- 静かな退職の定義や具体例
- 静かな退職が流行している背景
- 静かな退職が企業に与える影響
- 静かな退職を防ぐ方法
静かな退職とは、仕事に対して最低限の責任を果たしながらも、積極的な関与を避ける働き方のことです。
2022年にアメリカのキャリアコーチによって提唱された働き方で、Z世代を中心に広がりを見せています。静かな退職が増加すると、職場環境の悪化や生産性の低下といった悪影響を及ぼすリスクも否定できません。
しかし、担当者のなかには「静かな退職への対処法がわからない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
本記事では静かな退職の実態をはじめ、流行の背景や企業に与える影響などを詳しく解説します。静かな退職を防ぐために実施すべき施策や対策も解説するので、ぜひ最後までご覧ください。

静かな退職(Quiet Quitting)とは

静かな退職(Quiet Quitting)とは、2022年にアメリカのキャリアコーチによって提唱された新たな働き方のことです。SNSをきっかけに広がり、とくにZ世代を中心に注目を集めています。
本章では以下の項目に分けて静かな退職の定義や意味を明らかにしつつ、日本における実態と現状を見ていきましょう。
以下から詳しく解説していきます。
静かな退職の定義と具体例
静かな退職とは、仕事への熱意や意欲を持たず、必要最低限の業務のみをこなす働き方のことです。仕事を退職こそしないものの自主的な努力は行わず、与えられた職務を淡々と果たします。
仕事に対する価値観の変化によって注目されるようになり、仕事に自己実現ややりがいを求めないのが特徴です。静かな退職をしている従業員の具体例としては、以下のような項目が挙げられます。
- 必要な残業でも行わない
- 昇進に関心を持たない(責任あるポジションを避ける)
- 社内イベントへの参加を避ける
- 仕事関連のメッセージに最低限しか返信しない
- 積極的に発言しない(提案やアイデア出しをしない)
- 指示された業務しかこなさない
従来の職場では「当たり前」とされていた自主的なスキルアップやチームへの貢献といった行動を控えるのも、静かな退職の一例です。
静かな退職は、従業員が職場での過度なプレッシャーを避け、心身の健康を守るための選択肢として広がりを見せています。
静かな退職とサイレント退職の違い
静かな退職と似た言葉に「サイレント退職」がありますが、従業員が「退職するかしないか」という大きな違いがあります。
項目 | 定義 | 動機 |
静かな退職 | 退職はしないが、仕事への熱意や貢献を持たず、必要最低限の業務のみをこなす働き方のこと | 組織へのエンゲージメントの低下、ワークライフバランスの重視 |
サイレント退職 | 前触れや兆候を見せずに、従業員が突然退職してしまうこと | 仕事への過剰なストレスや不満 |
通常の退職 | 会社に退職を事前に相談し、承諾を得たうえで退職すること | キャリアの転換、生活環境の変化 |
静かな退職は、仕事を辞めることなく最低限の業務のみをこなす働き方を指します。一方、サイレント退職は、従業員が兆候を見せずに突然仕事を辞めることを指します。
静かな退職は仕事に積極的に関わらないものの、職場に在籍し続けるのが特徴です。対してサイレント退職は仕事に対する不満や悩みを抱え込み、誰にも相談せずに突然退職を決断します。
いまでは当たり前?静かな退職の実態と現状
静かな退職は2022年の提唱以降、多くの職場で広がりを見せています。実際に世界を対象にした調査結果によると、労働者の半数以上が静かな退職の状態にあることがわかりました。
米国の調査会社ギャラップ社の「2023 State of the Global Workplace」にて、160カ国以上・15歳以上の従業員12万2416人に対する調査によると、世界の労働者の約59%が静かな退職の状態にあると判明しています。
参考(PDF):Gallup, Inc. | State of the Global Workplace 2023 Report
日本国内でも「静かな退職をしている」と自覚する人が6割に上るというデータもあり、仕事への熱意の低下がうかがえます。
参考:静かな退職(Quiet Quitting)に関する意識調査(PR TIMES)|アクシス株式会社
静かな退職はZ世代とミドル世代(40・50代)どちらが多い?
世界ではZ世代(※)を中心に広がっている静かな退職ですが、日本においては40代・50代・60代といったミドルシニア世代に多いことがわかっています。
※1990年代半ばから2010年代序盤に生まれた世代
「静かな退職」を選択する人を「積極的な仕事への貢献意欲が低いが継続勤務の意欲が高い人」と定義して調査したところ、回答者全体の15%が該当すると判明しました。
属性内訳では40代や50代の中堅・シニアクラスのほか、一般社員やパフォーマンスが平均に満たない方が、静かな退職を選択する傾向が強いことが分かっています。
本調査では、「静かな退職」を選択する人は自身のキャリア展望が著しく弱く、自分に与えられる権限やワークライフバランスなどに甘んじている傾向にあると示されています。
40代や50代はキャリアの後半に差し掛かる世代なので、働き方の見直しや定年後を見据えて静かな退職を選ぶケースが増えていると考えられるでしょう。
静かな退職が流行している背景・原因

静かな退職が広がっている背景や原因には、仕事への価値観・考え方の変化が影響しています。例えば、次のような点が挙げられます。
とくに若い世代では、「仕事が人生の中心であるべきではない」という考えが広まっており、ワークライフバランスを重視する従業員が増加しています。
また、コロナ禍をきっかけに働き方の選択肢が増えたことで、会社に対する忠誠心や一体感が薄れたことも影響していると言えるでしょう。
ここからは、静かな退職が流行している背景について、3つの観点から詳しく解説します。
ハッスルカルチャーの衰退
静かな退職が流行している背景の一つに、ハッスルカルチャーの衰退が挙げられます。ハッスルカルチャーとは、仕事に対して全力で取り組み、長時間労働による生産性向上を追求する文化のことです。
ミレニアル世代を中心に広まった価値観で、従来では「仕事のために生きる」という上昇志向が美徳とされてきました。
しかし近年では、ハッスルカルチャーからワークライフバランスを重視する価値観へ変化しており、仕事だけに人生を捧げることに疑問を持つ人が増えています。
実際に従業員が静かな退職を選択する要因について、GPTW Japanの調査では以下のように明記されていました。

静かな退職を選択したきっかけは、「仕事よりプライベートを優先したいと思うようになったから」(38.2%)がもっとも多く、次いで「努力しても報われない(正当に評価されない・給与に反映されない)から」(27.3%)が多かった。
このことから、静かな退職を選択する多くのきっかけは入社後に発生しており、それには、仕事に見合う金銭・非金銭(仕事に対するモチベーションや努力の意義)のインセンティブがないことに大きく影響を受けていることがわかった。
出典:GPTW Japan | <調査レポート>「静かな退職」選択のきっかけは企業にあり、7割が「働き始めてから静かな退職を選択した」と回答
このことから静かな退職には、私生活の充実を求める価値観への変化や、企業に対する不満が影響していると考えられます。
このような価値観の変化に対応するためには、従業員がプライベートと仕事を両立できる職場環境を整えることが大切です。多様な働き方を容認する環境を整備すれば、従業員が自主的にモチベーションを維持できるようになります。
働き方改革によって、離職率を低下させた事例としてサイボウズ株式会社の取り組みを紹介します。2005年頃の同社は、毎日の残業をいとわないような昭和的な働き方が当たり前となっていました。
テレワークをはじめとする在宅勤務制度も整備されておらず、28%という高い離職率が課題となっていたそうです。経営課題の解決を目的に働き方改革に取り組み、まずは出産で退職する従業員に長く働いてもらえるように6年間の育休制度を策定。
同時に選択型人事制度を採用し、現在ではテレワークやフレックスタイム制など100人100通りの働き方を選択できるようになりました。働き方改革の結果、働きやすい会社として認知されるようになり、現在の離職率は3〜5%と低水準をキープしています。
職場環境の整備は、静かな退職の抑制だけでなく人材確保にもつながります。
働きやすい環境を提供することで、従業員の満足度やエンゲージメントが高まり、結果として業務への熱意や意欲の向上につながるでしょう。
組織へのエンゲージメント低下
終身雇用の崩壊や働き方の多様化により、組織へのエンゲージメントが低下していることも静かな退職が広がる要因です。一つの企業で長期的に働くのではなく、組織に依存しない働き方を重視する人が増加傾向にあります。
最初から転職することを前提に就職する人材も多く、実際に日本経済新聞の調査では、4割の学生が転職を前提に就職することが判明しました。会社への帰属意識の希薄化は、仕事への熱意や責任感の低下を引き起こし、結果として静かな退職に至る可能性が高くなります。
参考:日本経済新聞 | 転職前提が4割「大手も安心できない」 就活生独自調査
また、博報堂生活総合研究所の調査でも、会社における地位の選択において以下のことがわかりました。

「気楽な地位派vs責任ある地位派」という質問に対して「気楽な地位派(気楽な地位にいる方がいい)」「責任ある地位派(責任ある地位にいる方がいい)」の2つの回答率の推移を示す面グラフです。
1998年の質問開始以来、気楽な地位派:責任ある地位派は8:2で推移していますが、2018年以降は気楽な地位派がやや増加傾向にあります。
この調査結果から、現代では「企業のために働く」という意識が薄れていることがうかがえます。エンゲージメントの低下に対応するためには、公平な評価制度の導入や成長機会の提供などによって、従業員が自己成長を実感できる環境を整えることが大切です。
エンゲージメントが低い企業の特徴や改善方法については、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。
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仕事へのストレス増加
人手不足による業務量の増加は、仕事へのストレスにつながります。従業員の負担が大きくなると精神的な疲労を感じやすくなり、過度なストレスを避けるために、静かな退職を選択する人が増加してしまうでしょう。
実際に厚生労働省の調査では「仕事の量」がストレスの要因になることがわかっています。
現在の仕事や職業生活に関することで、強い不安、悩み、ストレス(以下「ストレス」という。)となっていると感じる事柄がある労働者の割合は82.2%[令和3年調査53.3%]となっている。
ストレスとなっていると感じる事柄がある労働者について、その内容(主なもの3つ以内)をみると、「仕事の量」が36.3%[同43.2%]と最も多く、次いで「仕事の失敗、責任の発生等」が35.9%[同33.7%]、「仕事の質」が27.1%[同33.6%]となっている。
従業員のストレスを軽減して静かな退職を防ぐには、企業側が適切な業務量を管理し、無理なく働ける環境を整えることが重要です。
また、定期的なメンタルヘルスチェックやカウンセリングの導入など、従業員のストレスを軽減する取り組みも求められます。
静かな退職を選択する従業員の特徴・考え方

静かな退職を選択する従業員には、いくつか共通する特徴があります。適切な対策を取るためには、事前に従業員の考え方や価値観を把握しておくことが大切です。
静かな退職を選択する従業員の特徴や考え方の具体例としては、以下のような項目が挙げられます。
〈静かな退職を選択する従業員の特徴・考え方〉
- 仕事に必要以上の労力をかけたくない
- 仕事は生活を維持するための手段にすぎない
- 出世に興味がない
- 現状に満足している
- プライベートと仕事のバランスを保ちたい
- ストレスを抱えたくない
- 気楽な立場で仕事をしたい
- 期待されたくない
静かな退職を選択する従業員は、ワークライフバランスを重視する傾向にあります。
プライベートの充実が仕事の充実につながるという「WLI(ワークライフ・インテグレーション)」の意識を持っているのも特徴の一つです。
実際に株式会社マイナビの調査では、「私生活の充実」が「仕事の充実」と関係していると答えた人が7割に上ることが判明しました。
この調査結果から、従業員の幸福度やエンゲージメント向上には、プライベートの充実が大きく関わっていることがわかります。
仕事と私生活のバランスが取れていると精神的な健康が保たれ、仕事に対するモチベーション向上にもつながるでしょう。
エンゲージメント向上の施策については、以下の記事でも解説しています。本記事と合わせてご覧になってみてください。

静かな退職が企業に与える影響

静かな退職が企業に与える影響は、決して小さくありません。具体的には以下のようなリスクがあり、静かな退職が進むと業務効率の低下を招く可能性もあります。
ここからは、静かな退職が企業に与える悪影響について見ていきましょう。
職場環境の悪化と人材流出
静かな退職によって最低限の業務しかこなさない従業員が増えると、職場全体のモチベーション低下につながります。ほかの従業員に業務負荷が偏ってしまうため、職場全体の環境が悪化したり、人間関係に亀裂が入ったりする可能性もあるでしょう。
とくに仕事ができる優秀な人材ほど、静かな退職を選択した従業員の仕事を任せられる傾向にあります。業務過多や過重労働につながると人材流出が加速し、業績や生産性の低下を招くリスクも否定できません。
会社全体におけるパフォーマンスの低下
静かな退職は、個々の従業員の生産性が低下している状態を意味します。静かな退職を選択する従業員が増えれば増えるほど、会社全体のパフォーマンスに与える影響は甚大です。
静かな退職を決め込む従業員は、必要最低限の業務にしか取り組まず、会議でも積極的な発言が少なくなります。
新たなアイデアやイノベーションが生まれにくくなるため、企業としての競争優位性を保つのも困難になるでしょう。
何が悪い?静かな退職にメリットはあるのか

企業に悪影響を与える静かな退職ですが、従業員にとっては以下のようなメリットをもたらす場合もあります。
- 過重労働が減り、ワークライフバランスを維持できる
- 仕事以外の時間を有効活用できる
- メンタルが安定する
- 燃え尽き症候群(バーンアウト)を防げる
静かな退職を選択すれば、身体面や精神面でのストレスが減り、ワークライフバランスを維持できるのがメリットの一つです。無理に努力するのではなく、自分のペースで仕事を続けることで、燃え尽き症候群(バーンアウト)の防止にもつながります。
静かな退職をする人は新たな挑戦を避ける傾向が強いため、与えられた業務に対する習熟度が向上するのも利点だと言えるでしょう。
しかし静かな退職が常態化すると、仕事に対するやりがいや成長実感が失われ、周囲の従業員を巻き込んで悪循環に陥る可能性があります。生産性の低下を防ぐには、静かな退職の原因を探り、従業員が意欲を持てる環境を作ることが大切です。
一方で従業員側にも、単に業務量を抑えるだけでなく、自分のキャリアや働き方について主体的に考えることが求められます。静かな退職のメリットを活かしつつ、企業と従業員の双方にとってよい職場環境を整えましょう。
静かな退職を防ぐために企業が取るべき対策

従業員の静かな退職を防ぐには、一人ひとりの価値観やライフスタイルを尊重する姿勢が大切です。具体的に企業が取り組むべき施策としては、以下の5つが挙げられます。
それぞれの対策をチェックし、従業員が働きやすい環境整備に取り組みましょう。
多様な働き方を容認する職場環境の整備
静かな退職を防ぐためには、従業員が自分に合った働き方を選べる環境を整えることが重要です。ワークライフバランスを重視する現代の価値観に合わせ、リモートワークやフレックスタイム制といった多様な働き方を容認しましょう。
柔軟な働き方を容認して従業員の定着率がアップした事例として、株式会社ソニックガーデンの取り組みを紹介します。
同社では優秀なエンジニアの獲得を目的に「勤務地不問」で人材の募集をかけ、遠隔地からでも仕事ができるようリモートワークを開始しました。
リモートワークでも「お互いの顔が見える」ように配慮し、物理的なオフィスの代わりとしてバーチャルオフィスを導入。バーチャルオフィスの導入によって社員同士のコミュニケーションが活性化し、在宅勤務の人数やノウハウも少しずつ増えていったといいます。
2016年には社員の半数以上が在宅勤務になり、渋谷にあった本社オフィスを撤廃。条件や回数の制限なく、全従業員が完全にリモートワークをできる環境となりました。
完全リモートワークになったことで、場所を問わず採用活動を進められるようになり、優秀な人材の獲得につながっているそうです。
また従業員自身も、住む場所や生活スタイルの変化に左右されず仕事を続けられるようになったことで、離職率の低下に成功しました。
参考:株式会社パープル まもりの種 | 本社オフィス撤廃!株式会社ソニックガーデンがたどり着いた「リモートワーク」の完成形
この事例から、多様な働き方の導入は、従業員の満足度やエンゲージメント向上につながることがわかります。ライフステージの変化に応じた働き方が可能となるため、優秀な人材の流出を防ぐ効果も期待できるでしょう。
人事評価制度の見直し
不公平な人事評価制度は、静かな退職を引き起こしてしまう要因の一つです。従業員が適正に評価されていないと感じると、仕事へのモチベーションが低下し、最低限の業務にしか取り組まなくなる可能性があります。
従業員のモチベーションを向上させるには、公正で透明性の高い評価制度の導入が有効です。360度評価制度のように、業務の量や成果だけでなく、チームワークやプロセスの工夫なども評価対象に含めれば、従業員の努力を正しく反映できるようになるでしょう。
人事評価制度に360度評価を導入している企業として、GMOインターネットグループ株式会社の事例を見てみましょう。
同社では役員を含む管理監督者の360度評価を実施しており、部下や他部署の仲間から多面的に評価を受けられる制度を導入しています。
社員同士を匿名で評価しあう仕組みなので、公平な評価制度を実現できているのが特徴です。同時に企業側の負担が少なくなり、人事評価のスピード向上にもつながったといいます。
また、給与の枠とリンクした等級ランク(6段階)を公開するという「オープン化」の仕組みを取り入れることで、給与の透明化も実現。等級ごとの給与を公開することで、仕事へのやりがいが上がり、責任感の醸成にも貢献しました。
人事評価制度を見直すときは評価基準を明確にし、従業員が「どのような成果を出せば適正に評価されるのか」を理解できるようにすることが求められます。
また、新たな人事評価制度には、従業員の意見を取り入れることも大切です。ヒアリングやアンケート調査を通じて現場の声を反映し、全員が納得できるような制度を整備しましょう。
従業員が人事評価に納得できない理由には、評価基準の不明確性や自己評価との不一致などが考えられます。人事評価に対する納得感の調査方法や具体的な改善方法を理解したいという方は、ぜひ以下の記事もご覧ください。

新入社員のリアリティショック予防
新入社員のリアリティショックとは、入社前に抱いていた職場や業務に対する期待と、実際の職場環境や仕事内容とのギャップによって生じる心理的なショックのことです。
入社前と入社後のギャップが大きいと、入社後すぐに静かな退職を選択したり、早期離職につながったりするリスクがあります。実際にGPTW Japanの調査では、静かな退職を実行している人の70%以上が入社後に静かな退職を選択していることがわかりました。
これは、入社後に発生した給与や評価への不満が静かな退職を促すことを意味しており、静かな退職の防止には、リアリティショックの対策が有効であると言えます。
新入社員のリアリティショック対策としては、入社前に職場環境や仕事内容を具体的に説明し、入社後のギャップを最小限に抑えることが大切です。入社後もメンター制度や1on1ミーティングを行い、新入社員がスムーズに職場に適応できるようサポートしましょう。
新入社員のリアリティショック予防や離職防止に取り組んでいる事例として、株式会社オールハーツ・カンパニーの「100日日報」制度を紹介します。
100日日報とは、新入社員が入社後100日間、毎日上司に日報を提出する制度です。「世界に一人のあなたと一緒に働きたい」という採用ポリシーに共感して入社した社員が、入社後にギャップを感じないようにと導入しました。
日報には1日の業務だけでなく、自己評価も記載してもらっており、日報の提出率や自己評価を離職予想につなげています。ケアが必要だと判断した場合は、エリアマネージャーを通じてサポートし、早期退職の予防に取り組んでいるそうです。
100日日報は新入社員からも高評価を集めており、「みんなに見てもらっている安心感がある」という意見が寄せられています。
参考:株式会社スタメン TUNAG(ツナグ) | 150の店舗間でコミュニケーションが生まれる理由とは?「日報だけでエンゲージメントを高める。」
新入社員が直面しやすいリアリティショックや対策については、以下の記事で詳しく解説しています。新入社員の早期離職や静かな退職に悩んでいる方は、ぜひチェックしてみてください。

静かな採用の導入(リスキリングの推進)
静かな採用とは、社内の既存人材のスキルを向上させ、現状の業務とは異なる役割を与えることを指します。Gartner社が2023年のワーク・トレンド・レポートで発表した言葉で、採用のコストを削減しながら組織力を強化できるのが特徴です。
静かな採用を導入すれば、既存の従業員に対して新たな業務に挑戦する機会を与えられます。従業員自身の成長意欲を刺激できるため、モチベーション高く働く社員を増やせるでしょう。
静かな採用を取り入れたい場合は、リスキリングを推進するのがおすすめです。リスキリングとは、時代の変化や技術革新に対応するために、新たなスキルを学び直すことを指します。
企業がリスキリングを推進すれば、従業員の多能工化を実現でき、企業全体の成長につなげることが可能です。経済産業省の「人材版伊藤レポート」でも以下のように述べられており、リスキリングの重要性が強調されています。
経営環境の急速な変化に対応するためには、社員のリスキルを促す必要がある。また、社員が将来を見据えて自律的にキャリアを形成できるよう、学び直しを積極的に支援することが重要だ。
なお自律的なリスキル・学び直しを促すときには、それぞれの社員が自身の過去の経験やスキル、キャリア上の意向、強い意欲をもって取り組める学習領域等を理解するプロセスが重要であり、会社がそのプロセスを支援することが肝要となる。
リスキルが人材戦略の一環として、経営戦略の実現を助けるためにはその実現に当たって不足するスキル・専門性を特定するプロセスが欠かせない。とくに高めたいスキル・専門性が明確になることで、教育訓練投資の効率も測りやすくなる。
リスキリングを推進すれば、従業員自身も自己成長を実感しやすくなります。とくに学んだ知識やスキルを実務に活かせると、仕事への自信ややりがいにつながり、主体的に業務に取り組む姿勢が生まれるでしょう。
静かな退職を防ぎ、従業員のエンゲージメントを高めるためには、単にリスキリングの機会を設けるだけでなく、学んだスキルを活かせる環境整備やキャリア支援が重要です。
定期的なパルスサーベイの実施
静かな退職を防ぐためには、従業員の不満やストレスを早期に察知し、適切に対応することが大切です。入社後のフォローを徹底したいなら、定期的にパルスサーベイを実施しましょう。
パルスサーベイとは、従業員の満足度やモチベーションを測るために、短期間かつ定期的に実施する調査のことです。パルスサーベイを実施すれば、従業員の声をリアルタイムで把握でき、職場環境の改善につなげられます。
『ミキワメ ウェルビーイングサーベイ』は、従業員の性格や心理状況を可視化し、離職・休職リスクを低減できるサーベイツールです。実名制のサーベイなので、サポートが必要な従業員をすぐに特定できます。
『ミキワメ ウェルビーイングサーベイ』を離職予防に役立てている企業として、嘉穂無線ホールディングス株式会社の導入事例を紹介します。
同社では、従業員の強みや個性を生かした適材適所や離職の防止を目的に、『ミキワメ ウェルビーイングサーベイ』を導入しました。
『ミキワメ ウェルビーイングサーベイ』によって従業員の満足度や心理状況をスコアリングし、スコアの低い従業員に対しては面談や異動といったサポートを徹底。客観的に心の状態を可視化することで、退職の可能性がある従業員を把握できるようになったといいます。
現在では離職率も改善傾向にあり、従業員の特徴に基づいた適切な人材配置を叶えられているそうです。
『ミキワメ ウェルビーイングサーベイ』は、3分間で手軽に実施できるサーベイなので、1か月に1回など高頻度でも無理なく調査できるのが魅力です。頻度を高めることで、リアルタイムに従業員の状態変化に気づけるため、手遅れとなる前に対策を実施できるでしょう。
パルスサーベイの導入メリットについては、以下の記事で詳しく解説しているので、自社での活用イメージをつかみたい企業はぜひ参考にしてください。

パルスサーベイを活用し、静かな退職を防ぐ職場環境を整えよう
静かな退職とは、仕事への熱意や積極性を持たず、与えられた必要最低限の業務のみをこなす働き方のことです。静かな退職を防ぐためには、従業員の声を積極的に取り入れ、職場環境を継続的に改善していくことが求められます。
従業員の満足度やエンゲージメントを測りたいという場合は、パルスサーベイの活用が有効です。定期的に実施することで、静かな退職の兆候がある従業員に適切なフォローを行えるようになります。
『ミキワメ ウェルビーイングサーベイ』は、短時間かつ高頻度での調査を実現できるサーベイで、従業員の心理状況をタイムリーに把握したいときに有効です。
サービスの特徴や導入メリットを詳しく知りたい方は、ぜひ以下の資料をダウンロードしてみてください。

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