本記事ではSaaSについて、概要や種類、導入するメリット・デメリットなどを詳細に解説していきます。SaaSについて知りたい方、IT関連の知識を増やしたい方はぜひ一読してみてください。
SaaSとは
SaaS(サース)とは「Software as a Service」の略称で、ネット上のクラウドを介して提供されるソフトウェアのことです。
従来のソフトウェアは、パソコンに直接ソフトをインストールして使用する形式でしたが、
ここ数年でクラウドサービスが発展、ネットを介してソフトウェアサービスを提供できるようになりました。
代表的なSaaSは
- Microsoft Office
- Gmai
- Dropbox
- Slack
- Zoom
- 弥生会計
などです。
昨今、新型コロナウイルス感染拡大防止で、リモートワークやコスト削減が進んでおり、SaaS業界は成長しています。
参考:新型コロナ: SaaS企業、自治体・中小企業のDXで成長: 日本経済新聞
メタップスの調査によると、コロナ禍で新たにSaaSを導入した企業は66%にまで上りました。うち「コミュニケーション関連SaaS」が53%、「経理関連SaaS」が40.9%、「電子契約関連SaaS」が39.4%となりました。なおこの調査は2021年10月時点でテレワークを実施し、且つSaaSを利用している中小企業100名を対象にしたものです。
身近なサービスにもSaaSが導入されており、すでにSaaSをフル活用している企業も多いかもしれません。
なおSaaSの対義語はオンプレミス(自社でシステムを構築・管理すること)です。
SaaSの種類
SaaSの種類は、下記の2つに大別されます。
Horizontal SaaS(ホリゾンタールサース)
Horizontal SaaS(ホリゾンタールサース)とは、特定の職種向けに提供されているSaaSです。例えば、人事向けの勤怠管理ツール、マーケター向けのMAツールなどです。業界・業種を問わずに利用できる点が特徴です。
Vertical SaaS(バーティカルサース)
Vertical SaaS(バーティカルサース)とは、業界・業種に特化したSaaSです。日本ではHorizontal SaaSが主流であるため、Vertical SaaSはまだまだ少ないですが、建設業界向けのSpacely、医療業界向けのCLINICSなどがあります。
SaaSを理解する上で必要な用語
SaaSの仕組みを理解する際は、いくつかIT用語を知っておく必要があります。
アプリケーション
特定の作業を実施するために作られたソフトウェアのことです。日本では「アプリ」という略称が広く使われています。スマホに限定されず、PCで使うソフトウェアも「アプリ」にあたります。
OS
OSとは「Operating System(オペレーティングシステム)」の略称で、システム全体を管理するソフトウェアです。パソコンを動かす上で必須となる「Windows」や「macOS」は、代表的なOSです。
ミドルウェア
ミドルウェアは、アプリケーションとOSをつなぐソフトウェアです。OSでは実施できない処理をミドルウェアでカバーしています。Webサーバーやアプリケーションサーバー、データベースなどが代表例です。
ネットワーク
IT業界で使用される「ネットワーク」は、「コンピューターネットワーク」を指します。コンピューターネットワークとは、PCと通信回線を組み合わせた通信網のことです。
SaaSは、コンピューターネットワークを介したソフトウェアサービスです。コンピューターネットワークにアクセスできない)デバイスでは、一部機能を除いてSaaSを利用することはできません。
ハードウェア
ハードウェアとは、パソコンの本体、キーボード、ディスプレイ、ハードディスクなど、PCのシステム全体を構成する物理的な機器の総称です。ハードウェアはソフトウェアによって制御されており、両者がうまく噛み合うことで初めてシステムとして機能します。
データセンター
データーセンターとは、大量のデータを保管するための専用施設です。サーバー機器やIT機器が収容された施設です。サーバーを正常に稼働させるためには、電源や湿度管理、また十分な収容スペースが必要です。
しかしデーターセンターを利用すれば、サーバー管理をすべて任せられます。自社でサーバーを保有する必要もなくなり、コスト削減に繋げることも可能です。
SaaSを利用するメリット
SaaSを利用するメリットとして、下記の点が挙げられます。
簡単に導入できる
オンプレミスの場合、各PCにソフトをインストールしないと使えません。
しかしSaaSは、インターネットに繋ぐだけでアプリケーションを利用することが可能です。インストール作業も不要ですので、PCのストレージ容量を気にする必要もありません。
株式会社ビービーットの遠藤氏は、「役に立たなかったらが我慢して使い続ける必要がなく、契約期間が終われば解約できるため、ソフトウェアを導入しやすくなります」と述べています。
参考:SaaSを導入すべき5つの理由|遠藤 直紀(ビービット 代表)
ネット環境さえあればいつでも使える
ネット環境さえあれば時間・場所を選ばずに利用できます。そのため、リモートワークなど自社オフィス以外で作業する時も安心です。
また、スマホに対応しているSaaSも多いです。移動中やちょっとした空き時間の作業にも便利です。
自社でのシステム管理の負担を減らせる
SaaSはシステム管理の負担を軽減できます。オンプレミスの場合、システム不具合は自社で確認しなければなりません。
SaaSは基本的にサービス提供者がシステム管理をするので、IT人材不足の会社でも安心です。
オンライン上でアップデートできる
オンプレミスはアップデートの度にソフトを買い換えなければなりませんが、SaaSはサービス提供側がアップデートを実施するので、利用者側が特段何かしらの作業する必要はありません。アップデート後も、そのまますぐにサービスを利用できます。
契約形態によってコストを抑えられる
コストを抑えられる点もメリットです。多くのサービスは月額サブスクリプション形式です。月あたり数千円で利用できるものが多く、年額で支払えば月額換算を安くできることがあります。例えば会計ソフトfreeeでは、法人ベーシックプランを月払いにすると4,780円/月ですが、年払いなら3,980 円 / 月まで抑えられます。
参考:法人様向け料金プラン | クラウド会計ソフト freee会計
SaaSを利用するデメリット
SaaSを利用するデメリットとして、下記の点が挙げられます。
急に利用できなくなる可能性がある
倒産や事業方針変更など、提供側の都合でサービス終了する可能性があります。特定のSaaSに依存すると、代替サービスへの移行がうまくできないケースも生じてくるでしょう。
システムのカスタマイズができない
利用者側がシステムをカスタマイズすることは基本的にできません。自社都合の変更はできないため、不便に感じる可能性があります。
セキュリティ上のリスクが生じる
アカウント名やパスワードなどアクセス情報が流出すると、不正操作される可能性が高くなります。
実際に、支那そば専門店「直久」では、利用していたSaaSが不正アクセスを受けました。これにより顧客のクレジットカード情報が最大133件流出した可能性があります。
また、ファイル共有サーバー「FileZen」への不正アクセスで、内閣府の情報が漏洩した事件もありました。
参考:【セキュリティ ニュース】SaaSへの不正アクセスでクレカ情報流出か – 支那そば通販サイト
被害防止のためにも、総務省の「クラウドサービス提供における情報セキュリティ対策ガイドライン(第2版)」などを活用し、ネットセキュリティの社員教育を徹底しましょう。
参考:総務省「「クラウドサービス提供における情報セキュリティ対策ガイドライン(第2版)」
仕様が急に変更される可能性がある
SaaSではアップデートに伴う仕様変更が多々あります。大幅な変更は、業務に支障ができるかもしれません。頻繁に仕様変更・アップデートが実施されるかどうか、導入前にチェックすることをおすすめします。
機能がわかりづらい
株式会社LayerXの調査によると、SaaS導入後の課題として「機能のわかりづらさ」を挙げている企業が多くありました。導入ツールを活用しきれず、期待効果が発揮されていない状況であることがわかります。
参考:業務効率化の期待が大きいSaaS導入の課題は「機能のわかりづらさ」-Manegyニュース | Manegy[マネジー]
SaaSと混同しやすい用語
SaaSと混同しやすい用語として、下記の用語が挙げられます。
ASP
ASPとは「Application Service Provider」の略称で、アプリケーショサービス提供事業者(またはそのビジネスモデル)を指します。ASPはシングルテナント(1顧客に1つの環境を構築する)に対し、SaaSはマルチテナント(複数顧客を1つのシステム環境で共同管理する)です。
PaaS
PaaS(パース)とは「Platform as a Service」の略称で、「クラウド上で利用できるプラットフォームを提供する」サービスです。PaaSを利用することで、アプリ開発者は開発環境を一から構築する必要がなくなり、開発をスムーズに始められます。
代表的なPaaSは、Google App Engine、Microsoft Azureです。
IaaS
IaaS(イアース)とは「Infrastructure as a Service」の略称で、「インターネット経由で仮想サーバー、ネットワークなどのインフラを提供するサービス」を指します。IaaSを利用すれば、サーバー構築しなくても、仮想サーバーを用いたITインフラの構築が可能です。
代表的なIaaSは、Amazon Elastic Compute Cloud、Google Compute Engineです。
まとめ
SaaSは、オンライン上のクラウドを介して提供されるソフトウェアです。パッケージ型のソフトウェア(オンプレミス)と異なり、ネット環境さえあれば、手軽に利用できます。
SaaSを活用することで、システム管理の費用や人件費の削減に繋げられます。一方でセキュリティ等の課題もあります。
メリット・デメリットを良く理解し、是非SaaSの導入を検討してみてください。
参考:SaaSの8つのメリットと7つのデメリット|PaaSやIaaSとの違いとは | テックマガジン from FEnetインフラ
参考:SaaSのメリットデメリットとは?ユーザーとベンダーの視点で紹介 – Digital Shift Times(デジタル シフト タイムズ)
参考:【SaaSとは】初心者にもわかりやすく解説 | WafCharm(ワフチャーム)
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