仕事に取り組む上では、目標設定を適切に行うことが大切です。人事評価でも社員に目標を設定させ、その目標達成度を評価する企業が増えてきました。
ただ、目標を正しく設定し、達成までのプロセスを具体的にイメージするのは簡単ではありません。
目標達成のためのツールとしてマンダラートが注目されています。この記事ではマンダラートの効果や使い方を紹介します。詳細を理解して活用していきましょう。
マンダラートとは
マンダラートとは9×9のマス目を使用し、アイデアを生み出したり、思考を整理・拡張したりするためのツールです。マス目のデザインが仏教の曼陀羅模様に似ていることから、「曼陀羅」と「アート」からマンダラートと呼ばれています。
アイデアから芋づる式にアイデアを生み出せるのが特徴で、目標達成だけでなく、アイデア創出の目的にも活用されるツールです。
マンダラートはデザイン会社のヒロ・アートディレクションズの代表取締役を務める今泉浩晃氏が1987年に考案しました。
思考をデザインすることの有効性から、企業の教育研修や高校の部活動などでも利用されています。
参考:超メモ学入門 マンダラートの技法―ものを「観」ることから創造が始まる
マンダラートの作り方と目標達成の流れ
目標達成のためのツールとして活用するための、基本的なマンダラートの作り方と使い方は下記です。
メインの大目標を中心に記入する
まず3×3のマス目を書きます。そして、中心にメインとなる大目標を記入しましょう。最終的に達成したい目標が何かをよく考え、具体的に記載します。
周囲8マスに達成に必要な要素を記入する
大目標を記入したら、達成のために何が必要かをよく考えます。そして、周囲にある8マスに必要要素を記入します。様々な視点で目標達成へのプロセスを考え、重要なポイントを8つ導き出すのがこの段階です。
全ての語句から8つのマンダラートを周囲に作る
周囲8マスに記入した語句を中心にして、新たに8つの3×3のマスを作成します。この8つの3×3のマスは全てマンダラートです。それぞれのマンダラートの中心にある語句を目標として考え、達成するための要素をさらに考えましょう。それぞれの8つの重要な要素を記入します。
81マスの必要要素を達成する
中心のマンダラートを含めると9つのマンダラートができました。全体としては9×9=81マスになります。これでマンダラートは完成です。
記入された必要要素を一つずつ達成していきましょう。着実に80個の要素をクリアしていくこと、目標達成に近づいていくことができます。
マンダラートの効果
目標達成のためのアイデアが生まれる
マンダラートを作成する作業はアイデアの創出プロセスとも言えます。中心に置いたメインの大目標を達成するためにまず8つの小目標を立てる、更にそれぞれに8点の要素を加えます。全てのマスを埋めるには、必要な要素を多角的に考えなければなりません。
この思考を経て、新しいアイデアが生み出されます。
目標に向かうプロセスを整理・管理できる
中心に書いた大目標に向かうプロセスを整理できるのもメリットです。作成の過程で、大目標に関連する要素8点と、それぞれの道筋のための8点ずつの要素と構造化して考えていくことになります。その結果、目標へのプロセスが整理され、取り組む手順が明確になるのがマンダラートの効果です。
マンダラートが目標達成に効果的な理由
マンダラートはメジャーリーガーとして有名な大谷翔平選手が愛用していることから、注目されるようになりました。大谷選手は高校生時代にマンダラートで目標管理を行い、プロ野球・メジャーリーグ入りという目標を達成しました。このような目標達成に効果的な理由は下記です。
やるべきことの優先順位が明確になるから
マンダラートを作成する中で、目標達成のための要素を列挙できます。達成のための8つの必要要素の重要度も理解することが可能です。マンダラートを使うとやるべきことの優先順位が明確になり、目標達成に向かう最短経路をたどることができます。
漏れがないように思考を巡らせるから
マンダラートを作成するには目標に関連する要素を幅広い視野で見なければなりません。7つは見つかっても、あと1つがどうしても見つからずに苦労することはよくあります。じっくりと時間をかけて多角的に目標を見つめ、漏れがないように思考を巡らせる機会を得られるのがマンダラートの特徴です。あらかじめ目標に関連することを広く考えられるので、想定外の状況でも柔軟に対応できるようになります。
失敗を取り戻すアイデアが思い浮かびやすいから
マンダラートを作成すると、もし失敗したとしてもすぐに対応できるようになります。失敗する状況があることが想定されていて、取り戻すためのアイデアを事前に考えられているからです。
マンダラート作成・活用のポイント
マンダラートは使い方次第で効果が左右されます。以下の3つのポイントを押さえてマンダラートの作成・活用をしていきましょう。
9×9=81マスは確実に埋める
マンダラートを作成するときには少なくとも9×9の81マスを埋めるのがポイントです。81マスよりも多ければさらにアイデアが膨れ上がり、思考も拡張していくので良いでしょう。ただ、マスが少なくなるとマンダラートの効果が下がってしまいます。
マンダラートは一つの目標を8つの角度から見た上で、それぞれの要素をさらに8つの方向から分析する思考法です。数を減らしてしまうとアイデアが生まれにくくなり、マンダラートによる目標達成が難しくなります。無理やりでも1つの目標に対して8つ以上の語句を書き出しましょう。
語句が思い浮かばないときは次へ
マンダラートを作成しようとしても必要な要素が見えてこないことがあります。語句が頭に浮かばないときにはスキップして次へ行き、後で戻ってくるようにしましょう。
マンダラートの作成は多角的な思考の訓練です。アイデアが生まれてこないとマスを埋められないことはよくあります。しかし、他のマスを埋めているうちに、新しいアイデアが生まれてきます。
すぐに適切な語句が思い浮かばなかったとしても、他のマスを埋めるために思考を巡らせているうちにアイデアが出てくるので心配はありません。悩んだときには深追いせずに次へ進みましょう。
全てのマスの内容を比較・関連付けする
マンダラートを生かすためには81マスをただ埋めるだけでなく、マス同士の関連性を見極めるのが重要です。全てのマスを埋めた後で全体の内容を比較してみると、関連が深い語句が見つかることがよくあります。中心にある大目標を達成するための8つの要素を分析したときに、複数の要素について同じような内容が求められることがしばしばあるからです。
特にマンダラートでは目標達成に取り組む本人が一人で思考を巡らせて語句を導き出すのが普通です。小目標の一つで出てきたアイデアを、別の小目標でも適用したいと思うのはもっともなことでしょう。
このような比較・関連付けをすることで、複数の小目標を合理的に達成する重要なプロセスを導き出せます。関連性が深い語句があるのはマイナスではなく、むしろ目標を迅速に達成するポイントです。関連付けできるマスがあるかを詳細に見てみることで、よりスピーディーに目標を達成するプロセスを導き出すことができます。
マンダラートで創出したアイデアで目標を達成しよう
マンダラートは本気で達成したい目標に対し、達成のためのアイデアを創出しつつ、プロセスを明確化することができるツールです。もともとマンダラートは「思考のデザイン」のために生み出されたので、達成したい目標への最短プロセスを導き出すための思考機会を作るのに最適なツールになります。
マンダラートは紙とペン、Excelやアプリ等で簡単に作成できます。目標設定にも有用な方法なので、人事評価のための目標の設定・管理にも大きな効果を発揮するでしょう。
ミキワメは、候補者が活躍できる人材かどうかを500円で見極める適性検査です。
社員分析もできる30日間無料トライアルを実施中。まずお気軽にお問い合わせください。