リモートワークにおける1on1の難しさは、表情や空気感といった「非言語情報」の欠如にあります。対面であれば読み取れる部下のコンディションが、画面越しでは見えにくくなるためです。
リモートでの1on1を成功させるカギは、見えない情報を可視化し、意識的なコミュニケーション技術で補うことにあります。なんとなく実施するのではなく、明確な意図を持って運用すれば、対面以上に深い信頼関係を築くことも可能です。
本記事では、リモート環境で1on1を成功させるコツと注意点、組織のパフォーマンスを最大化するための具体的な手法を解説します。
1on1とは?リモートワークで重要性が再注目される背景

リモートワークの普及に伴い、1on1ミーティングの重要性は以前にも増して高まっています。
物理的な距離が離れているからこそ、心理的な距離を縮めるための意図的な「対話の場」が不可欠だからです。
オフィスワークであれば、すれ違いざまの挨拶やデスク越しの雑談で補完できていたコミュニケーションが、リモートでは完全に消失します。業務連絡だけのチャットツールと、必要最低限のWeb会議だけでは、部下は組織のなかでの孤独感を深めていくでしょう。
リモート環境下における1on1は、単なる業務報告の場ではありません。組織と個人をつなぐ生命線(ライフライン)としての役割を担います。
対面とリモートワークにおけるコミュニケーションの違い
対面とリモートの決定的な違いは、視覚・聴覚以外の「非言語情報」が得られるかどうかです。
対面であれば入室時の足取り、溜め息、視線の動きなどから、上司は直感的に部下の不調を察知できますが、リモート環境では画面に映る顔と音声のみが頼りです。
この情報の非対称性が、上司には「部下が何をしているかわからない不安」を、部下には「正当に評価されていないかもしれない不安」を生じさせます。結果として、互いの疑心暗鬼を生み、信頼関係の構築を困難にさせてしまうのです。
リモートワークでの1on1は「監視」ではなく「信頼構築」のためにある
リモート1on1を実施する際、絶対に避けるべきなのは、上司側が「監視」の意識を持つことです。部下の姿が見えない不安から、1on1をサボっていないかの確認や細かすぎる進捗チェックの場として使ってしまうケースが散見されます。
1on1の本来の目的は、部下の成長支援と信頼構築です。監視の空気を感じ取った部下は心を閉ざし、本音を話さなくなります。
リモート環境での1on1では上司は部下に対して「あなたの成果に関心がある」のではなく、「あなた自身のキャリアや状態に関心がある」というスタンスを明確に示す必要があります。
リモートワークにおいて1on1を実施する効果・メリット

リモートワーク下での定期的な1on1実施は、業務の円滑化だけではなく、組織全体のメンタルヘルス維持にも寄与します。物理的に離れていても、心理的な繋がりを強固にできるからです。
具体的には次のような効果やメリットが得られます。
自律的な目標達成をサポートできる
1on1の実施はリモート特有の「方向性のズレ」を修正し、部下の自律的な目標達成をサポートできます。
一人で作業する時間が長いリモートワークでは、些細な認識の違いが放置されやすく、気づいたときには目標と大きく乖離した成果物が出来上がっていることも少なくありません。
上司との定期的な対話で「現在地」と「ゴール」をすり合わせることで、部下は迷いなく業務に取り組めます。
結果として、上司が細かく指示を出さずとも、部下が目標達成へ自走する環境が整うのです。
孤独感・不安感を解消し心理的安全性を確保できる
1on1で顔を合わせる頻度を高めることで、部下の孤独感・不安感を解消し、心理的安全性の醸成へつなげられます。心理学には接触回数が増えるほど相手に好印象や親近感を抱く「ザイオンス効果(単純接触効果)」という法則があり、これを活用する形です。
1on1を週に1回、あるいは隔週に1回でも実施することで、部下は「上司が自分のために時間を割いてくれている」と感じ、組織への帰属意識を高めます。
カメラ越しに互いの表情を確認しながら会話をする時間は、チャットなどのテキストコミュニケーションでは埋められない不安を取り除く特効薬です。
出典:繰り返し接しているうちにどんどん好きになるのはなぜ? | 日本心理学会
見えづらいメンタル不調や離職のサインを早期発見できる
1on1は、画面越しでは見えにくい部下のメンタル不調や離職のサインを早期に発見するセンサーの役割を果たします。
テキストのやり取りだけでは「元気です」と取り繕えても、対話の中での言葉の詰まりや表情の曇りまでは隠しきれません。1on1を通じて早期に部下の異変に気づくことができれば、業務量の調整や産業医への相談など、打てる手立ては数多くあります。
離職防止の観点からも、リモート環境での定点観測は高い費用対効果を発揮するでしょう。
リモートワークで1on1を成功させるコツ5つ【実践編】

リモートでの1on1を成功させるためには、対面とは異なる工夫と配慮が必要です。明日からすぐに使える実践的なテクニックは次の5つです。
それぞれ解説します。
事前にアジェンダを記入してもらう
リモート特有の「沈黙の気まずさ」を防ぐためには、事前にアジェンダ(話すテーマ)を共有しておくのが鉄則です。
リモート会議における沈黙は対面の数倍も長く、気まずく感じるもの。何となく接続してから「今日何話そうか?」と考える時間は、双方にとってストレスとなります。
アジェンダは「業務上の悩み」「健康状態」「キャリアの相談」など、簡単な箇条書きで構いません。事前にメンバーがトピックを記入しておく仕組みをつくれば、限られた時間を有効活用でき、密度の濃い対話が可能になります。
カメラONは「挨拶」だけでもOKにする
一般的にリモートでの1on1では「カメラON」が推奨されますが、カメラの常時ONは強制せず、「最初の挨拶だけON」「通信が不安定ならOFF」といった柔軟なルールを設けることが重要です。
表情が見えることは重要ですが、常に顔を見られている緊張感は「Zoom疲れ」と呼ばれる疲労感の原因となります。
また、自宅の背景を見られたくない部下もいるでしょう。心理的な負担を減らす配慮が、結果として話しやすい雰囲気をつくります。
出典:テレワークはなぜ疲れるのか― Zoom疲労、Zoomバーンアウトの原因と対策|アド・スタディーズ|公益財団法人吉田秀雄記念事業財団
アイスブレイク(雑談)を長めに取る
リモート環境下での1on1では、本題に入る前のアイスブレイク(雑談)は対面時よりも意識的に長く取るべきです。
リモートワークでは、業務に関係のない「無駄話」をする機会が極端に減少しています。「週末はどう過ごした?」「最近ハマっているお菓子はある?」といったたわいない会話は、ラポール(信頼関係)を形成する重要な潤滑油です。
脳のモードを「作業」から「対話」へ切り替えるためにも、最初の5分は雑談に費やすくらいの余裕を持ってください。
出典:ラポール形成とは?効果や企業で実践できるテクニックを解説-JMAM 日本能率協会マネジメントセンター
リアクションを大げさにする
リモートでの1on1では、リアクションを普段の1.5倍〜2倍ほど大げさにしましょう。
画面越しでは、微妙な頷きや相槌は相手に伝わりません。特に上司側は部下に対して「あなたの話をしっかり聞いている」という姿勢を視覚的に示す必要があります。
大きく頷く、笑顔を見せる、驚いた表情を作るといったオーバーリアクションが、部下に「受け入れられている」という安心感を与え、会話を活性化させます。
適宜、画面共有をおこなう
リモートでの1on1では言葉だけではなく、資料やメモを画面共有して「視覚情報」を補うことも重要です。同じ画面を2人で見ながら話すことで、認識のズレを防げます。
また、画面共有には心理的な効果もあります。互いの顔を見つめ合う状態は「対立関係」の構図になりがちですが、同じ資料を見る状態は「横並び(協働関係)」の構図に近い心理状態をつくるためです。
対話に行き詰まったときこそ、アジェンダのメモなどを画面に映し出し、視線を共有してください。
リモートワークでの1on1でやってはいけない注意点・失敗例

よかれと思ってやったことが、逆に信頼関係を損なう原因になる場合もあります。リモートでの1on1で陥りがちな失敗パターンを押さえておきましょう。
それぞれの注意点・失敗例について深堀りします。
業務進捗の「詰め」の場にしてしまう
最も多い失敗は、1on1を進捗確認や業務の「詰め」の場にしてしまうことです。上司からすれば効率的かもしれませんが、部下にとっては叱責される時間となり、苦痛でしかありません。
進捗管理は朝会や管理ツールでおこない、1on1はあくまで部下のための時間として切り分けることが重要です。
1on1が詰めの場になった瞬間、部下の本音は二度と引き出せなくなると心得てください。
通信環境やツールの不備を放置する
通信環境やツールの不備を「仕方がない」と放置してはいけません。音声の遅延や頻繁な切断といったトラブルは会話のリズムを乱し、深い対話を物理的に不可能にします。
部下からは「声が聞き取りづらいのですが……」などとは言い出しにくいものです。上司側から積極的に通信環境を確認し、必要であればヘッドセットの支給や回線の見直しをサポートしてください。
インフラの整備も、リモート環境下のマネジメントにおける重要な責任です。
上司ばかりが話しすぎてしまう
オンラインでは会話の「間」を掴みにくく、割り込みが難しいため、一度話し始めた上司が演説を続けてしまう傾向があります。
しかし、1on1の主役は部下です。上司の話す割合は全体の2〜3割にとどめ、残りの時間は「傾聴」に徹しましょう。
沈黙が訪れても、部下が思考をまとめている時間かもしれません。すぐに口を挟まず、ぐっとこらえて待つ姿勢が求められます。
1on1の質を底上げするにはツールの導入も検討しよう
リモート1on1の質を個人のスキルだけで担保することには限界があります。見えない部下の状態を把握し、属人化を防ぐためには、専用ツールの導入が効果的です。
たとえば「ミキワメ マネジメント」では、性格診断データに基づいた科学的なアプローチが可能になります。
- 性格特性の可視化: 部下が「論理重視」か「感情重視」かなどを分析し、画面越しでは伝わりにくい個性を把握できる
- AIによるフォロー: 「この部下には結論から話すべき」「まずは共感を示すべき」など、性格に合わせた接し方をAIがレコメンドする
- コンディションの把握: パルスサーベイ機能により、部下のメンタルの揺らぎや離職リスクをデータで検知する
このように、ツールを利用すればデータに基づく対話の準備ができるため、マネジメント歴の浅い上司でも経験や勘に頼らず質の高い1on1を実現できます。
リモートワークでの1on1実施はパフォーマンス最大化のカギ

リモートワークにおける1on1は、単なる雑談や進捗確認の場ではありません。組織と個人のパフォーマンスを最大化するための戦略的な時間と心得ましょう。
表情や空気感がわかりにくいといった「非対面」のハンデを乗り越えるためには、リモート環境下ならではのコミュニケーション術とデータの活用が重要です。
「ミキワメ マネジメント」のような支援ツールを活用し、部下全員の性格やコンディションを可視化できれば最低限の労力で効果的な1on1の実施が可能になり、リモート環境であっても対面以上の信頼関係を築けます。
リモートならではの「見えない不安」をテクノロジーとデータで解消し、離れた場所にいる部下の才能を最大限に引き出していきましょう。
ミキワメ マネジメントについて詳しくは以下からご覧ください。
ミキワメ マネジメントは、社員の性格・心身状態・目標進捗を踏まえて最適なマネジメントを提供する1on1ツールです。詳細は下記から。








ランキング1位 
ランキング2位 
ランキング3位 