マネジメントは企業で組織を作り上げる際に欠かせない要素です。
この記事ではマネジメントの定義や、マネージャーに必要な能力を解説します。マネジメント層の教育や採用でも重要なポイントなので押さえておきましょう。
マネジメントとは
マネジメントの定義として主流なのはピーター・ファーディナンド・ドラッカー氏が自著で述べている「組織に成果を上げさせるための道具・機能・機関」です。
会社は個人ではなく組織として最大限の成果を生み出し、ミッションを達成することを通して社会に貢献するために存在しています。ミッション達成につながる成果を上げるために、ヒト・モノ・カネといったリソースを有効に活用するために重要なのがマネジメントと言えます。
マネジメントの役割とは
マネジメントの役割を、ドラッカー氏の定義に基づいて解説します。
ミッションの達成
マネジメントはミッション達成を実現するために、施策を推進する役割を果たします。組織や部署ごとのミッションを明確にし、達成手段を思考し、実行するのが責務です。
それに伴うミッションの具体化とメンバーへの業務割り振りも発生します。
人材の活用
メンバーの能力や働く動機を把握し、最適な業務配分をします。
このように、自己実現をする機会を提供し、意欲的に働ける環境を整えるのもマネジメントの大切な役割です。
社会への貢献
長期的に社会貢献する仕組みを整えます。
既存の商品やサービスで短期的な貢献はもちろん、新しい技術や製品で長期的な視野で大きな社会還元をすることを目指ざします。マネジメントはそのバランスを考えて適切な資源配分や進捗管理をするのです。
マネジメントとリーダーシップの違い
マネジメントとリーダーシップの定義は異なりますが、解釈は様々です。
ドラッカーは、方向性を明確にするのがマネージャーで、それに基づき現場を牽引するのがリーダーとしています。マネジメント力を上位概念とし、リーダーシップ力をその下に位置づけているのです。
一方でJ.Pコッターは2者をパラレルで捉えています。方向設定、並びに個々の社員をエンパワーメントするのがリーダーシップです。そしてミッション達成のための組織構築や人材育成、資源配分を担うのがマネジメントです。どちらか片方が欠けても組織のバランスは崩れるとしています。
参考:第2版 リーダーシップ論
マネージャー(管理職)とは
マネージャーは管理職やマネジメント職とも言われます。
マネージャー(管理職)の定義
ドラッカー氏はマネージャー(管理職)を「組織の成果に責任を持つ人」と定義しています。組織の一構成員として与えられた業務をただこなすのではなく、クラスに応じて管轄チーム全体を掌握し、ミッション達成に尽力することが求められます。
彼の述べるマネージャーの仕事は下記3つです。
- ミッション達成のための組織構築
- 部下の動機付けとコミュニケーション促進
- 成果の評価と人材の育成
つまり企業のミッションを正しく理解し、自身の掌握する範囲で適切なヒト・モノ・カネ情報から組織を作り、育てるのがマネージャーの仕事です。
マネジメントの種類
階層別マネジメント
マネージャーには階層構造があり、クラスによって求められている役割が異なります。大きく分けると以下の3つのクラスに分類することが可能です。
- トップマネジメント
- ミドルマネジメント
- ロワーマネジメント
トップマネジメント(経営者層)
経営者層は企業の最終意思決定を担うマネジメントです。代表取締役会長、代表取締役社長に加えて、取締役会の役員になる常務や専務なども含まれます。
組織のミッションを明確化し、経営計画や運営方針を策定することが求められるクラスです。現場に直接手を下すよりも、企業が進む方向を明確にしたり、会社生命をかける意思決定を迅速におこなったりすることが重要です。
ミドルマネジメント(中間管理職層)
中間管理職層は企業組織の各部門におけるマネジメントを担います。部長・課長・係長などが中間管理職です。
役割は担当部門のミッション遂行を目指して組織を構築・運営することです。自身が掌握する部門がどうあるべきかを考え、経営者に提案し改善することが求められます。
具体的な指針を監督者に示して指揮しつつ、意見を吸い上げて経営者をサポートするのも大切な役割です。経営者と監督者の橋渡しをする重要な地位なので、企業規模が大きくなるほど中間管理職の役割は大きくなり、優秀な人材であることが求められます。
ロワーマネジメント(監督者層)
現場を牽引する役割を果たします。個々の社員とコミュニケーションを取ってコントロールするのが一般的です。
監督者の役割は上層部で決定されたミッションや事業方針などに基づいて、社員一人一人に業務を割り当てて進捗を確認していくことです。適材適所の現場運営を遂行し、最短での目標達成が求められます。
業務別マネジメント
タレントマネジメント
終身雇用制や年功序列が崩壊しつつある昨今、注目される手法です。
社員のスキルや能力を計画的に活用し、組織パフォーマンスの最大化を目指します。売上拡大・事業拡大を人事的戦略から実現することが目的です。
リスクマネジメント
経営に不利益になり得るリスクを回避することで損失を最小限に抑える手法です。例えば個人情報の漏洩やコンプライアンス違反等が発生しないよう、管理・チェック体制を徹底的に整えます。発生しうるリスクを洗い出し未然防止に注力することで、企業価値の向上を目指します。
メンタルマネジメント
主に個々人が自主的に行います。職場でのストレスや精神を管理し、モチベーションをコントロールします。具体的には呼吸法・イメージリラクゼーション等です。精神的側面をトレーニングで高め、パフォーマンスの向上を目指します。
マネジメントスキルの8つの要件
ここではマネジメントスキルの要件について端的に解説します。
意思決定
成果責任を負う立場なので、迅速かつ適切な判断を下せる能力が重要になります。論理的で部下も納得する意思決定ができると信頼のおけるマネージャーになれるでしょう。
ミッション管理
目標達成までのプロセス思考と進捗管理が求められます。生産性の向上のための施策を考えるなど、多角的な視点でミッションを管理して推進していくスキルが重要です。
経営資源管理
ヒト・モノ・カネ・情報の経営資源を適正に配分して最大限に活用することもマネジメントに必要です。適材適所を代表とする経営資源の最適化の判断力は企業成長に大きく貢献できるスキルです。
リスク管理
状況を正しく分析してリスクを把握し、適切な管理をすることで、自信を持ってマネジメントを進められるようになります。
コミュニケーション
組織の結束力や協調性を高めるためコミュニケーションはかかせません。
適材適所の人材配置をするためにも、コミュニケーションを通しての個人のスキルやエンゲージメントの把握が必要です。
また、メンバー同士のコミュニケーションを促進することも大切です。マネージャーが現場の潤滑油になるのが理想です。
アセスメント
部下のポテンシャルを見抜くことは組織の繁栄につながります。
観察や定期的な面談を通して長所・短所や意欲を理解し、人材価値を引き出しましょう。
部下の能力を伸ばすという視点を持って頻繁に接し、成長機会を個別に与えることがポイントです。
アセスメントについて、より詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてみてください。
マネジメントに長けた人材を活用しよう
マネジメントは組織ミッションを達成するために欠かせません。
しかし、人材育成に難航することがあります。その場合は中途採用を通してマネジメントに長けた人材を起用することも検討しましょう。
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