管理職は上司や部下とコミュニケーションを取りながら仕事をする必要があり、ストレス負荷の高い働き方をしている人も少なくありません。高ストレスの管理職を放置していると、生産性が落ちたり精神病になったりするおそれがあるため、早期の対策が求められます。
本記事では、管理職のストレスとなる原因5つと対処法、企業側ができることを解説します。
管理職がストレスをかかえる原因5つ
管理職の立場は責任が重く、さまざまなプレッシャーにさらされます。主なストレスの原因として考えられるのは以下の5つです。
- 業務量が増える
- 責任ある立場上プレッシャーがかかりやすい
- 上司や部下との間で板挟みになりやすい
- 部下と接する際の配慮が難しい
- 働き方改革により生産性の向上が求められている
それぞれ解説します。
業務量が増える
管理職になると、マネジメントの仕事に加えて自身の仕事もこなす必要があるため、単純に業務量が多くなります。1日の流れの例を見てみましょう。
- 朝:部下からの相談対応
- 午前:定例会議の準備と出席
- 午後:上司から依頼された緊急の資料作成
- 夕方:部下の業務進捗確認
- 夜:自身の業務(残業)
上記の例のように、自身の業務が残業時間から始まってしまうことも少なくありません。上司や部下からの要求に対応しながら自身の業務をこなすため、必然的に残業が増え、ストレスにつながります。
責任ある立場上プレッシャーがかかりやすい
管理職は部署やグループの責任者として、業績や部下の管理などさまざまな責任を負います。
たとえば、営業部門の管理職の場合、四半期ごとの売上目標達成に対する責任があります。目標未達の場合、上層部からの厳しい追及を受けるだけではなく、次期の予算削減や人員整理などの厳しい判断を迫られるおそれもあるでしょう。
このようにプレッシャーがかかる業務が多く、精神的な負担となります。
上司や部下との間で板挟みになりやすい
管理職は上司と部下の間に立つ中間管理職として、しばしば板挟み状態に陥ります。たとえば、部下から「新規プロジェクトに携わりたい」という要望があっても、上司からは「既存の業務に注力するように」と指示されるケースがあります。
こうした状況で部下のモチベーションを保ちつつ、上司の方針に従うバランスを取ることは難しく、部下の不満を受け止める形となりストレスの要因となります。
部下と接する際の配慮が難しい
管理職の重要な役割の一つが部下の育成です。しかし、適切な指導を行いながらハラスメントにならないよう気をつけ、部下のモチベーションを維持しつつ成長を促すことは容易ではありません。
たとえば、部下の業務ミスを指摘するときに厳しすぎると萎縮させてしまい、甘すぎると改善につながらないというジレンマに陥ることがあります。繊細な対応が求められる場面が日々続くことで、ストレスが蓄積されていきます。
働き方改革により生産性の向上が求められている
近年の働き方改革により残業時間に制限が設けられるなか、管理職には高い生産性が求められています。限られた時間内で成果を出すプレッシャーは大きく、常にせわしなく働かざるを得ない状況がストレスにつながります。
たとえば、17時に重要な会議が終わり、18時までに資料を作成して提出しなければならない状況では、質を保ちつつ迅速に仕事をこなす必要があり、大きな精神的負担となりかねません。
管理職のストレスを軽減する方法5つ
管理職が自身のストレスを軽減するために有効な方法は以下の5つです。
- 課題を可視化して対処する
- 業務を振り分け部下を育成する
- コミュニケーションの機会を増やす
- 同僚や専門家へ相談する
- セルフケアを徹底する
それぞれ解説します。
課題を可視化して対処する
まずは自身のストレスの原因を明確にすることが、負荷を軽減する第一歩です。以下のように、課題を箇条書きにしてみましょう。
- 毎日の残業が2時間以上ある
- 部下Aの業務が遅く品質が低い
- 上司からの突発的な依頼が多い
- 会議の準備に時間がかかりすぎている
課題を可視化することで、優先順位をつけて一つずつ対処していけます。
優先順位をつける際は「緊急度」「重要度」「難易度」などを考慮して整理するのがおすすめです。Excelなどで整理し、取り組みやすく改善効果の高いものから一つずつ対処していきましょう。
業務を振り分け部下を育成する
ストレス軽減のためには、日々の業務を「自分でやったほうが早い」と思わずに、部下へ適切に振り分けることも重要です。部下に割り振れる仕事が増えるほど、自分が抱える業務の量やストレスが減ります。
ただし、仕事をただ振るだけでは十分な効果は得られません。以下のポイントに注意して依頼しましょう。
- 部下の能力と業務の難易度を考える
- 明確な指示と期待する成果を伝える
- 定期的にフォローアップを行う
依頼直後はフォローも必要ですが、だんだんと成長して業務を任せられるようになります。そのうち自身の作業量も減り、ストレスの軽減につながるでしょう。
コミュニケーションの機会を増やす
コミュニケーション不足で仕事がうまく進まないこともあります。たとえば、部下に依頼した仕事と出来上がった成果物に差がある場合です。
部下の仕事が意図したとおりに進まないときは、事前にすり合わせの時間を15分設けてフォローすると改善できる可能性があります。しばらくは毎朝15分のMTGなどを設けて、定期的にフォローしていくことも効果的です。
コミュニケーション機会の増加は、部下が悩んでいることのヒアリングにもつながるため、最終的に出来上がる成果物の品質向上も期待できます。
同僚や専門家へ相談する
気を許せる同僚や同じ立場の友人と話をすることがリフレッシュにつながるケースがあります。
「うちの部署でもそんなことあるよ」と共感してもらえたり、「そういうときは〇〇するといいよ」とアドバイスをもらえたりすることもあるでしょう。仕事の悩みを吐き出すだけでも心が軽くなるはずです。
それでも解決できない場合は、産業医への相談を検討してみてください。「産業医に相談するほどでもないかな……」と思う方もいるかもしれませんが、小さな悩みでも問題ありません。
セルフケアを徹底する
定期的に休暇を取り、セルフケアに励むことが大切です。長時間労働が続いているとき、ストレスを感じることが増えたときは、積極的に休暇を活用しましょう。また、運動などを行い、リフレッシュと共に体力をつけることも忘れないようにしましょう。
具体的なセルフケアの方法は以下のとおりです。
【休暇の取り方】
- 月1回は3連休をつくる
- 午後のみの半休も上手に活用する
【日々のリフレッシュ方法】
- 朝15分早く起きて、ストレッチする
- 昼休みに10分間、外の空気を吸う
【睡眠の質を上げる工夫】
- 寝る1時間前はスマホを見ない
- 休日は同じ時間に起きる
大切なのは「自分の心と体は自分で守る」という意識を持つことです。完璧を目指さず、できることから少しずつ始めていきましょう。
管理職のストレス軽減に向けて企業ができること
管理職のストレスケアは、当人だけではなく企業全体の課題として取り組むべきです。企業が管理職のストレス軽減のためにできることとして、以下の2点が挙げられます。
- 管理職向けの研修を行う
- 管理者や従業員への高負荷を発見できるサービスを導入する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
管理職向けの研修を行う
企業が管理職のストレス軽減のためにできることの一つめは、管理職向けの研修を実施することです。管理職としてどう振る舞えば仕事を進めやすいか、どのようにストレスを抑えて仕事を進められるかなど、研修を通して仕事を進めやすくするきっかけをつくります。
研修プログラムの例は以下のとおりです。
- 新任管理職研修(昇進時)
- 部下との1on1の進め方
- タイムマネジメントの基礎
- フォローアップ研修(昇進3カ月後)
- ストレスマネジメント
- チームビルディング手法
研修では座学だけではなく、グループワークを積極的に取り入れることがポイントです。ほかの管理職の意見や経験を聞くことで、自分の業務に活かせる知識が身につきやすくなります。
管理者や従業員への高負荷を発見できるサービスを導入する
管理者や従業員に負荷がかかりすぎていないかを発見できるサービスの導入も有効です。
高負荷になっている従業員を見極めるのは、人力だけでは限界があります。うつ病などの精神病になってから気づくケースも多いため、サービスを活用して先手を打つことが大切です。
たとえば『ミキワメウェルビーイングサーベイ』では、社員の性格と心理状態をもとに、サポートが必要な社員を可視化できます。
性格を踏まえたケア方法もアドバイスしてくれるため、一人ひとりに向き合った対策が可能です。ミキワメウェルビーイングサーベイの詳細は、以下からご確認ください。
管理職のストレスは早期発見がとても重要!
管理職は企業の生産性を左右する重要なポジションであるため、ストレス負荷を軽減する働き方がとても重要です。今回紹介した対策を、最後にまとめます。
- 課題を可視化して対処する
- 業務を振り分け部下を育成する
- コミュニケーションの機会を増やす
- 同僚や専門家へ相談する
- セルフケアを徹底する
- 管理職向けの研修を行う
- 管理者や従業員への高負荷を発見できるサービスを導入する
管理職自身がセルフケアを徹底するだけではなく、企業として解決できるよう動いていく必要があります。
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