配属先を決める際には、本人の適性と事業計画とのバランスを取りながら、慎重に検討する必要があります。
配属に失敗すると、社員のモチベーションが低下してしまい、早期離職してしまうおそれがあります。
今回の記事では、配属の決め方や決定の手順について解説します。新規社員の配属についてお悩みの方は、ぜひ最後までお読みください。
配属の決め方
社員の配属先を決める際、とくに重視すべき項目は以下の3点です。
- 本人の適性
- 本人の希望
- 採用計画
各項目について詳しく見ていきましょう。
本人の適性
もっとも重視すべき項目は、社員本人の適性です。
適性に合った部署に配属することで、社員は自身のパフォーマンスを最大限に発揮できます。今後のキャリア形成にも大きく影響するため、まずは本人の力を活かせる部署に配属することが重要です。
本人の希望
配属先を決める際には、社員本人の希望も確認する必要があります。希望する部署に配属することで、社員のモチベーションが高まり、能力以上の成果が出る可能性があるためです。
また、希望した部署に配属されなかったショックによる離職を防げる点も大きなメリットです。
一方で、意欲があっても適性が低すぎる場合、配属後にリアリティショックを感じて離職してしまうおそれがあります。
採用計画
欠員の補充や新たなプロジェクトへの人員投入といった具体的な採用計画に基づいて配属するケースもあります。
あらかじめ配属する部署が決まっているため、適性の高い社員を登用すればミスマッチも防げるでしょう。
しかし、仕事に慣れていない社員にとって、いきなり責任の重い業務に携わることは大きな負担となります。
社員が無理なく業務に取り組み、成長できるよう、教育体制や業務分担を考えることが重要です。
早期離職につながる原因
社員の働き方や今後のキャリアは、配属先に大きく左右されます。そのため、配属先とのミスマッチが生じると、会社自体に失望して早期離職してしまいかねません。
配属の失敗が離職につながる主なケースは以下のとおりです。
- 希望した部署に配属されなかった
- 部署の雰囲気になじめなかった
- 教育体制が整っていない
詳しく解説していきます。
希望した部署に配属されなかった
とくに新規社員の場合、希望した部署に配属されないという理由で早期離職することが多いです。その背景には、仕事に対する考え方の変化があります。
現代では、仕事を通じて社会に貢献するというより、自身が成長することに重点をおく人が増えています。
そのため、自己分析を行い、自分に向いた部署を絞り込んだうえで就職活動を行うケースも少なくありません。
企業に対する理解度が高い点は望ましいものの、その反面、希望する部署に配属されなかったときのショックが大きくなってしまいます。
入社後の配属がどうなるかわからないことから、若者の間では「配属ガチャ」という言葉が生まれました。配属ガチャにはずれる、つまり希望どおりの部署にいけなかった場合、社員は失望して離職してしまうこともあります。
部署の雰囲気になじめなかった
企業風土にマッチした人材でも、特定の部署にはなじめないというケースがあります。
とくに大きな企業では、部署によって文化や気風が大きく異なります。「挑戦精神旺盛なのに保守的な部署に配属された」など、部署の雰囲気に合わない場合、ミスマッチを感じて離職してしまいかねません。
また、既存社員との相性も重要です。ほかの社員や上司との相性が悪く、コミュニケーションが円滑にいかないと、ストレスになったり、成長の場を得られなかったりする場合があります。
たとえ部署との適性が高くても、人間関係の問題で離職してしまうこともあるため注意が必要です。
教育体制が整っていない
配属された部署の人材が不足していたり、多忙であったりすると、新しく配属された社員に対して十分な教育を行うことが困難です。
育成が遅れるだけではなく、いきなり重要な仕事を任されることによる心身の負担も無視できません。
先述のとおり、現代の若手社員は会社を自己成長の場ととらえています。自身が成長できない会社であると感じれば、早々に見切りをつけて離職してしまう可能性があるでしょう。
配属先を決定する手順
配属先を決定するためには、上記でご紹介した「本人の適性」「本人の希望」「採用計画」をもとに、会社、現場、社員それぞれにとってベストな選択をする必要があります。
ベストな配属のために重要なのが、本人や配属先にヒアリングを行い、意見を取り入れることです。
配属先の決め方の流れは以下のとおりです。
- 社員の適性や希望から配属先を考える
- 各部署にヒアリングを行う
- 配属先を通知する
それぞれ解説します。
1.社員の適性や希望から配属先を考える
まずは社員の適性や希望をヒアリングしましょう。新規社員であれば選考内容の見直しを行い、適性を見極めます。適性が判断できるような質問を面接に盛り込めば、より精度の高い情報を得られます。
既存社員であれば、再度適性検査を実施したり、管理監督者にヒアリングしたりするとよいでしょう。
加えて、面談を行い、希望の部署について聞いてみるのも有効です。現在の部署での悩みや今後のキャリアプランについてもあわせて確認すると、長期的な人材計画策定に役立ちます。
2.各部署にヒアリングを行う
社員の適性や希望を確認したあとは、各部署の管理監督者を集めて会議を行い、各部署の受け入れ可能人数や求める人材について意見を聞きます。
人事労務担当者だけで配属先を決めてしまうと、現場での教育体制が整っていなかったり、ミスマッチが生じたりする危険性があります。
現場全体のモチベーションや生産性が低下するだけではなく、人事への不信感が生じ、今後の配属や異動がしづらくなってしまいかねません。
3.配属先を通知する
配属先が決まったら、社員本人に通知します。人事に関する重要な内容のため、書面で通知しましょう。
あわせて配属理由や準備物、職務内容についても知らせておくと、社員も心の準備ができるでしょう。
「仮配属」から始めるケースもある
仮配属とは、一定期間複数の部署を回り、実際に働くことです。実際に働く姿から、本人の適性を調査、把握して正式な配属を決めるために行われます。
さまざまな部署をめぐることで、企業の全体像を理解でき、エンゲージメント(愛着)獲得や労働意欲の向上につながる点もメリットです。
しかし、仮配属とはいえ、雑用ばかりさせるとかえって社員のモチベーションが下がってしまいます。正式配属と同じく、ある程度責任のある仕事を任せることが重要です。
配属先の決め方について人事担当者が注意すべきポイント
配属先の決め方を誤ると、新規社員だけではなく、配属先の部署にとってもモチベーション低下の要因となってしまいます。
人事担当者が新規社員と部署のパイプ役となり、配属後の業務がスムーズに進むよう配慮する必要があります。
配属先の決め方について、人事担当者が注意すべきポイントは以下の5つです。
- 社員の適性を把握する
- 配属先の理解を得る
- 配属先決定の理由を伝える
- フォロー面談を行う
- 同期と交流する機会を設ける
詳しく見ていきましょう。
社員の適性を把握する
配属のミスマッチを防ぐためには、社員の適性を把握することが重要です。
「カルチャーフィット」「スキルフィット」という2つの要素から、新規社員の能力や行動特性を分析しましょう。
カルチャーフィットとスキルフィットは、社員の適性を分析するうえでの両輪となります。優秀な人材の確保と定着のためには、双方をバランス良く評価する必要があります。
自社の風土や価値観と、社員の性格や価値観が適合している状態です。自社にカルチャーフィットしている社員は、自社で働くことに安心感ややりがいを抱きやすく、ミスマッチによる離職のリスクは低いといえます。
また、カルチャーフィットを意識した採用や配属をすることで、自然と似た価値観を持つ社員が集まります。コミュニケーションが充実することから、人間関係でのストレスが生じにくくなり、のびのびと業務に取り組める点もメリットです。
配属後の業務に、社員のスキルや経験が適合している状態です。スキルフィットしている社員は即戦力となるため、配属後の教育コストを削減できます。
定量化しやすく、採用や配属の基準にできる点もメリットです。
配属先の理解を得る
配属を決める際には、事前に配属先の理解を得ておく必要があります。
とくに新卒社員は、数カ月かかりきりで教育しなければなりません。教育により業務が圧迫されることから、配属に対して後ろ向きになる部署もあります。
配属先が非協力的な状態で社員を迎え入れると、教育やコミュニケーションが円滑に進まず、離職の要因となります。
仕事の負担が減り新しい業務に挑戦できる、有給休暇を取りやすくなるといったメリットを丁寧に伝え、配属先の理解を得ることが重要です。
配属先決定の理由を伝える
社員に対して、配属をどのように決めたのか、理由や背景を説明しましょう。
本人の希望とは異なる配属先の場合は、より相手の気持ちに寄り添った、細やかな対応が求められます。希望が通らなかったショックや望まない業務への不安感により、悩んでいる場合があるためです。しっかりとフォローしなければ、不満や失望を感じて離職してしまうおそれがあります。
その社員を選んだポイントや期待している点、新しい部署でどのようなキャリアを積めるかを丁寧に伝えることで、配属後の仕事を楽しみに感じてくれるでしょう。
フォロー面談を行う
たとえ適性のある部署に配属されても、業務上や人間関係などの悩みを感じてしまうこともあります。悩みを相談できる場がなければ孤立感が高まり、離職につながりかねません。
配属後に定期的なフォロー面談や相談室を設けて、悩みや課題、今後のキャリア育成についてヒアリングを行い、早期解決を目指しましょう。
同期と交流する機会を設ける
新しく配属された部署で孤独感を覚えて離職してしまうケースもあります。
上司や人事担当者が配慮することも重要ですが、仲間意識を持ちやすい同僚との交流を密にすることで、孤独感を和らげ、帰属意識を高められます。
同期同士の交流のためには、グループチャットを提供したり、フォローアップ研修やイベント、交流会を実施したりする取り組みが有効です。
適切な配属のためには適性を見極めることが重要
配属を決める際は本人の適性や希望、組織的な都合を反映させ、組織としても、社員個人としてもベストな判断をする必要があります。
配属に失敗すると、ミスマッチやモチベーションの低下が生じ、離職につながるおそれがあります。本人の性格やスキルも重要ですが、部署の雰囲気や既存社員との相性も考えなくてはなりません。
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