「1on1を設定すると、部下が明らかに嫌そうな反応をする」
「本音を話してくれず、表面的な会話で終わってしまう」
このような状況になっている場合、部下は1on1を「評価される場」「上司の話を聞く時間」と受け止めてしまっているかもしれません。
しかし、1on1の目的や進め方を見直すことで、部下が安心して本音を話せる「対話の場」が実現します。
本記事では、部下が1on1を「苦痛」と感じる具体的な原因と、信頼関係を深めるための改善策をわかりやすく解説します。
- 部下が1on1を「苦痛」と感じてしまう主な原因
- 1on1で部下に嫌がられる上司のNG言動・態度7つ
- 1on1の準備・進め方・フォローのポイント
この記事を読むことで、部下の思考や行動を促す1on1の進め方を理解でき、対話を通じて良好な関係性を築けます。ぜひ最後までご覧ください。
1on1が苦痛なのは上司が原因?部下に嫌がられる言動とは?

出典:「組織風土の日」に向けてアンケート調査|株式会社スコラ・コンサルト
1on1は部下の成長につながる有効なマネジメント手法ですが、目的や進め方を共有しないまま実施すると、部下の負担になってしまう可能性があります。
株式会社スコラ・コンサルトの調査(上図)によると、チームに満足している社員ほど、上司や同僚に対して「本音で話せている」と感じていることがわかりました。
「上司との面談」において本音を話せている割合は、チームに満足している人が78.6%、満足していない人が32.1%となっています。上司と本音で話せるかどうかが、チームへの満足度や安心感に大きく影響していることがわかります。
この調査結果をもとに、1on1が苦痛と思われる原因について考察してみましょう。主に以下の7点が挙げられます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
過度なプレッシャーを与える
威圧的な態度や問い詰めるような質問を繰り返すと、部下は1on1を「指摘や評価を受ける時間」と捉えてしまい、相談したいことや本音を話せなくなります。避けるべき言動は、以下のとおりです。
- できなかった理由を「なぜ?」「どうして?」と何度も聞く
- 小さなミスにも過剰に反応し、重い表情で深刻さを強調する
- 1on1のたびに高すぎる目標を設定する
このように強いプレッシャーを感じる状態が続くと、部下は「また何か指摘されるのでは」と身構えるようになり、1on1そのものが苦痛になってしまいます。
部下が緊張や萎縮をしてしまうような上司の言動は、本来の目的である「信頼関係の構築」や「成長支援」を妨げる要因になります。
1on1では、心理的安全性(安心して発言できる状態)が確保されているかどうかが、対話の質を左右する重要なポイントです。上司は、何でも受け止める姿勢を示すことで、部下の緊張が和らぎ、主体的に話そうとする意識が生まれます。
アドバイスばかりで、共感や理解を示さない
1on1で上司のアドバイスばかりが続くと、部下は「話を聞いてくれない」と感じ、自分の悩みや不安を話そうとする意欲を失ってしまいます。行動を促すアドバイスは必要ですが、部下の話を遮ってまで結論を示すべきではありません。
たとえば、自分の考えを言語化している途中で「こうしたほうがいい」と話をまとめられると、部下は自分の状況や気持ちを理解してもらえなかったと感じてしまいます。
多くの部下は「正解」そのものを求めているのではなく、自分の気持ちや迷いを言語化し、受け止めてもらいたいと考えています。
まずは部下の状況を丁寧に聞き取り、「それは大変だったね」「もう少し詳しく聞かせてくれる?」といった共感の言葉を投げかけることが重要です。
以下の記事では、部下に「1on1をやめてほしい」と思われる原因と対策について、具体例を交えながら詳しく解説しています。本記事と合わせて確認してみてください。
否定的な言葉や指摘が多い
1on1で「それは違う」「まだ努力が足りない」といった否定的な言葉や指摘が多いと、部下は説教されているように受け止めてしまいます。
部下の課題や悩みに対して、具体的なアドバイスや改善点を伝えることは必要です。しかし、否定的な表現を多用したり失敗ばかりを指摘したりすると、部下は自信を失い、1on1を「苦痛な時間」と感じてしまいます。
その結果、部下は失敗を恐れて行動が消極的になり、成長の機会を逃してしまう可能性があります。
1on1では、どこが問題だったのかを指摘するだけでなく、「どうすれば解決に近づくのか」を一緒に考える姿勢が重要です。まずは事実を丁寧にヒアリングし、部下にとって話しやすい環境をつくりましょう。
以下の記事では、1on1が無駄だと感じる理由や、具体的な対策を解説しています。企業の取り組みも紹介していますので、本記事と合わせて確認してみてください。
部下の話を最後まで聞かず、すぐに結論を出す
部下の話を遮ってすぐに結論を出してしまうと、本人の考えを深める機会が奪われ、成長につながる対話が成立しません。
効率的に進めるために、早めに結論や方向性を示す場合もありますが、話を最後まで聞くのが1on1の基本です。
話の途中で「こうしよう」と方向性を提示されると、部下は自分の状況を十分に理解してもらえないと受け止めてしまいます。その結果、話す内容を最小限にとどめ、課題や悩みを共有しないまま放置されてしまうのです。
1on1では、部下が安心して話せるように、傾聴・共感の姿勢を示すことが重要です。最後まで丁寧に話を聞くことで、部下の状況を正しく把握し、実践的なアドバイスができるようになります。
対話より業務報告が中心になっている
業務報告や情報共有の時間になっている場合、対話が成立せず、部下は「普段のミーティングと変わらない」と感じてしまいます。
本来の1on1は、日々のコミュニケーションで把握しにくい不安や課題、キャリアの方向性などを部下と一緒に考える時間です。しかし、上司が業務の進捗ばかりを聞いてしまうと、部下は話したいことを切り出せず、対話が深まりません。
また、数字や事実だけを確認してしまうと、部下に「成果しか見られていない」と受け止められる可能性があります。業務報告は最小限にとどめ、部下の考えや感情に耳を傾けることが、質の高い1on1を実現するポイントです。
「沈黙が続いてしまう」「話すことがない」と悩んでいる方は、以下の記事も合わせてご覧ください。上司側・部下側それぞれの対策を詳しく解説しています。
スケジュールを頻繁に変更(キャンセル)する
1on1の予定を頻繁に変更したりキャンセルしたりすると、部下は「自分との対話は優先度が低い」と感じてしまい、上司への信頼が徐々に薄れていきます。
業務都合でやむを得ない変更であっても、部下にとっては「話を聞く気がない」「形だけの取り組みなのではないか」と受け取られかねません。
また、相談したいことを抱えたまま時間だけが経過した場合、不安や悩みが深刻化し、心身の不調につながる恐れもあります。
1on1を実施するときは、できる限り予定を変更せず、一定の間隔で継続することが大切です。どうしても変更が必要な場合は、理由を丁寧に説明したうえで、早めに日程調整を行いましょう。
1on1後に上司のフォローがない
1on1を実施しても上司からのフォローがないと、部下は「自分のことを見てくれているのだろうか」と不安に感じる場合があります。
たとえば、1on1で決めた行動について一度もフォローがなかった場合、部下は何か問題が起きても、相談していいものか迷ってしまいます。
上司のサポートがない状況が続くと、相談する気持ちが薄れてしまい、結果として1on1への参加意欲も低下しかねません。
1on1はその場だけで完結するものではなく、決めた行動や相談内容に対して、上司がどれだけ関心を持ち続けるかが重要です。「進めてみてどうでしたか?」といった声かけをすることで、部下は安心して行動しやすくなります。
1on1の進め方にも問題あり|部下が苦痛に感じる3つの原因

部下が1on1を苦痛に感じるのは、上司の言動だけではなく、運用方法にも原因がある可能性があります。主に以下の3点です。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
事前に目的やゴールを共有していない
1on1の目的を事前に共有していないと、部下は何を話せばいいのかわかりません。地図を持たず険しい山道を進むように、話す内容を探りながら1on1に臨むことになり、部下に対して余計な緊張や負担を与えてしまいます。
また、上司が聞きたい話と部下が準備してきた内容がずれていると、お互いに「思っていた話と違う」という感覚が生まれ、思考を促すような対話ができません。
事前に目的やテーマ、明確なゴールを共有しておけば、部下は必要な情報を整理して1on1に臨めます。限られた時間でも深い話がしやすくなり、対話の質も高まります。
有意義な対話を実現するためには、1on1が「何をする場なのか」をはっきり伝え、部下が安心して準備できる状態をつくることが重要です。
明確な実施頻度・時間を定めていない
1on1の実施頻度や時間を定めていないと、「思い立ったときに話す」といった状況に陥りやすく、部下は準備ができないまま1on1に臨むことになります。
その結果、相談したいことを整理できず、表面的な会話だけで終わってしまうことも少なくありません。また、実施のタイミングが毎回バラバラだと業務との調整が難しくなり、1on1に対してネガティブな印象を抱きやすくなります。
1on1を実施するときは、あらかじめ「毎週〇曜日の午後」「月に1回30分」といった予定を明確にスケジューリングしておきましょう。計画的かつ定期的に1on1を行うことで、部下にとって安心して相談できる場となります。
対話内容を正確に記録していない
1on1を実施するときは、話し合った内容や決めた行動を記録しておくのが基本です。対話内容を正確に記録していないと、前回の話題を思い出せず、上司と部下双方の認識がずれたまま1on1を迎えてしまいます。
その結果、「前回も同じことを話した」「結局、何も行動できていない」といった状況に陥ってしまい、1on1に価値を感じにくくなります。また、部下の成長の変化にも気づけないため、必要なタイミングでサポートができません。
1on1実施後に、話したポイントや次回までのアクションを整理・記録しておくことで、部下の成長を把握しやすくなります。
部下へのフィードバックの質も高まり、前回の内容を踏まえた建設的な対話が実現します。
【準備編】苦痛を与えない効果的な1on1のやり方

1on1を負担なく進めるためには、事前の準備や上司によるマネジメント、実施後の記録を実践することが大切です。ここでは「準備編」として、以下のポイントを解説します。
| ポイント | 具体例 |
|---|---|
| 1on1の目的を定め、話すテーマを明確にする | ・部下にも話したいことを事前に考えてもらう ・上司はテーマに合わせた質問を用意しておく |
| 短時間でも実施し、習慣化を図る | ・実施時期や頻度を定め、1on1の優先度を上げる ・忙しい時期でも短時間(5〜10分)で実施し、キャンセルは極力避ける |
以下より、準備の方法をそれぞれ詳しく見ていきましょう。
1on1で部下が準備すべきことや、心構えについて詳しく知りたい方は、以下の記事を合わせて確認してみてください。マネジメントに関わる方にとって必見の内容です。
1on1の目的を定め、話すテーマを明確にする
1on1を実施するときは、まず「何のために対話するのか」を明確に定め、事前に話すテーマを決めておきましょう。
目的が曖昧なまま進めてしまうと、部下は何を話せばいいのか迷ってしまいます。成長を支援することが目的なのか、仕事の悩みを相談する場なのかによって、準備すべき情報や心構えは大きく変わります。
以下のようなテーマを事前に共有し、部下にも「自分が話したいこと」を考えてもらいましょう。
- 最近の業務で感じている課題
- キャリアや今後の方向性についての相談
- 職場内のコミュニケーションで気になっている点
- チャレンジしたい業務や役割
- 働き方や業務量に関する悩み・不満
あらかじめテーマを決めておくことで、部下が自分の考えを整理できるうえに、上司にとっても「聞くべきポイント」が明確になります。
以下の記事では、1on1で話すべきテーマを目的別に解説しています。質問例や会話例も紹介していますので、本記事と合わせて確認してみてください。
短時間でも実施し、習慣化を図る
1on1を実施するときは、なるべく「短くても必ず実施する」という姿勢を大切にしましょう。時間を確保できないからと延期・キャンセルを繰り返すと、部下は自分に対する関心がないと受け止めてしまう可能性があります。
10〜15分程度の短い対話でも、継続して実施することで、以下のように部下との関係性は大きく変わります。
- 部下は日々の悩みや不安を相談しやすくなる
- 部下の小さな変化にも気づきやすくなる
- 対話のハードルが下がり、本音を話しやすい環境がつくれる
- 上司と部下の信頼関係が構築され、職場の風通しがよくなる
1on1で重要なのは、時間の長さではなく、継続的に「対話する機会」を設けることです。短い時間でも続ける姿勢が、部下の安心感と信頼関係の構築につながります。
【実践編】苦痛を与えない効果的な1on1のやり方

続いては、1on1の「実践編」として、5つのポイントを解説します。
準備が十分でも、適切な進め方や話し方を実践しないと、1on1の効果が半減してしまいます。部下が安心して話せる環境をつくるために、対話中に意識すべきポイントを確認してみましょう。
| ポイント | 具体例 |
|---|---|
| 部下が安心して話せる雰囲気をつくる | ・雑談を交えて緊張を和らげる ・部下の方向に体を向けて、聞く姿勢を示す |
| 傾聴と共感を意識し、結論を急がない | ・部下の話を遮らず、最後まで聞く ・「大変だったね」など、共感の言葉を添える |
| オープンクエスチョンで部下の気づきを促す | ・「どう感じた?」と思考を促す質問をする ・「他に考えられる方法はある?」と選択肢を広げる |
| 数字や成果だけでなく、気持ちや背景を理解する | ・業務量の増加によるストレスなど、心身の状態を確認する ・「負担に感じていることはある?」と背景を丁寧に聞く |
| 誰が・いつまでに・何をするかを決める | ・「次回までに〇〇を進めよう」と期限と内容を明確にする ・上司は「私は〇〇をサポートする」と具体的に伝える |
それぞれ詳しく見ていきましょう。
なお、部下の成長段階に合わせた1on1の進め方については、以下の記事でも詳しく解説しています。信頼を深めるためのポイントも紹介していますので、本記事と合わせて確認してみてください。
部下が安心して話せる雰囲気をつくる
1on1では、開始時の雑談(アイスブレイク)を通じて、部下が安心して話せる雰囲気をつくることが大切です。いきなり本題に入ると部下は身構えてしまい、自分の考えを言いにくくなります。
たとえば、最近の出来事など仕事に関係のない話題に触れることで、部下の緊張がほぐれ、スムーズに対話を進められます。「最近どう?」「週末はゆっくりできた?」といった簡単な問いかけでも十分です。
また、対話中は表情や姿勢、声のトーンなどの「非言語コミュニケーション」も意識しましょう。
【具体例】
- パソコンの画面を閉じ、部下の方向に体を向けて話を聞く
- うなずきや相づちを入れながら「聞いている姿勢」を示す
- 柔らかい表情で接し、緊張を与えないように意識する
- 腕を組む・足を組むなどの威圧的な態度は避ける
- 落ち着いたトーンで話し、緊張感を与えないようにする
こうした小さな配慮が、部下にとって安心して話せる時間となり、「本音を引き出す1on1」の実現に一歩近づきます。
傾聴と共感を意識し、結論を急がない
1on1の目的は、部下自身で不安や悩みを客観的に振り返り、「次の行動」を起こせるように上司がサポートすることです。そのためには、結論を急がず、まずは部下の話に耳を傾ける姿勢(傾聴・共感)が求められます。
上司は自身の経験を踏まえて話そうとするあまり、部下が話している途中でアドバイスを挟んだり、「つまりこういうことだよね?」と結論づけたりする場合があります。
しかし、話の途中で方向性を示すと、部下は「最後まで聞いてもらえない」と感じてしまうだけでなく、不安・悩みを話す機会も失われかねません。
とくに、自分の考えを言語化しているときは、気持ちや状況を整理している最中です。まずは部下の話を遮らずに最後まで聞き、適切なタイミングで共感の言葉をかけましょう。
【具体例】
- それは大変だったね
- そう感じるのは自然なことだと思う
- 話してくれてありがとう
- 背景を聞くと悩んだ気持ちがよくわかる
以下の記事では、部下の成長を促進させる1on1のコツや、コミュニケーション術について詳しく解説しています。本記事と合わせて確認してみてください。
オープンクエスチョンで部下の気づきを促す
1on1で部下の思考を促すときは、答えが「はい・いいえ」にならないオープンクエスチョンの活用が効果的です。
オープンクエスチョンを活用することで、部下が自分の考えや気持ちを整理するきっかけになり、新たな気づきを引き出せます。たとえば、以下のような質問が考えられます。
【オープンクエスチョンの例】
- そのとき、どう感じましたか?
- どこに一番課題があると考えていますか?
- 他にできそうな選択肢はありますか?
- もし理想の形があるとしたら、どのような状態ですか?
- 次に向けて、どのようなサポートがあれば行動しやすいですか?
逆に「できた?」「問題ない?」のような質問ばかりだと、表面的な会話だけで終わってしまい、部下の本音や背景を深掘りできません。
オープンクエスチョンは、部下が自分自身の状態を客観的に把握し、次の行動に結びつけられる対話方法と言えます。
数字や成果だけでなく、気持ちや背景を理解する
1on1では、業務の進捗(数字)や成果だけに注目するのではなく、モチベーションの変化や行動を起こした背景を理解する姿勢が重要です。
たとえば、思うような成果が出ていない場合、その理由はスキル不足だけでなく、以下のような数字からは読み取れない要因が隠れていることがあります。
- 業務量の偏りや急なタスク増加による負担
- チーム体制の変更や役割の変化による戸惑い
- 新しい業務への不安や自信の低下
- 私生活の変化や体調不良によるパフォーマンス低下
- 職場の人間関係によるストレスや心理的負担
数字だけを見て評価してしまうと、部下は「結果しか見てもらえていない」と感じ、本当の悩みや不安を話しにくくなります。
対話をするときは、「どのような気持ちで仕事に向き合っていたのか」といった背景を聞くことで、部下は自分の状況を言語化しやすくなります。
誰が・いつまでに・何をするかを決める
1on1の最後には、「誰が・いつまでに・何をするか」を明確に決めましょう。「次にとるべき行動」を決めないまま終えると、上司と部下の認識がずれてしまい、せっかく話し合った内容を業務に活かせません。
たとえば、業務改善の話が出た場合には、「どの作業を」「いつまでに」「誰が主体となって進めるのか」など、次のステップを具体的に決めておきましょう。
【具体例】
- 誰が:部下が行うのか、上司がフォローするのかを決める
- いつまでに:次回の1on1まで、今週中など期限を明確にする
- 何をするか:具体的な目標や行動、プロセスを検討する
この3点を明確に決めることで、部下は行動の方向性をつかみやすくなり、目標に向けて主体的に取り組めます。また、次回の1on1で振り返りができ、対話の継続性と質の向上にもつながります。
【記録・フォロー編】苦痛を与えない効果的な1on1のやり方

続いては、1on1の「記録・フォロー編」として、3つのポイントを解説します。
対話をして終わりではなく、その後の記録やフォローを適切に行うことで、1on1の質の向上につながります。
| ポイント | 具体例 |
|---|---|
| 対話の内容を記録し、次回の1on1で活用する | 次回までのアクションを記録し、いつでも振り返られる状態にする |
| 上司自身も話し方や進め方を振り返る | 部下の話を遮っていなかったかなど、自身の話し方を振り返る |
| 1on1後も必要に応じて部下に声かけを行う | 「困ったことがあれば相談して」といった声かけで、気にかけていることを示す |
それぞれ詳しく見ていきましょう。
株式会社リーディングマークが提供する1on1ツール『ミキワメ マネジメント』には、テーマ設定や対話の自動記録など、豊富な機能が備わっています。
詳細は以下の資料にまとめていますので、ぜひダウンロードしてご活用ください。
対話の内容を記録し、次回の1on1で活用する
1on1実施後は、対話の内容や話し合って決めた「次の行動」などを必ず記録しておきましょう。記録を残さないと、前回の話題を思い出せず、同じ話を繰り返してしまう可能性があります。
対話の内容を記録するときは、以下のような点を押さえておくことで、次回の1on1で活用しやすくなります。
【記録しておく内容の例】
- 話したテーマ(悩んでいたことや、その背景にある原因)
- 部下が述べた気持ちや考え(不安、迷い、戸惑い)
- 上司の質問や助言(本音を引き出せた質問、アドバイスの内容)
- 決定したアクションの内容(誰が・何を・いつまでに行うか)
- 次回の1on1で確認したいポイント(進捗確認、深掘りしたいテーマ)
このように記録を残すことで、次の1on1で「前回の続き」からスムーズに対話を始められます。部下の成長や変化にも気づきやすくなり、具体的なフィードバックができるのも大きなメリットです。
また、手作業で管理するのが負担だと感じる場合は、1on1専用ツールの活用を検討してみましょう。リマインド機能やテンプレートが備わっているツールであれば、記録漏れや準備不足を防げます。
株式会社リーディングマークが提供する『ミキワメ マネジメント』には、対話内容の自動文字起こし機能や、「次の行動」を自動生成するAIが搭載されています。詳細は以下の記事で紹介していますので、本記事と合わせて確認してみてください。
上司自身も話し方や進め方を振り返る
上司は、部下が話した内容を振り返るだけでなく、自身の話し方や質問の仕方、対話の流れを定期的に見直すことも大切です。
1on1の効果が見られない場合、上司のマネジメントやコミュニケーションに問題がある可能性があります。振り返るときは、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 話を遮り、部下の思考を妨げていないか(傾聴)
- 部下の気持ちに寄り添えていたか(共感)
- 評価目線の質問になっていないか
- 気づきを促す問いかけができていたか
- 部下の表情や反応に気を配れていたか
上司も自身のマネジメントを振り返ることで、コミュニケーションの癖や改善点に気づきやすくなります。1on1の進め方が改善されれば、部下は安心して困りごとを話せるようになり、信頼関係の強化にもつながるでしょう。
1on1後も必要に応じて部下に声かけを行う
部下との関係性を深めるためには、1on1を実施するだけでなく、その後の声かけを行うことが大切です。
対話のなかで出た課題や行動目標について、上司が気にかけていることを示すことで、お互いに相談しやすい関係性を築けます。悩みを深く聞くような声かけではなく、ちょっとした一言で十分です。
【声かけの例】
- この前決めたこと、問題なく進んでいますか?
- 困っていることがあれば、いつでも相談してください
- 前回の目標、少し進んでいるみたいでよかった
ブランド戦略事業などを行う未知株式会社の事例では、社員を対象としたサーベイ(調査)の結果を活用し、ケアが必要な人との1on1を実施しています。
上司との1on1で解決が難しいときは、人事が「最近どうですか?」といった声かけを行うことで、休職や離職につながる前段階で対策が打てるようになりました。
参考:サーベイの結果から改善アクションを実施し、エンゲージメントが劇的に改善|未知株式会社
このように1on1後の声かけによって、部下の変化を早期に察知でき、組織全体でサポートできる環境をつくれます。
以下の記事では、社員の退職を防ぐ1on1の進め方や、離職防止に取り組んでいる企業事例を解説しています。本記事と合わせて確認してみてください。
効率的な運用を目指すなら1on1ツールの活用がおすすめ

効率的に1on1を運用するには、準備や記録にかかる負担を減らす「1on1ツール」の活用が有効です。
対話内容をExcelや紙で管理している場合、前回の記録を探すのに時間がかかったり、記録の抜け漏れが起きたりする可能性があります。
1on1ツールを活用することで、過去の記録や進捗状況を一覧で確認でき、必要な情報にすぐアクセスできます。ツールに搭載されている主な機能は、以下のとおりです。
- 対話内容の自動文字起こし
- 部下の性格に合わせた話題の提案
- 過去の1on1履歴
- 1on1の事前メモ(目標・議題 など)
- 次のアクションの提案
1on1ツールで継続しやすい仕組みをつくることで、上司(マネージャー)は運用面の負担が軽くなり、部下との対話に集中できます。
リーディングマークが提供する1on1ツール『ミキワメ マネジメント』には、テーマ設定や対話の自動記録、AIによるアドバイスなど、豊富な機能が搭載されています。詳細は以下の資料にまとめていますので、ぜひダウンロードしてご活用ください。
>>『ミキワメ マネジメント』のサービス資料をダウンロードする
1on1に関するよくある質問

1on1に関するよくある質問について、以下の2点に回答します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1on1では何を話せばいい?
1on1では、業務の進捗だけでなく、部下の心理状態・キャリア・人間関係など、幅広いテーマで対話しましょう。
たとえば、日頃感じている不安や成功体験、キャリアの方向性などは、日常のコミュニケーションでは話しにくい話題です。また、仕事に直接影響する環境面や人間関係の悩みも、働きやすい職場をつくる重要なテーマになります。
1on1を実施するときは、部下が自分の考えを整理できるように、あらかじめ話題を共有しておきましょう。上司も深掘りする質問を準備できるため、対話を通じて「次の行動」を促す対話が実現します。
1on1のデメリットは何?
1on1のデメリットは、目的が明確に決められていない場合に、表面的な会話で終わったり、かえって1on1が負担になったりすることです。
また、1on1の流れや上司の話し方によっては、部下が緊張して本音を話せなくなる可能性もあります。とくに、否定的な言動や一方的なアドバイスばかりだと、1on1そのものがストレスになりかねません。
しかし、目的の共有やスケジューリング、対話内容の記録といったポイントを押さえることで、デメリットは十分に解消できます。1on1は運用次第で大きな効果を生む取り組みになるため、適切な方法で継続することが重要です。
苦痛にならない1on1を実現し、部下の成長をサポートしよう

1on1が苦痛に感じられるのは、運用方法が定まっていなかったり、対話の目的を決めないまま実施したりすることが主な原因です。
しかし、目的の共有・テーマ設定・継続的な声かけといった基本を押さえることで、部下の成長を支え、離職防止にもつながる施策となります。具体的なポイントを再確認しておきましょう。
また、対話内容の記録や振り返りを効率化する1on1ツールを活用すれば、上司の負担を減らしながら継続的に運用できます。
上司と部下の関係性を深める1on1を実現し、風通しのよい職場を目指しましょう。
ミキワメ マネジメントは、社員の性格・心身状態・目標進捗を踏まえて最適なマネジメントを提供する1on1ツールです。詳細は下記から。






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