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企業文化を醸成する方法とは?8段階プロセスや社員への浸透方法も解説

企業文化を醸成しているビジネスパーソン
この記事でわかること
  • 企業文化の醸成や変革の定石プロセス
  • 採用段階から企業文化を醸成するステップ
  • 企業文化を醸成・浸透させる具体的な方法や企業事例

企業文化の醸成は、組織の成長や競争力を高めるうえで重要な取り組みです。

しかし単に理念を掲げるだけでは、社員に浸透せず形骸化してしまうことも少なくありません。では、どのようにして企業文化を根付かせ、組織全体に浸透させるのでしょうか?  

本記事では、企業文化の醸成に必要な8つの要素や、採用段階からのアプローチ、コッターの8段階プロセスを活用した組織変革の進め方について解説します。

実際に企業文化の定着に成功した企業の事例も紹介するので、自社の組織づくりの参考にしてください。

目次

企業文化とは?

企業文化は、企業の価値観や行動規範を象徴する重要な要素です。

ここでは、企業文化の基本醸成に必要な8つの要素をわかりやすく解説します。

企業文化にはさまざまな定義がありますが、一般的に企業独自の価値観や行動規範を指します。

まずは、企業文化の基本から見ていきましょう。

企業文化とは企業独自の価値観

企業文化とは、企業が持つ独自の価値観や行動規範のことです。この企業文化は、企業の戦略よりも重要であるとの考え方もあります。

経営学者ピーター・ドラッカーは、「文化は戦略を朝飯前に食べる(Culture eats strategy for breakfast.)」との格言を残しました。

これは、どれほど優れた戦略を持っていても、企業文化がその実行に大きな影響を及ぼすことを意味しています。

また、企業文化は、創業者や経営者の理念、創業の背景などによって形成され、企業ごとに異なります。

目に見えるものではないため軽視されやすいですが、経営や事業活動、対外的な企業イメージに大きな影響を与えるでしょう。

参考:企業文化(カルチャー)の重要性 2022/03/29 KAIKA | 一般社団法人 日本能率協会

企業文化の醸成に必要な8つの要素

企業文化には、MVV(Mission:果たすべき使命、Vision: ビジョン、Values:価値観)をはじめとした欠かせない要素があります。

主に、次の8つの要素で構成されていますので、概要を見ていきましょう。

要素概要
1. 果たすべき使命(Mission)企業が事業を通して果たすべき使命や役割。企業の存在意義を表し、従業員の行動や意思決定に影響を与える。
2. ビジョン(Vision)企業が将来的に実現したい姿、理想像。企業が進むべき方向を示し、組織の戦略にも影響を与える。
3. 価値観(Values)企業にとって重要なもの、重要でないものを表す評価基準や判断軸。社員が共通して持つべき価値観を示す。
4. 慣行(Practices)日々の業務において継続的に実施されている行動。ミッション、ビジョン、バリューを習慣化して実践し、従業員に浸透させる。
5. 人材(People)企業文化を体現する人。ミッションやビジョン、バリューに共感し体現できる人材が多いほど、企業文化は醸成・浸透しやすくなる。
6. ストーリー(Narrative)企業創設時のエピソードや創業者の想い、独自の伝統や歴史など。社員が自社のストーリーを共有することで、ビジョンやミッションへの理解を深める。
7. 場所(Place)本社や支社のロケーション、インテリアやオフィスレイアウトなど。企業の立地や特徴は働く環境そのものを指し、企業文化に影響を与える。
8. 外部からの影響(Environment)社会情勢や競合他社の動向、新技術の開発など、企業を取り巻く環境。企業文化の方向性を形作る要素となる。

企業文化の醸成は、一朝一夕で実現できるものではありません。組織としての価値観や行動様式を定着させ、社員一人ひとりが共感し、実践していくことが重要です。

そのためには、これらの8つの要素を意識的に整え、組織全体に浸透させる必要があります。

また、企業文化は一度確立すれば終わりではなく、時代の変化や組織の成長に応じてアップデートしていくことが求められます。

経営層がリーダーシップを発揮し、継続的な取り組みを行うことで、社員のエンゲージメント向上や組織の一体感の醸成にもつながるでしょう。

企業文化の醸成や変革が難しい3つの理由

企業文化の醸成について頭を抱える男性

企業文化は、組織の戦略を動かす原動力であり、その重要性は疑う余地もありません。

しかし、実際にはさまざまな壁があり、企業文化の醸成や変革は、一筋縄ではいかないのが現実でしょう。

ここでは、企業文化の醸成や変革が難しい理由を見ていきます。

企業文化と組織構造や制度の不一致

企業文化が根付かない原因の一つに、企業文化と組織構造や制度のミスマッチがあります。

たとえば、「迅速な対応」を行動指針として掲げても、組織の仕組みや業務プロセスがそれを妨げていれば、社員が具体的な行動に移すのは難しいでしょう。

また、社員の行動を評価する制度が企業文化と連動していなければ、企業文化はただのスローガンと化し、社員の行動を促す力を持ちません。企業文化を育むには、組織構造、業務プロセス、評価制度を洗い出し、それらを企業文化と整合させることが不可欠です。

組織全体で企業文化を共有し、連携して初めて、その力が発揮されます。

ここでは、「企業文化と組織構造や制度の不一致」から想定される企業文化の醸成失敗例を紹介します。

この例では、社員は行動をためらい、スピード感のある対応ができず、競争力を失ってしまうでしょう。

長年の習慣や価値観に対する変革への抵抗

企業文化は目に見えないからこそ、具体的な取り組みが難しく、また長年の習慣や価値観を変える必要があるため、社員の抵抗を生みやすい特徴があります。

企業文化とは、組織の歴史、人間関係、業界の慣習など、長い年月をかけて形成されたものです。社員にとっては、その考え方や行動が当たり前になっているでしょう。

そのため、企業文化を変えようとすると、これまでのやり方とのズレを感じ、変化に対する不安や抵抗感を抱いてしまうのです。

企業文化を真に変革するには、社員がその必要性を理解し、自らの意思で変化を受け入れられるようなコミュニケーションが不可欠だといえます。

ここでは、「長年の習慣や価値観に対する変革への抵抗」によって想定される企業文化の醸成失敗例を紹介します。

この例では、反発が強まり優秀な人材が流出し、組織の士気も低下する恐れもあるでしょう。

共感のない企業文化や行動規範

企業文化や行動規範は、経営層からの一方的なトップダウンで伝えられると、社員は「押し付けられた」と感じ、企業文化への関心を失ってしまうもの。

社員は、自分たちが関わっていない状態で決められたミッションやビジョン、バリューを、自分ごととして捉えることが難しいからです。

さらに、企業文化に共感できなければ、モチベーションの低下や組織への不信感につながる恐れもあります。

企業文化を醸成するためには、社員の意見を積極的に取り入れ、共感を得られる文化や行動規範をともに作り上げる姿勢が求められるでしょう。

ここでは、「共感のない企業文化や行動規範」から想定される企業文化の醸成失敗例を紹介します。

この例では、社員は企業文化を「押し付けられた」と感じ、共感を得られず、行動変容につながらない可能性が高いでしょう。

企業文化の醸成・変革で活用したい「コッターの8段階プロセス」

企業文化の醸成や変革を成功させるには、適切なプロセスが欠かせません。

そのなかでも「コッターの8段階変革モデル」は、組織変革のフレームワークとして広く活用されています。わかりやすいステップにより、実践的なアプローチを実現できるため、企業文化の醸成や変革におすすめです。

ここでは、コッターの理論に基づき、企業文化の醸成・変革に役立つ8つのステップを詳しく解説します。

項目概要
第1段階:危機意識を高める醸成・変革の必要性認識
第2段階:醸成・変革グループを形成する醸成・変革推進チームの編成
第3段階:醸成・変革へのビジョンを創造する醸成・変革の方向性提示
第4段階:ビジョンを伝えるビジョン共有と理解促進
第5段階:障害を取り除く醸成・変革を妨げる要因の解消
第6段階:短期的成果を実現する小さな成功の積み重ね
第7段階:さらなる醸成・変革を推進する醸成・変革の動きを加速
第8段階:企業文化の変化を定着させる醸成・変革の組織文化への定着

出典:中小企業変革の方法論に関する考察 | 国立研究開発法人科学技術振興機構

第1段階:危機意識を高める|醸成・変革の必要性認識

組織が直面する市場の変化や競争環境の激化を評価し、企業文化の醸成・変革が不可欠であることを認識するフェーズです。

技術革新や競合企業の動向、自社の強み・弱みを分析し、危機感を醸成することが求められます。また、変革の必要性を組織全体で共有し、関係者の支持を得ることが重要です。

この段階で、組織サーベイによる自社の企業文化の分析も欠かせません。

組織サーベイの詳細については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

組織サーベイ_メリット_活用手順
組織サーベイとは?導入するメリットと活用手順を5ステップで解説組織サーベイとは、社員の満足度やコンディションを把握するための調査です。組織と社員との意識差の把握や企業理念の浸透度合いを測定できます。本記事では導入するメリットや活用手順を解説しています。...

第2段階:醸成・変革グループを形成する|醸成・変革推進チームの編成

変革を推進するには、強力なリーダーシップと協力体制が不可欠です。

経営層や各部門のキーパーソンを中心に、横断的なチームを組織し、明確な役割を設定します。組織全体の連携を強化し、一貫性のある方針のもとで進めることが成功への鍵となるでしょう。

第3段階:醸成・変革へのビジョンを創造する|醸成・変革の方向性提示

変革のビジョンを明確にし、組織全体で共有する段階です。

目指すべき方向性をシンプルかつ具体的に言語化し、誰もが理解しやすい形で提示することが重要となります。また、戦略的な計画の策定と、実現可能な目標設定が求められます。

第4段階:ビジョンを伝える|ビジョン共有と理解促進

どれほど優れたビジョンを掲げても、組織内に浸透しなければ意味がありません。

従業員が共感し、行動に移せるように、繰り返し伝えることが大切です。ビジョンを業務プロセスや評価制度と結びつけることで、自然と企業文化が根付くでしょう。

第5段階:障害を取り除く|醸成・変革を妨げる要因の解消

変革を推進するうえで、既存の組織構造や制度が障害となる場合があります。

たとえば、硬直化した意思決定プロセスや、不透明な評価制度などです。要因の洗い出し、新しいアイデアの採用と醸成・変革を支援する報酬システムなど、適切な改善策によってスムーズな変革が可能になります。

第6段階:短期的成果を実現する|小さな成功の積み重ね

変革が組織に定着するには、成功体験を積み重ねることが不可欠です。

短期的な目標を設定し、小さな成功を生み出すことで、従業員の意欲を高めます。また、成果を可視化し、社内で共有することで、さらなる変革へのモチベーションを引き出せるでしょう。

第7段階:さらなる醸成・変革を推進する|醸成・変革の動きを加速

初期の成功を足がかりに、変革をさらに拡大するフェーズです。

成功事例を分析し、改善点を見直しながら、新たな取り組みを進めます。関係者を巻き込み、組織全体での変革推進が持続的な成長につながるでしょう。

第8段階:企業文化の変化を定着させる|醸成・変革の組織文化への定着

最後のステップは、企業文化として変革を定着させることです。

これを実現するには、新入社員研修や評価制度などに組み込み、日常業務の中で継続的に実践できる仕組みをつくることが重要となります。変革が組織のDNAとして根付けば、企業はさらに強い文化を持つ組織へと成長するでしょう。

このように、コッターの8段階プロセスを活用すれば、企業文化の醸成・変革を計画的かつ効果的に進めることが可能です。

採用段階から企業文化を醸成する3つのステップ

企業文化を醸成するステップのイメージ

企業文化は、社員の価値観や行動を形成し、組織の一体感や成長に大きな影響を与えます。そのため、企業文化の醸成は入社後だけでなく、採用段階から意識しましょう。

ここでは、採用段階から企業文化を醸成するステップを解説します。

1.企業文化の可視化・再定義

企業文化を根付かせるには、まず「自社の文化とは何か」を明確にすることが大切です。

  • 価値観・行動様式の言語化が不可欠
  • 既存社員の特性を分析し、企業文化の特徴を可視化
  • 組織サーベイや適性検査を活用し、社員の考え方を客観的に測定

こうした取り組みを通じて、企業理念の浸透度を把握できます。

創造性・協調性・成果主義といった要素を明確にし、行動理念やキャッチフレーズとして共有することで、文化の輪郭を描きやすくなるでしょう。

カルチャーフィットを高めるには、組織文化と人材の理念・行動指針を一致させることが大切です。

2.企業文化を基に採用基準を策定

明確化した組織文化を採用基準に反映することで、 スキルとカルチャーフィットの両方を満たす人材を採用できます。

  • 適性検査のデータを活用し、理想の応募者像を具体化
  • 採用基準が組織文化に偏りすぎないよう、スキルフィットとのバランス化
  • カルチャーフィットの観点を加えることで、採用後のミスマッチを防止

企業文化に合った価値観や行動指針を持つ人材の特定によって、 採用活動の効率化と質の向上を実現。理想の候補者像を明確にすることで、 より的確な人材選定が可能となります。

以下の記事では、性格適性検査データを活用して採用基準を定義する方法を詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

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3.企業文化を社内外へ周知

策定した採用基準と組織文化を社内外に発信し、より効果的な採用活動につなげます。

社外向け施策
  • 採用情報ページやカルチャーブックで 組織文化を明確に発信
  • 応募者が企業文化に合うかどうかを事前に判断できる環境を整備
  • 文化に共感する人材の応募を促し、入社後のミスマッチを軽減
社内向け施策
  • 研修やワークショップを通じて、社員に組織文化を浸透
  • 企業理念や価値観を共有し、一体感と従業員エンゲージメントを向上
  • 社員が自発的に企業文化を体現できる環境の整備

企業文化の醸成は、 採用段階から始まるべきものです。採用時点で文化を意識することで、組織の結束力を高め、持続的な成長を促進できるでしょう。

以下の記事では、従業員エンゲージメントを詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

従業員エンゲージメント向上で得られるメリット!企業の取り組み事例と合わせて解説
従業員エンゲージメントとは?向上による5つのメリットと事例を解説従業員エンゲージメントは、組織に対する社員の信頼度や貢献する意欲を表す意味を持ちます。向上することで組織活性化や離職防止につながります。本記事では高まるメリットや取り組み事例を詳しく解説。...

【具体例付】企業文化を醸成・浸透させる3つの方法

企業文化を醸成するためのプロセスのイメージ

企業文化を定着・浸透させるには、具体的な施策が欠かせません。ここでは、実際に成功している企業の事例をもとに、効果的な3つの方法を紹介します。

社員研修やワークショップ|トヨタ自動車の事例

企業文化を定着させるには、社員研修やワークショップの活用が有効です。

価値観や行動指針を学ぶ機会を設けることで、従業員の理解が深まり、業務に活かせるようになります。また、定期的な研修を実施し、企業文化を「自分ごと」として捉えさせることが重要です。

これにより組織の一体感が高まり、業務効率や目標達成への意識向上につながるでしょう。

ここでは、トヨタ自動車の「カイゼン」文化の定着に向けた取り組みを事例として紹介します。

【トヨタ自動車の事例】

TBP(Toyota Business Practice)を通じた課題解決力の向上

トヨタでは、「TBP(Toyota Business Practice)」の8ステップの問題解決手法を研修に導入しました。社員が日々の業務で課題を発見し、主体的に解決へと導く力を養うことを目的としています。

「3年基礎固め研修」によるカイゼンの実践

入社3年目の社員には、1年間をかけてTBPを実践する「3年基礎固め研修」 を実施。上司やアドバイザーの指導のもと、自ら課題を設定し、解決策を考えます。研修の最後には 職場発表会を開催し、成果を共有していました。

カイゼン文化の根付く仕組み

トヨタでは、「常によりよい方法を追求する」カイゼンの精神を社員一人ひとりに浸透させることを重視しています。研修受講者は、学んだ知識を業務で活かしながら、後輩へと継承しました。

研修の進化とデジタル活用

トヨタは時代に合わせて研修を常に改善しています。eラーニングの導入など、デジタルツールを活用した効率化も進めていました。プレセナのような外部パートナーと連携し、研修の質を高める取り組みも実施しています。

参考:トヨタ自動車株式会社 | お客様の声 | プレセナのビジネススキル研修サービス | 株式会社プレセナ・ストラテジック・パートナーズ

社員研修は、企業文化の浸透だけでなく、社員の成長や組織全体の活性化にも寄与します。

とくにトヨタ自動車のように、カイゼンを継続的に実践し、社員が主体的に学び続ける環境を整えることが重要です。

リーダー層による継続的な働きかけ|マイクロソフトの事例

リーダー層が率先して企業文化を実践し、継続的に働きかけることは不可欠です。リーダーが会議や業務の中で価値観を行動で示せば、従業員にも自然と浸透しやすくなります。

また、文化を共有する場を設け、従業員の意見を取り入れることも重要。リーダーが旗振り役を担うことで、企業文化が単なる理念ではなく、実際の行動として組織全体に根付くでしょう。

ここでは、マイクロソフトの事例を通じて、リーダーによる企業文化変革の手法を紹介します。

【マイクロソフトの事例】

グロースマインドセットの導入

サティア・ナデラCEOは、何でも知っている」から「何でも学ぶ」文化への転換を提唱し、グロースマインドセットを導入しています。リーダー自ら実践し、全社目標として共有しました。

企業文化の発表と透明性の確保

マイクロソフトの企業文化や目指す方向性を、社内だけでなく株主総会の場でも明確に発信しました。これにより、企業としての姿勢が社内外に共有され、目標との整合性が常に求められる環境が生まれたのです。

制度改革による文化の定着

企業文化の浸透を目的に、人事評価の見直しや、多様性と一体性に関する研修を実施し、さらに、インタビュー、報酬、昇進の仕組みにも変革を導入しました。

リーダーシップがもたらした成果

サティア・ナデラCEOのリーダーシップにより、マイクロソフトは企業文化を再定義し、新たな成長を実現しました。

参考:企業文化について学んだ 10 のこと – News Center Japan

リーダー層が企業文化の旗振り役となることで、組織全体の価値観や行動が変化します。

理念の発信だけでなく、実際の行動と制度に反映させることが、文化を根付かせる鍵となるでしょう。

評価基準の見直し|デジタルアスリートの事例

企業文化を定着させるには、評価基準の見直しが重要です。

従業員の行動が企業の価値観や行動指針に沿っているかを評価項目に加えれば、文化の実践が促進されるでしょう。

また、成果だけでなく、プロセスやチームへの貢献度を重視する評価制度を導入すれば、企業文化に合致した行動の定着が期待できます。企業文化を強化するには、評価基準がその理念を反映していることが不可欠です。

ここでは、デジタルアスリート株式会社の取り組みを事例に、評価基準の見直しが企業文化に与える影響を見ていきます。

【デジタルアスリート株式会社の事例】

適性検査の導入

デジタルアスリート株式会社は、これまでの「成長意欲がある人」などの抽象的な評価では、面接官ごとに判断が異なり、一貫性が課題でした。

『ミキワメ 適性検査』の導入によって、定量データと面接官の評価を組み合わせ、採用精度が向上。候補者の特性を客観的に分析し、ミッションへの共感や将来の適性を重視した選考を実現しています。

経営陣の評価と今後の展望

経営陣は、いまの組織だけでなく理想像から逆算した採用基準を設定できる点を評価。『ミキワメ 適性検査』の活用によって、中長期的な視点から最適な人材を見極める体制を整えています。

さらに、組織の成長に応じて採用基準を柔軟に更新し、今後は、適性検査を従業員の育成にも活用し、一人ひとりの強みを最大限に引き出す方針です。

事例:デジタルアスリート株式会社

この事例から、適性検査を活用し、定量データと定性的な評価を組み合わせることによって、企業文化に合った人材の採用が可能になることがわかります。

また、採用時の基準を見直すだけでは不十分です。組織の成長に合わせて評価制度をアップデートし続けることが、企業文化の浸透と発展には不可欠でしょう。

企業文化の醸成・変革で注意すべきポイント

企業文化の醸成で注意するべきポイントの例

企業文化は、組織の成長を支える重要な要素です。しかし、その形成や変革の過程で、注意すべき点がいくつかあります。

過度な特定の文化の強調や、社員の意見を無視した一方的な押し付けを行うと、組織の硬直化や離職率の上昇を招く可能性があるでしょう。

ここでは、企業文化を醸成・変革するときに陥りやすい落とし穴について解説します。

特定の文化を強調しすぎない

企業文化を強く打ち出すことは大切ですが、過度に特定の価値観を重視しすぎると、従業員の思考や行動が固定化されてしまいます。

自由な発想が制限され、新しいアイデアやイノベーションが生まれにくい環境になる恐れがあるでしょう。とくに、変化の激しいビジネス環境では、企業文化が足かせとなるリスクも否定できません。

そのため、定期的な文化の見直しと、必要に応じた柔軟なアップデートが求められます。

定期的に社員の意見を収集し改善する

特定の文化が強く根付きすぎると、馴染めない社員が疎外感を抱くかもしれません。

とくに、新入社員や中途採用者にとっては、企業文化が合わないと感じると離職につながるケースも考えられます。企業文化は、一方的に押し付けるものではなく、全社員が自然に受け入れられる形であることが理想でしょう。

そのためには、定期的に社員の意見を収集し、組織文化の改善点を検討する仕組みを整えることが重要です。組織サーベイを活用し、社員の声を可視化することで、現状の課題を明確にできます。

まとめ:プロセスの定石を知り、企業文化を醸成・変革させよう!

本記事では、企業文化の醸成・変革に必要なプロセスや社員に浸透させる方法について、事例を交えてわかりやすく解説しました。

企業文化は、組織の価値観や行動規範を形成し、企業の成長や競争力に大きく影響を与えます。しかし、企業文化の定着や変革には多くの課題があり、適切なフレームワークの活用が成功の鍵となるでしょう。

とくに、コッターの8段階プロセスは、企業文化の醸成・変革を体系的に進めるための有効な手法です。このフレームワークの活用によって、組織全体で共通認識のもと、ミッションを共有しながら着実に企業文化を根付かせられます。

企業文化の可視化や従業員の意識調査には、データ分析ツールの活用が効果的です。ミキワメ ウェルビーイングサーベイを導入すれば、従業員の心理状態を可視化し、より的確な企業文化の改善が可能になるでしょう。ぜひ、この機会に導入を検討してみてください。

ABOUT ME
佐藤 透
ミキワメラボの編集者・コンテンツマーケティングを担当。大学卒業後、複数のIT企業で勤務。HR領域や新しい働き方のトレンドに興味を持ち、2022年からリーディングマークに従事。

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