「1on1ミーティングの適切な頻度は?」「週1回は多すぎる?」など、多くのマネージャーが抱える疑問への結論は「週に1回、30分」です。
「忙しくて無理」と思われるかもしれませんが、実は1on1は間隔を空けるほど効果が薄れ、形骸化のリスクが高まります。
本記事では、データや心理学に基づいた1on1で成果が出る頻度・時間の設定と、忙しい現場でも無理なく継続するための運用のコツを解説します。
1on1ミーティングとは?実施の目的・メリットについて

1on1ミーティング(ワン・オン・ワン ミーティング)とは、上司と部下が1対1で定期的におこなう対話です。
多くの企業で導入が進んでいますが、従来の「人事評価面談」や「業務進捗会議」と混同され、現場で形骸化してしまうケースが少なくありません。
1on1の最大の特徴は、その目的が「部下の成長支援」や「エンゲージメント向上」にある点です。上司のための管理時間ではなく、部下のための時間であるという認識を持つことがスタートラインとなります。
1on1と面談との違い
1on1と、一般的な評価面談や業務面談との違いを以下の表にまとめました。
| 種類 | 1on1ミーティング | 評価面談・業務面談 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 部下の成長支援、信頼関係構築 | 評価の通達、業務管理、数値確認 |
| 話す内容 | キャリア、悩み、内省支援 | 目標達成度、業務課題、査定 |
| 主役 | 部下(部下が話したいこと) | 上司・会社(会社が聞きたいこと) |
| 頻度 | 高頻度(週1回〜月1回) | 低頻度(半期に1回、四半期に1回) |
| 視点 | 未来・プロセス・内面 | 過去・結果・事実 |
このように、1on1は短期的な業務成果だけではなく、中長期的な人材育成や組織の結節点強化を担う重要な施策です。
1on1の適切な頻度と時間設定|最も適切な頻度は週に1回で30分

結論からいうと、1on1ミーティングの最も推奨される頻度は「週に1回」で、時間は「30分」です。
パーソル総合研究所の調査によると、目標に対する達成度(パフォーマンス)が「とても良い」と回答した職場では「週に1回程度」または「月に1回程度」の実施割合が高いことが明らかになっています。
一方で、パフォーマンスが「とても悪い」職場では「面談はしない(実施していない)」という回答が最多でした。
引用:パーソル、組織マネジメントに関するレポートを発表 目標達成度が「とても良い」組織は1on1実施頻度が高い | PERSOL(パーソル)グループ
1on1ミーティングの適切な時間設定について「30分」が推奨される理由は、「対話」と「報告」を分けるために必要な時間の境界線だからです。多くの導入事例において、30分は以下のような構成で消費されます。
- アイスブレイク・体調確認(5分): 心理的安全性の醸成
- 本題・部下の内省支援(20分): 業務課題の深掘りやキャリアの話
- まとめ・ネクストアクション(5分): 次週に向けた合意
もしこれが「15分」の場合、肝心な「2. 部下の内省支援」まで辿り着けず、単なる業務報告会で終わってしまうリスクが高まります。
つまり、部下の成長や悩みに向き合う「対話」を成立させるための最小単位が30分といえるでしょう。
ミーティングの間隔は空けすぎないほうがよい
1on1ミーティングの効果を最大化するには、なるべく高い頻度で実施する必要があります。間隔を空けすぎると、事実や感情の記憶が薄れ、適切なフィードバックができなくなるからです。
ドイツの心理学者エビングハウスが提唱する「忘却曲線」によると、人の記憶は以下のスピードで失われていくとされます。
- 1日後: 74%を忘れる
- 1週間後: 77%を忘れる
- 1ヶ月後: 79%を忘れる
私たちは、たった1日で出来事の約7割を忘れてしまうのです。
例えば、月1回の頻度で60分話す場合、部下は1ヶ月前の行動を鮮明には覚えておらず、上司からのフィードバックも「今さら言われても」と響きにくくなります。
また、部下が抱える業務上のトラブルも、発見が1ヶ月遅れたら取り返しのつかない事態になりかねません。
1回の時間を短くしてでもミーティングの間隔を詰めることで、記憶が鮮明なうちに振り返りができ、素早い軌道修正が可能です。これが結果として、組織の目標達成度を高める要因となります。
引用:エビングハウスの忘却曲線 – 一般社団法人日本経営心理士協会
ミーティングの時間は場合によって短縮してもよい
1on1ミーティングの時間は「毎回30分確保しなければならない」と硬直的に考える必要はありません。アジェンダや業務状況によっては、15分程度の短時間でも十分に機能します。
これには「単純接触効果(ザイアンスの法則)」という心理学的な裏付けがあります。人は接触する「時間の長さ」よりも、接触する「回数(頻度)」が多い相手に好意や信頼を抱きやすいという法則です。
1on1ミーティングの実施において重要なのは決まった時間に顔を合わせるというリズムです。
「今日は特に緊急の議題がないから中止(スキップ)する」のではなく、「今日は今のタスク状況だけ確認して10分で終わろう」と柔軟に対応してください。
継続すること自体が心理的安全性を高め、部下の「いつでも上司に相談できる」という安心感につながります。
引用:繰り返し接しているうちにどんどん好きになるのはなぜ? | 日本心理学会
1on1ミーティングを実施する最適な曜日は月曜か金曜

1on1ミーティングを実施する曜日は、お互いの空き状況で「なんとなく」決めてしまいがちですが、学習効果を最大化するなら「月曜日」または「金曜日」が推奨されます。
これには、アメリカの教育学者デイヴィッド・コルブが提唱した「経験学習モデル」という裏付けがあります。
経験学習モデルとは
具体的経験をする→内省する(内省的反省)→教訓を引き出す(概念化・抽象化)→新しい状況に適用する(能動的実験)この4つのサイクルにより経験学習がおこなわれるとする理論
この理論に基づくと、週の始まりと終わりこそが、成長サイクルを回す最適なタイミングといえます。
このサイクルに則った推奨スケジュールは以下のとおりです。
- 月曜日の午前中(能動的実験・実践): 朝礼や定例会議の直後にセットする。「今週は何に注力するか」というアクションプランをすり合わせることで、部下は迷いなく1週間の業務に着手できる
- 金曜日の午後(内省・概念化): 業務が一段落した夕方のタイミングにセットする。1週間を落ち着いて振り返り、週末を迎える前にモヤモヤを解消することで、翌週に向けた教訓を得る場として機能する
- もちろん、部下の業務特性によって繁忙な曜日は異なります。あくまで基本の型として捉え、部下と相談のうえで最も落ち着いて話せる曜日を設定してください。
効果的な1on1の実施サイクル
1on1の効果を最大化するには、単にカレンダー上の「点(30分の面談)」として捉えるのではなく、前後の準備を含めた「線(サイクル)」としてスケジュールに組み込むことが重要です。
具体的には、以下の3ステップを1セットとして運用します。
- 事前準備(アジェンダ共有): 前日までに部下が話したいテーマを共有する(ログシステムへの入力など)
- 1on1ミーティング本番: 月曜なら「目標設定」、金曜なら「振り返り」を中心に30分間対話する
- 事後記録(ログ保存): 話した内容を記録し、次回の1on1で確認できるようにする
「準備・実施・記録」をルーティン化し、カレンダー上で繰り返し設定にしておくことで、毎回調整する手間が省け、形骸化の防止にもつながります。
1on1の頻度と成果の関係|高頻度・短時間でおこなうべき理由

「週に1回も時間が取れない」「忙しくてそれどころではない」 現場からはそんな声も聞こえてきそうです。
しかし前述のとおり、パーソル総合研究所の調査では、1on1ミーティングは実施の頻度が高い企業ほど目標達成度が高いという明確なデータが出ています。
なぜ、時間を割いてでも高頻度でおこなうべきなのか。その理由は、以下の5つのメリットが組織にもたらされるからです。
ここからは、1on1ミーティングを高頻度・短時間でおこなうべき理由を解説します。
社員の悩みや問題をリアルタイムに把握できる
1on1ミーティングを高頻度でおこなう最大のメリットは、社員の悩みや問題に早い段階で気づけることです。
部下の表情が暗い、発言がネガティブになった、進捗が思わしくないといった細かな予兆は、たまにおこなう面談では見抜けません。
モチベーションの低下、メンタルヘルスの不調、あるいは顧客とのトラブルなどを早期に発見できれば、傷が浅いうちに対処可能です。
「何かあってから」聞くのではなく、「何もないとき」から話しているからこそ、本音を引き出せるでしょう。
進捗管理により目標達成率が上がる
週次の1on1ミーティングで目標に対する進捗を確認することで、目標達成の確度が格段に上がります。
1on1は単なる雑談の場ではありません。目標に対する現在地を確認し、「何が障壁になっているか」「どのようなサポートが必要か」をタイムリーに話し合う場でもあります。
こまめな進捗確認はマイクロマネジメント(過干渉)と紙一重になりがちですが、1on1という「支援の枠組み」でおこなうことで、部下はそれを「監視」ではなく「伴走」と受け取りやすくなります。
社員の成長スピードが加速する
フィードバックの回数は、部下の成長スピードに比例します。
部下の行動直後に1on1ミーティングで「今の動きは良かった」「ここはもっとこうすべきだった」とフィードバックをすることで、部下は納得感を持って次のアクションに移れます。
このPDCAサイクルを週単位で回す社員と、半期に一度しか振り返らない社員とでは、1年間で蓄積される学習量に圧倒的な差がつくでしょう。
部下の自律的な成長を促すためにも、高頻度での振り返りが欠かせません。
上司と部下の信頼関係が構築される
1on1ミーティングの実施により短い時間でも頻繁に言葉を交わすことで、心理的な距離が縮まり、信頼関係の構築につながります。
心理学における「単純接触効果(ザイアンス効果)」が示すとおり、人は接触回数が多い相手に対して好意や信頼を抱く傾向があるからです。
単なる業務連絡だけの関係から、相互の人となりを理解する関係に変わることで、部下は上司からの厳しいフィードバックや難易度の高い指示も受け入れられるようになります。
人事評価材料の収集に役立つ
1on1ミーティングの記録は、極めて公平で納得度の高い人事評価の材料となります。
多くの部下を抱えていると、期末の評価時期になって「あの人はこの半年、何をしていたっけ?」と慌てて記憶を掘り起こすことがあるかもしれません。
1on1ミーティングで部下の成果や成長のプロセスを記録しておくことで、事実に基づいた評価が可能となります。
部下にとっても「普段の頑張りを見てくれている」という安心感につながり、評価結果に対する納得感(評価への満足度)が向上するでしょう。
短時間でも効果的な1on1ミーティングを実現するポイント

1on1ミーティングの効果を最大化するには、一回あたりの負担を減らし、効率的に進めるための工夫が求められます。
限られた30分を濃密な時間にするためのポイントは次の3つです。
それぞれ解説します。
事前にアジェンダを共有する
限られた時間を有効に使うためには、事前のアジェンダ共有をルール化しましょう。
30分(あるいは15分)という短い時間のなかで、「今日は何を話そうか?」と話題を探り合う時間は非常にもったいないタイムロスです。
「今週の困りごと」「相談したい決断」など、事前にシートなどに入力してもらうことで、上司は回答を準備でき、開始直後から密度の濃い本題に入れます。
なお、後述する「ミキワメ マネジメント」を活用すれば、システム上でトピックを選択するだけでアジェンダ共有が完了するため、準備の手間を大幅に削減できます。
アジェンダは時間に余裕を持たせて設定する
30分という短い時間で、アジェンダに5つも6つも議題を詰め込むのは避けましょう。時間が足りずに消化不良を起こし、ただの事務的な確認作業になってしまいます。
1on1ミーティングで扱うテーマは「メインの1つ、予備で1つ」程度に絞るのが鉄則です。
深く対話すべきテーマであれば、時間が足りなくなることもあります。その際は無理に結論を出そうとせず、「続きは来週話そう」「別途時間を取ろう」と柔軟に判断してください。
話し足りない感覚が、次回の1on1へのモチベーションになる可能性もあります。
定期的に1on1の内容を振り返る
数ヶ月に一度は、1on1ミーティング自体の質を振り返る「メタ・コミュニケーション」の時間を設けましょう。
- 「今の頻度や時間は適切か?」
- 「話しにくい雰囲気になっていないか?」
- 「もっと扱いたいテーマはあるか?」
これらを部下に問いかけ、運用方法をチューニング(微調整)します。
上司から歩み寄る姿勢を見せることで、1on1が「上司から押し付けられた行事」ではなく「2人のための時間」へと変化します。
1on1ミーティングを定期的におこなう際の注意点

効果的な1on1ミーティングの実施を継続するためには、運用上の落とし穴を避ける必要があります。
特に以下の4点は、形骸化を防ぐための防波堤となります。
それぞれの注意点について解説します。
心理的安全性を確保する
1on1ミーティングの場では、部下が何を言っても否定されないという心理的安全性の確保が絶対条件です。
上司が自分の意見を押し付けたり、部下の悩みを「そんなことは些細なことだ」と一蹴したりすれば、部下は心を閉ざします。
「まずは聞く(傾聴)」に徹し、部下の感情や意見をありのままに受け止める姿勢を示してください。
1on1の実施目的を共有認識として持っておく
1on1の効果を最大化するためには、そもそも「何のために忙しい時間を割いて1on1をするのか」という「Why」の部分を、初回だけではなく定期的に共有することが重要です。
「君のキャリア成長を支援したいから」「チームの成果を最大化したいから」といった目的を共有できていれば、お互いに建設的な時間を過ごそうという意欲が湧きます。
反対に、こうした目的を見失うと、1on1ミーティングを実施するという「手段」が目的化してしまい、形骸化を招きます。
ミーティング内容は必ず記録する
記憶に頼ったマネジメントは危険です。特に複数の部下を持つマネージャーは、誰と何を話したか混同してしまうリスクがあります。
簡単なメモでよいため、必ず記録(ログ)を残しましょう。
次回の1on1ミーティングの冒頭で「先週言っていた〇〇の件、その後どう?」と前回の内容に触れるだけで、部下は「自分のことを大切にしてくれている」と感じ、信頼感が高まります。
スキップはせずリスケする
繁忙期や急な会議が入った際、1on1ミーティングを「今回はなしで」とキャンセル(スキップ)するのは極力避けてください。
一度例外を作ると「忙しければやらなくてよいもの」という認識が定着し、自然消滅への道をたどります。
どうしても実施できない場合は、必ず同週内でリスケジュール(日程変更)をおこないましょう。
「あなたのための時間は必ず確保する」というメッセージを行動で示すことが、形骸化を防ぐコツです。
1on1を頻度高くおこなうには上司・部下の負担軽減が重要

ここまで解説してきたとおり、1on1ミーティングの最適な頻度は「週1回」、時間は「30分」です。 一見大変に感じるかもしれませんが、短いサイクルで対話を重ねることで、問題の早期発見や信頼関係の構築につながり、結果として組織の目標達成度を高められます。
しかし、部下が10人いれば週に5時間を要することになり、準備や記録を含めると上司にかかる負担は決して小さくありません。
無理に回数だけを重ねようとすれば、部下からは「話すことがなくて意味がない」「忙しい時間を奪われるのはやめてほしい」といった不満が噴出するでしょう。
上司自身もネタ作りに追われ、1on1自体を「苦痛」に感じてしまうケースが散見されます。
こうした現場の悲鳴を放置すれば、いずれ1on1は形骸化し、逆効果になりかねません。そこで有効なのが、1on1の運用をテクノロジーで支援する「ミキワメ マネジメント」の活用です。
ミキワメ マネジメントは、性格検査に基づいた「個人の性格データ」を活用し、その部下に合わせた最適な接し方やフィードバック方法を提案します。
さらに、アジェンダの事前共有や記録の管理もシステム上で一元化できるため、管理工数を大幅に削減しながら、質の高い対話を実現できます。
まずは月曜日か金曜日、どちらか固定した曜日に1on1ミーティングのスケジュールを入れることから始めてみてください。
そのうえで、自社に合ったツールも活用しながら、無理なく継続できる持続可能な1on1スタイルを確立していきましょう。
ミキワメマネジメントの詳細は以下からご覧いただけます。
ミキワメ マネジメントは、社員の性格・心身状態・目標進捗を踏まえて最適なマネジメントを提供する1on1ツールです。詳細は下記から。







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