PREP法は、文章を作成するフレームワークのひとつです。わかりやすく説得力のある説明に効果的な型で、ビジネスをはじめとしたさまざまな場面で活用できます。
PREP法を上手く使いこなすには、メリットおよび注意点をしっかり押さえる必要があります。効率良く身につけるため、トレーニングも大切です。
本記事ではPREP法について、メリットや注意点、身につける方法などを解説します。
PREP法とは
PREP法とは文章のフレームワークのひとつです。PREP法を構成する要素や、似た用語との違いを解説します。
結論から伝える文章構成
PREP法は結論から伝える文章構成です。伝えたい内容について、以下の順番で文章を作成します。
- Point:結論 話の要点や主張したい内容など、結論となる部分を最初に話す
- Reason:理由 その結論に至った理由を説明
- Example:例 事例やデータなど、理由として説明した内容に説得力を持たせる要素
- Point:結論 要点・主張を最後にもう一度話す
ビジネスシーンでは、簡潔でわかりやすく伝える能力が求められます。文章が整理されておらず、順序立てた説明ができなければ、何が言いたいのか聞き手は理解できません。聞き手のストレスになってしまうのはもちろん、コミュニケーションの齟齬による認識の相違などが発生する恐れもあります。
結論から伝えるPREP法は、最初に要点を明確化できるため、言いたいことを伝えやすい点が特徴です。そのため、ビジネスシーンで広く使われています。
SDS法との違い
PREP法とよく比較される文章構成に、SDS法があります。
SDS法は、物事を以下の順番で伝える文章構成です。
- Summary:要点 伝えたい文章の概要を説明
- Details:詳細 細かな内容を具体的に説明
- Summary:要点 全体のまとめ
PREP法は最初に伝える「Point:結論」がもっとも大切な部分ですが、SDS法では「Details:詳細」に重きを置きます。プレゼンテーションやセミナーなど、話をじっくり聞いてもらいたい場面で多く使われるフレームワークです。
PREP法・SDS法を用いた例文
PREP法とSDS法の違いをわかりやすくするため、それぞれの簡単な例文を紹介します。
まずはPREP法です。
- Point:PREP法は、わかりやすい説明をするうえで便利なフレームワークです。
- Reason:PREP法では最初に結論を出すため、聞き手が要点を正確に把握できます。
- Example:要点をおさえたうえで説明を聞けば、頭の中で整理・イメージしやすくなるでしょう。
- Point:このようにPREP法を使えば、説明がわかりやすくなります。
続いてSDS法を用いた例文を紹介します。
- Summary:今回お話するのはSDS法の特徴です。
- Details:SDS法では最初に全体の概要を伝え、続いて詳細を説明し、最後にまとめを伝えます。最初にどのような話をするのか紹介するため、聞き手が話に入り込みやすくなります。また、最初と最後に要点を伝えるため、印象や記憶に残りやすい点が特徴です。
- Summary:セミナーやプレゼンテーションなど、話をじっくり聞いてもらいたいときに役立つフレームワークです。
今回は例文のため短い文章を用いましたが、長めの文章になっても基本的な構造は同じです。
PREP法のメリット
PREP法の主なメリットとして、以下の3点があげられます。
- 大切なポイント・言いたいことを短時間で伝えられる
- 説得力が増し相手の記憶に残りやすい
- 物事を整理して考える習慣が身につく
それぞれ詳しく解説します。
大切なポイント・言いたいことを短時間で伝えられる
PREP法は、大切なポイントや言いたいことを短時間で伝えられる文章構成です。
最初に要点やもっとも主張したい内容を伝えるため、聞き手は「何に関する話か」を正確に把握できます。また、内容を整理したうえで順序立てて説明するため、必要以上に長くなってしまうことを防げます。
伝えたい気持ちがあるものの言いたいことが整理されていないと、説明が長いのに肝心の内容が見えてこない事態が起こり得ます。PREP法を用いれば、短時間かつ簡潔な説明でも、伝えたい情報をしっかり伝えられるのです。
説得力が増し相手の記憶に残りやすい
PREP法を用いると、文章の説得力が増し、相手の記憶に残りやすくなります。
PREP法は最初と最後に要点を伝えるだけでなく、根拠として理由と例も伝えます。単に伝えたい内容だけを伝えるのではなく、その結論にいたった理由も明確にする点が特徴です。
また聞き手の集中力は、話し始めてから最初の30秒間がもっとも高いと考えられています。集中力がもっとも高いタイミングで要点を伝え、そのまま根拠を伝える流れであるため、強い説得力を発揮できるのです。
物事を整理して考える習慣が身につく
PREP法を意識して使うようになると、日ごろから物事を整理して考える習慣が身につきます。
PREP法を使った文章作成のためには、結論および根拠となる理由・具体例の明確化が必要です。したがって、伝えたい要素を整理し、無駄なく簡潔に組み立てることが求められます。このような考え方が習慣化すれば、日ごろから物事を整理し、必要な情報をまとめられるようになるでしょう。
PREP法はビジネスシーン、とくに提案や報告などの場面で多く用いられます。そして物事を整理する考え方は、思考をスッキリまとめる、コミュニケーションの質を高めるといった効果にもつながります。
PREP法の注意点
身につけるメリットが大きいPREP法ですが、以下のような注意点が存在することも把握しておく必要があります。
- 身につけるまでに時間がかかる
- スピーチや物語などには適さない
- 長文には適用しにくい
身につけるまでに時間がかかる
PREP法は、身につけるまでに比較的時間がかかります。最初のうちはPREP法を意識しようとするあまり、逆に言いたいことがまとまらない事態に陥ることもあるでしょう。
PREP法は伝える順序が明確に決まっています。そのため、文章を作成・伝えるにあたって、どの情報がPREPの各要素に当てはまるかを整理しなければなりません。しかし、慣れないうちは要素の整理ができず、伝える順番を誤ってしまう恐れがあります。
また、すでについている思考のクセに引っ張られてしまい、PREP法の考え方が身につくまでに時間がかかってしまう人が多いです。
スピーチや物語などには適さない
PREP法は、説明や提案などを目的とした文章に効果的です。一方で、スピーチや物語などには適していません。
PREP法を活用した文章は、シンプルでまとまった表現となります。そのため情景描写や心情など、ストーリーを彩るような要素を入れることが困難です。また、最初に結論を伝えるため、オチをつける、徐々に盛り上がるといった文章にも向きません。
すべての文章に対してPREP法が効果的と考えてしまうと、場合によっては逆にわかりにくい内容になってしまう恐れがあるため注意が必要です。PREP法はビジネスシーンで活かしやすいフレームワークであり、ストーリー性の表現は難しいと理解しておきましょう。
長文には適用しにくい
PREP法は、結論を主張し、根拠となる理由や例を簡潔に伝えられる点が強みです。すなわち物事を整理し、最小限の長さで構成する際に用いられます。
そのため、ストーリー仕立ての文章や、結論以外の要素を強調するのは苦手とします。
一概にはいえませんが、長い文章には、結論以外にも大切な要素が多く存在します。それらを無理に削ごうとすると、かえって魅力のない内容になってしまうのです。長文が求められる内容の場合、PREP法は避けたほうが良いでしょう。
PREP法を身につけるトレーニング
PREP法を身につけるには、意識的なトレーニングの実施が効果的です。取り入れやすく効果が期待できるトレーニングとして、以下の例があげられます。
- PREP法を使った短文を作る
- 日頃から積極的にPREP法を用いる意識をする
- 他者のフィードバックを受けるのも効果的
それぞれ詳しく解説します。
PREP法を使った短文を作る
PREP法を身につけるには、経験を積むのがもっとも効果的です。まずはPREP法を使った短文を作ってみましょう。
ここで大切なのが、短文という点です。慣れないうちからボリュームのある文章を作るのは簡単ではありません。最初のうちは感覚をつかみ慣れていくことを目的に、PREP法を使ったごく簡単な文章を作ります。
先ほど、PREP法を用いた例文として、Point・Reason・Example・Pointそれぞれ一文ずつの簡単な文章を紹介しました。それと同じように、まずは短い一文を組み合わせ、PREP法を用いたひとつの文章を作るトレーニングを行ってみてください。
日頃から積極的にPREP法を用いる意識をする
PREP法に触れる時間・機会を増やすためには、日頃から積極的にPREP法を用いるよう意識すべきです。
ビジネスシーンでは、他者に説明や提案をする機会が多いです。直接伝えるまではいかなくても、頭のなかでアイディアを構想する場面もあるでしょう。そのような場面は、PREP法のトレーニングをするチャンスです。
他者に自身の考えを伝えたいときには、最初に結論から述べることを意識して話します。アイディアを構想する際も、もっとも主張したい内容と、根拠となる要素を整理しましょう。そうすることで、徐々に簡潔でわかりやすい説明や、整理された考え方ができるようになっていきます。
他者のフィードバックを受けるのも効果的
PREP法を用いた文章作成ができているか、他者のフィードバックを受けることも効果的です。
PREP法に限らず、自己評価はどうしても偏ってしまいがちです。自分では良いと感じても、他者にとってはわかりにくい文章であるケースは珍しくありません。不完全な文章でも自分のなかでは伝えたい内容がハッキリしているため、読みながら無意識に文章を補てんしてしまうケースも多いです。
文章は明確な数値化や採点などの評価ができないため、PREP法を使えているかの判断が難しい部分があります。
他者に読んでもらうことで、伝えたい内容が第三者に正しく伝わるかを把握できます。文章作成を得意とする人であれば、PREP法について的確なアドバイスをもらえる可能性も高いです。
まとめ
PREP法は最初に結論を述べ、そのうえで根拠となる内容を説明し、最後にもう一度結論を伝えるフレームワークです。伝えたい内容を簡潔にまとめることができ、わかりやすさや説得力があるため、ビジネスシーンで役立ちます。しかし、スピーチや長文など適さない文章もあるため、使いどころを見極めることが大切です。
PREP法を効率よく身につけるために、今回紹介したトレーニング方法を参考にして、意識的に使ってみてください。
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