近年、新入社員・若手社員の離職率が高まってきています。企業にとって、若手人材の流出は大きな痛手です。社員を企業に定着させるためには、社員の悩みを解決することが肝要になります。そこで注目されている施策が「フォローアップ」です。
本記事ではこのフォローアップについて、概要や具体的な方法、実施例について解説していきます。若手社員の離職にお悩みの方や、フォローアップについて知りたい方は、ぜひ一読してみてください。
フォローアップとは
フォローアップとは、進行している物事などに対して、内容や効果を確認したり、より効果的に進められるようサポートを行うことです。
ビジネスでは、
- 研修やプロジェクトを進める
- 完了してから一定期間経過した
などの際にフォローアップが行われます。
フォローアップが重要視される背景
かつてフォローアップはそこまで重要視されていませんでした。ただ、近年「新入社員の離職率」が高くなってきます。
厚生労働省が公表している「新規大卒就職者の事業所規模離職状況」によると、平成29年3月に卒業した大卒者のうち、1年後には「11.5%」、2年後には「22.9%」、3年後に「32.8%」が離職しています。3年間で新規就職者の30%以上が離職してしまうのです。
企業側からすると、コストをかけて新卒を採用するので、新入社員にはなるべく長く働いてもらい、企業に貢献してほしいのが本音です。
そこで、離職率を下げる施策として「フォローアップ」が注目され始めました。
離職率が高まっている要因
新入社員の離職率が高まっている要因を把握することで、フォローアップを行う意義を明確にできます。
下記が、離職率が高まる代表的な要因です。
- 給料が低い
- 労働時間が長く、休みが少ない
- 職場の人間関係が悪い
- 評価が公平に行われない
- 企業・仕事内容に対して将来性を持てない
- パワハラを受けている
給料が低い
給料が低いと、働くモチベーションが低下しやすくなります。月給以外にも、ボーナスや福利厚生などが充実していないと、早期離職に繋がってしまいます。
関連記事:早期離職する7つの理由と具体的な対策方法|改善した企業事例も紹介
労働時間が長く、休みが少ない
1990年代後半~2000年代生まれの世代は「Z世代」と呼ばれています。この世代の人たちは、「プライベートの充実」を大切にしている人が多いです。そのため、労働時間が長かったり、休みが少ない環境だと離職する可能性が高まります。
職場の人間関係が悪い
「職場の人間関係」も主な離職要因です。職場の人間関係が悪いと居心地が悪くなり、余計なストレスを抱えてしまいます。仕事自体が上手く進んでいても、人間関係が悪いとモチベーションが下がりやすくなります。
評価が公平に行われない
人事評価が公平に行われないと、評価を受けた側は不満を持ちます。正当な理由がある評価であれば問題ありません。ただ、人事側の主観・偏見が強いと感じられる評価だと、納得できる人は少ないでしょう。不公平な評価を受けて、離職を決意する若手社員が多くいる点に、留意する必要があります。
企業・仕事内容に対して将来性を持てない
企業や仕事内容に対して将来性を持てない場合も、離職に繋がりやすいです。国内の中小企業の中には、グローバル化やデジタル化に追いつけず、業績が落ちている企業も少なくありません。学生時代には見えなかった衰退の現実を見てしまい、離職を決意する若手社員もいます。
パワハラを受けている
パワハラは大きな離職要因です。上司側がパワハラと認識していなくても、若手社員にとってはパワハラと感じることもあるので、言動に注意を払う必要があります。
フォローアップの具体的な方法
フォローアップの具体的な方法として、下記の方法が挙げられます。
- 人事面談を行う
- メンター制を導入する
- フォローアップ研修を行う
- 上司がフォローアップを行う
- ストレスチェックを活用する
- 管理職研修を行う
人事面談を行う
定期的に人事面談を行うことで、従業員に対してフォローアップを行えます。上司や先輩社員に言えないような悩み事でも、人事部の社員に対しては言いやすい人が多いです。特に、新卒で入社したばかりの社員は、上司や先輩よりも人事部社員の方が面識が深いケースもあります。採用や新卒研修などでお世話になった人事部社員であれば、なおさら悩みを相談しやすいでしょう。
人事部側にとっても、新卒社員が抱えている悩みを把握することで、今後の採用活動や研修に活かすことができます。
メンター制を導入する
メンター(mentor)とは日本語で「助言者」という意味です。新卒社員・若手社員に対してメンターを設けて、悩み相談やサポートを行う制度をメンター制と呼びます。メンター制を活用することで、新卒社員・若手社員に対して個別にフォローアップを行えます。メンターは別部署の社員が行うことが多く、新卒社員・若手社員は気兼ねなく相談しやすいです。
フォローアップ研修を行う
企業によっては「フォローアップ研修」を行ってフォローアップを行うケースもあります。フォローアップ研修は、特定の研修が終了してから一定期間経った後に実施される研修です。研修した内容を実務で実践できているか、また問題点が浮上してしないかなど、振り返りを行っていきます。
フォローアップ研修は、新卒社員の離職率を下げるために実施されることも多いです。配属後の悩みを解消したり、同期と集まる機会を提供することで、新卒社員のモチベーションを高めていきます。
フォローアップ研修については、次の章にて詳細を解説していきます。
モチベーションを高める方法については、以下の記事をご覧になってください。
上司がフォローアップを行う
上司が部下に対して直接フォローアップを行う方法もあります。日常的に接する機会が多い上司であれば、部下の様子や課題を細かく把握できるので、的確なフォローアップを行いやすいです。上司がフォローアップを行う際は、威圧的な空間にならないよう配慮しなければなりません。「何を言っても、今後の評価には影響しない」等、部下が安心して悩みを相談できる環境を整えましょう。
ストレスチェックを活用する
2015年12月より、従業員50名以上の企業は年に1回、ストレスチェックを行う必要があります。ストレスチェックでは、従業員が抱いているストレス状況をチェックして、従業員自身にストレス状況を認知させます。
ストレスチェックを義務的に行っていては勿体ないです。ストレスチェックの結果を踏まえて、従業員の不平・不満を把握して、職場環境を改善していくことが肝要になります。
管理職研修を行う
管理職が適切なフォローアップを行えるよう、管理職研修を行うのも重要です。管理職のスキルが不足していると、日常的なフォローアップに支障が出ます。新入社員・若手社員に対してどのように接するか、管理職としての適切な振る舞い方など、管理職研修で共有していきましょう。
フォローアップ研修のポイント
フォローアップ研修を実施する際は、下記のポイントを押さえてください。
- 悩み・課題の共有を行う
- 発言できる環境を整える
- 事前調査を行う
- フィードバックを集める
悩み・課題の共有を行う
フォローアップ研修は、悩み・課題の共有を行う場です。参加社員が互いに競争する場ではありませんので注意してください。「研修」と聞いて、緊張したり身構える新入社員も少なくありません。研修の目的を事前に共有して、社員が参加やすい状態にしましょう。
発言できる環境を整える
フィードバック研修では、新入社員が自由に発言できる環境を整える必要があります。自由に発言できないと、社員の本音が汲み取れません。直属の上司・先輩社員の同席は避けた方がよいでしょう。
事前調査を行う
参加する社員に対して事前調査を行って、社員がどのような悩み・課題を抱えているか把握しましょう。事前に情報を把握しておけば、フォローアップ研修のカリキュラムを組みやすいです。また、社員のグループ分けにも活用できます。
研修後にアンケートを集める
フォローアップ研修終了後に、参加社員からアンケートを集めましょう。研修に対する満足度・意見を把握すれば、次回のフォローアップ研修に活かせます。率直な満足度・意見を集めるためにも、アンケートは匿名形式がおすすめです。
フォローアップ研修を行うタイミング
フォローアップ研修を行うタイミングは、研修から「3ヵ月」もしくは「6カ月」、「1年」経過したタイミングがベストと言われています。
3ヶ月後に行うフォローアップ研修
研修から3ヶ月経過した際に行うフォローアップ研修では、業務の進め方を再確認したり、業務に対する不安を払拭することに注力します。一般的には、新入社員研修とセットで実施されることが多いです。配属先で抱えている悩みなども汲み取って、早期離職の防止に努めていきます。
6ヶ月後に行うフォローアップ研修
入社から6ヶ月ほど経過すると、中だるみしてくる若手社員が増えてきます。モチベーションが落ちないよう、課題の再検討を行ったり、スキル向上を目的としたフォローアップ研修を実施するのが肝要です。
1年後に行うフォローアップ研修
1年後に行うフォローアップ研修では、1年間の総振り返りを行うことが多いです。新卒社員・若手社員が次のステップへ進めるよう、新たな目標設定や管理職研修などもセットで行われます。キャリアプランについて考える機会を設けるのも、定着度向上に効果的です。
上記以外のタイミングでフォローアップ研修を行うのも問題ありません。細かくフォローアップを行える環境であれば、頻度を増やすことに越したことはないでしょう。
まとめ
フォローアップを行うことで、社員の離職を予防できます。近年は新入社員の離職率が高まっているため、フォローアップの重要度は増していると考えてよいでしょう。フォローアップの方法は、研修や人事面談など様々です。部署に合った方法を採用して、フォローアップを実践していきましょう。
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