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ゼネラリストとは?スペシャリストとの違い、強みや育成方法を解説

ゼネラリストとは「幅広い分野についての知識や能力を持つ人」を指し、ビジネスの世界ではスペシャリストとセットで使われることが多い言葉です。

ゼネラリストは、企業ではディレクターや管理職とも呼ばれます。組織全体を広い視野で見渡し、調整やマネジメントを行う役割があり、企業運営において重要な存在です。

しかし、転職のハードルが下がり、複数の企業でキャリアを積むことが一般的となった現代において、「ゼネラリストは時代遅れだ」とする見方が強まっているのも事実です。

そこで本記事では、ゼネラリストの概要やスペシャリストとの違い、強みや育成方法についてわかりやすく解説していきます。

ゼネラリストとは?

ゼネラリストとは「幅広い分野についての知識や能力を持つ人」のことです。ディレクターやプロデューサー・マネージャーなどが該当します。

ゼネラリストの役割は、オールラウンダーとしてチームや組織全体を俯瞰で見渡し、的確な調整やマネジメントを行うことです。

たとえば、特定分野の専門家が集まって仕事を進める場合、専門家よりも幅広い知識や視野を持つゼネラリストがまとめ役となり、メンバーの力を最大限に引き出せるようマネジメントを担当します。

ゼネラリストは、幅広い知識や経験を積む必要があります。したがって、キャリアパスとしては、総合職で入社し、さまざまな部署や職種を経験したあとに管理職やマネージャーとして全体を管理する立場になる、という流れが一般的です。

参考:
コトバンク|ゼネラリスト
HR hacker|ゼネラリストとスペシャリスト

ゼネラリストとスペシャリストの違い

ゼネラリストとよく比較される職種にスペシャリストがあります。

スペシャリストとは「特定の分野における専門的な知識と能力を持つ人」のことです。専門家や技術者、エンジニアや研究者などが該当します。

スペシャリストに求められる役割は、深い知識や経験値を持つエキスパートとして専門分野で活躍することです。

スペシャリストのキャリアパスとしては、専門職として入社後、一つの部署や職種を継続し、特定の作業や分野・技術領域において知識や技術を高めて組織に貢献する、というケースが多いです。

ゼネラリストとスペシャリストの違いをまとめると、次の表のとおりです。

ゼネラリストスペシャリスト
知識や能力幅広い分野に精通、総合的特定分野に精通、専門的
採用時の職種総合職専門職
役職管理職、マネージャー、プロデューサー、ディレクター専門家、エンジニア、研究者、技術者
キャリアパス・さまざまな部署や職種を経験し、総合的な知識と能力を身に着け、全体を管理するオールラウンダー
・異動や転勤などジョブローテーションを繰り返し、長期的に育成される
・一つの部署や職種を経験し、特定の分野における専門性を高め、知識や技術で組織に貢献するエキスパート
・高い知識や能力を持ち、専門分野で企業経営を統括するポジションになる

ゼネラリストの強みとは?

ゼネラリストが持つ強みについて詳しく見ていきましょう。

強み1.広い視野を持っている

ゼネラリストは、幅広い知識や能力によって全体最適を実現する広い視野を持っています。

さまざまな部署や職種・業務を経験しているため、他の部署や立場に立って多角的に物事をみることができます。

専門性ではスペシャリストに劣る部分もありますが、ゼネラリストは、幅広い知識や能力・経験などを活かして、広い視野でさまざまな仕事に臨機応変に対応できる点が強みです。

強み2.コミュニケーション能力が高い

ゼネラリストは、組織やチームのまとめ役として各部署との連携や調整を行うため、コミュニケーション能力が必要不可欠です。

ビジネスでは、プロジェクト推進やマネジメントの場面で多くの人と関わります。その中でゼネラリストは、各部署からの意見や要望を汲み取り、各部署の立場を理解したうえで最適解に向かって調整しなければなりません。

各部署との軋轢を生むことなく、円滑にプロジェクトを推進できる、高いコミュニケーション能力が強みと言えます。

参考:MOTIVATION CLOUD|ジェネラリストとは?スペシャリストとの違いや役割について

強み3.行動力や判断力に長けている

ゼネラリストは、行動力や判断力に長けているため、強いリーダーシップを発揮して組織やチームを先導します。

ゼネラリストは、さまざまな部署や職種における豊富な経験から、物事の全体像を俯瞰的に見渡せます。また、全体像を俯瞰で見られるからこそ、プロジェクトの停滞中や、課題・問題に直面した際にも、最善の行動や判断ができる頼もしいリーダーでもあります。

「チームや組織の目標達成に向けて優先すべきことは何か」を広い視野で考え、行動・判断できる点も大きな強みです。

参考:en-gage|これからの時代に求められるゼネラリストとは?

ゼネラリストは時代遅れではない

転職が一般化し、1社でキャリアを積む時代は終わりを告げたといっても過言ではありません。また、多くの業務が複雑化したことで、より専門的なスキルが求められるようになりました。

この動きを受け、世の中ではスペシャリストを求める傾向が強くなり、「ゼネラリストは時代遅れ、役に立たない」と見る風潮があります。

しかし、実際には「ゼネラリストは時代遅れ」ではありません。企業や組織を運営するためには必要不可欠な存在です。

参考:Schoo for Business|ジェネラリストとは?その特徴や企業で育成する方法について解説する

「ゼネラリストは役に立たない」は嘘!企業に必要な理由とは?

ゼネラリストが時代遅れではない最も大きな理由は、「企業や組織が目指す方向へ進むためには、チームを横断的に取りまとめる存在(=ゼネラリスト)が必要だから」です。

ゼネラリストが不在の組織では、個々が自由に業務を遂行しがちとなり、チーム間の調整が果たされず組織全体がまとまりません。個々がどれだけ突出した能力を持っていても、組織として機能しなければ意味がないでしょう。

現に、厚生労働省は「平成30年版労働経済の分析」で以下を公表しています。

我が国企業では、新規学卒者をゼネラリストとして採用し、転勤や配置転換などにより内
部育成・昇進させていく「内部労働市場型の人材マネジメント」が主流となっている。
(中略)
全規模・全産業では、51%がゼネラリストを重視する企業である一方で、49%がスペ
シャリストを重視する企業である。

引用元:厚生労働省|平成30年版労働経済の分析

つまり、特定分野の高いスキルを持つスペシャリスト、目標やゴールに向かって指揮を執るゼネラリスト、どちらが欠けても良い成果を残せないのです。ゼネラリストは時代遅れではなく、今も組織に欠かせない重要な存在と言えます。

参考:厚生労働省|平成30年版労働経済の分析(p.111)

ゼネラリストに適したポジション・仕事とは?

ゼネラリスト的な働き方ができる人には、どのようなポジション・仕事が適しているのでしょうか。ゼネラリストと非常に親和性の高いポジション・仕事についてご紹介します。

1.管理職・マネージャー

ゼネラリストに最も適しているのが、部署の上層部である管理職やマネージャーです。

プレイヤーとして非常に有能だからといって、必ずしも管理職やマネージャーとして活躍できるとは限りません。有能な管理職やマネージャーには、現場の現状を的確に把握できる広い視野が求められます。

多くの知識や経験から得た広い視野を持つゼネラリストこそ、管理職として最適と言えます。

2.人事・総務

人事・総務部門は、労務や採用、契約管理や福利厚生、経理や庶務など多様な業務をこなさなければなりません。また、企業経営に必要な実務について、幅広い知識や能力が求められます。

さらに、多くの人とコミュニケーションを図る必要があり、各部署との架け橋になってトラブル対応や業務改善などに率先して着手するセクションです。

さまざまな意見に耳を傾けつつ、企業や組織としての全体最適を目指して各部署をまとめる力が必要不可欠であるため、人事・総務部門の仕事はゼネラリストに適していると言えるでしょう。

3.ベンチャー・スタートアップの社員

ベンチャーやスタートアップ企業は少数精鋭であることが多く、一人ひとりに与えられる裁量がとても大きいです。

したがって、個々のカバーする業務範囲が広く、大企業や中小企業に身を置くよりも多くの仕事に携わる傾向があります。業務のなかで学ぶことや身に付くスキルが多く、臨機応変に対処できるオールラウンダーに成長できるのです。

ベンチャーやスタートアップ企業の社員は、未経験であってもチャレンジできる環境に身を置けるため、ゼネラリストとしての経験を積むうえで最適なポジションです。

参考:Geekly Media|ゼネラリストについて転職エージェントが解説。特徴やキャリアの詰み方について徹底解説します!

ゼネラリストの育成方法とは?

組織やチームにおいて重要なポジションを担うゼネラリストは、どのように育成すれば良いのでしょうか。

具体的な育成方法を2つご紹介します。

育成方法1.ジョブローテーション

一つ目がジョブローテーションです。

ゼネラリストは、複数の専門分野のスペシャリストやチームメンバーを統率する存在です。スペシャリストのように特定分野に特化する必要はありませんが、さまざまな部署や職種に対する理解を深めなければなりません。

そのため、多くの業務を経験でき、幅広い分野の知識や能力を身に付けられるジョブローテーションは、ゼネラリスト育成に適しているでしょう。

育成方法2.適性を評価する制度(CDP)の導入

二つ目は適性を評価する制度(CDP)の導入です。

CDPとはキャリア・ディベロップ・プログラムのことで、中長期的スパンの人材育成を目的とする能力開発プログラムです。CDPでは、ゼネラリストとして活躍が期待される従業員が主体となって目標を設定し、企業側は従業員の目標達成に向けて全面的にサポートします。

従業員本人の希望するキャリアを実現するうえで必要な資格や求められる能力などを計画的に構築するプログラムのため、従業員は主体的に能力開発でき、企業側は適性を定期的にチェックできるのです。

優秀なゼネラリストになるには統合力が必要

先行き不透明で変化の激しいVUCA時代を生き抜く優秀なゼネラリストになるには「統合力」が必要です。

統合とは複数のものを合わせて一つにすることで、「統合力」とは複数の知識やスキル、それらを持つ人材をまとめ上げる力のことです。「統合力」は、より多くの専門家の話に耳を傾け、幅広い分野の知識を身に付けることで養えます。

各分野のスペシャリストのスキルを活用し、各部署の意見や要望を汲み取り、まとめ上げることを意識して振る舞いましょう。

参考:日経ビジネス|有能な「ゼネラリスト」になるために

まとめ

「幅広い分野についての知識や能力を持つ」ゼネラリストは。豊富な業務経験や幅広いスキルを持ち、企業や組織運営において非常に重要な役割を担っています。

転職の一般化や業務の複雑化などによって、ゼネラリストは時代遅れと見る風潮もありますが、調整やまとめ役が不在では組織は上手く循環しません。

ゼネラリストの広い視野があることで、スペシャリストの持つ高いスキルや知識がまとまり、各部署の意見や要望の調整が可能となります。組織を取りまとめたり、チームの全体最適を目指して課題解決を図ったりするなど、ゼネラリストはまさにマネジメントに適切なポジションと言えます。

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