内定辞退は、採用活動を行ううえで最後のハードルとなります。
会社説明会や面接を繰り返し、手間や時間をかけて内定を出したにもかかわらず辞退されれば、これまでかけてきた採用コストがすべて無駄になってしまいます。
内定辞退を防止するためには、候補者に「この企業が好きだ」「この企業で働きたい」と思ってもらえるような対策をしなければなりません。
今回の記事では、内定辞退の原因や、選考から入社までの各フェーズにおける内定辞退防止の対策について解説します。
内定辞退にお悩みの人事担当者の方は、ぜひ最後までお読みください。
内定辞退の原因
内定辞退の対策を実施するためには、まず原因を探る必要があります。
候補者は、必ず一度は自社に興味を持ったはずです。それにもかかわらず辞退を選ぶのは、自社に何らかの不満を抱いたためでしょう。
候補者が内定を辞退する主な原因は以下のとおりです。
- 他企業の内定が決まった
- ミスマッチを感じた
- 企業に悪いイメージを抱いた
- 選考フローが長い
- 家族に反対された
それぞれの原因について解説します。
他企業の内定が決まった
他企業の内定が決まったタイミングで、内定を辞退されてしまう場合があります。
候補者は就職できないリスクを回避するため、複数の企業にエントリーしているケースも少なくありません。他企業の優先度が高い場合、自社が内定を出しても辞退されてしまいます。
採用活動を通して自社の魅力をアピールし、優先度を高める必要があるでしょう。
ミスマッチを感じた
内定までの段階で、自社にミスマッチを感じて辞退するケースです。
候補者は会社説明会や面接を通じて、自社に対する理解を深めていきます。
「会社の社風になじめない」「待遇が希望どおりではない」と感じると、内定を出しても辞退されてしまうおそれがあります。
企業に悪いイメージを抱いた
自社に興味があって応募したものの、そのあとで悪いイメージを持ってしまうケースです。
たとえば「面接で不快な質問をされた」「送付された書類に不備があった」など、採用活動中に嫌な思いをして、内定を辞退することがあります。
選考フローが長い
たとえ自社の優先度が高くても、選考フローが長いと先に内定を出したほかの企業を選んでしまう場合があります。
「内定をもらえないかもしれない」「採用に積極的ではないのではないか」と不安を感じて、他社に決めてしまうのです。
家族に反対された
近年増加しつつあるのが、親からの反対による内定辞退です。
少子化の影響もあり、子どもの進学先や就職先に親が干渉するケースが増えています。
候補者本人は自社に興味があるものの、親が「家から遠い」「会社の名前を知らない」といった理由で反対してしまうのです。
選考時における内定辞退の対策3選
前章で挙げた内定辞退の理由を踏まえて、選考時、内定通知時、入社までにおける内定辞退の対策を解説します。
まず、選考時に重要なことは、自社に対する理解度やエンゲージメント(愛着)を高めることです。とくに重要な対策は以下の3点です。
- 面接時の対応に注意する
- 候補者の理解度と志望度を高める工夫をする
- レスポンスを早くする
詳しく見ていきましょう。
面接時の対応に注意する
面接担当者は、候補者にとって企業の顔ともいえる存在です。
名前を呼び間違えられた、横柄な態度を取られたなど、面接時に不快な思いをすると、そのまま企業への悪いイメージにつながってしまいます。
面接担当者は一方的に候補者を選考するのではなく、自社もまた候補者に選考されていることを認識し、謙虚な気持ちで面接に臨まなくてはなりません。
担当者の面接スキルを上げるためには、面接トレーニングや担当者同士のフィードバックを行うことが重要です。
候補者の緊張を和らげるための会話術や、質問への適切な対応力を磨くことで、候補者に好感を持ってもらえるでしょう。
候補者の理解度と志望度を高める工夫をする
選考段階における面接や会社説明会は、自社への理解度と志望度を高める絶好のチャンスです。自社の労働環境や福利厚生、キャリアプランなど、魅力的な点を積極的にアピールしましょう。
また、パンフレットや社内報を渡したり、ランチに誘ったりして、面接や会社説明会以外でも候補者との接触を増やすことで、自社への愛着をより高められます。
レスポンスを早くする
ビジネスを行ううえで、迅速なレスポンスは信頼関係の構築に不可欠な要素です。
採用活動においても例外ではありません。面接結果や内定をスピーディに連絡することで、候補者からの信頼を得られます。とくに優秀な候補者に対しては、速やかに内定の通知を行いましょう。
LINEやショートメッセージといった、候補者と迅速に連絡を取り合えるツールを活用することも重要です。気軽に質問や連絡ができるため、候補者とのコミュニケーションが活発化し、エンゲージメント向上にもつながります。
内定通知時における内定辞退の対策3選
内定通知時は、自社で働くことに明確かつポジティブなイメージを持ってもらうことが重要です。
また、近年増えている家族からの反対(親ブロック)への対処も忘れてはなりません。とくに重要な対策は以下の3点です。
- 印象に残る内定通知を出す
- 内定後承諾があるまで放置しない
- 家族にもコンタクトを取る
詳しく解説していきます。
印象に残る内定通知を出す
内定通知は印象に残る形にしましょう。
メールや書面のみで定型文を送るのはいかにも機械的で、候補者は「こんなものか」と期待はずれに感じてしまうかもしれません。
以下のような方法を用いると、候補者に強い印象を与えられます。就職後のイメージが明確となり、働く意欲を向上させる効果も期待できるでしょう。
- 内定通知を手渡しする
- 複数の社員からお祝いの言葉を伝える
- 内定を出した理由や期待している点を具体的に伝える
- 入社までのスケジュールや手続きを説明する
内定後承諾があるまで放置しない
内定承諾の返事が遅れている候補者を放置していると、辞退されてしまうおそれがあります。
承諾の遅い候補者は「本当にこの会社でよいのか」「自分はこの会社でやっていけるのか」と不安を感じているのかもしれません。また、同時に他企業からの内定を受け、どちらを選ぶか悩んでいるケースもあります。
候補者と積極的に連絡を取り、不安や疑問を払しょくできるようフォローすると、自社で働くことにポジティブなイメージを持ってもらえるでしょう。
家族にもコンタクトを取る
内定通知時には家族にもコンタクトを取りましょう。家族、とくに親の反対による辞退を防ぐためです。
家族が就職に反対するのは、企業に不信感を持っているためです。とくに、中小企業やベンチャー企業では、安定性や待遇に不安があるため、家族の反対が多くなる傾向があります。
内定通知時には、家族にも以下のようなアプローチをすると、信頼感を持ってもらえるでしょう。
- 電話や手書きの手紙などであいさつをする
- 自社の会社説明や製品を送る
- 企業訪問会や内定者懇親会に招待する
内定受諾から入社までにおける内定辞退の対策3選
候補者から内定受諾を得ても安心はできません。入社までに考えが変わり、辞退されてしまうケースもあります。
とくに、新卒社員は内定から入社までにタイムラグがあるため、その間にもしっかりとコミュニケーションを取り、自社へのエンゲージメントを高めることが重要です。具体的な対策としては、以下が挙げられます。
- イベントを開催する
- 社員に会わせる
- 体験入社やアルバイトを実施する
詳しく見ていきましょう。
イベントを開催する
内定辞退を防ぐためには、イベントを開催して候補者と積極的に接触することが重要です。
ただし、接触回数をむやみに増やすと、候補者を疲れさせ、かえって悪いイメージにつながります。イベントの開催は月1回程度にとどめ、候補者にとって有意義な内容となるよう精査しましょう。
とくに有効なイベントは以下のとおりです。
イベント | 内容 |
---|---|
社員座談会 | 既存社員から業務内容や職場環境について説明する |
社内見学会 | オフィス環境や社員の働く様子を見せる |
内定者懇親会 | 同時期に内定が決まった仲間と交流する機会を設け、横のつながりを形成する |
内定者面談 | 個別に面談を行い、面接時の評価をフィードバックしたり、業務内容やキャリアプランについて説明したりする |
社員に会わせる
既存社員から具体的な業務内容やキャリアプランについて話を聞く機会を増やすことも、内定辞退の防止につながります。気軽に現場のリアルな話を聞いたり、相談できたりする相手がいると、企業への理解度や働く意欲が大きく向上するでしょう。
内定者に会わせる社員としては、話がしやすい若手社員や優秀なモデル社員、内定者との共通点が多く親近感をもちやすい社員がおすすめです。
体験入社やアルバイトを実施する
体験入社やアルバイトを通じて、一時的に働いてもらうことも有効な内定辞退対策です。
新卒社員は「自分に社会人が務まるのか」という不安を抱いています。実務を通じて入社後のイメージが明確になるだけではなく、社会人としての自信がつき、仕事に対して前向きな気持ちを持てるでしょう。
ただし、社内の雰囲気が悪かったり、雑用ばかりを押し付けたりすると、かえって悪印象を与えてしまいます。内定者を受け入れる余裕があるか、どのような業務を割り振るかを検討し、現場と十分に調整することが重要です。
フェーズごとに内定辞退対策をして優秀な人材を確保しよう
内定辞退は採用活動に費やした費用や時間が無駄になることから、採用コストを大きく押し上げてしまう要因となります。
内定辞退を防止するためには、選考段階から内定通知、入社にいたるまでの各フェーズにおいて、候補者が自社への理解と愛着を得られるような対策を練らなくてはなりません。
自社の魅力や業務内容をわかりやすく伝えるとともに、候補者の疑問点や不安点をしっかりと受け止め、適切なフォローをする必要があるでしょう。
個々の候補者に対してきめ細やかなフォローをするためには、一人ひとりの性格特性を理解することが重要です。
ミキワメ 適性検査では、候補者の個性や能力の分析、言語化が可能です。自社の社風との適合度がわかるだけではなく、採用活動中にどのようなフォローをすればよいかも読み取れるでしょう。
また、入社前から候補者と気の合いそうな既存社員と会わせ、生の声を聞くことも、内定辞退防止のために有効な対策です。
ミキワメ ウェルビーイングサーベイで社員の個性を把握し、候補者との適切なマッチングを行いましょう。
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