企業理念は企業の根幹をなす重要な要素です。企業理念が浸透している企業では、全社員の意識統一が容易となり、事業効率の改善やエンゲージメントの獲得につながります。
企業理念は設定や社員への周知方法を誤ると理解や共感を得られず、全体に浸透しなくなるため、適切な対応が必要です。
今回の記事では、理念浸透の定義や効果、成功させるための具体策について解説します。

理念浸透とは
理念浸透とは、企業が掲げる経営理念を社員に行き渡らせることです。社員が経営理念を理解し、理念の実現に向けて行動している状態を指す場合もあります。
業務効率の向上や企業成長を促進するためには、理念浸透による意識の統一が必要不可欠です。
企業理念を構成する要素
企業理念は以下の5つの要素で構成されます。
- ミッション:企業が果たすべき使命。社会と企業の関係性を表したもので、企業がある限り不変
- ビジョン:企業が目指すべき将来像。日々アップデートされる
- バリュー:その企業にしか生み出せない価値や強み
- スピリット:ミッション、ビジョン、バリューを達成するための組織の構成員一人ひとりの精神や行動指針
- スローガン:企業のミッションをわかりやすく表現したもの。マーケットや顧客に企業理念の理解を促すために必要
上記の構成要素からわかるとおり、企業理念は単に設定するだけでは意味がありません。社員一人ひとりが理念を理解し、理念に合った精神のもと行動すること、マーケットや顧客に対し、わかりやすく企業理念を伝えることが重要です。
企業理念を浸透させるべき理由
企業理念が社員に浸透すると、業務効率の向上や離職率の低下につながります。その理由として、以下の3点が挙げられます。
- 会社全体が一枚岩になる
- 社員のエンゲージメントやモチベーションが向上する
- 自社にマッチした人材の確保が可能になる
詳しく見ていきましょう。
会社全体が一枚岩になる
理念浸透が実現すると、企業の価値観やビジョンという土台のもと、会社全体が一枚岩となります。企業の方向性と社員の行動のズレがなくなるため、業務効率の向上につながるでしょう。
また、経営陣が立てた企業戦略についての疑念が生まれにくく、意思決定がスムーズになる点もメリットです。
加えて、理念浸透はコンプライアンス遵守の促進にも役立ちます。組織の一員であるという意識が高まり、企業の正当性、透明性に対する責任感が生まれるためです。
社員のエンゲージメントやモチベーションが向上する
企業理念の浸透により、社員のエンゲージメントやモチベーション向上も期待できます。企業理念は会社の存在意義や社会的な価値を言語化したものです。社員は企業理念を通じて、自身が果たすべき役割を理解します。
働くことで社会に貢献できているという意識は、社員の自己実現欲求を満たし、モチベーションを向上させます。
また、先述のとおり、理念浸透により社員の帰属意識が芽生える点もメリットです。自社へのエンゲージメントが高まり、定着率の向上が望めます。
自社にマッチした人材の確保が可能となる
理念浸透は新規社員の採用にもプラスに働きます。採用担当者が企業理念を深く理解することで、採用時の判断基準に一貫性が生まれるためです。企業風土と親和性の高い人材を確保できるため、早期離職率の低下も期待できるでしょう。
一般社員に対する理念浸透も、人材確保に役立ちます。自社に合った人材を既存社員に紹介してもらう「リファラル採用」の精度が上がるためです。
理念浸透を進めるためのポイント
理念浸透を進めるためには、理念の明確な設定と社員への周知が必要です。
また、企業理念は単に理解・共感するだけでは意味がありません。企業理念に沿った行動を社員一人ひとりが取ることで、はじめて企業は一枚岩となり、方向性を同じくして業務に取り組めます。
企業理念を行動ベースから社員に浸透させるためのポイントは、以下の4つです。
- 明確な企業理念を設定する
- 経営陣や管理職が手本となる行動を取る
- 社員に対し理念の理解や共感を促す
- 理念ベースで行動できているか確認・評価する
各ポイントについて詳しく解説します。
明確な企業理念を設定する
まずは、経営陣が明確な企業理念を設定し、言語化することが重要です。抽象的な表現や時代遅れの思想に基づいた企業理念では、社員の理解や共感を得られません。
企業の現状や課題、強みを分析し、企業理念の5要素を意識して、わかりやすく魅力的な理念を設定しましょう。
経営陣や管理職が手本となる行動をする
経営陣や管理職が理念に沿った行動を取り、社員の手本となることも重要なポイントです。立派な企業理念が設定されていても、上層部が軽視していると、社員の理解や共感は得られません。
重要な経営決定から日常的な業務にいたるまで、一貫して理念に基づいた行動を取り、その行動理念を社員と共有することで、社員は企業理念の価値を実感します。理念に沿って判断を行うという思想が浸透し、社員の行動も自然と変化するでしょう。
社員に対し理念の理解や共感を促す
理念が決定したら、社員に対してこまめに周知を行い、理解と共感を促します。具体的な手段としては、社内報や動画による説明などが挙げられます。企業理念が頻繁に目に入るようになれば、理念浸透が進むでしょう。
理念ベースで行動できているか確認・評価する
理念浸透の対策を行ったあとは、社員が理念を理解できているかの確認・評価が必要です。具体的な手段としては、アンケートや1on1面談などが挙げられます。
社員への意識調査を行う際は理解度だけではなく、理念ベースで行動できているかを確認しましょう。
理念浸透のための具体策
理念浸透は一朝一夕には進みません。企業理念は抽象的な概念であり、全社員からの理解と共感を得るのは困難であるためです。
理念浸透を促進するには、情報発信や研修の実施、評価制度の設定など、企業をあげてのダイナミックな施策が必要です。
ここでは、理念浸透のための具体策を3つご紹介します。
情報発信を行う
企業理念についての情報発信を行い、社員に理念の理解・共感、理念に基づいた行動を促します。情報媒体は印刷物、Web、動画などさまざまな種類があるため、企業風土や社員数、予算に合わせて選びましょう。
情報媒体ごとの具体例やメリットは以下のとおりです。
媒体の種類 | 具体例 | メリット |
---|---|---|
紙媒体 | 社内報クレドカードブランドブックカルチャーブック | 文字を読むことで深い理解につながる何度も読み直すことで理念が浸透しやすい |
広告 | CM新聞広告雑誌記事広告交通広告 | 拡散力が大きい社外からも理念の理解を得られ、ブランディングの構築に役立つ |
Web | 社内SNS社員情報共有サイトポータルサイトイントラネット | 常に最新情報を発信できるリモートワークなどで物理的な隔たりがある社員にも浸透しやすい |
動画 | 社内イベント用動画ヒストリー模範社員エピソード | 感覚に訴えかけ、深い理解と共感を促せるさまざまなシーンで活用できる |
研修やイベントを実施する
紙媒体やWebを活用した日常的な情報発信に加え、研修やイベントを開催し、集中的に理念浸透を促しましょう。
浸透度や階層、勤続年数に合わせた研修を行うことで、理念への理解や共感をより深められます。
一方的なレクチャーでは聞き流される、理解が追いつかないといった問題が起こりえるため、社員自身が主体的に考え、意見を交換する時間を設けることが重要です。
理念浸透に効果的なイベントは以下のとおりです。
イベントの種類 | 具体例 | メリット |
---|---|---|
研修会 | 新入社員研修スキルアップ研修管理職研修 | 理念浸透に集中して取り組める理解度や勤続年数に応じて内容を変えられる |
講演会 | 朝礼年頭挨拶 | 社長や経営陣が直接理念について話すことで説得力が増す |
イベント | キックオフ全社総会表彰式グッズや冊子の作成 | 社員に一体感が生まれやすいイベントの企画段階から社員を巻き込むことで、理念浸透が促進される |
評価制度を設ける
評価制度の策定は、理念浸透の施策のなかでもとくに高い強制力が望めます。企業理念に沿った行動をしている社員を評価し、昇進・昇給に反映させたり、表彰したりすることで、社員の理念浸透を促します。
企業理念が抽象的で評価基準にそぐわない場合は、企業理念を反映させた行動指針を具体的に設定し、評価項目に入れ込むとよいでしょう。
また、個人の言動は見過ごされてしまい、正当な評価ができない場合があります。公正かつ適切な評価を行うため、以下の手法を取り入れることも検討しましょう。
- 面談やミーティングによる「リアルタイムフィードバック」
- 人事担当者や上司、同僚、他部署などさまざまな立場の人物が多角的に評価を行う「360度評価」
理念浸透が進まない原因と対策
理念浸透のための施策を行っているにもかかわらず、手ごたえを感じられない場合は、原因を探る必要があります。
理念浸透が進まない主な要因は以下の2点です。
- 社員が企業理念に共感していない
- 社員が企業理念を理解していない
同じように理念浸透が進んでいない社員でも、その要因は異なります。社員一人ひとりの状態を把握し、優先すべき対策を考えることが重要です。
理念浸透を促進するための対策を「共感不足」と「理解不足」の2つの要因に分けてご紹介します。
社員が企業理念に共感していない場合
理念浸透が進まない要因の一つに共感不足があります。社員は企業理念の重要性や必要性を実感できず、理念に沿った行動を取るモチベーションを維持できていない状態です。
共感性の低い社員に対しては、企業理念の重要性を情報発信や研修で伝えたり、上層部が手本を示したりすることで、理念の価値を実感してもらう必要があります。
また、該当社員が尊敬している上司や先輩から企業理念について説明すると、企業理念の重要性を感覚的に理解できるかもしれません。
ただし、理念への共感を社員に強制することはできません。無理に企業理念を押し付けると、会社への不信感や反発心が生まれ、モチベーションの低下や離職につながるおそれがあります。
社員が企業理念を理解していない場合
理念浸透が進まないもう一つの要因が、理解不足です。企業理念に対する明確なイメージができていない、企業理念は理解しているものの、どうやって行動に落とし込めばよいのかわからないケースです。
この場合、企業理念が曖昧な内容になっていないか、伝わりやすい表現になっているかを改めて見直しましょう。また、情報発信の方法を変えることも有効な対策です。
加えて、1on1面談などで社員一人ひとりの理念浸透の度合いを把握し、理解の及んでいない社員に対しては再度説明することで、理解度に合わせた浸透対策が可能です。
また、企業理念に基づきどのような行動をしてほしいか、企業理念に沿った行動を取ることでどのようなアドバンテージがあるのかを明確にし、理解を促しましょう。経営陣が手本となって行動規範を示すことも重要です。
理念浸透のためには社員一人ひとりの状態把握が必要
理念浸透は、社員の自社に対するエンゲージメントやモチベーションを高め、定着率や生産性アップにつながります。
また、企業が一枚岩となって事業にあたれるため、重要な決定がスムーズとなり、コンプライアンスの遵守が促進される点も理念浸透のメリットです。
理念浸透を進めるためには、まず具体的かつ魅力的な企業理念を設定することが重要です。企業理念が決まったら、社員の理解を促し、理念に沿った行動を取れるようになるまで情報発信や研修、1on1面談などでフォローを行いましょう。
理念浸透が思うように進まない場合は、企業理念に対する共感もしくは理解が不足している場合があります。社員一人ひとりの理解度や性格を把握し、適切な施策を考えることで、社員の理解や共感を得られるでしょう。
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