- 静かな退職が起こる4つの原因
- 静かな退職の兆候と具体例
- 静かな退職の原因から考える有効な対策
静かな退職という言葉を耳にする機会が増えていますが、その実態や原因を正確に理解できている企業は多くありません。静かな退職は個人の怠慢ではなく、職場環境や評価制度、価値観の変化が複雑に絡み合って生じる現象です。
静かな退職を放置していると、従業員のエンゲージメントはさらに低下し、組織の生産性や競争力にも影響を及ぼします。
本記事では、データや具体例をもとに静かな退職が起こる原因や兆候を整理し、企業が取るべき有効策を解説します。最後まで読めば、従業員のモチベーション低下に悩む人事担当者が本質的な原因を理解できるようになり、具体的な改善策に移すことが可能です。
まずはサーベイツールを活用し、組織の見えないリスクを発見するところから始めみてはいかがでしょうか。

静かな退職は当たり前?日本企業で起きている変化と実態

静かな退職とは、実際に会社を辞めるわけではないものの、仕事への積極性を示さず、必要最低限の業務のみをこなす働き方のことです。
米国の調査会社ギャラップ社の「State of the Global Workplace 2023」では、世界の労働者の約59%が静かな退職の状態にあると報告されています。
日本も例外ではありません。同調査の2025年版では、日本の従業員エンゲージメント率は7%と、世界平均の21%を大きく下回っています。
静かな退職は表面化しにくい課題ですが、従業員エンゲージメントが低い日本では、静かな退職が水面下で進行している企業も多いと考えられます。
マイナビの調査では、20〜50代正社員の48.2%が「静かな退職をしている」と回答しており、一般的な概念として浸透していることがうかがえます。
静かな退職の定義や流行の背景について知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
【データから見る】静かな退職が起こる4つの原因

静かな退職は、複数の要因が絡み合って起こる現象です。株式会社マイナビでは、「正社員の静かな退職に関する調査 2025年」をもとに、静かな退職の原因を以下4つに分析しています。
これらの要因は単独ではなく連鎖的に作用し、結果として静かな退職という形で表面化します。企業が実効性のある対策を打つためには、原因を感覚的に捉えるのではなく、データをもとに分解して理解することが大切です。
ここからは、静かな退職が起こる4つの原因について、数値データを交えながら詳しく解説します。
参考:マイナビキャリアリサーチLab|正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)(「静かな退職のきっかけ」より)
1. 仕事や職場環境とのミスマッチ
仕事や職場環境のミスマッチは、従業員の静かな退職を招く原因のひとつです。配属後の業務内容が本人の希望やスキルと合致しなかったり、職場の人間関係が合わなかったりすると、従業員は次第にモチベーションを失っていきます。

出典:GPTW Japan|<調査レポート>「静かな退職」選択のきっかけは企業にあり、7割が「働き始めてから静かな退職を選択した」と回答(「2.従業員が静かな退職を選択するきっかけは企業にあり」より)
GPTW Japanの調査では、静かな退職をしている人の約7割が「働き始めてから静かな退職をするようになった」と回答していました。つまり、静かな退職のきっかけは入社後に多く発生しており、入社前とのミスマッチが原因だと言えます。
ミスマッチが生じる原因と企業への影響、取るべき対策については以下の記事で解説しているので、ぜひこちらもご覧ください。
2. 評価制度への不平・不満
評価制度への不信感は、従業員のエンゲージメントが低下する直接的な要因になります。従業員は、自分の努力や成果が正当に評価されていないと感じることで、諦めの感情を抱き、最低限の業務だけをこなす姿勢へとシフトしていきます。

出典:株式会社スコラ・コンサルト|全国の一般社員・管理職2,106名へのアンケート調査「静かな退職者」は全体の16.3%、性別・年代問わず均等に存在(図6 入社してからやる気が下がった原因)
実際に株式会社スコラ・コンサルトの調査によると、従業員のやる気が下がった原因は「評価や報酬が見合わない」がトップで41.1%となっていました。
曖昧な評価基準や不透明な評価プロセスは、評価制度への不満が生まれる原因のひとつです。評価結果のフィードバックが不十分な場合も、従業員が自分の強みや改善点を理解できず、成長実感を得られなくなります。
人事評価の方法や評価基準について知りたい方は、ぜひ以下の記事をご覧ください。
3. コスパ・タイパ重視の考え方の増加
近年では、若い世代を中心に、コストパフォーマンスやタイムパフォーマンスを重視する価値観が広がっています。
消費者庁の「令和4年度消費者意識基本調査」によると、年齢が若いほど「費用対効果を重視する意識」と「費やした時間に対する成果を重視する意識」があることがわかりました。

実際に、30代以下の約6割が「コストパフォーマンスを重視する」と回答し、「タイムパフォーマンスを重視する」については、10代後半と20代の約6割が「当てはまる」と回答しています。
タイムパフォーマンスの傾向は30代以上から徐々に下がり、70歳以上では約2割という結果でした。
コスパやタイパを重視する価値観は、プライベートだけでなく仕事においても浸透しています。現代では、ワークライフバランスの重視により「短時間で成果を出す」ことが重視され、効率的に働く価値観が当たり前になってきました。
また、労働人口の減少により多くの業界や企業で人手不足が深刻化しており、企業は「少ない労働力でいかに生産性を向上させるか」という課題に直面しています。
このような社会環境の変化は、個人レベルでも短時間で効率よく結果を出すことへの意識を高めており、タイパ重視の働き方を後押ししていると考えられます。
コスパやタイパを重視する従業員は、投下した時間や労力に見合ったリターン(給与、昇進、スキル習得など)が得られるかを厳しく判断する傾向が強いです。リターンが不十分だと判断した場合は、必要最低限の業務に留め、静かな退職を選択する可能性が高まります。
Z世代が求める働き方や世代間ギャップについて知りたい方は、ぜひ以下の記事もご覧ください。
4. キャリアアップを求めない価値観の広がり
従来の日本企業では、昇進や管理職へのキャリアアップが当然の目標とされてきました。
しかし近年では必ずしも昇進や出世を望まず、現在の役割や生活の質を重視する従業員が増加傾向にあります。管理職になると責任やストレスも増大しますが、それに見合った報酬や満足感を得られないと感じる従業員は少なくありません。
パーソル総合研究所の「仕事に関する意識調査」を見ると、2021年以降「仕事を通じた成長」「仕事そのものへのやりがい」「会社での出世意識」が薄れてきていることがわかります。
また、ワークライフバランスを重視する価値観も広がりつつあり、仕事は生活を支える手段と割り切る考え方が、静かな退職につながっていると考えられます。
GPTW Japanの調査によると、静かな退職を選択したきっかけは「仕事よりプライベートを優先したいと思うようになったから」が38.2%でトップとなっていました。
参考:GPTW Japan|<調査レポート>「静かな退職」選択のきっかけは企業にあり、7割が「働き始めてから静かな退職を選択した」と回答(「2.従業員が静かな退職を選択するきっかけは企業にあり」より)
静かな退職を防ぐには、多様な働き方やキャリア選択を尊重する人事制度を整備することが重要です。画一的なキャリアパスや昇進を前提とした評価制度を押し付けると、かえってモチベーションの低下を招くので注意しましょう。
【具体例あり】静かな退職の兆候と見極め方

静かな退職は突然発生するものではなく、従業員の行動や態度に兆候として現れます。本章では、静かな退職の兆候と見極め方を、具体例とともに紹介します。
このような変化は、一見すると問題がないように見えますが、エンゲージメントの低下を示す重要なサインです。マネージャーや人事担当者は、日常的な観察と定期的な面談を通じて従業員の状態を継続的にモニタリングし、兆候を見逃さないようにしましょう。
業務への取り組み方の変化
静かな退職でもっとも顕著な兆候は、業務への取り組み方の変化です。従業員の積極性が低下すると、以下のような変化が見られるようになります。
【業務への取り組み方の変化(具体例)】
- 指示された最低限の業務だけをこなすようになる
- 会議での発言が減る
- 期限ギリギリまで作業を先延ばしにする
- 残業や休日出勤を一切しなくなる
- 業務時間きっかりに退社するようになる
- 研修や勉強会への参加を避けるようになる
行動の変化は目に見えるサインなので、兆候に気づいたら対話を通じて早期に解決を図ることが大切です。業務への満足度や抱えている課題について話し合い、必要に応じて業務範囲や裁量を調整しましょう。
コミュニケーションの変化
コミュニケーションの量や質の低下も、静かな退職を見極める重要な兆候です。静かな退職状態にある従業員は、同僚や上司との会話を必要最低限に留め、雑談や情報交換を避けるようになります。
【コミュニケーションの変化(具体例)】
- チームのランチや飲み会などの社交的な場への参加を断ることが増える
- リモート勤務が多くなる
- オンラインミーティングでカメラをオフにする
- 報告・連絡・相談を怠るようになる
コミュニケーション面の変化には、職場への関心の低下が関係しています。コミュニケーションに違和感を覚えた場合は、過去の行動パターンと比較して変化があるかどうかを見極めることが重要です。
無理に発言を促すと逆効果になる恐れがあるので、1on1の面談で安心して意見を共有できる環境を整えましょう。
パフォーマンスの変化
静かな退職は、従業員の業務パフォーマンスにも影響を与えます。
【パフォーマンスの変化(具体例)】
- 以前と比べて成果物の質が低下している
- 納期遅れが頻発する
- 数値目標を達成できなくなる
パフォーマンスの変化は数値化しやすいため、兆候を客観的に把握する手段となります。静かな退職が疑われる場合は、KPIや評価指標を活用し、定期的にモニタリングすることが効果的です。
ただし、パフォーマンスの変化は私生活の問題や健康上の理由に起因しているケースもあります。一方的に判断せず、本人との対話を通じて背景を理解しましょう。
静かな退職の原因から考える有効な対策

静かな退職を防ぐためには、原因に対する根本的なアプローチが必要です。以下のように原因別の施策を通じて、従業員のエンゲージメントを向上させる職場環境を整えましょう。
※モバイルでは以下の表を右にスクロールしてご覧ください
| 静かな退職の原因 | 有効な対策 |
| 仕事や職場環境のミスマッチ | ・採用段階でのリアリスティックジョブプレビュー(現実的な仕事情報の事前開示)の実施 ・入社前の適性検査 ・定期的な配置転換 ・キャリア面談を通じた適材適所の実現 |
| 評価制度への不平・不満 | ・評価基準の明確化と透明性の向上 ・定期的なフィードバックの実施 ・成果だけでなくプロセスや貢献も評価する多面的な評価制度の導入 |
| コスパ・タイパ重視の考え方の増加 | ・成果に応じた報酬体系の整備 ・スキルアップ機会の明確化 |
| キャリアアップを求めない価値観の広がり | ・昇進以外のキャリアパスの提示 ・フレックスタイム制度やリモートワークなど、多様な働き方を容認する制度の導入 |
静かな退職の対策には、定期的な1on1ミーティングも有効です。従業員が安心して悩みや不安を話せる環境を整えることで、静かな退職の原因を早期に把握し、再現性のある対策を講じられるようになります。
また、ミスマッチによる静かな退職を防ぐには、入社前の適性検査が重要な鍵をにぎります。失敗しない適性検査の選び方について知りたい方は、ぜひ以下の資料もダウンロードしてみてください。
潜在的なリスクの早期発見なら『ミキワメ ウェルビーイングサーベイ』

静かな退職は従業員の内面的な変化なので、表面的な観察だけで見抜くことは困難です。潜在的なリスクを早期に発見し、適切な対策を講じるためには、従業員のエンゲージメントやウェルビーイングを定期的に測定する仕組みが欠かせません。
『ミキワメ ウェルビーイングサーベイ』は、従業員の心理状態や職場への満足度を科学的に測定できるサーベイツールです。個人レベルおよび組織レベルでエンゲージメントの変化をリアルタイムに把握でき、静かな退職の初期段階で兆候をつかめます。
サーベイ結果はデータで示されるので、感覚や主観に頼らない施策を立案できるのもメリットです。『ミキワメ ウェルビーイングサーベイ』の特徴や使い方について詳しく知りたい方は、ぜひ以下の記事もご覧ください。
また、以下の資料では『ミキワメ ウェルビーイングサーベイ』の仕組みや他サービスとの違いをご紹介しています。組織サーベイの導入を検討している方は、ぜひダウンロードしてみてください。
静かな退職に関するFAQ(世代間の違い・離職との関係・メリット)

静かな退職は新しい概念であるため、世代差や離職との関係性について疑問を持つ企業は少なくありません。本章では、静かな退職に関するFAQを以下3つに分けて解説します。
あらかじめ疑問を解消しておくことで、静かな退職に対してより建設的で柔軟なアプローチを取れるようになります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
静かな退職はどの世代に多い?
静かな退職は、特定の世代に限定される現象ではありません。Z世代に多いと考えられがちですが、GPTW Japanの調査によると、静かな退職をする人の7割以上が35歳以上であるとわかっています。
参考:GPTW Japan|<調査レポート>「静かな退職」選択のきっかけは企業にあり、7割が「働き始めてから静かな退職を選択した」と回答(「1.静かな退職の約3割は若手」より)
また、クアルトリクス合同会社の調査によると、日本では40代・50代の中堅やシニアクラスに静かな退職が多いことが指摘されていました。
参考:クアルトリクス合同会社 | 2023年の従業員エクスペリエンスに関する調査結果を発表(「3.日本で働く人の約15%が「静かな退職」状態」より)
静かな退職の原因や背景は、世代によっても異なります。Z世代は入社後のギャップやワークライフバランス重視の価値観が影響していることが多いですが、中堅・シニア層では評価への不満やキャリアの停滞感が静かな退職を引き起こす可能性もあります。
静かな退職に対する40代・50代の本音や有効策について知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
静かな退職は実際の離職につながる?
静かな退職は、必ずしも実際の離職につながるわけではありません。しかし、静かな退職を放置すると離職のリスクが高まるのは事実です。
静かな退職状態にある従業員は、心理的に組織から離れており、よりよい条件の職場が見つかれば転職する可能性が高くなります。静かな退職が長期化すると、仕事へのやりがいや成長実感が完全に失われ、最終的に離職するケースもあるので注意が必要です。
静かな退職を実際の離職につなげないためには、兆候に気づいた時点で従業員のエンゲージメントを回復させる必要があります。定期的な面談やキャリア開発の機会提供、評価制度の見直しなど、原因に応じた対策を講じていきましょう。
離職する従業員には、いくつか共通した前兆が見られます。以下の記事では、辞めそうな人の兆候を3段階に分けて解説しているので、人材流出を防ぐためにもぜひご覧ください。
静かな退職にメリットはある?
静かな退職は企業にとってネガティブな現象ですが、従業員の視点で見ると一定のメリットが存在します。
まず、過度なストレスや長時間労働から解放されることで、心身の健康を守れるのは大きなメリットです。仕事以外の趣味や自己啓発にも時間を使えるようになるので、人生全体の充実度が高まる可能性もあります。
一方で企業側にとって、静かな退職は組織の生産性低下やチーム全体の士気低下を招くため、メリットはほとんどありません。静かな退職を組織改善につなげる機会と捉え、従業員が無理なく働き、成長できる環境を整備することが大切です。
静かな退職のメリット・デメリットについては、以下の記事で紹介しています。従業員側・企業側それぞれの立場から解説しているので、静かな退職の影響を詳しく知りたい方はぜひチェックしてみてください。
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静かな退職には、入社後のミスマッチや価値観の変化など複合的な原因が関係しています。静かな退職という目に見えにくい組織課題に対処するためには、原因を感覚ではなく構造として捉える仕組みが欠かせません。
まずは『ミキワメ ウェルビーイングサーベイ』を活用し、従業員の満足度や組織への帰属意識を定量的に測定してみましょう。定期的に調査することで、静かな退職の兆候を把握でき、制度の見直しや評価基準の明確化といった具体的な改善施策を取れるようになります。
静かな退職のリスクを早期発見できる『ミキワメ ウェルビーイングサーベイ』の活用方法を詳しく知りたい方は、ぜひ以下の資料もダウンロードしてみてください。

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