1on1を定期的に実施していても、いざ始まると「何を話せばいいかわからず、沈黙が続いてしまう」という経験はありませんか。
部下の話を引き出し、具体的なアクションにつなげなければ、形だけの面談で終わってしまい、お互いの信頼関係も築けません。
1on1は、部下の成長をサポートするための「対話の場」です。そのため、上司は事前に進め方を把握し、部下にも話したいテーマを考えてもらうなどの工夫が必要です。
本記事では、上司と部下の双方が「話すことがない」と感じる要因に加え、以下の内容を詳しく解説します。
- 1on1で「話すことがない」ときの対策【上司側・部下側】
- プライベートを話したくない部下への対応方法
- 1on1が有意義な時間に!具体的な進め方と話すべきテーマ
この記事を読むことで、部下から自発的な意見や相談が増え、1on1での沈黙の時間が減るはずです。ぜひ最後までご覧ください。
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【上司側】1on1で「話すことがない」と感じる3つの原因

上司が「何を話せばいいのかわからない」と戸惑う背景として、以下の3つの要因が考えられます。
それぞれの要因を分析すると、1on1で陥りやすい落とし穴や、進め方のポイントが見えてきます。各要因を詳しく見ていきましょう。
以下の記事では、1on1は「意味がない」「無駄」と言われる理由と対策について解説しています。本記事と合わせて確認してみてください。

1on1の進め方を把握していない
1on1で部下の話を引き出すためには、進行役の上司が基本的な流れを把握しておかなければなりません。
しかし、その手順を理解していないと会話が途切れやすく、形式的な面談で終わってしまいます。結果として、上司・部下ともに「とくに話すことがない」と感じ、1on1が負担になってしまうのです。
話すことがなく、短時間で終わるような1on1が続いてしまうと、やがて「やらなくてもいいのでは」という考えにもなりかねません。
このように表面的に1on1を実施していても、部下の成長や信頼関係の構築にはつながらないため、基本的な進め方を押さえておくことが大切です。流れを理解していれば、沈黙が減り、会話が自然に広がります。
>>「1on1の効果的な進め方」を確認する
※本記事の後半にジャンプします
指導・評価が主体の1on1になっている
1on1が上司による「指導」や「評価」の時間になっていると、部下は緊張して身構えてしまい、自分の意見を話せなくなります。
その結果、上司が期待するような部下からの課題の共有や、前向きな提案が生まれず「話すことがない」と感じる状況が続きます。
指導や評価ばかりが続くと、部下は「どうせ指摘されるだけ」と1on1を避けたい気持ちが強くなり、本来の目的である関係性の構築にはつながりません。
こうした状況を避けるためには、1on1を評価の場と切り分け、部下のキャリアや気持ちに焦点を当てた「対話の場」として捉える必要があります。
>>話したいテーマを部下に考えてもらう
>>部下が安心して話せる雰囲気をつくる
※本記事の後半にジャンプします
質問・傾聴のスキルが低く、部下の話を引き出せない
上司の質問・傾聴のスキルが不足していると、「上司だけが話し続け、部下がほとんど発言できない」といった、一方的な会話で終わってしまいます。その結果、会話が広がらず「話すことがない」と感じやすくなるのです。
たとえば、信頼関係を築けていない段階で「最近どう?」と問いかけても、部下は「とくに変わりません」と答えるしかありません。
部下の本音を引き出せない状況は、多くの企業に共通する悩みであり、調査結果にもその傾向があらわれています。
株式会社リーディングマークでは、若手社員の離職対策を行っている企業に対して、「現在課題に感じていること」を調査しました。その結果、48.1%は「若手社員のニーズや価値観を十分に理解できていない」と回答しています。
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この結果からもわかるように、1on1を有意義な時間に変えるためには、部下の話に耳を傾け、話の背景にある考えや価値観まで理解しようとする姿勢が重要です。
>>傾聴を意識し、部下の気持ちに寄り添う
※本記事の後半にジャンプします
【部下側】1on1で「話すことがない」と感じる3つの原因

1on1で「話すことがない」と感じるのは、上司側の要因だけではありません。以下のように、部下側にもいくつかの要因が存在します。
これらの要因を理解することで、上司は部下の立場を踏まえた対応ができ、1on1がより有意義な時間になります。
以下より、それぞれの原因を詳しく見ていきましょう。
そもそも何を話せばいいかわからない
部下が「話すことがない」と感じる要因の一つは、「そもそも何を話せばいいか」を部下自身が理解していないことです。
その背景として、1on1の目的を上司や人事が正しく伝えておらず、一般的な面談と混同してしまっている可能性があります。
1on1を「業務報告」や「評価」を行う時間として認識し、自由に意見を話す場だと気づいていないのです。
また、上司から具体的なテーマの提示がなければ、部下は「どのような話題を持ち込めばいいのか」と迷ってしまいます。結果として、準備不足のまま面談に臨み、部下の話を引き出せないまま終わってしまうケースも少なくありません。
1on1を実施するときは、目的や話すべきテーマをあらかじめ部下に共有することで、自分の考えや悩みを整理して臨めるようになります。
>>部下主導の対話であることを理解しておく
※本記事の後半にジャンプします
上司との信頼関係が築けていない
上司との信頼関係がまだ十分に築けていない場合、部下は自分の悩みや不安を言葉にすることに強い抵抗を感じます。
たとえ業務上で大きな負担を抱えていたとしても、相談に対して「真剣に受け止めてもらえるのだろうか」と考え、あえて口を閉ざしてしまうのです。
また、自身の評価への影響を懸念し、発言を控えている可能性もあります。「悩みを打ち明けると、能力が低いと思われるのではないか」といった不安が先に立ち、結果として無難な返答しかしなくなります。
上司と部下の信頼関係を築くためには、日常的な会話や声かけから始め、お互いが「どういう人物なのか」を少しずつ理解していくことが大切です。
>>上司の反応を気にせず、本音を伝える
※本記事の後半にジャンプします
多忙で1on1のテーマを考える時間がない
日々の業務に追われていると、1on1の準備やテーマ決めをしないまま、面談当日を迎えてしまうケースも少なくありません。準備不足の状態では、普段話すような業務報告や雑談だけで時間が過ぎてしまいます。
その結果、本来の目的である課題の共有や、ネクストアクションの検討ができず、1on1を実施すること自体が目的になってしまうのです。
こうした状況を避けるためには、必ずしも業務に直結する内容だけにこだわらず、仕事以外のテーマにも目を向けてみましょう。また、上司から「テーマの一覧」をあらかじめ共有してもらうことで、準備の負担を軽減できます。
>>仕事以外の話したいテーマを考えてみる
※本記事の後半にジャンプします
プライベートを話したくない部下への対応方法とは?

1on1では「プライベートを話したくない」という部下も少なくありません。本人が個人的な話を望んでいない場合は、以下のような対応をしましょう。
以下より、それぞれの対応方法を詳しく解説します。
また、マネジメント理論に基づく「1on1の流れ」を解説した別の記事もご用意しています。話の進め方で悩んでいる上司や人事担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

無理にプライベートに踏み込んだ質問をしない
部下がプライベートな話を望んでいない場合は、無理に聞き出そうとせず、業務に関連したテーマを中心に会話を進めましょう。
私生活や家族関係などの話題は、相手との距離を縮めるきっかけになる一方で、触れられたくないと感じる人も少なくありません。
無理に踏み込んでしまうと「話したくもないことを聞かれている」と受け止められ、かえって信頼関係が崩れてしまうリスクがあります。
厚生労働省の資料においても、職場で私的なことに過度に立ち入る行為は、「個の侵害」としてパワーハラスメントに該当する可能性があると明記されています。
1on1は、あくまで部下の成長をサポートする「対話の場」であり、プライベートを把握する場ではないことを意識しましょう。
仕事上の目標や課題に焦点を当てる
プライベートを話したくない部下との1on1では、無理に雑談を広げるのではなく、仕事上の目標や課題に焦点を当てて対話しましょう。
部下にとって業務に関する話題は共有しやすく、ストレスを感じることなく発言できます。上司においても、部下の状況や課題を具体的に把握できるため、適切なサポートやアドバイスにつなげやすくなるのです。
目標や課題に焦点を当てたアプローチは、心理学のSDT理論(自己決定理論) にも関係しています。SDT理論では、人がやる気を持続させるための動機づけとして、3つの心理欲求が重要だとされています。
- 自律性(自分の行動を自らの意思で決定したいという欲求)
- 有能感(他者からフィードバックを受けたいという欲求)
- 関係性(他者と良好な関係性を築きたいという欲求)
つまり1on1は、部下が主体的に目標を設定できる「自律性」、課題を解決し達成感を得る「有能感」、上司との信頼関係を深める「関係性」の3つを満たすことになります。
業務に関連するテーマを軸に対話を進めることは、心理的にも効果的な方法であり、部下のモチベーション向上にもつながるのです。
参考:自律性・有能感・関係性の充足が私たちのウェルビーイングを高める|NECソリューションイノベータ株式会社
【上司側】1on1で話すことがない場合の対策3選

1on1で沈黙が続かないようにするには、上司と部下の双方が「対話の場」であることを意識する必要があります。
ここでは、上司側の対策を3つ解説します。
以下より、詳しく見ていきましょう。
話したいテーマを部下に考えてもらう
1on1で話すテーマは上司が決めるのではなく、部下に「自分が話したいこと」を考えてもらうことが大切です。
部下の興味がない話題で会話を進めてしまうと、「上司は一方的に話し続け、部下は質問に答えるだけ」といった状態になりやすく、双方向の対話にはなりません。
こうした事態を避けるためにも、上司や人事は、部下が主体的にテーマを考えられるようサポートする必要があります。
たとえば、事前に「話題リスト」を共有しておくことで、部下はその中から「今回話したいこと」を選び、1on1に向けて準備ができます。
【テーマ例】
- 最近の業務で感じた課題
- 成果につながったと感じる場面や要因
- 今後挑戦してみたい仕事や習得したいスキル
- 職場環境や制度に関する要望
準備段階で部下にテーマを考えてもらうことで、受け身ではなく、主体的な姿勢で1on1に臨めるようになります。
株式会社リーディングマークでは、テーマ設定や過去の振り返りを効率化できる『ミキワメ マネジメント』を提供しています。無料トライアルも実施していますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
部下が安心して話せる雰囲気をつくる
1on1を通じて、部下の悩みや仕事上の課題、キャリアの希望を引き出すためには、まず安心して話せる雰囲気をつくる必要があります。
具体的には、本題に入る前に5分程度のアイスブレイク(雑談)を設けて、部下の緊張を和らげましょう。「最近気になるニュース」や「趣味や休日の過ごし方」など、業務に直接関係のない話から始めることで、場の雰囲気が和みます。
メインテーマの対話をするときも、部下の意見を否定せず、受け止める姿勢を示すことで、心理的安全性(何でも意見を言えるような状態)が高まります。また、以下の点も合わせて伝えておきましょう。
- 評価や業績には一切影響しないこと
- 部下の許可なく他言しないこと
傾聴を意識し、部下の気持ちに寄り添う
1on1を行うときは、部下の話に相づちやうなずきで反応しつつ、最後までしっかりと話を聞く姿勢(傾聴)を大切にしましょう。傾聴を意識することで、部下は「理解してくれている」と感じ、より積極的に話すようになります。
会話が続かない原因の一つは、上司の傾聴や質問のスキルが不足している点です。上司は「話をしっかり聞いている」と思っていても、部下はそう感じていない場合があります。
たとえば、会話の途中で結論をまとめたり、すぐに解決策を提示したりすると、部下は「最後まで聞いてもらえなかった」と受け止めてしまいます。
部下の話に耳を傾けるときは、相づちやうなずきに加え、以下の点を意識してみましょう。
- 「オウム返し」で相手の言葉を繰り返して確認する
- 「それはどういうこと?」と質問し、話題を深掘りする
- 嬉しい出来事や成果は一緒に喜び、肯定的に受け止める
- 不満や失敗の話でも否定せず、共感を示す
このように、上司は話の受け止め方を工夫することで、部下は安心して本音を話せるようになります。
【部下側】1on1で話すことがない場合の対策3選

続いては、部下側の対策を3つ紹介します。上司に任せきりにせず、部下自身も1on1に向き合う姿勢を見直すことが大切です。
以下より、詳しく見ていきましょう。
部下主導の対話であることを理解しておく
1on1は、評価や指導を行う一般的な面談とは異なり、部下の成長や課題解決をサポートするための「対話の場」です。
そのため、1on1で「何を話すか」を決めるのは上司ではなく、部下主導であることを部下自身も理解しておく必要があります。
上司が会話の流れをすべてコントロールしてしまうと、部下は受け身になり、率直な意見や悩みを発言できません。
事前に「自分の話したいことを何でも話して」といった言葉をかけることで、部下は自分の関心や課題に沿ったテーマを持ち込みやすくなります。その結果、より深い気づきや具体的なアクションにつながるのです。
部下としては、受け身で1on1に臨むのではなく、自分の考えや希望を伝える時間であることを認識し、主体的に話題を考えてみましょう。
仕事以外の話したいテーマを考えてみる
仕事に関するテーマが思い浮かばないときは、あえて仕事以外に目を向けるのも有効です。
趣味や生活習慣などの何気ない話題は、上司との距離を縮めるきっかけになり、信頼関係の構築にもつながります。もちろん無理にプライベートをさらけ出す必要はなく、共有できる範囲で構いません。
たとえば、「最近読んだ本」や「興味を持っている資格」などの話題であれば、仕事にも間接的な関わりがあり、自然と会話が広がります。
上司にとっても、部下の価値観や関心を知るきっかけになり、仕事のアサインや育成方針を考える上で参考にできます。
少し視点を変えて仕事以外のテーマを取り入れることで、1on1が相互理解を深める時間となり、上司もより適切なサポートを行えるようになるのです。
上司の反応を気にせず、本音を伝える
1on1で部下が意識すべきことは、上司の表情や反応を過度に気にせず、自分の率直な考えを伝えることです。
職場環境への不満や人間関係のストレスなど、自分の気持ちを正直に伝えることで、上司は適切なサポートや改善策を検討しやすくなります。
もちろん、感情的に不満をぶつけるのは避けましょう。「こういう点で困っている」「ここを改善してもらえると助かる」と具体的に伝えることで、建設的な対話につながります。
また、前向きな意見や提案を伝えることも大切です。
「この業務をもっと効率化できるのでは」
「こんな仕組みを取り入れてみたい」
このような組織改善や業務効率化につながる提案は、上司にとっても貴重な情報になります。さまざまな意見を共有することで、1on1は「将来の方向性を話し合う場」として活用できるのです。
1on1で話すべき3つのテーマ

ここからは、1on1で話すべきテーマを紹介します。
「何を話せばいいかわからない」と悩んだときは、以下の3つのテーマを軸に考えてみましょう。
※モバイルでは以下の表を右にスクロールしてご覧ください
種類 | テーマ |
---|---|
「組織」に関するテーマ | ・経営理念、制度、カルチャー ・職場の人間関係 ・会社の方針、戦略 |
「個人」に関するテーマ | ・パーソナリティ(性格、特性、価値観) ・ライフスタイル(心身の健康、家族、趣味) ・将来のキャリア(ありたい姿) |
「業務」に関するテーマ | ・業務の進め方、仕組み、運用 ・仕事の悩み、不安、つまずき ・業務を通じての気づき、学び(振り返り) |
以下より、それぞれテーマと質問例を詳しく解説します。
また、1on1で話すべきテーマ(ネタ)を網羅的にまとめた別の記事もご用意しています。本記事と合わせて確認してみてください。

組織に関するテーマ(企業理念・ビジョン)
組織に関するテーマは、会社の方向性や理念に対する考えを確認し、対話を通じて理解を深めることを目的としています。
日々の業務は、企業理念やビジョンに基づいて行われていますが、実際に社員がそれらを意識しながら働くことは多くありません。
そのため、1on1で改めて話し合い理念やビジョンを伝えることで、組織の方向性と自身の業務を関連付けるきっかけになります。具体的には、以下のような質問を通して、部下の理解度を確認します。
※モバイルでは以下の表を右にスクロールしてご覧ください
テーマ | 質問例 |
---|---|
経営理念、制度、カルチャー | ・企業理念の中で、自分の仕事とつながっていると感じる部分はどこですか? ・社内制度や組織文化で「働きやすさにつながっている」と思う点はありますか? |
会社の方針、戦略 | ・会社の方針や戦略の中で「現場にもっと伝わるといい」と思う点は何ですか? ・会社の戦略が今後のキャリアにどんな影響を与えると思いますか? |
対話を通じて、会社の方針や戦略に対する納得感が高まることで、社員の働く意欲が向上し、組織の一体感も強くなります。
個人に関するテーマ(キャリア・心身の健康)
個人に関するテーマは、部下のキャリア志向や心身のコンディションを把握し、安心して働ける環境を整えることを目的としています。
たとえば、キャリアについて対話すれば、部下が将来どのようなスキルを身につけたいか、どのような役割に挑戦したいかを把握できます。以下のような質問を通して、部下の価値観やコンディションを確認しましょう。
※モバイルでは以下の表を右にスクロールしてご覧ください
テーマ | 質問例 |
---|---|
ライフスタイル (心身の健康、家族、趣味) | ・日々の疲れをリセットするために、普段どんな工夫をしていますか? ・最近「これをすると気持ちが落ち着く」と感じたことはありますか? |
将来のキャリア (ありたい姿) | ・今後のキャリアを考える上で、大切にしたい価値観は何ですか? ・これから挑戦してみたい分野や、習得したいスキルはありますか? |
また、心身の健康状態に関する話題に触れることで、業務過多による負担やストレスの有無を察知し、迅速なサポートにつなげることも可能です。
業務に関するテーマ(気づき・学び・不安)
業務に関するテーマは、日々の仕事を通じて得た「気づき」や「学び」を引き出し、部下の成長をサポートすることを目的としています。
たとえば、部下から「業務量が多くて優先順位をつけられない」と相談された場合、上司は以下のような質問を通じて、思考の整理をサポートできます。
- いま担当している業務の中で、とくに時間がかかっているものはどれですか?
- 顧客への影響を考えると、優先度が高いものはどれだと思いますか?
このように、業務の中で感じている不安や課題を言語化することで、上司は早い段階で状況を把握し、適切なアドバイスや支援につなげられます。
以下の表に質問例を記載していますので、1on1実施時の参考にしてみてください。
※モバイルでは以下の表を右にスクロールしてご覧ください
テーマ | 質問例 |
---|---|
仕事の悩み・不安・つまずき | ・いまの業務の中で「やりにくい」と感じていることはありますか? ・業務をより効率的に進めるために、工夫したいことはありますか? |
業務を通じての気づき・学び (振り返り) | ・最近の仕事で「以前より成長した」と感じた場面はありますか? ・その経験を今後どのように活かせそうだと考えていますか? |
「話すことがない」からの脱却!1on1の効果的な進め方

部下との1on1を通じて、成長・成果を最大化させるためには、全体の流れを意識して進める必要があります。具体的なステップは、以下のとおりです。
それぞれのステップを詳しく見ていきましょう。
なお、1on1の進め方については、別の記事でも解説しています。部下の成長段階に応じたコミュニケーションの取り方を知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

1.事前準備(相互理解)
まずは、上司と部下の相互理解を深めるため、事前にお互いの情報を確認しておきましょう。準備不足のまま1on1に臨むと、沈黙が続いたり、表面的な会話で終わったりしてしまいます。
具体的には、以下のようなデータや情報を収集・確認しておきましょう。
- 業務の進捗状況
- 過去の1on1の記録
- キャリアに関する希望や意向
- 心身のコンディション
1on1専用のツールなどを活用し、社員の性格や心理状態を可視化しておくことで、より深い理解につなげられます。
株式会社リーディングマークでは、1on1を仕組み化し、部下の成長をサポートする『ミキワメ マネジメント』を提供しています。詳細は以下の資料にまとめていますので、ぜひダウンロードしてご活用ください。
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2.前回の振り返り・対話
1on1を開始したら、まず雑談(アイスブレイク)で場の雰囲気を和ませましょう。その後は、以下のような流れで対話を進めます。
※モバイルでは以下の表を右にスクロールしてご覧ください
流れ | ポイント | |
---|---|---|
1 | 前回の振り返り | ・どんなに小さなことでも「ここはよくできた」と具体的に伝える ・結果が伴わなくても問い詰めず、次に向けた行動を一緒に考える |
2 | メインテーマの対話 | ・部下自身が用意したテーマを中心に会話を進める ・「どう思う?」「何が要因?」など、思考を深める質問を行う |
3 | ネクストアクションの検討 | ・無理のない範囲で実行できる行動を決める ・部下に次の行動を決めてもらう |
4 | 今回の振り返り・記録 | ・面談の最後に「今日の気づきや決めたこと」を簡単に確認する ・対話の内容は必ず記録しておき、次回の1on1に活かす |
対話で重要なのは、部下が主体的に考え、次の行動を自ら選べるようにサポートすることです。
上司が一方的に結論を出すのではなく、部下が自分で決めたネクストアクションを実行することで、責任感を持ちながら前向きな姿勢で業務に取り組めます。
3.キャリア育成のコーチング
1on1を有意義な時間にするためには、部下のキャリア育成を意識したコーチングが必要です。とくに重要なのは、以下の3点です。
- 期待値の設定
- 継続的なコーチング
- 進捗レビュー
まずは、目標に対する役割と期待値のすり合わせを行いましょう。単に数値目標を伝えるのではなく、業務内容や習得するスキルとの関連性を部下と一緒に確認することで、仕事の意義を感じやすくなります。
目標を設定したあとは、定期的に状況を確認し、適切なフィードバックを行います。成果や成長をポジティブな言葉で伝えるとともに、改善点は建設的に指摘し、次につながるようサポートしましょう。
最後のステップでは、一定の時間を確保して進捗レビューを行います。
成果や貢献だけでなく、成長実感や残された課題まで一緒に振り返ることで、部下は達成感を持ちながら新たな目標に向かいやすくなります。
問いただすような質問は避け、対話を通じて「次につながる学び」を引き出すことを意識しましょう。
コーチングを取り入れることで、1on1は部下のキャリアを後押しする有意義な時間になり、上司との信頼関係の構築にもつながります。
参考:心理学と組織論からみた理想の1on1② 〜マネジメントの流れと1on1の力点の置き方〜|組織心理研究所
有意義な1on1を実現するには人事のサポートが欠かせない
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1on1を継続的な取り組みにするために、現場の管理職(マネージャー)に任せきりにせず、人事部門も積極的にサポートをしましょう。
現場をサポートする仕組みが整っていないと、1on1の実施頻度や内容が、上司の裁量によって左右されてしまいます。その結果、現場ごとに面談の質にバラつきが生じ、一貫性のない取り組みになってしまうのです。
こうした状況を防ぐためにも、人事が1on1の枠組みをつくり、現場の上司が迷わず進められるよう環境を整える必要があります。
株式会社リーディングマークの調査(上図)によると、若手社員の離職を防ぐために今後注力したい取り組みとして、面談回数の増加やフィードバックの改善、サーベイの導入などが挙げられています。
人事が中心となって仕組みを整えることで、1on1は社員の成長と定着を促す「対話の場」となるのです。
以下の記事では、目的別におすすめの1on1ツールを多数紹介しています。導入を検討している人事担当者の方は、比較検討時の参考にしてみてください。

1on1に関するよくある質問

1on1を実施する上で、多くの上司が悩むのは「やり方が正しいのか」「何を話せばよいのか」といった点です。以下の「よくある質問」について、具体的に解説します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1on1のダメな例は?
1on1のダメな例として、もっとも典型的なのは「評価面談と混同してしまう」ことです。
評価や指導が中心になると、部下は身構えてしまい、相談しようとしていたことも言い出しにくくなります。また、以下のような対応も避けましょう。
- 問い詰めるような質問をする
- 上司が自分の経験や考えを一方的に話し続ける
- 本題に入らず、雑談だけで終わってしまう
- プライベートなことを過度に質問する
このような対応をしてしまうと、本来の目的である「部下の成長支援」や「信頼関係の構築」にはつながりません。部下が安心して話せる環境をつくることが、1on1を有意義なものにする第一歩です。
部下から話すことってどんなテーマ?
1on1ミーティングでは、部下の話したいテーマを中心に、上司との対話を行います。そのため、基本的にどのようなテーマでも問題ありません。
代表的なテーマは、以下のとおりです。
- 業務に関すること:進捗状況、課題、改善アイデア
- 個人に関すること:キャリアの希望、スキル習得の意欲、健康面
- 組織に関すること:職場環境、人間関係、会社方針への意見
また、必ずしも仕事に関係する内容でなくても構いません。趣味や休日の過ごし方といった雑談でも、上司との距離を縮めるきっかけになります。
1on1においては、受け身にならないよう、部下自身が自分の考えや関心を少しずつ言葉にして、上司との関係性を築くことが大切です。
上司と部下の相互理解で「話すことがない1on1」から脱却しよう

1on1を有意義な時間にするためには、上司と部下の相互理解が必要です。
お互いの理解が不十分だと、質問がかみ合わなかったり、話題が広がらず沈黙が続いたりする原因になります。1on1で「話すことがない」から脱却するために、具体的な対策を改めて確認しておきましょう。
※モバイルでは以下の表を右にスクロールしてご覧ください
上司側の対策 | ・話したいテーマを部下に考えてもらう ・部下が安心して話せる雰囲気をつくる ・傾聴を意識し、部下の気持ちに寄り添う |
部下側の対策 | ・部下主導の対話であることを理解しておく ・仕事以外の話したいテーマを考えてみる ・上司の反応を気にせず、本音を伝える |
上記の取り組みを通じて、相手の価値観や考え方を理解することで、1on1は部下の成長や信頼関係の構築につながる有意義な時間になります。
1on1を効率的に運用したい場合は、テーマ設定や会話の自動記録が可能なツールを活用してみましょう。株式会社リーディングマークでは、1on1ツール『ミキワメ マネジメント』を提供しています。ご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。