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社員のロイヤルティの高め方|具体的な方法や高めるメリットについて解説

「若手社員の定着率が低い」「離職率が減らない」といった悩みを抱える経営者や人事担当者は少なくありません。少子高齢化が進むなかで、働き手が減少し、優秀な人材の確保が難しくなっていることは、多くの企業が直面している問題です。

こうした状況下で、社員の定着率を上げ、離職率を低下させるために有効なのが、社員ロイヤルティを向上させる取り組みです。ロイヤルティを高めることで、会社に対する愛着や忠誠心が深まり、長期的に勤務してくれる可能性が高まります。

この記事では、社員ロイヤルティの概要や高めるメリット、向上させる方法などを詳しく解説します。離職率の低下を目指している方はぜひご覧ください。

社員のロイヤルティとは

社員のロイヤルティとは、企業に勤める人々が持つ強い帰属意識や忠誠心です。単なる職場での満足感を超え、会社の成功や目標達成に対する個人的な意欲とコミットメントを意味します。

コミットメントとは、社員が自社の目標達成に向けて積極的に貢献しようとする姿勢です。社員が企業に深く関与し、その成功を自分事として捉えるようになると、生産性が向上して企業全体の成長につながります。

なお「ロイヤリティ」と「ロイヤルティ」は、似た響きを持つため混同されがちですが、異なる意味を持っています。

「ロイヤルティ」は英語の「Royalty」に由来し、特許権や商標権などの知的財産に対する対価のことです。一方で「ロイヤリティ」は、英語の「Loyalty」から来ており、企業や人々に対する忠誠心や献身を意味します。

ほかにも、ロイヤルティと混同されやすい概念との違いを見ていきましょう。

ロイヤルティとエンゲージメントの違い

エンゲージメントとは、社員の仕事に対する情熱や積極性、仕事にどれだけ没頭しているかを指します。

ロイヤルティは社員が会社に対して示す献身的な態度や姿勢ですが、エンゲージメントは日々の業務への取り組みと熱意に焦点を当てています。

より端的にいうと、ロイヤルティは「会社への忠誠心」、エンゲージメントは「仕事への熱意」です。

ロイヤルティとコミットメントの違い

ロイヤルティは会社に対して持つ深い忠誠心と献身によって、会社の成功を自分の成功とみなすような長期的な関与のことです。これに対しコミットメントは、特定の目標やプロジェクトに対する社員の約束や責任を指します。

つまり、ロイヤルティは会社への全体的な献身を表し、コミットメントは特定の業務や目標に対する取り組みです。

会社への忠誠心(ロイヤルティ)と、特定の責務や目標に対する約束(コミットメント)は、それぞれ社員の態度と行動に異なる影響を与えます。

ロイヤルティと満足度の違い

社員の仕事満足度は日々の業務に対する満足感を指し、職場の環境、給与、業務内容などが影響します。

一方で、ロイヤルティは会社に対する深い忠誠心を表し、企業の目標や価値観に対する長期的な献身と関与を意味します。

つまり、仕事満足度は今の職場環境に対する一時的な反応であり、ロイヤルティは企業への長期的な結びつきを表すものです。

【基本】社員のロイヤルティの高め方

社員のロイヤルティを高める基本的な方法は次のとおりです。

  • 会社の理念や強みを社内に浸透させる
  • 社員に当事者意識を持たせる
  • プロセスを重視した評価制度を導入する
  • コミュニケーション機会を設ける
  • 1対1のミーティングを実施する
  • 社員サーベイを導入する

それぞれの方法について解説します。

会社の理念や強みを社内に浸透させる

社員のロイヤルティを高めるには、企業理念や強みを社内に浸透させることが重要です。創業者の思いや熱意を社員と共有し、共通の目標に向かって一丸となることで、社員ロイヤルティの向上が期待できます。

企業の理念が形だけのものになっているケースも多いため、定期的に説明し、全員が同じ認識を持てるようにしましょう。

理念を伝える方法としては、研修や社内報の活用が効果的です。

社員に当事者意識を持たせる

社員が自分の仕事の意義や重要性を理解できると、当事者意識が芽生え、ロイヤルティが向上します。日常の業務のなかでは、自分の仕事がどのように役立っているのか、社会にどう影響を与えているのかが見えにくいこともあります。

仕事の意義やその影響を社員と共有し、業務の重要性を認識させることが大切です。

プロセスを重視した評価制度を導入する

社員のロイヤルティを高めるためには、人事評価において結果だけではなく、その過程も評価に含めることが大切です。

社員は、日々の業務や取り組み方も見てもらいたいと考えています。日々の努力が評価されれば「自分が認められている」と感じるでしょう。

したがって、上司や経営者は日常的に社員の業務遂行状況を把握し、適切に評価することが求められます。

コミュニケーション機会を設ける

管理職や社員とのコミュニケーションの機会を増やすことで、社員のロイヤルティが向上しやすくなります。

職場の雰囲気や人間関係が良好であれば、社員は「この会社で長く働きたい」と感じるようになるためです。

さらに、管理職との信頼関係が築かれることで、ミスやトラブルを未然に防ぐ効果も期待できます。

1on1のミーティングを実施する

ロイヤルティが高い上司は、部下に良い影響を与える存在です。上司が部下へ1on1のミーティングを実施することで、部下のロイヤルティ向上につながります。

業務での成功体験や失敗体験を共に振り返り、課題について一緒に考えると、信頼関係が築かれ、部下は上司の意見を受け入れやすくなるでしょう。

エンゲージメントサーベイを行う

社員のロイヤルティを向上させるためには、定期的にエンゲージメントサーベイを実施し、現状を可視化することをおすすめします。

エンゲージメントサーベイとは、社員が会社や業務について、どの程度の熱量や責任感を持っているかを測る調査です。

もしサーベイで社員のロイヤルティの低下が見られた場合、結果を分析してその原因を明らかにすることが重要です。

分析結果をもとに適切な対策を立てて実行することで、職場環境の改善とともに、社員ロイヤルティの向上が見込めます。

社員のロイヤルティを向上させるメリット

社員のロイヤルティ向上は、会社の利益につながります。主なメリットは次のとおりです。

  • 離職率が低下する
  • 長期的な人材育成が実現可能になる
  • 人材育成の成果を評価しやすくなる

それぞれのメリットについて詳しく解説します。

離職率が低下する

社員のロイヤルティを向上させると、離職率の低下につながります。

社員の会社に対する愛着や忠誠心が高まると「この会社で長く働きたい」と感じるようになります。その結果、他社からの引き抜きを打診され好条件を提示されても、今の会社にとどまるケースが増えるでしょう。

長期的な人材育成が可能となる

離職率が高い状態では、人材育成に投資してもすぐに離職されるリスクがあり、長期的な施策が無駄になりかねません。

社員のロイヤルティが向上し、離職率が低下すれば、長期的な人材育成を実現できます。

人材育成の成果を評価しやすくなる

通常、人材育成の効果は短期間では明確にあらわれません。しかし、離職率が低下し平均勤続年数が延びることで、長期的な施策の効果を評価するための継続的なモニタリングが可能となります。

人事制度を効果測定に基づいて、より正確に実施できるようになるでしょう。

企業イメージが向上する

ロイヤルティの高い社員は、自社の商品やサービスを周囲に積極的に宣伝します。さらに、離職率が低いことは企業の魅力を高める要素となり、企業イメージの向上にも寄与するでしょう。

社員のロイヤルティのさらなる高め方

ここからは、社員ロイヤルティをより効果的に高める方法について解説します。

  • 現場の管理職がリードする
  • 社員主体のチームビルディングを行う
  • 社員の年代や性別に応じたアプローチを行う
  • 対話を重視する文化を育成する

ロイヤルティの高め方の基本ができている企業は、参考にしてください。

現場の管理職がリードする

通常、企業内で社員のロイヤルティを向上させる施策は人事部が担当しますが、ロイヤルティが高い企業では各部署の管理職が中心となって取り組んでいます。

各部署の管理職にチームメンバーのロイヤルティを高める責任を持たせることで、管理職自身の積極性が高まり、チーム全体の士気も向上します。

管理職が職場の問題解決に率先して取り組めば、チームメンバーに一体感が生まれ、協力して改善策を考えるようになるでしょう。

社員主体のチームビルディングを行う

社員は、現場で顧客のリアルなフィードバックを直接受け取っているため、顧客体験について深く理解しています。そのため、現場の改善策をテーマにすることで、社員に強い当事者意識が生まれ、より積極的に取り組むようになります。

改善策が具体化し、社員の提案が実際に実行されると、社員は自分たちの意見が会社にしっかりと受け入れられていると感じるようになります。その結果、社員のロイヤルティがさらに高まるのです。

社員の年代や性別に応じたアプローチを行う

社員ロイヤルティが高い企業は、社員の年代や性別、文化的背景に応じて、ロイヤルティ向上の施策をカスタマイズしています。これは、ロイヤルティを高める要素が、これらの属性によって異なるからです。

たとえば、団塊の世代の社員には、意見やアイディアを自由に表現できる環境や体制を整えることでロイヤルティが向上する傾向があります。また、80〜90年代生まれの社員には、高度なスキル開発の機会を提供するとよいでしょう。

さらに、外国籍の社員が増える現代では、文化の尊重と敬意を示すことも、ロイヤルティ向上のための重要なポイントです。

対話を重視する文化を育成する

企業経営では、指標やデータが非常に重要です。ロイヤルティ向上の施策においても指標の設定は欠かせませんが、管理職がその数値のみに注目していると、チームメンバーの士気が低下するおそれがあります。

最も重要なのは、指標に依存するのではなく、対話を重視する姿勢を経営者や管理者が常に発信し続けることです。これにより、社員の感情が「愛社精神」や「忠誠心」へと変化していきます。

経営層が中心となり、対話を重視したロイヤルティ向上施策を実行しましょう。

社員のロイヤルティの高め方を理解して離職率を抑えよう!

社員のモチベーションの上げ方には、会社の理念や強みを社内に浸透させる、社員に当事者意識を持たせる、プロセスを重視した評価制度を導入するなどの手段があります。ただし、社員の状態を正確に把握しなければ、ロイヤルティの向上にはつながりません。

ミキワメ ウェルビーイングサーベイは、社員の個性や性格を踏まえて、心理状態を可視化できるツールです。AIが社員ごとの適切な対話方法をアドバイスし、ロイヤルティの向上をサポートします。

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