する恐れもあるので注意が必要です。
チームメンバーの役割分担を明確にする
メンバー各自の役割がはっきりしていると責任感が生まれ、自律的に行動できるようになります。役割分担を行うときは、メンバーのスキルや特性に基づいて適切に割り当てることが重要です。
適切な人材配置をすれば、各自が得意分野で力を発揮しやすくなり、効率よくパフォーマンスを発揮できるでしょう。一人ひとりに役割を与えることで、自主性や自発性を促すきっかけにもなります。
多様性を尊重する
多様性の尊重は、革新性や創造性を向上させる重要なポイントです。異なる背景やスキルセットを持つメンバーが集まることで、課題に対する新たな視点やアイデアが生まれやすくなります。
米国コンサルティング会社・マッキンゼー・アンド・カンパニーの調査によると、多様性に富む企業とそうでない企業では以下のような差が生まれると報告されています。
- 人種や民族の多様性が上位25%以内に入る企業は、それぞれの国内業界平均を上回る財務収益を上げる可能性が35%高くなる
- ジェンダーの多様性において上位25%以内に入る企業は、それぞれの国内業界平均を上回る財務収益を上げる可能性が15%高くなる
- 性別、民族、人種の両方で下位25%以内に入る企業は、平均的な企業よりも財務収益を達成する可能性が統計的に低くなる
この調査から、企業の多様性と財務収益には相関関係があることがわかります。
組織の競争力を維持するためには、相手の価値観を否定せず尊重する姿勢が大切です。メンバー同士の相互理解を促進し、お互いに高め合える環境をつくることが求められます。
多様性を尊重した組織づくりや企業事例については、以下の記事を参考にしてみてください。

【具体例あり】チームビルディング実践アイデア4選

チームビルディングの実践アイデアには、大きく以下の4つがあります。
ゲームやワークショップなどが代表的ですが、1on1や適性検査も有効なチームビルディングのひとつです。それぞれ得られる効果が異なるので、チームの特性や段階に応じて使い分けるとよいでしょう。
ここからは具体例を交えながら、チームビルディングの実践方法を解説します。
1. ゲーム・アクティビティ:メンバーの個性や役割の把握
ゲームやアクティビティは、チームメンバーの個性や役割を把握するときにおすすめです。とくに課題解決型のゲームでは、リーダーシップを発揮する人や、アイデアを次々と出す創造的な人などがわかり、それぞれの強みや役割が明確になります。
単純に楽しめるのはもちろん、自然にコミュニケーションが生まれるので、チームの形成期で有効な手段です。チームビルディングの一環として取り入れたいゲーム・アクティビティの具体例を2つ紹介します。
ヘリウムリング
ヘリウムリングは、フラフープを使ったゲームアクティビティです。協調性の向上に役立つゲームで、タックマンモデルの5段階を短時間で体験できると言われています。ヘリウムリングのやり方は以下のとおりです。
〈ヘリウムリングのやり方〉
- 5〜10人程度のチームをつくり、全員がフラフープを囲む形で立つ
- フラフープを全員の人差し指に乗せる
- スタートの合図で、フラフープを地面まで降ろす
- ※指がフラフープから離れることは禁止
- 1人でも指からフラフープが離れた場合はやり直す
一見簡単に思えるゲームですが、全員の動きが揃わないとリングが上に浮いてしまうため、きちんと戦略を話し合う必要があります。
ヘリウムリングは「フラフープを床に下ろす」という共通目標を持って進めるため、チームの一体感を生み出せるのが特徴です。積極的な声掛けが必要なので、自然とコミュニケーションも活性化されるでしょう。
NASAゲーム
NASAゲームは、合意形成のプロセスを学ぶコンセンサスゲームのひとつです。参加者は「宇宙船が不時着した状況」を想定し、手元に残った15のアイテムの中から必要な物資を順位付けします。
最初は個人で順位を決め、その後グループで話し合いながらチームの意見をまとめていきます。最後に、NASAの模範解答とチームの解答を比較し、誤差を確認しましょう。
NASAゲームでは、参加者全員が自分の意見を述べ、最終的に合意を形成するプロセスが求められます。自分の意見を伝えるのはもちろん、意見を押し付けないようにしたり他人の意見を尊重したりといったコミュニケーションが大切です。
メンバー同士の価値観や判断基準を知れるので、相互理解を深めるきっかけになるでしょう。
2. 研修・ワークショップ:主体性・自発性の向上
研修やワークショップは、チームメンバーの主体性や自発性を高めたいときに効果的です。とくに個々の役割や目標を認識させるプログラムは、全体の生産性向上やイノベーション創出にもつながります。
研修・ワークショップには密なコミュニケーションが必要なので、意見の対立が起こりやすい混乱期に実施するのがおすすめです。少人数のチームで実施すれば、チームワークの強化につながるでしょう。
チェックイン
チェックインは、ミーティングや研修の冒頭で実施される簡単なワークショップです。
ファシリテーターが質問を投げかけ、メンバーは質問に対して率直な気持ちを答えます。質問の回答は、ポジティブな感情でもネガティブな感情でも問題ありません。
チェックインの質問例 | 解答例 |
---|---|
いまはどのような心境ですか? | 「初めてで緊張しています」「楽しみです」 |
このワークショップに期待することは? | 「新しい知見が得られることです」「課題解決に向けたアイデアや戦略をチームで共有できることです」 |
このような対話はメンバー間の距離を縮め、感情や価値観を共有するのに役立ちます。ネガティブな気持ちも受け入れることで心理的安全性を高め、メンバーの主体的な参加を促せます。
WIND&ANCHOR
WIND&ANCHORは、チームビルディングで活用できるアイスブレイクのひとつです。WINDは個人を前進させる推進力、ANCHORは進行を妨げる要因を表し、自分のモチベーションを上げるまたは下げる環境や行動を共有します。
4~5人なら15分程度で終了するため、比較的取り入れやすいのが魅力です。
〈WIND&ANCHORのやり方〉
- 複数人でグループをつくる
- 「WIND(モチベーションが上がる環境や行動)」を1~2分ほどで付箋に書き出す
※1つの事柄につき付箋を1枚使う - 1人ずつ発表し、チームで共有する
- 「ANCHOR(モチベーションが下がる環境や行動)」を1~2分ほどで付箋に書き出す
※1つの事柄につき付箋を1枚使う - 1人ずつ発表し、チームで共有する
効果的に機能するチームを実現するには、メンバーのモチベーションを上げることが大切です。WIND&ANCHORによってメンバーのモチベーションの源泉を把握できれば、各人の能力を最大限に発揮できる環境を整備しやすくなるでしょう。
3. 定期的な1on1:チームメンバー間の信頼性の構築
チームビルディングでは、チームリーダーとメンバーが1対1で話せる機会を設けることも大切です。具体的には以下のような内容を共有することで、信頼関係を構築できます。
- 業務で不安に感じていること
- チームの目標における不明点
- 人間関係
- 日々の体調
1on1は、メンバーが抱える課題の早期発見に役立ちます。適切なタイミングでフィードバックやサポートを行えるので、メンバーもリーダーに対して信頼感を抱きやすくなるでしょう。
また1on1は、各メンバーのパフォーマンスを評価する場としても活用可能です。努力や成果を正当に評価し、必要に応じてアドバイスを与えることで、メンバーの自己効力感を高められます。
効果的な1on1ミーティングの方法を知りたい方は、ぜひ以下の記事も参考にしてみてください。

4. 適性検査:メンバー自身への自己理解の促進
適性検査は、メンバーが自身の性格やスキルを客観的に理解し、チーム内での役割を見つけるためのツールです。適性検査を通じて自分の得意分野や苦手な部分に気づき、チームにどのように貢献できるかを考えるようになります。
また適性検査は、リーダーがメンバー一人ひとりに対してフィードバックを行うときにも役立ちます。個々の強みや課題を明確に把握できるので、適切な人材配置や役割分担を行いやすくなるでしょう。
「自社に合った適性検査を見つけたい」という企業は、ぜひ以下の記事も参考にしてみてください。

ミキワメ 適性検査の導入事例

メンバー自身の自己理解を促進するなら『ミキワメ 適性検査』を導入してみてはいかがでしょうか。ミキワメ 適性検査は、自社で活躍する人材を見極められる適性診断サービスです。
採用のミスマッチ防止を目的とした導入が多いですが、社員の自己理解促進にも活用できます。受験した従業員本人に結果のフィードバックを提示できるため、自分の強みや向いている環境を客観的に理解してもらえます。
『ミキワメ 適性検査』を導入した事例として、株式会社メタップスの取り組みを紹介します。同社では、従来言語化しにくかった「メタップスらしさ」の数値化を目的に『ミキワメ 適性検査』を導入しました。
当時の採用活動では、社内カルチャーに合致するチャレンジャー精神を持った人材を探していましたが、面談を通じて気概を見極めることに課題を感じていたといいます。
候補者のカルチャーや人柄などの数値化に迷っていたところ『ミキワメ 適性検査』の導入を決定。即時に結果が反映され、そのまま分析できる点が導入の決め手となりました。
導入後は全社員に受験してもらい、メタップスらしさを持つ社員の人柄や個性の数値化に成功。 候補者には面接前に受験してもらうことで、言語化した指標を手元に置いて面接できるようになりました。
今後は、候補者はもちろん社内での活用を検討しており、長期的には社員の人材配置にも応用していく方針です。
このように適性検査には、採用のミスマッチ防止以外にも多様な活用方法があります。「適性検査を効果的に使いたい」「自社社員の分析方法がわからない」という方は、ぜひ以下の資料をダウンロードしてみてください。
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メンバーの個性や性格を理解し、効果的なチームビルディングを進めよう
チームビルディングとは、メンバー各自の強みやスキルを最大限に引き出し、効果的に機能するチームをつくることです。
チームビルディングを成功させるには、一人ひとりの個性や性格を理解したうえで信頼関係を築き上げる必要があります。
チームビルディングには、ゲームやワークショップなど多様な手法がありますが、メンバー自身の自己理解促進には適性検査の導入が有効です。
『ミキワメ 適性検査』を導入すれば、メンバーが自分の性格や強みを客観視できるほか、リーダー層も結果をもとに適切な人材配置を行えます。
変化が激しい時代で企業が競争力を維持するには、チームビルディングを通じて組織力を強化することが重要です。『ミキワメ 適性検査』を活用し、相乗効果を生み出せるチームづくりに取り組みましょう。

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