用語集

リクルーターとは?リクルーター制度のメリットや導入フロー、企業の導入事例を解説

リクルーターとは、就活生や応募者に直接コンタクトを取りながら採用活動する人間のことです。

近年、慢性的な人手不足や採用活動の早期化などを背景に、優秀な人材の確保が困難になっています。そのなかで、質の高い母集団の形成や内定辞退を防ぎ、企業の求める人物像へ直接アプローチする手法として注目されているのがリクルーター制度です

就活生もリクルーターとの接触を好意的に捉えていることが、株式会社ディスコの調査で明らかとなっています。2019年に実施した調査によると、「リクルーターと接触して良かったことがあった」と答えた学生は、2018年から3年連続で9割以上存在します。

そこで本記事では、リクルーターについて、リクルーター制度のメリットや導入の流れ、さらには企業の成功事例などを踏まえて徹底解説していきます。

参考:株式会社ディスコ|キャリタス就活2020年卒「リクルーターとの接触経験」

リクルーターとは?

リクルーターとは「就活生や応募者に直接コンタクトを取りながら採用活動する社員」のことです。

主に新卒採用で活用され、就活生と同じ大学・短大・高校の出身者がリクルーターに選ばれます。就活生側は共通点の多いOB・OGに親しみを抱きやすく、本音で話せるメリットを感じ、リクルーター側は就活生が置かれている状況を把握し、悩みや不安に寄り添える点が魅力です。

リクルーターは中途採用においても重要な役割を担っています。例えば、リクルーターを通じて企業から優秀な人材へ直接アプローチできれば、「自社が求める人物像にマッチするか」「適性はあるか」などを見極めながら採用を進められるでしょう。

新卒・中途採用いずれにおいても、リクルーターは求職者の価値観や適性を直接判断できるため、自社での活躍が期待できる優秀な人材の獲得に大きく貢献します。

参考:産経新聞|これから本格的に動き出すリクルーターとは

リクルーター制度とは?

リクルーター制度とは、リクルーターによる採用活動を意味します。

企業は、リクルーター制度を通じて「求職者の価値観や適性」「就職・転職における傾向や流行」を把握でき、かつ内定者をフォローすることで内定辞退を防止できます。

一方、求職者や内定者は、気になる企業の社員から直接話を聞けるため、社風や仕事内容、福利厚生など選考の場では聞きづらい内容についてリアルな情報を入手可能です。

リクルーター面談(リク面)とは?

リクルーター面談は「リクルーターが自社PRをしたり、求職者や内定者を見極めたりするための面談」のことで、略してリク面とも呼ばれています。

OB・OG訪問、懇親会、1対1など実施形式はさまざまですが、一般的にはカフェやレストランで食事を楽しみながらカジュアルな雰囲気で行なわれます。最近ではオンライン・WEB形式で面談するケースも増加中です。

説明会や面接のような堅苦しい雰囲気がないことから、求職者の本音が出やすく、「求職者の価値観や適性を見極める場」として活用される傾向にあります。

リクルーターの仕事内容は?

リクルーターの仕事内容は以下のとおりです。

  • 面談:求職者と面談をセッティングし、自社PRをしながら自社への適性を見極める
  • OB、OG訪問:同じ学校を卒業したOB・OGが求職者にアドバイスする
  • 説明会:自社PRや自社への理解促進につながる説明会を開催する
  • スカウト:自社とマッチしそうな優秀な人材をスカウトする
  • 内定者フォロー:内定者と連絡を交わし、入社前の不安や悩みを取り除く

リクルーター制度のメリット

リクルーター制度を導入すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、主なメリットを3つご紹介します。

メリット1.優秀人材に早くからアプローチできる

リクルーター制度を導入すれば、自社の理想とする優秀な人材に早くから直接アプローチできます。

採用活動が激化する現代においては、他社と横並びで選考解禁日まで待っていては、自社が求める優秀人材を獲得できる可能性は低いでしょう。
就職・転職ナビサイトによる自己応募を待つだけではなく、リクルーターを通じて企業側からアプローチする積極性が必要です。

参考:mitsucari|リクルーター制度とは?4つの役割と制度導入のメリット・デメリット

メリット2.質の高い母集団形成ができる

リクルーターは、自社に興味を持つ求職者に1対1もしくは少人数で自社の魅力をアピールできる存在です

会社説明会やナビサイトを利用すれば多くの求職者が集まるものの、自社への関心度が薄い人も一定数います。言い換えると、量を重視した母集団形成といえます。
一方、リクルーターを活用すれば、「自社と相性の良いターゲット学校にアプローチする」「自社に適した人材を直接スカウトする」など、質を重視した母集団形成が可能です。

参考:HR analyst Lab|リクルーター制度の成否を分ける4つのポイント

メリット3.内定辞退を防止できる

リクルーターは求職者と直接コンタクトを取るなかで、入社前の不安を取り除いたり、入社後のキャリアイメージを具体的に伝えたりできる存在です。

例えば、新卒採用では内定者が入社に対する不安を感じやすい傾向にあります。株式会社学生就業支援センターの調査では、内定辞退経験のある学生の多くが「将来性・安定性」「社風・環境」といったように、入社前にイメージできないことへの不安から内定辞退したことが明らかになっています。

リクルーターのフォローがあれば、内定者の抱える不安や悩みを軽減でき、入社への決意を固めてもらいやすくなるでしょう。

参考:PR TIMES|【22卒調査】就活のフェーズでエントリー・辞退の決定要因は変化 選考辞退「入社後のイメージ」内定辞退「会社の安定性」

リクルーター制度のデメリット

多くのメリットを持つリクルーター制度ですが、一方で、デメリットがある点にも注意が必要です。
ここからはリクルーター制度の持つ3つのデメリットを解説していきます。

デメリット1.リクルーターの質が結果を左右する

リクルーターの能力やレベルが一定水準を下回れば、求職者の志望意欲低下や企業のイメージダウンを招きます。

例えば、リクルーターが不誠実な態度で面談に応じたり、ハラスメント行為(決定権があると脅す、受かりたければ◯◯に応じろと命令するなど)をしたりすると、会社への不信感を生んでしまうでしょう

リクルーターは本来、自社の魅力をアピールしつつ、人材の価値観や適性を見極める存在です。会社の顔としてふさわしい社員を育成するためにも、入念なリクルーター教育が重要です。

デメリット2.社員の負担になる可能性がある

リクルーターに選ばれる社員の多くが兼務リクルーターであり、通常業務と並行してリクルーター業務を行なっています。

リクルーターは会社の顔として求職者と接するため、面談形式こそカジュアルですが、誰もが気軽に引き受けるほど簡単ではありません。また、面談によっては1〜2時間拘束されるため、穴埋めの時間外労働が慢性化しないよう注意が必要です。

社員の負担となる可能性があるため、依頼する際は、本業とのバランスを十分に考慮して所属部署や部門長と調整しましょう。

参考:Manegy|リクルーター制度の導入の目的とは?企業、就活生のメリットに関して

デメリット3.リクルーターの選定や育成に時間がかかる

自社のPRや求職者の適性の見極めに大きく貢献するリクルーターですが、リクルーターの選定や育成には時間がかかります。

リクルーターの力量次第では、優秀な人材を逃してしまう可能性すらあるため、慎重に選定しなければなりません。

採用活動に携わった経験がない社員や入社して間もない若手社員を抜擢する際は、人材の見極め方や効果的なアピール方法、リクルーターの心構えや守るべきルールを伝え、時間をかけて育成していきましょう。

リクルーター制度の導入フロー

「リクルーター制度を導入検討中」「具体的な導入手順がわからない」という担当者のために、ここではリクルーター制度の導入フローについて解説していきます。

参照:株式会社ONE|リクルーターとは?役割や選定基準・導入のメリット・デメリットについて解説!
※1〜4まで参考にしました

1.リクルーター制度を構築する

最初に、リクルーター制度を構築する必要があります。リクルーター制度を構築するうえで重要な点は、以下の3点です。

  1. 社内共有
  2. ルール策定
  3. 理想とする人物像の明確化

それぞれ詳しくみていきましょう。

①社内共有

リクルーター制度の重要性や必要性は、全社員へ共有しましょう。制度の効果的な運用には、経営陣や部門長だけではなく、リクルーターを引き受ける社員からの理解が必要です。

②ルール策定

リクルーター面談は、求職者の予定に合わせて休日や時間外に設定されることもあるため、時間外・休日手当などの待遇や飲食費の精算に関して、周囲が納得するルールを策定しましょう。

③理想とする人物像の明確化

理想とする人物像(採用ターゲット)を明確にします。必須スキル、社会人基礎力、経験、能力、価値観などの採用要件を具体化させ、直感や感覚に頼らずに判断できる仕組みをつくりましょう。

2.リクルーターを選定する

リクルーター制度を構築したあとは、採用ターゲットに合わせたリクルーターを選定していきます。例えば、経験や社歴を基準にするなら、新卒採用は就活生が親しみを抱きやすい若手社員(1〜5年目)、中途採用は転職者と同僚として接する中堅社員(6〜15年目)などを選定しましょう。

3.リクルーターを育成・教育する

リクルーターの選定後は、リクルーターとしての心構えやルール、目的や方法などを説明し、定期的かつ継続的にフォローしていきましょう。

リクルーターへ伝えておきたい・理解してもらいたい点は次のとおりです。

  • 採用計画人数と配属予定部署
  • 理想とする人物像
  • 自社PRの内容
  • リクルーターとしての裁量(面談、スカウト、内定者フォローなど)
  • 求職者との信頼関係の築き方

リクルーターは知識や経験を求められる業務です。そのため、「リクルーターは◯◯さんにお願いしよう」と選んで終わりにしてはいけません。
リクルーター研修を開催したり、リクルーターを引き受けた社員自身が成長を実感できる振り返りの機会を設けたりするなど、継続的な支援を心がけましょう。

4.リクルーター制度を運用する

リクルーターの育成が終われば、いよいよリクルーター制度の運用開始です。

採用課題は、人事部だけではなく全社で取り組むべき課題といえます。したがって、経営陣や部門長、リクルーター候補者などと連携しながら進めていく必要があります。

定期的にミーティングを開催して求職者の傾向や動向の情報を共有したり、求める人物像やトラブル時の対処法などを再確認したりするなど、適切な制度運用に努めましょう。

リクルーター制度を導入した企業の事例

ここからは、実際にリクルーター制度を導入し、採用活動を成功させている企業事例を2社紹介します。

事例1.ニトリ|1対1で入社に至るまで学生をサポート

家具やインテリア販売を手がけるニトリでは、リクルーターと学生との対話を目的に「リクルーターサポート」制度を導入しています。

約40名のリクルーターが、選考段階の学生が抱える「キャリア」「将来やりたいこと」などの悩みを解消するため、SNSやメールなど、さまざまな手段を通じて学生をサポートしています

ニトリのリクルーターと接した学生からは、「面接前に緊張をほぐすことができた」「キャリアパスの考えを深められた」など、リクルーターサポート制度を評価する意見もあるようです。

参考:株式会社ニトリホールディングス|リクルーターこそニトリ新卒採用部の魅力!学生さんと1対1で向き合う理由とは

事例2.日本デザイン|内定者がリクルーターに

WEBマーケティングやコンサルティング事業を手がける日本デザインでは、就活生が入社に関する不安や悩みを打ち明けやすい場を提供するリクルーター制度を導入しています。

リクルーターが、社員ではなく次年度入社予定の内定者という点が、このリクルーター制度のユニークな点です。内定者がリクルーターを担うことで、内定者自身の帰属意識や入社意欲の向上にもつながっています。

参考:株式会社日本デザイン|【自社の魅力が伝わらない】内定者によるリクルーター面談で志望度UP!会社のリアルを伝えて新卒17名の採用に成功

まとめ

採用活動が激化する現代において、リクルーターは優秀な人材の獲得に大きく貢献しています。

リクルーターは、就活生や転職活動者にとって会社の社風や魅力を教えてもらえる貴重な存在であり、企業側としても質の高い母集団形成や内定辞退防止などのメリットがあります。

自社で活躍してくれる人材を探している企業は、ぜひリクルーター制度の導入を検討してみましょう。

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