転職活動を行う中で、適性検査の対応に悩む方は多いのではないでしょうか。また、適性検査を実施する採用担当側でも、活用法は難しいと感じている方は多くいます。適性検査との向き合い方について、転職エージェントとして11,000名以上を支援してきたキープレイヤーズの高野秀敏様にお話を伺いました。
はじめに
高野:キープレイヤーズの高野秀敏と申します。大学卒業後に株式会社インテリジェンスに入社し、人材紹介事業の立ち上げや転職サポートを担当していました。その後独立し、2005年1月に株式会社キープレイヤーズを設立しました。人材エージェントとして個人のキャリア支援を行いつつ、国内、シリコンバレー、バングラデシュで55社以上の社外役員・アドバイザー・エンジェル投資を実行しています。
適性検査の対策について
ーありがとうございます。高野さんがキャリア支援を行う中で、転職者には適性検査についてどのような準備をしてもらっているのでしょうか?
高野:能力検査と性格検査それぞれで分かれます。
能力検査については、問題を解いてもらうことが大事です。SPI対策として問題集を用意しており、これを解いてもらっています。弊社のWebサイトにも掲載されているので、ご覧ください。
「これが全部解けて、理解できているなら大丈夫」と伝えています。
過去支援した方の傾向から見ても、受験勉強が比較的得意であった人なら、そこまで時間を割く必要はないと思います。一方、受験勉強の経験が少なかったり、苦手意識がある人は、最初は少し苦労するかもしれません。問題の傾向に慣れるまで、ある程度勉強に時間を割いたほうがよいでしょう。
ー 性格検査についてはいかがでしょうか
高野:性格検査については対策を相談されたことも少ないですが、ありのままで受けて大丈夫です。特別な対策は不要かと思います。
ー 性格検査で、企業側が求めそうな回答に寄せた方が良い、という面はあるのでしょうか
高野:確かに、支援している企業様の多くで共通して好まれる性格傾向はあります。一例として、前向きさや、他責ではないことです。
ただ、性格は性格検査の結果だけではなく、その後の面接での印象なども合わせて判断されます。そのため、寄せた回答をして逆効果になる可能性もあります。
我々も、企業に候補者を紹介する際には、できるだけ性格が合いそうな方を紹介するように心がけています。
転職エージェントから見た適性検査の意義
ー 転職エージェントの立場から、適性検査についてどのように考えていますか?
高野:能力検査については、正直なところ、大きな意味があるのか疑問に思っています。対策に時間をかけさえすれば合格点を取れる状態になっている以上、何を測っているのか不鮮明になっていると感じます。
性格検査についてはもちろん重要ですが、結局当人の自己評価なんですよね。他者評価の部分のほうが重要な要素だと思うのですが、適性検査では判断できません。採用企業側としては、実際にその人が性格検査の結果どおりの人物なのか、あるいは自己認識がズレているのかを見極める努力が必要です。
一方で、面接官にそこまでの判断を求めるのはハードルが高すぎますよね。トレーニングでこの判断能力が身につくものでもないと感じます。そういった点から、性格検査の結果はある程度信頼し、自社が求める人材と大きく性格特性が異なる候補者は落とす、とするのも良いかと思います。
成功する確率を上げるのは難しくとも、失敗する確率を下げる観点で、性格検査は使えると言えますね。
ー 能力検査については、長すぎると候補者から敬遠される面はあるのでしょうか
高野:それはあると思います。面倒に感じた求職者が、応募自体を辞退する可能性があります。受験勉強が苦でなかった人はそこまでかもしれませんが、多くの人は「面倒だ」と感じるのが一般的ではないでしょうか。機能していないと感じるなら、能力検査の継続自体を検討したり、問題数を短くしたりするなど企業側で検討したほうが良いでしょう。
一方で、少ない問題数では正確に能力を測れなくなってしまうので、必要な分量を見定めることが必要です。
ー 性格検査について深掘りします。選考を受ける会社に合わせて回答を変える人も多いと思います。その結果、入社後に企業とのミスマッチが生じることも珍しくありません。この点についてどのようにお考えでしょうか?
高野:受かるためには、ある程度仕方のない部分はあると思います。たとえば恋愛や結婚の際でも、相手にすべてをさらけ出す人は少数派です。仕事も、自分の素直な意見だけで進めることは難しいと思います。
一定の自己理想やビジネスパーソナリティを思い描き、それを回答に反映させることはエージェントとして否定はしません。ただし、入社後にミスマッチが生じる可能性があるため、最終的には素直に回答したほうが、採用企業にとっても求職者にとっても望ましいように思えます。
企業側は、適性検査の結果を参考程度にしか見ていません。それをマネジメントに活用している企業は少ないのではないでしょうか。
また、性格検査の回答を、本来の性格と180度変えて答えられる人は少ないと思います。回答を続けるうちに疲れてしまうため、すべての回答で演じ切ることは困難です。そのため、本来の性格とは異なる回答を試みても、大きくかけ離れた検査結果にはならないと思います。
総括
ー 最後に、適性検査との向き合い方について、求職者、採用担当者双方へメッセージをお願いします。
高野:まずは求職者に向けて。お伝えしてきたように、特別の対応は必要ありません。能力検査は時間をかけて準備すれば解けるようになりますし、性格検査は素直に答えることが大事です。
あまり適性検査に囚われず、それ以外の準備を大事にしてください。
続いて採用担当者側です。求職者は多くの場合、仕事をしながら転職活動をしています。忙しく、時間がないことも多いでしょう。
だからこそ目的を明確にして、必要十分な分量で適性検査を実施してください。
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